2017/5/7 「慣行」→「敢行」 訂正しました。
野太い声をあげ、
そんな彼らと距離を取った所にいる、ヤマアラシに似た魔獣が全身を覆う硬質の針を逆立てた。
その体から、白い針が幾本も打ち出される。
それらは狙いたがわず、
その隙に疾風の勢いで長い
よろめいた
だが、その間に
その身を寄せ合い、手にした盾を並べ壁を作る。
激しい衝突音とともに、
だがそれでも、3体ものアンデッドを弾き飛ばしたことで、巨大な体躯を誇る獣も一瞬足を止めざるを得なかった。
そこへ、エルダーリッチらが魔法の雨を降らせる。
立て続けに放たれる〈
負のエネルギーの奔流が大型サーベルウルフを襲う。
苦痛に身をよじる巨獣。
激しく体をくねらせることで、いくつかはその身を外れ、周囲の
白い毛並みの巨大狒狒が、聖堂内に転がる石柱の破片、大の大人一人分はあろうかという巨大な石塊を拾い上げ、今まさに敵陣の中で集中砲火を受ける狼を囲む、その輪に向かって放り投げた。
それを見て、慌てて
だが、放物線を描いて落ちてくる単純な重量の前には防御など無力であった。1体は回復の余地すらもなく完全に叩き潰され、他の者達も弾き飛ばされた。
それにより、エルダーリッチの放つ魔法の連撃に乱れが生じる。
その隙に巨大サーベルウルフは身をひるがえし、後退する。
自陣に戻って来た魔獣の傷を、クワイエッセは回復魔法で癒してやった。
巨大サーベルウルフがこじ開けた穴を埋めさせまいと、やや後ろに控えていたもう一体のギガントバシリスクが前へ出る。
そして、狒狒の投石で足並みが乱れたエルダーリッチらめがけて、サーベルウルフの代わりに飛びかかろうとした刹那、突然、頭から石床に突っ伏した。
見れば右前脚が半ばまで深く切り裂かれている。
他の者の陰に潜んでいた
毒の血液を辺りにまき散らしながら苦痛の怒りに身体をくねらせるが、あいにくアンデッドたちには毒など効きはしない。
その身に、先ほどと同様、エルダーリッチが魔法を
その間に、大きく迂回して側面に回り込んだ
だがその時、空を切って飛来したクリムゾンオウルが
突撃の勢いのままつんのめる
しかし、倒れた
その刃物の指が光る。
一瞬、時をおいて、蜥蜴の首筋から噴水のように鮮血が噴き出した。
自らにまとわりつく死を追い払おうとするかの如く激しく身をくねらせ、尾で床を打ち、のたうち回るギガントバジリスク。
その暴れように、両軍は巻き込まれまいと互いに距離をとった。
小さな竜巻のように荒れ狂った姿も、段々と動きが緩慢になり、やがてどうとひっくり返ったまま起き上がることは無くなった。それでも、時折ピクリピクリとその尾に生命の残滓が見える。
その様子にクワイエッセは歯噛みをし、もはや出し惜しみしている場合ではないと、残る魔獣たちを次々と開放していった。
ともに1体ずつ倒したものの、
彼は忌々しげな視線を向ける。
その視線の先には1体の、実に奇怪な
一言でいうなら、巨大な肉塊である。その赤黒い表面にたった一つ、巨大な目だけがあり、その瞳がぎょろりと辺りを見回している。それが何をするでもなく、ふよふよと空中に浮かんでいた。
その姿形や色合いを見ても、はたしてどんな
だが、先ほどから戦闘に参加していなくとも、あれこそがアンデッド達にとって、とても重要な
その謎の宙に浮かぶ目がついた肉塊を取り囲むようにエルダーリッチ3体が展開し、更にその外側に
クワイエッセの勘では、あの
たとえアンデッドだろうと、ギガントバジリスクの石化の視線は効力があるはず。それが、なぜかこの場において威力を発しないのは、なんらかの妨害があるという事。そう考えると最も怪しいのは、あの
――あいつさえ倒せれば、一気にこちらに優位になるのだが……。
クワイエッセはさらなる攻撃の為に、彼の魔獣たちに指示を出し、陣形を再度整える。
その戦いは一進一退ながら、奇妙な膠着状態にあった。
アインズが召喚したアンデッド群のなかで、
対して、クワイエッセの魔獣軍団は、魔獣なだけあって強靭な肉体と素早さを誇りつつも、遠距離攻撃が出来る個体は多くはない。個では
その為、必然的に強力な2体、
「ははは。なかなかやるじゃないか」
そんな、戦い方は違えど目の前で繰り広げられる攻防を眺めていた、階段状になった祭壇その最奥に陣取る漆黒の
「なら、こういうのはどうだ?」
その声とともに、祭壇下に闇が生まれる。
その闇が一点に収束したのちに、その場に現れたのは、ぶよぶよと膨れ上がった鉛色の肌を持つ、見る者全てに嫌悪感を与える醜悪なアンデッド。
「
その姿を見たボーマルシェが警戒を示す声をあげる。
「行け」
創造主の命令を受け、
その姿にクワイエッセは顔をひきつらせた。
あれが突進してきて爆発したら、こちら側に甚大な被害が出る。しかも、
――どうすべきか?
