本編ではグロワと表記しています。
某鎮守府、昼ーー
◇食堂外のテラス席◇
グロワ「
提督「そう畏まる必要はない。本格的なフレンチレストランでもない、夫婦だけの時間なのだから。それに例え泥水でも愛妻の手料理ならば食してみせよう」
グロワ「もう、そんな物を私がお出しするとでも?」ムゥ
提督「……本人の名誉のために名は伏せるが、迷コックH氏やI氏の例があるからな」トオイメ
グロワ「……ごめんなさい」
提督「まあいいさ。彼女たちも当初に比べたら今では口に入れても胃が警戒態勢を厳とする程度になっているから」
〜間宮が着任する前は交代で食事を作っていた過去がある〜
提督「で、そろそろ妻の手料理を食べてもいいかな?」
グロワ「はい! この日のためにマミーヤさんやホーショウさんの元で修行してきましたから! 先ずは前菜のほうれん草とベーコン〜胡麻とトリュフソース〜をどうぞ!」
提督「…………ほうれん草の胡麻和えではないのだな。和風なのにフランス料理っぽいのがまた新鮮だ」
グロワ「はい!」ニッコリ
提督「いただきます」人
〜早速一口食べてみる提督〜
提督「おぉ、ベーコンの塩辛さが胡麻と程よく調和し、トリュフの香りがほうれん草と喧嘩していない」
グロワ「良かったです♡ この味にするのに駆逐艦の皆さんにはとっても手伝ってもらったんです!」
〜駆逐艦の子たちは約二週間、この料理の味見をしたのだ。勿論、善意で〜
グロワ「次はスープです。Maîtreが好きな味噌スープ〜ワカメとお豆腐〜にしました」
提督「これは純和食なのだな」
グロワ「それは食べてからのお楽しみ、です♡」
提督「では早速、いただきます」人
〜提督が口に含むと〜
提督「これは……ほんのりと胡椒の香りがするな。胡椒の香りが味噌の風味を邪魔せず、寧ろ香り高くしている」
グロワ「そう言ってもらえて嬉しいです♡ これは潜水艦の子たちにたくさん味見をしてもらったんです」
〜この味に辿り着くまで潜水艦の子たちは三週間味噌スープを口にしていた。勿論、善意で〜
グロワ「続いて白米です。おひつにご用意致しましたので、食べたい量を仰ってください」
提督「お茶碗大盛りで」
グロワ「畏まりました♡」
〜大盛りご飯をよそって提督の前に〜
提督「米が光り輝いていて香りもいいな」
グロワ「備長炭で漬けてから丁寧に炊き上げました♡」
提督「これと味噌汁だけでも十分に最高の昼食だ」
グロワ「しかしこれだけではありませんよ? 本来のコース料理であればポワソン(魚料理)、ソルベと続くのですが、日本食は主菜、副菜、副副菜で構成されていると習いましたので、主菜のお肉料理をお出しします」
提督「何が来るのかワクワクしているよ」
グロワ「お肉料理は国産黒豚のロースとヒレの白とんかつです。胡麻ソースとお好みでカラシをつけて召し上がりください」
提督「黒豚なのに白とんかつか……面白い」
グロワ「低温でじっくりと仕上げました」ニッコリ
提督「いただきます」人
〜とんかつは提督の大好物〜
提督「もぐもぐ……もぐもぐ……」
グロワ「お味の方はどうでしょうか……?」ドキドキ
提督「ああ、とても美味しいよ。サクッふわっとした衣にジュワッと肉汁が溢れ、胡麻ソースが脂っぽさをさっぱりとさせてくれる。それでいてカラシをつければ、また味の締りが違って実に美味しい」
グロワ「良かったです……♡」ホッ
提督「しかしだな、グロワール」
グロワ「は、はい」セスジピーン
提督「次からは一緒に食べよう。やはり食事は誰かと食べる方が更に美味しい。それが愛する君とならば、尚更だ」
グロワ「…………はい♡」ウットリ
提督「という訳で、早速君の分も持ってくるといい」
グロワ「直ちに持って参ります♡」
〜そして今度は夫婦向かい合って座り、ランチタイムを過ごす〜
提督「ご飯のおかわりを頼む」つ茶碗
グロワ「三度目ですね……嬉しいです♡」
提督「とんかつがご飯に合い過ぎるんだ。このかつでかつ丼を作ったらそれはもう最高の丼だろう」
グロワ「でしたら、夜はそれをお出ししましょうか?♡」
提督「駄目だ……脂の取り過ぎになる。夜はさっぱりした物で頼むよ」
グロワ「Maîtreは自制が出来て偉いです♡」
提督「好きな物を好きなだけ食べていたら不健康になるからな。君のためにも出来るだけ長生きしたいという思いによるものだ」
グロワ「もう、今日は私がおもてなしする番ですのに、どうしてそんなに喜ばすようなことを言うのですか?♡」
提督「事実だからな……」
グロワ「本当にMaîtreはズルい人ですね♡」
提督「ズルいからこそ軍人でも長生きしていられるのさ」
グロワ「お口も達者ですね♡」
提督「ほら、もう俺のことはいいから、食べよう……」
グロワ「はい♡」
それからランチを済ませ、コーヒーを二人でまったりとしばき、夫婦の絆がまたより固く結ばれたーー。
グロワール 完
グロワール終わりです!
お粗末様でした!