Fate/Problem Children   作:エステバリス

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一ヶ月放置した言い訳ターイム!

まず学期末に死ぬほど勉強して投稿してる暇なんてなかったです!これで二週間!

あぁ^ ~、インパルスとバルバトスがぴょんぴょんするんじゃぁ^~。これで一週間。

ネクスト乗ってました。これで一週間。

そして監獄塔をヒロインオンリーのパーティで攻略という地味にたるいことをしてました。

あとは執筆するのにインスピレーションが湧かず一週間……ほぼ個人的な都合じゃねーか!とは言わないでネ?

あと作者のお気に入りの男鯖の天草くん出ませんでした(全ギレ)




⬛⬛すち⬛んせ⬛⬛ ⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛

 

 

『ギフトゲーム "FAIRYTALE in PERSEUS

 

プレイヤー一覧

・逆廻 十六夜

・久遠 飛鳥

・春日部 耀

・アサシン

・ジン=ラッセル

 

"ノーネーム"側ゲームマスター

・ジン=ラッセル

 

"ペルセウス"側ゲームマスター

ルイオス=ペルセウス

 

クリア条件

・ホスト側ゲームマスターの打倒

 

敗北条件

・プレイヤー側ゲームマスターの降伏

・プレイヤー側ゲームマスターの失格

・プレイヤー側が上記勝利条件を満たせなくなった場合

 

舞台詳細・ルール

・ホスト側ゲームマスターは本拠、白亜の宮殿より出てはならない

・ホスト側のゲームマスター以外の参加者は最奥に入ってはならない

・プレイヤーはホスト以外のホスト側参加者に見つかってはならない。

・姿を見られたプレイヤーは失格となりホスト側ゲームマスターへの挑戦権を失う

・失格してもホスト側ゲームマスターへの挑戦権を失うだけでゲームの続行は可能

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

"ペルセウス"印』

 

"ペルセウス"に挑戦状を叩きつけて数時間後、ギフトゲームの準備が出来たと言われて一行は目映い光に包まれる。気づけば五人の手元には契約書類が握られていた。

 

「コイツがルールね……ああ、なるほど、メドゥーサ退治の伝承になぞってるのか」

 

「それじゃあこのゲームは……」

 

「恐らくは敵兵が持っているか何処かに隠されている姿を消す"ハデスの兜"をぶんどってあのボンボン坊ちゃんの寝首を掻く」

 

「それだとルイオスも伝承に倣って居眠りしてることになります。流石にそれは現実味に欠けるかと」

 

「それじゃ、役割をわけないとね。ますたぁが失格になったらそれでわたしたちはゲームオーバーだから」

 

「ええ、ジンくんと一緒にルイオスを倒す役、誘導をする役、そして兜を奪う役」

 

「誘導は失格覚悟……というより、間違いなく失格するな。奪う役も状況によっては失格になりかねない」

 

「春日部は鼻も聞くし聴力もいい。索敵は任せる」

 

耀の言葉が出てすぐに十六夜は返事をする。自分の役割は弁えている、ということだろう。

 

「━━━で、ジャックは囮が最適だろうが……」

 

「それ、ダメだよおにぃさん。あの変な人についていたおっきい人(ライダー)、サーヴァントだったもん」

 

サーヴァント、その言葉の意味は召使。すなわちモノ同然とも言える。モノとは即ちギフト、あの女性は参加者ではなくルイオスのギフトとして、宮殿の最奥にいる可能性がある。

 

現にジンのギフトカードには"召使・暗殺者"(サーヴァント・アサシン)と記されたギフトが存在している。これは恐らくジャックが"ノーネーム"への参加を明言した時についたものなのだろう。

 

であると、一人だけルイオスのところに向かわせるのは難しいか。

 

「なるほど……なら最上層に行くのは最低二人はいた方がよろしいかと。ルイオス本人はさして驚異ではありませんが彼が所有しているのは」

 

「隷属させた元魔王」

 

え?と唐突に横槍を入れた十六夜に視線が傾く。しかし十六夜はそれに関して意に介さないように説明を続ける。

 

「ペルセウスの出来事が神話の通りなら戦神に祭り上げられたメドゥーサの首はないだろう。だとすれば、呼び出すのはペルセウス座の偏色恒星アルゴルの悪魔か」

 

「……い、十六夜さん、まさか箱庭の星座の秘密を……!?」

 

「まぁな。この前星座を見て、ルイオスを見たときに確信した。あとはアルゴルを観測してQED。器材はまた"サウザンドアイズ"に借りたがな」

 

