戦女神×魔導巧殻 ~転生せし黄昏の魔神~   作:Hermes_0724

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第七十二話:半魔人の王

ディル=リフィーナには多様な種族たちが住むが、その繁殖方法は多様である。プラテットのように細胞分裂によって繁殖をする生物もあれば、グレイハウンドのように雌雄に分かれ、交尾によって繁殖をする生物もある。リザードマンなどは単性生殖によって繁殖をする。睡魔族などは種族に牝しかいないため、異種の精子を受けて、遺伝情報のみを利用し、同族を生む。

 

一般的には、こうした生殖によって同族を繁殖させていくのだが、ごく稀に「異種交配による落胤」という存在がある。悪魔族と人間の間に生まれる場合、人間と獣人の間に生まれる場合などである。遺伝情報が異なる為、大抵の場合は妊娠すること自体が無いのだが、低確率でそうした「双方の遺伝情報を持つ存在」が誕生するのである。多く見受けられる例としては「半獣半人」あるいは「半魔半人」である。これは、牡の獣人あるいは悪魔族と牝の人間族との間に生まれる場合であり、双方合意の上で誕生する場合もあれば、悲劇によって生まれる場合もある。

 

また、ごく数例ではあるが、「魔神と人間」との間に落胤が誕生する例もある。その代表例が、メンフィル第十一代国王「リウィ・マーシルン」である。半魔神として生まれた場合、神核を持つことが無いため永遠の寿命を持つわけでは無く、自身の使徒を作ることも出来ないが、魔神としての膂力や魔力を受け継ぐことが出来、その寿命はかなり長い。しかし反面、魔神が持つ「破壊衝動」も引き継いでしまうため、戦いと殺戮を求めて暴走する場合もある。

 

いずれにしろ、異種交配の落胤は、両種族にとって「忌み種」とされ、特に人間族から迫害をされる場合が多い。先の半魔神であるリウィ・マーシルンも、人間族に対して怨念を持っていた。リウィの場合は、理知的で温厚であった父「魔神グラザ」と、優しい母親の記憶、そして最愛の妻「イリーナ」の存在によって救われるのだが、これは特殊な例である。落胤は大抵、人間族に対して凄まじい怨念を抱き、魔族でさえも恐れる程に残虐になるのである。

 

 

 

 

私は冷たい石畳の上で気づいた。すぐに起き上がろうとするが、手が後ろ手に鉄の鎖で縛られている。頭を振って、記憶を蘇らせる。ガンナシア王国の国王と思われる男と戦い、負けたことまで思い出す。周りを見ると、どうやら牢獄のようだ。四方が石の壁で囲まれ、唯一の出入り口は堅い木の扉で閉ざされている。ファミの姿も見えない。

 

『クッ・・・まさか、あれほどに強かったとは・・・』

 

鎖を吹き飛ばし、脱走をしようと考え、手に魔力を込める。だが、魔法を使うことが出来ない。私は何とか起き上がって、壁にもたれかかった。その時、扉についた小窓が開かれる。男が様子を覗くと、扉が開かれた。屈強な悪魔二人が、入ってきた。一人が剣を抜いて、私の頸元に突きつける。

 

『立て、ゾキウ様がお待ちだ』

 

『私の仲間はどうした?』

 

『ん?あの飛天魔族の女か?アイツは他の牢にいるさ。後で俺たちの相手をしてもらうからな』

 

卑下た笑い声を聞きながら、私は口元に笑みを浮かべた。生きている以上、必ず助かるだろう。いずれディアンが必ず来る。私は立ち上がり、男たちに連れられて牢獄を出た。

 

 

 

 

二人の門番が戻ってきたので、オレたちは森に身を隠した。だが、まだ二人は姿を現さない。二人の性格を考えると、二日と言った以上、必ず二日で戻るはずである。

 

『・・・何かあったな』

 

『どうする?乗り込む?』

 

『・・・そうだな。門番に聞いてみるか』

 

オレたちは徒歩で城門に向かった。オレたちの姿を見て、槍を構える。

 

『聞きたいのだが、オレの仲間二人が城内に居るのだが、知らないか?』

 

『まだこの辺りをうろついていたのか。お前の仲間など知らんっ!』

 

『本当か?ヴァリ=エルフと飛天魔族だ。二人とも目立つはずだが・・・』

 

『知らんと言っているだろうっ!』

 

オレに向かって槍を突き立ててきた。オレは抜剣し、穂先を切り落とした。

 

『・・・大事な仲間だ。悪いが通してもらうぞ?』

 

レイナが純粋魔術で二人を吹き飛ばした。

 

『・・・出来るだけ殺すなよ?』

 

オレたちは城内に入った。

 

 

 

 

国王の自室らしきところに私は通された。頸元には、未だ剣を突きつけられている。

 

『ゾキウ様、女をお連れしました』

 

国王ゾキウが姿を現した。やはりあの甲冑の男である。兜は脱いでいた。中年の半魔人である。鎖を解かれ、私を連れてきた男二人は下がった。私は衣嚢に手を入れ、ディアンから受け取った「魔神の呼び笛」に魔力を通した。ゾキウは私を一瞥すると、背中を向けた。

