初めに時を1週間ほど前に遡る
〜ナザリック9階層女風呂にて〜
本来肌にまとわりつくような心地良い熱気と多種多様香りが漂うここ【スパリゾート・ナザリック】は現在その様な面影は残っておらず、肌を突き刺すような冷気と辺りに散らばった鉄の残骸がここで起きた全てを語っていた
なぜこの様な有様になってるか?と思う人もいるだろうが、それは隣の女風呂で『るし☆ふぁー』が作った天誅ゴーレム(仮)が何故か起動しアルベドとシャルティアに襲いかかっていたのでしぶしぶ助けに行ったしだいである。
「...外殻ガ壊レタカ...アインズ様、ゴーレムノ起動停止ヲ確認シマシタ。」
「ご苦労であったコキュートス。今ペストーニャを呼ぶ少し待ってろ」
正直るし☆ふぁーさんが作ったゴーレムは強かった。
レベル的に言うと90後半でまだコキュートスの方に分があったのだが恐るべきはその攻撃回数と防御力、数本の腕からなる50を超える多段攻撃に加え数秒に一度上位の硬化魔法を唱え自らの能力を底上げをしていた。
コイツを倒すのは至難の業かと思われたが
コキュートスはその魔法を唱える隙に不動明王撃を繰り出し天誅ゴーレムを鉄くずに変えることに成功していた。だが戦いは5分ほどに及びコキュートスも多少のダメージが見られた。
しかし驚くべき事はこの戦いで風呂場が傷ひとつ付かなかった事にある。風呂場自体特殊な素材で作ってあるがレベル90ともなると風呂場の半壊は必至だと思われたのだがコキュートスはそこを配慮し傷がつかないよう戦闘していたことになる。
だがそれよりも――
「おいアルベドにシャルティア、一体何がどうしてこうなった?」
この二人が原因なのは分かっているが特別イジメてるわけとかじゃないからね。
「ええなんて言うか...ね?シャルティア」
「えっなんでわっちに振るでありんすか!全てアルベドのせいでありんしょうに!」
ンダト!?コノヤツメウナギ!!! ウルセェコノゴリラ!!!
ヤンノカ?アァ!? ジョウトウダ!カエリウチニシテヤルワァ!!!
「...ぇえい黙れ!お前たちはしばらく反省してろ!恐怖公の元で少しは礼儀と言うものを教われ!」
アインズの言葉で正気を取り戻し言葉の意味を噛み締め呆然と立ち尽くすアルベドとシャルティア。
二人の地獄の一週間が今始まろうとした。
〜1日目〜
ここは恐怖公の管轄で自室の【
アルベドとシャルティアは恐ろしかった。ここにいる者が、地を高速で這う者が、空を我が物顔で飛び回る者が、黒く艶やかな虫達が恐ろしくてしょうがなかった。
二人はここに居たくもない。正直アインズの言葉が無ければここを更地にするか全速で逃げるかの2択しかない訳だが今はアインズからの命令によりここに留まらなくてはならなく、泣く泣く、それはもう断腸の思いで我慢してるのだ。
二人に与えられた役割は清掃・整頓そして増えすぎたゴキブリ達の間引きである。
そして朝と夜には恐怖公によるマナー講座が行われる
「まったく...なんでこんな事になったのかしら...」
「ダァレのせいでありんしょうねぇ!」
「お二人とも元気ですね。少しは落ち着いて下さい。」
このまるで王のような風貌の二足歩行で頭が前にある巨大な
「さぁアインズ様より今日から貴女様達にマナーたるものを教える恐怖公でございます。まずマナーとは知能を持つものが持つものとして生きていく中で必要不可欠な絶対条件でございます。そもそもマナーとは数々の作法があり―――」ウンヌンカンヌン
「...ちょっと、私達はこんなゴキ...恐怖公の話を延々と聞かなきゃならないの?」
「せっかくアインズ様が設けてくれた機会でありんすけど...これは予想以上に退屈でありんすねぇ...」
「あぁ...アインズ様!私はアインズ様の側に居たいのに...なんで願いは叶わないのかしら...愛しのアインズ様」
「―――そして先代たちはマナーという知恵をこの世代に...お二人方聞いておられますか?」
「えっ!?ち、ちゃんと聞いてありんすよ!(ちょっとアルベド!しっかりするでありんす!)」
「アインズ様...はっ!...それで?話を続けなさい恐怖公」
「...まぁ良いでしょう。それではお二人には実習をしてもらいましょうか。」
恐怖公の話を聞いておらず頭に?マークを浮かべる二人はいつもの凛とした面ではなく、かなり腑抜けた物になっていた。
「ここに呼んだ1000匹の眷属をブラッシングしてもらいましょうか。」
?マーク一転、!?マークとなった
「先程の話の通りマナーとは他者を重んじるこの世で1番優しき作法。優しさ...それは草木や虫にまで目を向けなければ真のマナーは学べません!」
「ちょ、ちょっとまって!は...話は分かったわ!でも何でゴキブ...あなたの眷属をブラッシングしなきゃならないの!?」
「ふふふ、ゴキブリと呼んでも構いませんよ。質問にお答えしますが、優しき者は全ての者に礼儀を重んじます。それでまず初めは弱者にどう接するかがキモとなるのです」
(弱者にどう接するかがキモとなるじゃないわよ!こっちは気持ち悪いのよ!こんなのもう辞めたいけど...そうだ!シャルティアなら同じ反対意見のはず)
「シャルティア!シャルティ...!」
「し、死んでる...」
それは急な出来事であった。恐怖公が実習のため呼び出した1000匹の内数匹が突如規律を乱し、シャルティアの顔面へと直撃、そのショックで彼女は帰らぬ人となった。不幸な出来事であった、それは不幸としか言えず――――――――――
「シャルティア様はアンデットだからショック死などあり得ませんよ。さぁさぁ始めましょうか」
恐怖の時間が始り、その日二人は本当に死にかけた
〜2日目〜
二人の朝は早い。5時頃に起き支度をした後、恐怖公の元へと向かう。
元々2人には睡眠無効のアイテムがあり睡眠を取る必要が無いのだが、夜や休憩時間には自室に戻れず
2度言うが二人は寝る必要は無い。ないのだがこの極度にストレスの貯まる中、寝ないとやってられないのだ。あと寝ることで少しの時間でもゴキブリを見ないですむ事が大きかった。
「おはようございます。今日もお美し...ふむ?お二人方少しお痩せになられましたか?」
「そんなことないわよ...少し寝不足なだけ...」
「そうですか...。寝不足は美容の大敵、しっかりと睡眠をを取らないとダメですよ!【健全な精神は健全な肉体に宿る】と言いますしね」
2日目にしてもう諦めの境地に立った二人は体重的に数キロほど痩せていた。
「さて今日から勉強以外は同じ事をやりますから慣れればいたって簡単な仕事となります。お二人方頑張ってくださいね。」
二人の今日からの主なスケジュールは【起床】→【マナー講座】→【エサやり】→【選別】→【休憩】→【選別のち間引き】→【室内の清掃】→【マナー講座】→【就寝】となる
「そうそう、アインズ様より3日目からスケットが来ると伝えるよう言われたのを忘れてました。私はちょっと苦手ですがお二人にとってかなり戦力もなりますよ。」
アルベドとシャルティアは恐怖公の話から察するにスケットとは自分達でも少し苦手な者であると薄々感じていた
スケットは誰かもう分かる人が多いんじゃないのかな(笑)まったく関係ない話ですが次回登場するスケットは自分の中で1番好きなキャラです。