Fate/Problem Children   作:エステバリス

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お久し振りです。私今超忙しい時期です。

ですがそれも早ければ今月で終わること……来月からはまた何時も通りFGOイベントにつき一回くらいのペースで更新できればなぁ、と思います。




くえすちょんしっくす 迷い走るは、心の未熟

 

 

"造物主の決闘"参加者控え室。その一室には眠そうにしばたかせながらブーツの紐を結んでいた。

 

(結局、私が最初に戦う方は"ウィル・オ・ウィスプ"か……確か、ジンが言うには……)

 

ウィル・オ・ウィスプ。世界各地で存在する鬼火伝承。

 

堕落して死んだ一人の男が聖人を巧みに騙し転生し、それでも悪行を繰り返した事で聖人の怒りを買い死後地獄にすら行けない浮遊霊になった彼を憐れんだ一人の悪魔が煉獄の石炭を与えられ、萎びたカブをくりぬき、そこに入れたランタンを持ってさ迷う者。

 

そしてウィル・オ・ウィスプは今日の世界で愛される愉快なカボチャお化け、ジャック・オー・ランタンの派生元として存在する。アイルランドでは後者、イギリスでは前者で親しまれているのだ。

 

「でも大丈夫、ジンと一緒に勉強したんだから」

 

若干弾んだ声音だった。彼女自身その声が弾んだ理由を理解できなかったが、すぐにゲームがあるという事であまり深く考えないようにした。

 

◆◇◆

 

『長らくお待たせしました! 火龍誕生祭のメインギフトゲーム、"造物主の決闘"を開催いたします! 進行及び審判は、この黒ウサギめが務めさせて頂きます♪』

 

「いよっしゃああああああ黒ウサギィィィィィ!!!」

 

「今日こそお前のスカートの中の宇宙を見てやるぞおおおおお!!」

 

「来た、見る、勝つ!」

 

「別に見てしまっても構わんのだろう?」

 

「おお黒ウサギィ!」

 

「我らの胸に彼方(パンツ)への野心ある限り! 今日こそ見るぞ、皆の衆!!」

 

「「「a━━━lalalalalalalalalalalala━━━━iッッ!!!」」」

 

「……なに、この残念な紳士の巣窟みたいな反応」

 

思わず、嘆息。本当にあのアーチャーのような紳士は稀な存在になってしまったのだなぁと飛鳥は抱えた悩みを片手にそう思わずにはいられなかった。

 

「確かに、黒ウサギはいい容姿をしているが、これは予想以上の熱狂だ」

 

「わたしたち、知ってるよ! こういうひとたちのこと"おっきいおともだち"って言うんだよね!」

 

「……なぁ、何処でそんな言葉覚えたんだ?」

 

「う? えっとね、しろやしゃ」

 

無邪気に答えるジャックの頭を「ちゃんと言えて偉いぞー」なんて言いながら十六夜は鬼の形相で白夜叉を睨んでいた。白夜叉は、はははと笑いながらキツすぎるスルーを敢行して見なかった事にした。

 

「箱庭の貴族であり"審判権限"を持つ月のウサギが審判を勤める、ということはそれだけで両コミュニティには栄誉のある事らしいからね。それを差し引いてもこの人気には鬼気迫るモノがあるけど……」

 

十六夜の後方に座るジキルが丁寧に説明をしてくれる。だがそんな彼もこの状況の異常な熱さには疑問を隠しきれないようだが。

 

ちらり、と観客席を見るとそこはもうプロスポーツの試合と人気アイドルのライブが同時に行われているんじゃないかと思わずにはいられない程の熱狂ぶりだった。売り子を勤めているのだろう、渋い外見をした神父がキンキンに冷えた飲み物を片手に「暖めますか?」などと茶目っ気の聞いた冗談を言っている。是非とも冗談であって欲しいものだ。

 

(パンツ)置いてけ なあ 大将首(パンツ)だ! 大将首(パンツ)だろうお前!? なあ大将首(パンツ)だろお前」

 

何処からか聞こえてくる最早何が言いたいのかわからなくなっている言葉を聞き十六夜はそういえば、と思い出して白夜叉に再び目をやる。

 

「そういえば白夜叉。黒ウサギのスカートが見えそうで見えないギフトとは、どういうことだコラ。今どきチラリズムは古いだろ」

 

「フン、おんしもその程度の漢であったか。あそこの有象無象となんら変わらない、真の芸術を解せぬ愚か者だ」

 

