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“
幼き頃のケガにより運動が壊滅的。
彼の
馬鹿で全裸で女装、しかし己を貫き通し、周りを変えることができる人間。
“王らしからぬ王”その表現が似合う、そんな人物である。
しかし彼にも長所がある。
人に寄り添う心、皆を奮い立たせる言葉、そして術式。
その異常とも言える内燃拝気量と、武蔵の流体燃料の4分の1を他者に自在に分け与える術式。
これにより、武蔵は度々危機を乗り越えている。
ここまで長々と“葵・トーリ”という存在について語ってきたのには理由がある。
彼の父と母はどちらもが武術の達人であり、彼は内燃拝気を異常な量を持っている。
ここから導かれる答えの中に一つの答えがある。
もしも彼が事故に巻き込まれなかったら?
もしも彼に両親の武術の才能が受け継がれたら?
もしも彼の字名“不可能男”が、『不可能に挑戦する』という意味なら?
この物語での彼の戦種は『賑やかし』ではない、『
「
「なんにせよ、アイツに報告しないとな」
武蔵の誰も知らない場所。
そんな場所に麒鳳と
智良は画面に向かい何か作業をしながら、麒鳳に話題を振る。
それに対して麒鳳は本を読みながら答えた。
「う~ん、アイツ今は何処に居るかな?」
「三河だろ?もうすぐ着くし、っと言ってる間にもう着くな」
艦内放送が響く、この部屋には放送の出力機など無いのだが、二人にとって遠くの音を聞き分ける程度は造作もないことだった。
二人は麒鳳が獲得した出席点を使うことで、今日の授業には出席していないのだ。
「よし、行くか」
「うえ~、普通に行こうよ~」
「俺達の立場、理解してるだろ?」
麒鳳が立ち上がり、智良に声をかける。
智良は画面を閉じながらも渋い顔をして、拒否の意を表す。
それに対し麒鳳は低い声で咎めるように言葉を返す。
「うい~す」
「じゃあ行くぞ」
二人が扉を開けて、複雑に入り組んだ通路を行く。
そして甲板上に出た後に武蔵の端まで行き、飛び降りた。
麒鳳は“駆け燕”を用いることで、空中を疾走する。
智良は背中に三対で、左翼が黒に右翼が白の羽を出現させ、空中を飛行する。
その速さ故に聖連はその存在に気が付かなかった。
「もう着くね~」
「ああ、最後まで気を抜くなよ」
三河の国境前で空路から陸路にシフトした二人は麒鳳が智良を担ぎ、移動していた。
担がれている智良は画面で作業をしており、時折の跳躍などでズレる自らのメガネを戻しつつ、作業に没頭する。
それを見た麒鳳が諌めるも、やめる気配はない。
諌めるのを諦めたかの様に息を吐いた麒鳳は、また黙々と走り続けた。
少しすると街が見えてきた。
それを確認した麒鳳は最後に大跳躍をし、街の端に着地した。
「よし、探すか」
麒鳳は智良を肩から降ろし、辺りを見回す。
しかしすぐに智良に肩を叩かれた。
んあ?、と智良の方に振り向くと。
「あれあれ、あそこに居るよ」
智良は通りの方を指さしていた。
その指先を見ようと顔を動かしていく。
そしてその指の先には―――
「お、そこ行くねーちゃん、今日ヒマ?」
青い短髪を持ち、活発な雰囲気を醸し出す笑顔。
そしてアリアダスト教導院の制服を改造し、その原型をとどめていない服。
何よりここで注目すべきはその行動である。
ナンパだ、イケメンに話しかけられ、
これがイケメンの力だとでも言うのか、妬ましい。
「あ?またやってんのか、
次の瞬間、その男は女性に平手打ちをされていた、ザマァ。
そして頬をさすっている男に歩み寄った麒鳳と智良は、その男の肩を叩いた。
「よう、ちょっと話したいことがあるんだが」
「
「何だ、お前らか」
三人は久しぶりに会った友人のように(実際そうだが)話し始めた。
話題は葵・トーリ変わり、長く話し込む三人。
彼、
―――10年前の事件で己の代わりに葵・トーリを助けるも、ホライゾン・アリアダストを助けることができなかった、後悔通りの二人目の主である。
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