某鎮守府、昼下がりーー
◇長官官舎・居間◇
平戸「………………」
〜奥様、畳に寝転がり、絶望の縁に〜
択捉「何があったの……?」
松輪「平戸ちゃん?」
佐渡「人を呼びつけておいてこれかよ……」
対馬「どうしたのかしら?」
福江「どうせろくでもない理由だろ」ヤレヤレ
平戸「ろくでもないことなんかじゃない」ムクリ
佐渡「あ、起きた」
〜奥様、のそりのそりと福江の元へ〜
平戸「ろくでもないことなんかじゃない!」
福江「分かった分かった。分かったから離れてくれ。近い」
択捉「で、何があったの?」
平戸「平戸は……平戸は司令の妻失格だと痛感したんです」
松輪「け、ケンカしちゃったの?」
平戸「いえ、そういうことではありません。しかし……この平戸は司令の妻でありながら、病魔から司令を守ることが出来ませんでしたっ! こんなの司令の妻失格ですっ!!」
姉妹『(・o・)』ポカーン
佐渡「いや、病魔から守るって……」
対馬「私たちは免疫細胞じゃなくて艦娘だからねぇ」
福江「敵艦から守るのが使命だろ」
平戸「でも! 平戸は違うっ! 平戸は司令を脅かす全てからお守りするのっ!」
佐渡「でも元はと言えば、平戸の風邪が移って司令は寝てるんだろ?」
平戸「」ピシッ
択捉「人より丈夫な艦娘でも風邪は引く。なら人である司令に移っても仕方のないことよ。平戸がそんなに責任を感じる必要はないと思うわ」
松輪「え、択捉ちゃんの言う通りだよ。今度は代わりに平戸ちゃんが司令のことを看病してあげればいいと思うなぁ」
対馬「というか、打ちひしがれる前に司令の看病をしてた方がいいんじゃない?」
福江「どうせ司令は寝室で寝てるんだろ? 起きる前に色々と妻としてやれることをやった方がいいんじゃないか? 幸い今日の執務の大体は大淀さんや香取さんたちがやってくれてる訳だし」
平戸「でも……こんな自分が許せなくて……」
佐渡「自分で許せなくても、そうやって腐ってる方が司令の妻失格じゃね?」
平戸「」ガーン
佐渡「常日頃お前は司令に向かって、必ず守るだの指一本触れさせないだの言ってんのに、いざという時にこれじゃあなぁ」
福江「姉さんの言う通りだ。司令は今病魔と闘ってるんだから、その奥様が応援してやらないと……腐ってる暇はないと思うぞ?」
平戸「……分かった。今は自分のことよりも司令のために頑張る」フンスフンス
択捉「えぇ、そうして。それじゃあ私たちは戻るけど、何か手伝ってほしいことがあったら知らせてね」
平戸「ありがとうございます」
ーーーーーー
◇寝室◇
スーッ
平戸「」ピョコ
提督「…………」ペラッ
〜提督、読書中〜
平戸「……司令、失礼します。お飲み物をお持ちしました」
提督「ん……ああ、ありがとう」
平戸「一応、冷たいのと温かいのと両方お持ちしましたが、どちらをお召し上がりになられますか?」
提督「温かいのをいただけるかな?」
平戸「かしこまりました」ペコリ
〜平戸、提督のためにとある緑茶をご用意〜
平戸「どうぞ。火傷しないようにご注意ください」つ湯呑
提督「ありがとう。ごくっ……甘いな」
平戸「はい。風邪ということで、緑茶にはちみつを入れてます。それと岩塩を少々」
提督「なるほどな。そういえば、前にアメリカのLAに行った時にもコンビニでこのような緑茶があったな」
平戸「そうなのですね。私は風邪にいい飲み物として調べただけですから」
提督「あの時は私もアメリカは初めてだったからな。お茶なんかよりもデカいコーラを飲んでいたよ」
平戸「ふふふっ、司令は今でもラムネ等がお好きですよね」
提督「若くなった気分になれるからな」
平戸「まだまだお若いでしょう」
提督「妻が若いからなぁ。自分の老いがすぐに分かってしまうのだよ」
平戸「そこはなんとも……でも、司令は私の自慢の旦那様です♡」
提督「ありがとう」
ーー
平戸「汗も拭き終わりましたし、また横になってください」
提督「そうだな。また読書の続きでもするとしよう」
平戸「出来ればお眠りになられた方が……」
提督「しかしだな、眠くないのだ」
平戸「それは分かりますが……」
提督「ではこうしてはどうだろう?」
平戸「なんですか?」
提督「平戸、添い寝してくれ」
平戸「は?」
提督「添い寝だ、添い寝」
平戸「し、司令がお望みとあらば……♡」
もぞもぞ……ぎゅっ♡
平戸「ご満足ですか?♡」
提督「ああ、実にいい。温かくて、いい匂いがして、柔らかくて、最高だ」
平戸「私は安眠グッズですか……」ニガワライ
提督「私の最愛の妻だ。いいじゃないか、風邪で弱った時くらい。昨晩は私が安眠グッズになったのだから」
平戸「それは、まあ……♡」テレリ
数分後ーー
提督「ふむ」
平戸「すぅ……すぅ……」
〜奥様は提督の胸の中で夢の中〜
提督(随分と気を揉ませてしまったからな。気が緩んでくれて良かった)
平戸「すぅ……すぅ……しれぇ、しゅきぃ♡」
提督「………(悶え)………」
(嫁が可愛過ぎるっ)
〜奥様、寝ながらも提督の胸板に顔をグリグリと押しつけて愛情表現〜
提督(どうしてこうも愛くるしいのか……普段真面目なのがこういうことをすると、どうしようもなく気持ちが募る)
平戸「〜♡」スリスリ
提督(起きたら責任を感じるだろうから、私も寝るとしよう)
「回復したら、また二人で頑張ろうな」
〜提督、眠る奥様の頭にキスを落として、自分も眠りに就いた〜
結局、夫婦はそのまま明日の朝を迎えた。提督は回復し、平戸は提督の愛をたくさん充電し、夫婦はバリバリと仕事をこなした。
しかし、無駄に平戸がつやつやしていたので、姉妹たちや仲間たちからは変な誤解をされ、何故か提督は皆から栄養ドリンクやら精力剤を渡されたそうなーー。
平戸 完
平戸終わりです!
メガネっ娘キャラで言うこともイケメン。でも愛情をこれでもかと見せつけてくれると、堪りませんよね!
お粗末様でした☆