白夜叉は聞くがいい、その耳と目で真実を探究せよ、と自信満々な目で黒ウサギに視線を移す。十六夜の言う通り黒ウサギは司会進行としてなるべく多くの顧客に自分の顔を覚えてもらうべく身体を動かしているのだが、やはりそのスカートの中身は見えない。

 

「おんしら人類は何を原動力に栄えてきた? エロか? 成る程、それもあろう。おっぱいは触ると心地が良いからな。どういう手段を使えど触れば正義。それはどんなに出来た顔を持っていようと吼えよう、『やったあああああ!!』と。そしてそれを見た同志は其奴を褒め称えよう、天才とな。しかし時としてそれを大きく上回る力━━━それが想像力。すなわち未知への期待! モナリザの美女の謎、ヴィーナス像の失われた腕。そして切り裂きジャックの真実。それらに宿る神秘は永遠に到れぬ幻想でありながら、やがて一つの境地へ昇華される。何物に勝る芸術とは、すなわち―――己が宇宙の中にあるッッ!!」

 

「━━━なっ、宇宙……だと……!?」

 

十六夜の身体に稀代の天才(おバカ様)白夜叉の雷撃か突き刺さる。

 

「言うであろう? 手に入らぬからこそ美しい物もある、と。乙女のスカートは中も、また然り! そう、下着とは見えぬからこそ意味がある!!」

 

「ま、まさか俺が一本取られるとはな……流石だぜ白夜叉。お嬢様、至急ジャックに黒ウサギのスカートと同じギフトを持った服を買ってやってくれ」

 

「十六夜くん、ジャックに早くマトモで安全な服を着て欲しいのはわかるけどその前の会話で台無しよ」

 

「ジン、セイバー。白夜叉様達は一体何の会話をしているの?」

 

「オレにもわからん。ていうかオレに聞くな」

 

「……残念極まりない会話をしているのは確かかな」

 

春日部 耀のコンディションもいざ知らず、そうして彼女は会場に出現する事になった。

 

◆◇◆

 

━━━不思議と緊張していた。

 

おかしいな。こんな勝つだけのゲームなのに、これまでみたいに失敗、敗北が=死に結び着かない事はルールで解りきっているのに。

 

会場に出てきた耀はそんな事を考えていた。

 

そして同時に結論も出ていた。

 

「アーシャ=イグニファトゥス様華麗に参上!」

 

さっきからどうにも人の視線を感じるのだ。理由は明白、実際に人が見ているから当然だ。

 

思えばこれまで彼女がプレイしたゲームは個人的、あるいはコミュニティ間での揉め合いから生まれた勝負が多くを締めている。実のところ、今より遥かに観客の少なかった予選の時点でも内心ガッチガチだった。なんとか表情だけはポーカーフェイスを保てていたが。

 

「……アーシャ=イグニファトゥス参上!」

 

(ていうか、期待かかってるっていうの……重いなぁ)

 

向こうにいた時は公式戦だからいつもより緊張した、という内容のコメントはよく見かけていたが、その立場になるとなるほど、よくわかる。

 

(でも、これはこれでワクワクする)

 

そう、だからこそ。衆人環視の中で"名無し"の自分が勝ちたい。勝って、自分達は"名無し"ではなく"ノーネーム"なのだと、教え込む事ができる。

 

春日部 耀はそのための広告塔。『ジン=ラッセルの"ノーネーム"』の強靭な牙。

 

「……ア、アーシャ=イグニファトゥス参上!」

 

「あれ、知らない人がいる」

 

「三回名乗ったわ! 畜生、何処の馬の骨かもわからねえ"名無し"がバカにしやがって!」

 

「してないよ。考え事してただけだから。それにバカにする、ていう意味ならそっちがだよ。私達は"ノーネーム"だ」

 

「ハッ、"名無し"如きが粋がるなよ。お前らは所詮名前を奪われた負け犬なんだからな」

 

「じゃあ、"ウィル・オ・ウィスプ"も"ラッテンフェンガー"も、予選落ちしたコミュニティも皆負け犬以下って事になるね」

 

「ほざけよ負け犬」

 

互いが明確に自分達のコミュニティを侮辱された事に明確な怒りを露にする。流石にこれ以上は、と危惧した黒ウサギは急いで二人の会話を引き留めることにした。

 

「さて、両選手が互いに発破を掛け合ったところで! 白夜叉様、ゲーム開始の方をお願いします!」

 

「うむ、了解した。ではおんしらが戦うゲーム盤は━━━そうさな、清原ちゃんに決めてもらうとしようか!」

 

「━━━あら、私?」

 