あとグライアイとクラーケンの件も並列して片付けてたから結構面倒だったな、と付け足す。

 

「でもそうなると奥にいるのは三人、てことになるね。確かに数の差が出てくるとなると一人じゃ例え十六夜でもジンを守りきれない可能性も出てくるから、私は手が空かないしジャックと十六夜の二人に任せた方が良さそうだ」

 

「……そう、なら消去法で私が囮になるわね」

 

「悪いなお嬢様。お嬢様の分までルイオス、ぶん殴ってやっからよ」

 

ふい、と飛鳥は顔を背ける。確かにあの場に飛鳥を持っていくのは危険だ、自爆とも言える。ただでさえ機敏すぎて人外のような速さを持つジャックの初撃を察知してルイオスを守ったライダーが相手では身体能力そのものが一般人相当の飛鳥で太刀打ちできるはずもないし、ルイオスだけならわからないかもしれないが、アルゴルの悪魔の相手もできるわけがない。

 

そのことをわかっているからこそ飛鳥は十六夜の言葉の返事をしない。自分にはできない、彼にはできる。それをわかっているからこそ彼女は不遜蕪村な態度ではあるものの、十六夜の提案に反対しない。

 

「お願いするわ。鬱憤晴らしはしておくから……気兼ねせずにやっておしまい」

 

「おうよ……じゃ、行くか」

 

「……十六夜さん、一応、嫌~な予感が致しますので一応、尋ねますが、……どうやってこの扉を開けるつもりでございます?」

 

「━━━ハッ、そりゃ、こうするに決まってんだろ!」

 

ドガンッ!という凄まじい音と共にギフトゲームは始まった。

 

◆◇◆

 

霧。ゲーム盤にはそれなりの範囲の霧が広がっている。

 

やはりと言うべきか。アーチャーとの戦い同様ジャックの暗黒霧都(ザ・ミスト)によるものだ。純粋に霧を発生させるこの宝具はただ存在を認知されにくくするだけではなく、相手がどこにいるかを探るのにも適している。例えば透明化。本来のペルセウスが持つ"ハデスの兜"は姿という情報に基づく概念を完全に消し去る隠密に関しては無敵とも言えるものだが、箱庭にあるのは現存する本来の兜を除いて劣化コピーがほとんど。当然なくなるのは姿だけだし、そこにいるという事実は覆せない。

 

つまり、この霧の範囲で、かつ霧が存在していない箇所━━━そこが劣化コピーの兜の所有者なのだと割り出すことができるのだ。

 

「くそ、なんだこの霧。身体が重いし、視界も悪い━━━」

 

途中で言葉が切れた。そして鳴る金属音。音は二ヶ所から響いてやがてその音も鳴らなくなる。

 

「………」

 

霧の中、氷のように薄い蒼が残酷に兜とそれについてる()()()()()を手にする。兜より下にあったモノにもその瞳は興味を示したようで、少し近づくと、バキッ、ゴギッ……という乾いた音と水音を鳴らして、やがて止む。

 

兜についているものも取り外そうと思ったが、少々特殊な貼り付き方をしているせいで思うように取れないから諦めた。

 

さて、それが終わればもう用済みだ。元々瞳の持ち主は攻撃行動や自分から姿を明かしに行く行為を起こさない限りは歩いているだけでも滅多に視認されない。

 

それでも透明化の兜を態々リスクを犯してまで手にした理由は()()。それだけに尽きる。

 

ゆっくりと待ち合わせの場所に歩いていくと、そこには今しがた二つ目の兜を手にしたのであろう、金髪の少年の姿。

 

「おにぃさん」

 

「ジャックか。そっちの首尾は……」

 

絶句……とまでは行かない。だがやはり驚愕した。

 

少年、十六夜はこの箱庭に来るまでに様々な場所を歩き回ったし、その中には当然戦場もあった。その光景には慣れと言わずともある程度の耐性が出来上がっていた。

 

しかし……これは異常だった。十を過ぎて少し程の幼い少女が嬉々としたような表情を浮かべながら生首を握っている。口元には不自然なほど血が滴っており、顎辺りから血液が垂れている。

 

その身を隠すように纏われたマントにも大量に血がかかっており、マントにこびり付いたそれだけでも人の一人は確実に失血死していないとおかしいくらいだ。

 

「ね、おにぃさん。これ取るのてつだって?」

 

「……ああ」

 

少女に促されるがままに生首の付いた兜を抑える。彼女が首を引っぱると先程の苦労は何処へやら、気が抜けるくらいあっさりとそれは外れた。

 

そして僅かな間を置いて、乾いた音と湿った音の混じった咀嚼音が聞こえる。

 