判断は一瞬。
クワイエッセは、意を決して、ボーマルシェに頷いた。
ボーマルシェもまた、それに首肯で答えると、自らが
その下から現れたのは、しなやかな肉体を覆ういささか奇妙な感を覚える衣服。一見、身軽そうな服装の上から、その全身にベルトや武装を備えた帯を幾重にも巻き付けている。
そして、彼はその左手に不思議な光沢を放つ鎖を巻きつけていた。
それこそが漆黒聖典第九席次として神領縛鎖の名を冠するに至ったアイテム。
六大神が残したとされる遺産の一つ。『
ボーマルシェは高く飛び上がると同時に、左手の鎖を伸ばす。
その鎖はまるで意思ある蛇の如く、雷光の速さで空間を這いまわるように進み、彼らに向かって進む
彼は満身の力を込めて、その手を振った。
その細腕にどれほどの力があるというのか。
そして、勢いをつけて奇怪な飾りのある横壁へと、そのぶよぶよとした身体が叩きつけられた。
その衝撃によって、
かろうじてその爆発は、クワイエッセの魔獣たちに被害は出さず、またアインズの召喚したアンデッド群の体力を回復させることもなかった。
そのことに、ボーマルシェとクワイエッセは顔を見合わせ、安堵の笑みを浮かべた。
だが、そんな二人に投げかけられたのは、アインズのさらなる声。
「なるほど。見事なものだ。では、追加といこう」
その声とともに、再び
それも3体。
思わず驚愕の声をあげる2人。
それが幻覚であることを心の奥で期待するが、無情にも
愕然としつつも、とにかくどうにかして被害を少なくするために、再度思考を巡らせる。
とりあえず、一体は先ほどと同様、ボーマルシェの鎖によって横壁に放り投げた。
一体は、仕方がないのでクワイエッセの召喚獣である大蛇がその身に絡みつき、そのまま聖堂の脇へと引きずっていく。その際、絡みつく力が強かったのかダメージの限度を超えたらしく、
最後の一体に関しては打つ手もないため、まだいくらも歩き出さず、アンデッドたちの中にいる間に、ヤマアラシの魔獣の放った針によりそこで爆発させられた。
爆風が収まった後に残ったのは、そいつが放った負のエネルギーによって、魔獣たちが苦労して与えたダメージがすっかり回復したアンデッドの群。
クワイエッセは歯噛みしつつも、自らの魔獣たちに被害が出なかったことに対して安堵し、胸をなでおろした。胸をなでおろしつつも、相手の思う通りの展開にさせられた事は理解しており、一連の事を引き起こしておきながらも
しかし、それを見ていた当の召喚主は、フルヘルムの奥で「うむむ」と小声でうなった。
ゲームであったユグドラシル時代は、
だが、ゲームではなく現実となった今では、
――今後は、
秘かに、アインズはそう心に誓った。
そんな内心を知る由もないクワイエッセは苦々しく、漆黒の鎧に身を包み階上にたたずむアインズに視線を向ける。
「モモンさん、それがあなたの力ですか?」
「む? ……そうだとも。私はご覧の通り、アンデッドたちを召喚することが出来るのさ」
「それで、その力の振るい方に疑問は持たないのですか?」
「? どういうことだね?」
「そのアンデッドを召喚する力を、他の事、大いなる大義の為に役立てようとは思わないのですか?」
クワイエッセら、そしてアインズは互いに相手の事をズーラーノーンの者であると考えている。
その為、アインズは邪悪なはずのズーラーノーンの人間が口にした大義とかいう言葉に少々首をひねりつつも答えた。
「さて? 私の出来ることは限られていてね。私の両手では、かつての友が残していったものを守ることだけで精いっぱいだな」
「くだらない」
クワイエッセは吐き捨てるように言った。
「……なに?」