突然の指名にも清少納言は動揺しなかった。多分、いつどのタイミングで白夜叉が無茶ぶりを仕掛けて来るかと準備していたのだろう。その目は「むしろやってくれないと困ってた」とでも言いたげである。

 

「ふふ、そうね……では僭越ながら、"サウザンドアイズ"幹部白夜叉がサーヴァント、キャスターの清少納言めがゲーム盤を造ると致しましょう」

 

そう言うと彼女は懐に持っていた巻物を広げる。ただしそれは大和撫子のする丁寧なものではなく、まるでその場に投げ捨てるかのようなものだ。

 

広げた巻物はやがて宙に浮き、彼女の右手に握られた筆が走り始める。

 

「それでは"ノーネーム"、"ウィル・オ・ウィスプ"。私を彩る為にも貴方達の吟を吟いましょう。さあ、行き交う人々もご覧あれ! 森羅万象、天地神明。世界の理は我が真座(まくら)の語りへ!」

 

綴られる物語。

 

始まる世界。

 

彼女は配役者(キャスター)。それは魔を極める者に非ず。

 

彼女は、人を導く者なれば━━━

 

「照覧あれ、偽り亡し我が物語、然れど我に偽り在り(トゥルース・マイ・ストーリー)を!!」

 

そして世界は彼女のものとなり、景色は一変した━━━

 

◆◇◆

 

『ギフトゲーム"虚無を疾るものたち"

 

・勝利条件

一、此の世界に存在する唯一無二の者となるべし。汝、相対する者を此の世界から爪弾かせよ。

二、清少納言の世界に覇を唱えるべし。

三、対戦相手が勝利条件を満たせなくなった時。

 

・敗北条件

一、清少納言の世界からの脱出。

二、上記の勝利条件を満たせなくなった時。

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"と"ウィル・オ・ウィスプ"はギフトゲームに参加します。

"ノーネーム"

"ウィル・オ・ウィスプ" 印』

 

◆◇◆

 

「なんだ……ここは……!?」

 

「もしかしてこれは……清少納言の━━━」

 

「御名答よ、春日部 耀。これは私の宝具……ジキルなんかは器の秘技、なんて呼んでいるけれど。私はこっちの方が聞こえもいいし、切り札感があって好きだからこう呼ぶわ」

 

なんの気配もなくアーシャと耀の前に現れた清少納言は楽しそうな表情を作りながら耀の頬を撫でる。自分の切り札自慢ができて嬉しいのか、若干頬が紅潮している。

 

「私の宝具、"偽り亡し我が物語、然れど我に偽り在り"は私の望むものを存在させる世界! この宝具は私の心象を世界に投影する、固有結界! でもね耀、アーシャ。この景色を見て頂戴」

 

清少納言はあちこちを指差す。二人は静かに、それに促されて清少納言の世界を見る。

 

「なんだ、ここ。何もねえじゃん」

 

「そう、そうなの。私は今正に"何もない"の」

 

「……それで、それがどうかしたの?」

 

「いい質問よ! "ノーネーム"、どうやら貴方達は私にものを喋らせる才能があるわ! ええ、気に入ったわ、改めて気に入った! その勤勉な姿に応えて私も気合いを入れて説明しましょう!」

 

その瞬間、少しだけ世界に色が着いた。これは、桃色だろうか。彼女の心象を示すという言葉をそのまま鵜呑みにすれば、彼女は今興奮状態にあるという事だろうか。

 

「この世界が指し示す通り、今の私には物語を綴るインスピレーションが決定的に欠如しているの。貴女達には私の世界を彩る役割を果たして欲しい━━━短的に言えば、私にインスピレーションを頂戴」

 

「……意味わかんねえ。変なの」

 

「解らなくても結構よ。だってそれがギフトゲームでしょう? 解らなければ解らない方が、出来なければ出来ない方が悪いのだから」

 

でも幸いよ! とも続く。未だに興奮が冷めていない様子の彼女は幾つも着込んだ和服を煩わしそうにしながら両手を広げる。

 

「私は今すごく機嫌がいいの! だから教えてあげるわ。貴女達二人は言うなれば"主人公"! つまり━━━どちらが私の描く物語の主人公に相応しいか、競い合いなさいという事よ!」

 

━━━これ以上にないくらいに単純で明快だった。つまり彼女は、最後に立っていた者が勝者だと言ったのだ。

 

それを聞いたアーシャは笑いながら指をパキ、ポキ、と鳴らす。

 