無垢な表情のままで、顔色ひとつ歪ませることなく人の血肉を貪る姿は異常そのものだ。彼女と契約した幼いマスターの姿は先に強奪した兜を被っていて消えているが、その光景を見て怖気が立っているのは言うに及ばない。

 

「……おにぃさん、そこのひとも、いい?」

 

そこの人、とは十六夜が今さっき兜を奪う際に気絶させた兵士のことを言っているのだろう。さも当然のように、食卓に並んだ料理を贅沢にもうひとつ食べてもいいかと聞く幼子の姿はこうして僅かにでも嫌悪感を抱く自分達が異常なのだと思わされてしまうほどだ。

 

「……ダメだ。人は喰い物じゃない」

 

「なんで?だって()()()()()()()()()()()()?わたしたちはされたのに、やっちゃダメなの?」

 

━━━切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が活動した十九世紀末とは再三に渡って説明するが、産業革命の最中だ。身分が低く、生活の苦しい女性が辿る道は自ずと娼婦などの女性にしかできない下劣なモノに限られてくる。

 

その中で孕んでしまう子供は大抵の場合堕ろすことによって()()()()()()()()()()()()()

 

だがもしその中で生まれた子がいて、子を養うことができなかった時━━━親はどうする?

 

答えは簡単だ。子供は親を生かすための餌となる。子を孕んだと情が生まれてしまって産むことを決意してしまっても、結局子供は死ぬ。死か餌か(デッド・オア・イットゥン)。そんな中で誕生した切り裂きジャックとはそもそも"そういう価値観"を持って生まれたのだろう。

 

 

むしろ、死は救いに値すると。

 

 

それを知ってか知らずか、恐らくは後者だが十六夜はジャックの頭を彼らしくないほど丁寧に撫でる。

 

「いいかジャック、それはいけないことだ。例えば黒ウサギがお前の大好きなハンバーグを勝手に取って食べたとしよう。嫌だろ?」

 

「それやだ……」

 

「そういうことだ。殺されるっていうことはジャックがハンバーグを取られるのと同じ嫌なことをされているってことなんだ。仕方ない時以外はやるな」

 

「ぅ?━━━うん、わたしたち、がんばるね」

 

「おう、がんばれ」

 

そういうと彼は彼らしさを取り戻してもう一度、今度は乱雑に頭を撫でる。小さな少女は先程よりも露骨に気持ちが良さそうな表情を作り、十六夜に渡された血に濡れていない方の兜を被る。

 

「時間とらせたな御チビ。何かの拍子で発見される前にさっさと行くぞ」

 

そう言って十六夜も透明化の兜を頭に着ける。そうして宮殿に向かって三人は若干急ぎ足で歩き出すのだった。

 

◆◇◆

 

女の話をしよう。

 

元は人を殺すことなど到底できない貧弱な姿をしていたはずが、ある時を境にその力は特定の誰かに害を与える悪性の力を手にした。

 

無類にして無比。しかし力は常に自己満足のために。

 

殺して、殺して、殺して回り、やがて女は悪性から"悪"そのものとなった。

 

だがそんな女の歪んだ生も終わりを告げる。呆気なく、己の悪性を振るい続けた末路は己の"悪"の否定。

 

そんな女は楽園に誘われる。人外魔窟、しかして全ての希望と絶望を内包する神の庭へ。

 

己の今である"悪"を否定した女の末路とは、果たして━━━

 

◆◇◆

 

白亜の宮殿。宮殿と言うからには上部がドーム状の天井に覆われた閉鎖的な場所かと思っていたが、そんな予想に反して宮殿というよりも闘技場(コロセウム)を彷彿とさせる。

 

「ジン坊ちゃん!十六夜さん、ジャックさんも……!」

 

審判役としてゲームを監視していた黒ウサギは宮殿に姿を現した三人の姿に感極まった。そしてその姿を見たルイオスは詰まらなさそうに舌打ちを一つ。

 

「何やってんだあのバカ共……まぁいい、アイツらはゲームが終わり次第罰を与えてやるとしてだ」

 

宮殿の玉座から立ち上がったルイオスは大仰に柏手を打って、まるで来てくれるのを信じていたと言っているような笑顔を見せる。

 

「ようこそ挑戦者諸君、白亜の宮殿へ!ゲームマスターとして一つ、対戦の宣言をしようじゃないか!……あっれ、これ言うの初めてだっけ?まぁいいや」

 

クックッ、と感動というか、嘲笑というか、そんなような笑みを見せながら役者のように大きく両手を広げる。

 