アインズの言葉が低くなった。
だが、クワイエッセは構わず、言葉を続ける。
「友がなんだと? そのような自分の周囲のみ、些末な事にだけ目を向けてどうなるというのですか。もっと大局に目を向けるべきでしょう? かつての友という事は、すでにその友とやらはあなたの許を去ったという事ですね? あなたは力を持っています。ですが、その力を過去の遺物、思い出だけに使うなどばかげていいます。いなくなった友になど……。友が残していったものとやらにこだわるのはくだらないとしか言いようがありません!」
クワイエッセは、ズーラーノーンの一員と思われる冒険者モモンの目的は、今は亡き友人の願い――おそらく邪悪なものであることは間違いないだろう――を果たすためと判断し、その力を人類の守護の為に使おうとしないことを喝破した。
その言葉を受け、漆黒の鎧の人物はがくりと
放たれた正道の論説により、自らの行いの過ちにようやく気づき、衝撃を受けたかのように。
冒険者モモンは言葉もなく、その手からずるりと大剣が離れ、祭壇の
瞬間――。
――空気が変わった。
名すらかたられぬ邪神をまつる地下神殿の中。
そこに――荒れ狂う殺気が渦巻いた。
たった今まで、恐るべき力を持つ魔獣とアンデッドの生死をかけた戦いが繰り広げられていた空間であるが、そのような戦闘など児戯でしかないとばかりに、鬼気迫る空気に満たされた。
その空気にクワイエッセの操る、たった1体でも幾多の
それだけではない。
本来、恐怖などの感情すら感じないであろうアンデッドたちですら、自らの主から
そう、このねっとりとまとわりつくような感覚さえ覚える、嵐のような邪気の発生源は、漆黒の
皆が咽喉にひりつく恐怖を覚え、息をする事すらやっとの状態であった。
そんな中、彼らの視線の先で漆黒の鉄脚絆が一歩一歩石段を踏み、下へと降りてくる。
その歩みはまるで夢遊病者のごとく。その体を左右に大きく振り、兜に覆われた顔は下を向いたままであった。
彼の足が、最下段をとらえたとき、目を疑うような事が起きた。
冒険者モモンの身体を包む、その漆黒の
そこに現れたのは、豪奢でありながら繊細かつ大仰な装飾を施されている漆黒のガウンに身を包んだ、まるで
クワイエッセとボーマルシェが驚きに目を見張るなか、ついに彼は神殿の床へと降り立った。
ギガントバジリスクの一体が跳ねるように襲いかかる。
原始的な爬虫類の精神は目の前から叩きつけられる圧倒的なまでの恐怖に対し、撤退ではなく攻撃を選択した。
それにつられる様に、クリムゾンオウルもまた、上空から漆黒の姿に襲い掛かる。
それに対して、そいつはうつむいたままで――。
「〈
――魔法を唱えた。
瞬間、空気が震えた。
音波が空間を揺らす波となって、その姿を中心に広がった。
効果範囲外にいたクワイエッセらですら、その衝撃に耳を一瞬ふさぎ、目を閉じねばならぬほどの威力。
そして、恐る恐る瞼を開く彼らの目に飛び込んできたのは、もはや細切れの肉塊となったギガントバジリスクとクリムゾンオウル。
呆気にとられる様な出来事。
なんとそいつはたった一撃の魔法で、都市一つすら壊滅させると言われるギガントバジリスクを倒したのだ。
しかも、その魔法の威力はよほど凄まじいものだったのだろう。
怒りに任せて、自身を中心に発動した魔法。
アンデッド軍団の中央で放たれた魔法は、その配下のアンデッドたちまで、全員を一瞬で吹き飛ばしたのだ。
あれだけ配下の魔獣たちを全力で使ってでも倒すことは出来ず、
本来、護衛であるはずの味方のアンデッドたちまで魔法で消し飛ばしてしまい、今立っているのは彼ただひとり。