 

『スマンが、甲冑を外すのを手伝ってくれんか?』

 

私は言われるまま、ゾキウの後ろに立ち、甲冑を脱ぐのを手伝い始めた。

 

『・・・私がこのまま逃げたり、お前を不意打ちすると考えないのか?』

 

『そんなつまらん女なら、惜しいとは思わん。お前は気位が高い。武器を持たない者を後ろから攻撃するような真似はしないだろう・・・』

 

ゾキウの言う通りであった。ここで不意打ちなどをしては、父の名を汚すことになる。私は沈黙したまま、鎧を繋ぐ紐を解いた。鎧を脱ぎ終えたゾキウは、素直に私に礼を言うと、杯を二つ持ってきた。ワインを注ぐと、私に差し出した。私は受け取ると、一気に干した。

 

『お前と一緒にいたラウマカールは無事だ。お前が大人しくしている限り、手荒な真似はしない』

 

『フンッ・・・人質というわけか。それで、私に何をさせようというのだ?』

 

ゾキウはワインを干すと、私の顔を見ながら言った。

 

『俺の子を産め』

 

私はベッドの上に突き倒された。ゾキウが私の上に圧し掛かる。

 

『やめろっ!これ以上、私に手を出せば舌を噛んで死ぬぞっ!』

 

『・・・つまらん脅しはよせ。お前の瞳は死を覚悟した者の瞳ではない。何としても生き残り、勝利を得ようという者の瞳だ。そこが気に入った』

 

ゾキウが私の服を引き裂く。抵抗しようとするが、両手を抑えられてしまう。凄い力であった。膂力だけなら、ディアンより上かも知れない。片手で私の両手首を抑えながら、もう一つの手で、私の胸を揉み始めた。

 

『いいカラダだ。これほどのカラダは滅多に無い。良い子が産めるだろう・・・』

 

『クッ・・・誰がお前なんかの・・・』

 

ゾキウがさらに私の服を引き裂く。下半身まで剥き出しにされる。ゾキウの腰が両股に割って入ってきた。いつの間にか、準備が出来ているようだ。

 

『さて・・・』

 

ゾキウが腰を進めてきた・・・

 

 

 

グラティナに渡した「魔神の呼び笛」からの知らせを受けたオレたちは、急いで城に向かった。城といっても石と木で造られた小さな砦の様なものである。門衛を斬り、純粋魔術で扉を吹き飛ばす。中から兵たちが現れた。オレは人間の貌を外した。周囲から叫び声が上がった・・・

 

 

 

ゾキウが私の中に入ろうとした時、大きな音が聞こえ、部屋が揺れた。

 

『何事だ?』

 

ゾキウは身を起こし、手早く身を整えた。部屋が激しくたたかれ、部下が入ってくる。

 

『ゾキウ様、侵入者ですっ!と、とんでもねぇヤツです』

 

『狼狽えるなっ!相手は何人だ?』

 

『たった二人です。ですが、うち一人が・・・魔神なんですっ!』

 

ゾキウが剣を手にし、部屋を出ていった。私は起き上がると、衣類を探し、適当に着た。牢獄にいるファミを助けにいった。

 

 

 

 

オレは無人の野を歩くように、城の奥を目指した。レイナは別行動をしている。オレに斬られ、蹲った魔族に問いかけた。

 

≪たしか、ゾキウとかいうのが王だったな。ソイツの部屋はどこだ?≫

 

『俺に何か用か?』

 

中低音の声が響き、男が姿を現した。灰色の髪と口髭を持つ、見るからに王としての威厳を醸している。耳の形からして、半魔人だろう。魔神となっているオレに慄いている様子は一切ない。オレは魔神から人間に戻った。

 

『ガンナシア王国国王ゾキウ殿とお見受けする。オレの名はディアン・ケヒト、魔神であり人間だ』

 

『ゾキウだ。貴様も半魔神か。それで、俺に何の用だ?』

 

『オレの仲間が二人、ここに囚われている。ヴァリ=エルフとラウマカールだ。返してもらおう』

 

『飛天魔族の女は返しても良いが、ヴァリ=エルフは断る。あの女には、俺の子を産んでもらう』

 

『ほう・・・それは本人が望んだことなのか?グラティナがそう言ったのなら、オレも考えるが・・・』

 

『フン、本人の意志などどうでも良い。俺がそうしたいと思っているだけだ』

 

『つまり無理矢理か。あまり感心しないな。女を無理に犯す奴は・・・』

 

『・・・だったらどうするつもりだ?』

 

オレは再び、魔神へと変貌した。魔の気配が立ち上り、空気が歪む。ゾキウは剣を抜いた。

 

≪・・・悪いが、力づくで返してもらうぞ・・・≫

 

『来いっ!』

 

オレは愛剣を抜き放つと、人外の速度でゾキウに斬りかかった・・・




仕事の都合で、しばらく連載が出来なくなりますので、書き溜めた第四章分を上げていきます。一時間置きになります。

第四章最終話「第七十七話:魔神の留まり木&次回予告」までお楽しみ下さい。
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