「しかも今回はただのギフトゲームじゃあない!ギフトゲームに加えて、聖杯戦争も兼任している!残念ながら"ペルセウス"は聖杯戦争の機会に恵まれてなくてね……"ペルセウス"最初の聖杯戦争、あまり簡単に終わらせないでくれよ?小さな暗殺者(アサシン)さん?」

 

その言葉にジャックは苦そうな顔をする。また一つ、本来の自分が持っている能力に出た欠陥が判明したのだろう。ただアサシンと呼ばれるだけならギフトゲームの名簿に載っていたからいいものの、明確に暗殺者(アサシン)と言われた以上、自分がサーヴァントであると理解されている。

 

それを見たルイオスは萎縮していると勘違いしたのか、更に機嫌をよくする。

 

「ふふっ……それじゃあ始めよう、ギフトゲームと聖杯戦争をさ……来い、アルゴール、ライダー!」

 

ルイオスのギフトカードが爛々と輝く。そこから全身のありとあらゆる場所を拘束された蛇の髪を持つ怪物と、バイザーのような物に目を隠した女性が現れる。

 

「さぁ、ヤろうか!」

 

ルイオスの高笑いと共に戦争の火蓋は切って開かれる。アルゴールの魔王がまるで謳うかのような唸り声を挙げると、空の雲が途端に石となって降り始める。

 

「隠れてろ御チビ!」

 

「は、はい!」

 

十六夜は雲を避けつつアルゴールに向かって、ジャックは降り注ぐ雲を足場に、空を駆けるブーツによって浮遊するルイオスに一直線に進む。

 

しかしジャックの強襲はライダーが受け止める。不意討ちには自信があるし、不意討ちを成し遂げるだけのスキルも持っている筈のジャックの一撃を受け止められた。

 

このまま鍔迫り合いを続ければ自分が負けることは先日のいざこざで承知だ。ならばとジャックは手に持ったナイフをその段階で捨てるという選択肢を選ぶ。手を離して支えるもののなくなったナイフはそのまま空を散歩するが、すぐにジャックが二本とも回し蹴りと踵でルイオスに向かって蹴り飛ばす。ルイオスはそれをガードするが、これでライダー以外にジャックの着地を阻害するものは無くなった。

 

「ライダー!地面に足を着かせるなよ!アルゴールはそいつを押し潰せ!」

 

「………っ」

 

「Raaaaaaaaa!!」

 

ライダーはその手に持っていた釘状の鎖剣を投げつける。着地した時のほんの少しの硬直時間を逃さない的確な速度で放たれた剣はジャックの首を穿たんと疾駆する。しかし首に当たる、直前にジャックはなんと釘剣を素手で掴んで避ける。

 

多少の出血は構わない。致命打さえ受けなければ自身の"精神汚染"と"外科手術"、鎮痛剤である程度誤魔化せられる。

 

案の定ルイオスと距離を離しつつ一対一に持ち込むためにライダーは鎖を引っ張ってジャックを引き寄せる。その間にジャックは三、四本目のナイフを抜いてすれ違い様に浅いが的確な一撃を見舞う。

 

これまでの間、僅か一秒足らず。人外どころか、その人外にすら再現不可能と思わされてしまうほどの高速戦闘はジンと黒ウサギに"これが人類史や神話に名を遺した者達の破壊行為"であると悟らされる。しかもジャック・ザ・リッパーとそれに対抗するライダー。恐らくライダー含め、二人ともかなり高名なサーヴァントであるとはいえ、そもそも反則級の逸話を遺した訳ではないジャックとそれと互角のライダーがこれをやっているとなると……

 

「……ヘラクレスやパーンダヴァの五兄弟はどんなに強いんだ……」

 

まだ、上がいるという事実が存在しているわけだ。重ねて言うが、ジャックは武勇という面では高名なわけではない。切り裂きジャックが遺した逸話は"ハッキリとした証拠やどんな人間であるかまで判明しながらも恐らく捕まることなく生涯を終えた"とされること。正面切った戦闘が不向きなのは言うまでもない。

 

これの上がどんなのかなど、想像しろという方が難しいのかもしれない。

 

着地を刺されないようにメスをばらまいて牽制、ライダーは煩わしそうにそれを弾く。

 

「クソッ……なにやってるんだライダー!お前それでも化け物かよ!?」

 

━━━明らかな失言。ルイオスは今、強烈な失態を犯した。

 

化け物ということはライダーは真っ当なサーヴァントではない。少なくとも反英霊と呼ばれる……作中や史実において"倒されるべき悪"という趣の強い存在だったということ。

 