彼がいかなる存在であろうと、『一人師団』とまで言われる漆黒聖典第五席次クワイエッセの魔獣群の猛攻の前に膝を折るのは目に見えていた。
だが――。
だが仲間もいない、たった一人の男を前に、強大な魔獣たちが怯えを見せていた。
絶好の機会でありながら襲いかかろうとはせず、それどころか歩み寄るその動きに合わせて後ずさる始末。
「くだらぬ……くだらぬだと……」
うつむき、その顔を隠すフードの下から言葉が漏れる。
クワイエッセらに聞かせるためだろうか。
いや、違う。
聴者がいることなど、意識の上にすらない。
その呟きは、さきほどからずっとその口から垂れ流し続けられていたのだ。
「友を……俺の友を! ……友が残してくれたものを! それを、それをくだらぬだと!?」
最初は小さく、だがやがてその言葉は
ボーマルシェはクワイエッセに声をかけた。
よく分からないが、このままでは拙い。奴を一気に仕留める、と。
そして、彼は踏み込む。
その手の獲物。『
それを見てクワイエッセもまた、配下の魔獣に指示を出した。ギガントバジリスク、巨大サーベルウルフ、それに他の魔獣たちにも突撃を指示する。
地下神殿が崩れそうなほど地響きを轟かせ突進する魔獣たち。
それに気づいたのか、漆黒の鎧からガウン姿へと一瞬で変わり、うつむいたままであった冒険者モモンは、そこでようやく顔をあげた。
ゆっくりと黒いフードが上がり、その下に隠された
それを見てクワイエッセは目を丸くした。
「ま、待て、ボーマルシェ! そいつは! いや、その御方は……!」
慌てて制止の声を発するクワイエッセ。
彼はフードの下、その影の中に爛々と輝く、深紅の輝きを目にしていた。
だが、すでにボーマルシェ並びに魔獣たちは宙を舞っている。今更、止まる事など出来はしない。
そんな彼らを視界に収め、アインズは魔法を発動する。
「〈
飛びかかる魔獣たちの眼前に数個の小さな点が浮かぶ。それは見る見るうちに巨大な空虚の穴と化した。そしてその暗黒にその身が触れるや否や、瞬く間にその体が穴に吸い込まれ、次々とこの世から消えていった。
ほんの数秒も立たぬうちに、その穴は音もなく消え去った。
その後はまるで何事もなかったかの如く。
漆黒のガウンの男に飛びかかり、魔法の暗黒に触れ、消えていった魔獣達や漆黒聖典第九席次ボーマルシェなど最初からいなかったかのように。
ただその場にあるのは、その偉大な魔術を行使した男の猛り狂う怒りのみ。
「クゥ、クズがぁあああああっ!! 俺のぉおおお! 俺の友をぉ! 友が残していったものを侮辱するなどぉぉお!」
その眼窩の奥に灯る赤い光を輝かせ、その背後に黒く揺らめくものを纏わりつかせながら、アインズは激昂に身を任せ叫びちらす。
「生かしてぇぇえええ! 生かしておくものかぁああああっ!!」
クワイエッセはびりびりと
自らが行った行為に
いま、目の前で怒りを露わにする存在。
その姿は、まさにスレイン法国が崇める六大神の1人。
亜人や
他の神々がいなくなった後も、最後までこの地に残って人類を守護してくださった偉大なる神、スルシャーナに間違いはなかった。
クワイエッセの信仰は深い。
特にスルシャーナに対して。
その彼が言い放ったのだ。
彼の信仰する神、その御方に対して。
その面前で。
『いなくなった友とやらにこだわるのはくだらない』、と。
そして、『友が残していったものを守る事で精いっぱいだ』と言う、彼の神が発した言葉を否定したのだ。
スルシャーナの語る友とは、他の六大神の五柱の事。
そして、その友が残してくれたものというのは、それすなわち六大神が作り上げた、彼の所属するスレイン法国そのものでしかあり得ない。
