幻獣王が行く!!   作:トリィケンスケ

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早速の亀更新orz
待っていてくださった方、土下座はどの種類がよろしいでしょうか。

次はもっと早く更新します、すいません。


三河からの帰還、お引越しだ

 トーリ達と一通り談笑した後、三人は自室へと進んでいた。

 咲森(さきもり)はまだ見ぬ自室に、少しの期待をしていた。

 しかし地面(表面装甲)から下に降りた辺りで異変を感じていた。

 

「あれ?家って表層部にあるんじゃないの?」

「んな訳あるか。もっと下だ」

 三人は整備の人間すら知らない通路を歩き、自室(・・・・)に向かっている。

 咲森は不安を感じつつも、友人達の後について歩く。

 

 

 

 そうして体感的に5分程経った時、通路の先にいかにも頑丈そうな扉が現れた。

 麒鳳(きほう)がその扉に触れると、扉に幾何学的な模様が浮かび上がる。

 数瞬の後に扉は左右に別れ、その先には生活するためのスペースが見えた。

 

「・・・・・・ここ?」

「そうだよんよんよ~ん」

 おちゃらけてその言葉に肯定する智良(ちい)は、ニコニコしながらトテトテという足音が聞こえてきそうな足取りで部屋に入っていった。

 それに続くように麒鳳が部屋に入り玄関であろう所で止まると振り返る。

 それが入室を促しているのだと感じた咲森は、恐る恐る敷居らしき場所(何もない)を跨ぐ。

 

「お、お邪魔しまーす」

「邪魔するなら帰れ」

 智良は押し返されて玄関から出てしまった、麒鳳が求めるものと違ったのだろう。

 麒鳳は妙な事を気にすることが多い。

 そういう時は頑固なので、正解を当てるまで何度でも挑戦する。

 

「ういっす」

「おう」

 また押し出された、非力な咲森はその力に抗うことなどできない。

 

「宅配便でーす」

「荷物置いて、帰れ」

 ヤツが求める答えは笑いではないようだ。

 

「クゥーン」

「家に犬は飼えねぇぞ」

 にべもない、取り付く島がない、そっけない。

 捨て犬を拾うという心優しい行為はできないのか?

 捨て犬が大きすぎるという問題が浮上するのは仕方がない。

 

「麒鳳さーん、今日こそ耳揃えて借金返してもらおーか!」

「おら!」

 殴られた、これも違うようだ。

 智良のネタもだんだん切れてきた。

 

「あれ?まだ帰って来て(・・・・・・・・・)なかったの?」

「あ、そういう事」

 智良がダボダボのワイシャツを来て、しかもズボンの丈が長くヨロヨロと歩いている。

 しかも転けそうになるたびに、「あふ」とか「うにゅ」とか言う。

 ここに有翼二人組が居たら、襲われているだろう、確実に。

 そして咲森は何かに気がついたようだ。

 

「ただいま・・・だよな、普通」

「おう、おかえり」

「おかえり!由くん!」

 いい感じの雰囲気であるが、みなさんの疑問を解消すべきであろう。

 智良の服一式、全て麒鳳の物である。

 

「それ俺の服なんだが」

「いいじゃん~、貸してよー」

「着づらいだろ?自分のを着るか、捲るとかした方が・・・」

「これでいいの!あったかいよ~、えへへへ」

「全く、転けたらどうすんだよ」

「・・・お前ら仲良すぎだろ、カップルか」

 全くである、全面的に同意である。

 部屋で気を抜く智良と、それを心配する麒鳳。

 割とお似合いである、本人達に自覚なし。

 

 

 

 

「ういしょっと、これでよ~し」

「よし、荷物はこれで全部だな」

「え?あの・・・アレが無いんだけど」

 三人は咲森の荷物を全て部屋に搬入し、智良が床に座る。

 智良と麒鳳は満足げに荷物の山を見る。

 しかし咲森は何かを必死に探していた。

 血相を変えて荷物の山に潜り、その山に果敢に戦いを挑む咲森。

 何か大切な物がないのか?と麒鳳が問いかける。

 

「ああ、俺のお宝が・・・ごっそり無くなってる・・・」

 どんな物かは大体わかった、と麒鳳が呟くと、智良がひとつの画像を咲森に見せる。

 そこに写っていたのは、本を燃やす女子と何かを叩き割る女子の姿だった。

 

「ああああああああああああああああああああああ!!?」

「あ、お宝ってHな本の事か!」

「智良、お前って天然入ってるよな。頭良いくせに」

「僕そういう本持ってないし」

「てか、家だからって気を抜きすぎだろ。髪の毛はねてるぞ」

「うん?あんがと」

「イチャイチャするなぁあああああああああああああああああああああ!!!」

 おいコラ、と麒鳳の正義の鉄拳で咲森が壁に叩きつけられ、正気に戻った。

 冷静に画像を見始める咲森、目には心から染み出る水が光る。

 よくよく見た咲森はその光景を作り出した二人の女子を特定した。

 

「二代ォォォォ、直政ァァァァ」

「凄まじい負のオーラだな。攻撃に使えるかも」

「そんなことはないでしょ・・・たぶん」

 滝のように涙を流しながら、低い声で二人の名前をうなり続ける咲森。

 負のオーラを幻視する二人は、思わず一歩引く。

 

「二代ちゃんも暇だよなぁ、その為だけに武蔵に来たんだから」

「仕事的に大変だろうに。ハッ!これが・・・愛!?」

「愛ィ?ならばァ、何故ェ、こんな事おォ?」

「普通に喋れよ」

 その後二人が正常な咲森を見たのは、数時間後であったという。

 その影に二人の尽力があったのは言うまでもない。

 

 

 

 正常な咲森を引き連れ、3人は外食するために武蔵の地面に出た。

 そして、そこで3人は激動の世界に身を投じることになる。

 

「ようし、じゃあ全国の皆!こんばんはあーー!」

 空中に強制発動した表示枠(サインフレーム)から通神帯(ネット)の画像が映し出される。

 3人が顔を向けると、そこには松平 元信が写っていた。

 さらに話を続ける元信公は、一度切り息を吸う。

 

「今日、先生は、地脈炉がいい感じに暴走しつつある三河に来ていまあーーす!!」

 三人の思考は凍りつき、元信公のセリフの大半が頭に入らなかった。

 しかしその後の元信公のセリフを聞き、否応なく思考を再開させることとなる。

 元信公は自動人形たちの奏でる音を背景にニッコリと微笑んだ。

 それまで、立花 宗茂と問答をしていた時とはまるで違う表情。

 

「それでも抗う人間だけ、考えて考えて考えて馬鹿みたいに考える人間だけ、歩み続けて世界を面白いように創り変えようとする人間だけ、末世を覆せるかもしれない力を手にする」

 それは、と元信公が言葉を区切り、その場で一回転する。

 

「全ての大罪武装(ロイズモイ・オプロ)を集め、世界の“王”になった者」

 元信公はそこで言葉を切らなかった。

 さらにもう一回転する。

 

「そして末世を乗り切るための剣となる力を持つ、“幻獣王”」

 元信公は左手でマイクを持ち、空いていた右手を広げる。

 その時、頭上の陰月が眩い閃光を放った。

 

「紹介しようか。当代の“幻獣王”である、麒鳳 天夜だ」

 画像が切り替わった目の前のスクリーンには、麒鳳が写っていた。




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