しかも、それだけではなく化け物という一言で人間ですらない可能性がかなり大きく浮かんだ。

 

女性で、化け物の類で、倒されるべき悪。

 

これだけの情報があればかなり的も絞れる。あとは僅かな情報からでもなにかを掴むこと。

 

ジャックは防衛に入る。観察するべく、敵を知るべく。

 

ライダーの釘剣が不規則な軌道を描いて飛んで来る。それを弾くとライダーはいつの間にかジャックの懐に入り込み、その右腕が首を掴む。思わず、ジャックはナイフを手放してしまう。

 

「ライダー!そのままソイツを絞め殺せェ!」

 

ライダーがグッ、と力を入れると、一瞬ライダーの姿がブレた。

 

ほんの一瞬、人と思えないような姿に変わったのだ。蒼白の表情に幾束かに散った髪。その髪は少し濃さを増して、それぞれがまるで意思を持つかのように揺らいでいたのだ。

 

そして━━━目についた。

 

何故、ライダーは目を隠している?目に無差別に発動する呪いの類があるから隠している?

 

目に呪いを持つ女性━━━ああ、それか。

 

それなら、今一瞬見た姿にも納得が行くし、重なった姿がイヤにアルゴールと似ていたのもわかる。

 

だが━━━しかしこれは、なんという偶然。運命の悪戯か。

 

確信と共にジャックは負け惜しみなのか、首を絞めるライダーに小さく、まるで呪詛の言葉のように呟いた。

 

「━━━ゴルゴーン」

 

「………ッ!!」

 

首を絞める力が弱まった。今しかない。

 

ライダーの腕を掴む力を更に強めて、浮いた身体をしならせる。そして思いきり、ライダーの腋を蹴り抜いた。

 

「ガッ……!」

 

拘束が離れると鞘から最後の二本、そのうちの一つのチョッパーを抜いて蹴った腕とは逆の左腕を掴んで━━━斬り落とした。

 

「━━━━━━━━━━!!!」

 

言葉にならない絶叫。悲痛な叫びは宮殿全体に木霊し、誰もが思わず目をそちらに向けてしまう。

 

その光景はこれまで異常を極めていた中でも最も異質だった。

 

腕を失い叫び声を挙げる女性と、その女性の失った部分にピッタリサイズが合う左腕とチョッパーをそれぞれの手に、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それまで無垢かつ冷酷だった幼子の表情が一気に邪悪なそれへと変質し、子供のものとはとても思えない笑い声が聞こえるのだ。

 

「━━━ふふ、あはは、は、ははははは……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!ひひひひひひははくふはひ、ひひひひああああああああああ!!!!!!」

 

誰もが思わず目を疑う。たかが数日とはいえ彼女のことを知っていた者達であれば、更にあり得ないもの、というよりそうあって欲しくないモノを見ているような目をしてしまう。

 

「すごぉい……きもちい……もっと、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとちょうだい!わたしたちに、悲鳴と、恐怖と、反抗する意思をもっと!もっとっ!!!それでそれで、そんな意思もわたしたちがぜんぶ潰して!!死んじゃうことのかんそう、聞かして!!!!」

 

正気を失ったように叫ぶ。抑圧された本能が爆発したのか、それともただ理由もなくそうしているのか。

 

━━━"悪"には二つの種類がある。期せずして悪となった者。それらは最初の行いが悪であると気付かない限り"自分が悪であると認知できない"。

 

もう一つは自ら悪となった者。それらは自らのやったことが一から十まで悪であるという自覚がある。故に""悪に恐ろしく敏感である"。

 

だが、彼女らはその何れとも違う。彼女らは"悪"であることを認知しているが、彼女らの行いが悪であると認知していない。

 

言うなれば、"初めから悪だった"モノ。その存在の起源がそもそも"悪であれかし"と誕生したモノ。

 

「さぁ……もっと遊ぼうよ……?」

 

邪気の一切混じらない純粋な言葉を"供物となるはずだった女"(メドゥーサ)に向けて、顔のない亡霊(⬛⬛⬛⬛)は笑みとともに投げ掛けた。

 

 






「これはapoやgoのジャックとはちょっと違う」とは散々?言ってましたが今回はその極めつけですね。願いの違いだけならまだしも、敢えて「みんなの知ってるジャックちゃんはこんなことしない」をやらせたんですけどエグい、生々しいってドン引きしてくれたら作者嬉しいです!

しなかったらそれは作者の精進が足りなかったってことですね。

ところでCMでふぉとんれいっぽいのぶっぱしたライオンは本当にキャスターですか?

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