それを彼が
そんなもの、襲い来る
それは、例え今の今までスルシャーナであるとは知らなかった、ズーラーノーンの一味ではないかと勘違いしていたとはいえ、それはけっして許されるものではない。
荒れ狂う殺気と
アインズはそいつに向かって、指を向ける。
〈
その、たった一度の魔法の行使で、人とは比ぶべくもないほどの圧倒的な生命力をその身に宿した巨獣は、糸が切れた操り人形の様にその場に倒れ伏した。
生き物の根幹である生命すら、
そして仲間の魔獣に訪れた異様な死に、他の魔獣たちも色めき立った。怯え声をあげ、その身を震わせ、後ずさりし、脱兎のごとく
だが、アインズはそんな獣たちにも容赦はしなかった。
まるでオーケストラの指揮者が振るうタクトの如く、アインズは指を振るう。
その夜空に浮かぶ月光のように白い指。一体いかほどの魔術が込められているのであろうか、その価値など想像すらも出来ぬほどの逸品であろう指輪で飾られた、細い骨の指が指し示した者達は、その肉体の大小、その身に秘めた強さの
――ああ、地に生きる常命のものとは、神の前ではかくも無力なものなのか
アインズの眼窩の奥に灯る赤い光が、最後に立ち尽くすクワイエッセの姿をとらえた。
もはや、この場には一人たりとも、他に一体たりとも生命あるものは存在しない。
この地の奥底に作られた、朽ちた石柱列のならぶ忘れられた古代神殿内にいるのは、距離を置いて向かい合うアインズとクワイエッセ2人のみである。
クワイエッセは
本来であれば、その場でひれ伏し許しを請うべきなのだろうが、つい先ほど自身が行った、神の行い、そして神そのものをも冒涜した罪の前に、呆然と立ち尽くすしかなかった。
だが、自らの信仰する神の視線を受け、彼は喉の奥から絞り出すような声で謝罪の言葉を口に出そうとした。
しかし、彼の神はそれを
「もう、いい。それ以上喋るな。もはや謝罪も悲鳴も、そして哀訴すらも聞きたくはない」
そうして魔法が行使された。
〈
直後、クワイエッセの身体がビクンとはねた。
突然、呼吸が出来なくなった。
苦しさにせき込むと、どういう訳か体の内から水が吹き出してくる。クワイエッセは喉を掻きむしり、石床の上をのたうち回った。
彼は必死で吐き出そうとするも、その身の内から漏れ出す水は尽きることなく、湧き続けている。
クワイエッセは地に転がりながらも、自らの神に詫びようとした。彼の行いを説明しようとした。自分は神の作り上げたスレイン法国の人間であると伝えたかった。
だが、彼の口から出てくるのは謝罪の言葉ではなく、ゴボゴボという音とともに肺腑の奥から流れて出る液体だけ。
そして、そんな哀願の瞳を向ける彼に、眼前の
「お前の行為……、それは決して許されるものではない。お前の死だけが、俺の心を慰めてくれる。せいぜい苦しみぬいて死に、己が罪を悔いよ」
その言葉にクワイエッセは、自分は神にすら見放されたと絶望しながら死んでいった。
《大量の捏造設定》
・アインズが召喚した、肉塊に目が一つついた
――自分の周囲における視線攻撃を無効化する特殊能力があります。ある程度以上、レベルが低い者が行ったものに限ってですが。
・クワイエッセが召喚した、ヤマアラシのような魔獣
――全身の針を飛ばして遠距離攻撃が出来ます。
・クワイエッセが召喚した、狒狒のような魔獣
――力が強く、耐久力もあり、簡単な道具を使うことが出来ます。
・『
――ボーマルシェが法国から貸し与えられた六大神の遺産の一つで、彼が『神領縛鎖』の名を冠する由来ともなりました。振り回しての打撃攻撃や、相手の拘束を行うことが出来ます。
・〈
――〈