「へっ、回りくどい事言ってないでさ、相手をぶっ倒せって言えばいいんだよ。それじゃあ行くぜジャック!」

 

「YAッFUFUUUUUUUUUUUUU!!!」

 

アーシャの言葉に応じるように彼女の側にカボチャ頭の浮遊霊のようなものが現れる。

 

「……負けない」

 

対する耀もまた、ファイティングポーズを取りながらアーシャを見据える。ジャックは眼中にない、さっさとアーシャを倒してこっちが勝つとでも言わんばかりにだ。

 

「それでいいわ。さあ早く、私にインスピレーションを頂戴な!」

 

その一言を告げるとまた、清少納言は霞のように消えた。それが戦闘開始の合図ともなり、耀が先手を打って駆け出す。

 

「ふっ!」

 

「上等だ!」

 

耀が全身に風を纏い、アーシャもまた大地を隆起させて道を塞ぐ。だが、それでは足りない。

 

耀は纏った風を右足に収束させると、カッターのような圧力となった風で大地を切り裂いて障害物を取り除くと、一気に距離を詰め始める。

 

「畜生! 焼き払えジャック!」

 

「YAFUUUUU!!」

 

「っ、ちぃ━━━」

 

足に纏った風が炎を飛び散らせ、耀が動きを止める。当然、アーシャは絶好の機会であるそれを逃すわけもなく、隆起した地面を直角に曲げて耀の顔面を叩き潰しにかかる。

 

「こん、の」

 

間一髪、風のブースターを全力で吹かせて下半身を勢いよく浮かせる事で上半身を強引に動かして躱す。

 

そしてそのまま逆立ちの要領で両手を地面に着けると今度は風を腕に纏い勢いよくハンドスプリングをして三次元的にアーシャへ急接近する。

 

「貰った」

 

「YAFUFUUUUUUUU!!」

 

だが、振るった一撃はすんでのところでジャックが防いだ。自分から言い出した事だから羨ましいとは思わないが、二対一はかなり不利なものがある。なんとかして、あのカボチャ頭のジャックを抜いてアーシャに攻撃を仕掛ける必要がある。

 

(苦労、しそうだなっ)

 

そう思いながら道を塞ぐジャックに揺さぶりをかけながら隙を見せるタイミングを伺う。

 

対してジャックもその意図を読んでいたのか、耀を観察するように相手をして来ない。

 

少しでも余裕を崩せば結果の揺れる状況ではあったが、その終焉はあっさりと訪れた。

 

「動く気がないんなら、さっさとやられちまえよ!」

 

「━━━!」

 

「動いた━━━今だ、頼んだぞジャック!」

 

「YAッFUFUUUUUUUU!!」

 

痺れを切らしているアーシャの様子を見た耀は揺さぶりを掛ける。彼女はまんまとそれに乗せられ、ジャックに攻撃指示を飛ばした。

 

変則的な軌道で放たれた炎には全身で纏った風で吹き飛ばし、強靭な脚力でジャックを追い抜く。

 

ジャックさえ目の前からいなくなればそこにいるのはアーシャだけ。耀は心の何処かで勝ちを確信し、自身の両手を掴み、アームハンマーを作り彼女へ叩き込む━━━━

 

「━━━悪い、()()()()()()!」

 

「ええ、承知しました。アーシャ」

 

刹那、耀とアーシャを遮るように先程追い抜いた筈のジャックが姿を現した。

 

しかも、先程のような耳障りな笑い声ではない。とても落ち着いた、紳士か何かのような声で。

 

「な━━━」

 

驚きはしたものの、その動作を止める事は出来ない。そのままジャックに致命打を与える事が正解だと断じ、腕を振り降ろす。

 

それが最もやってはいけない解だと。多少無茶をしてでも距離を取り直しべきだと気付かずに━━━

 

バギンッ、という音と共にジャックのカボチャ頭の半分が砕け散る。其処にあったのは人の頭でも人形の頭でも、空でもなく、鬼火。

 

それに驚く暇も与えられず、反撃をくらう。頭部に一撃を貰ったものの、すぐに体勢を立て直す。

 

「ヤホホホホホ!! 考え得る限り最悪の手を選んでしまいましたねお嬢さん! いやしかし━━━私が聖人ぺテロに烙印を刻まれしジャック・オー・ランタン(不死)その人である事を知らぬのならば致し方のない事ですが!」

 

「━━━贋作(レプリカ)じゃなくて、本物!?」

 

「然り! 私は作られし物、しかして其処に在る本物! 子供達を笑顔に変えて、悪しき子供を更正させて、すべからくそれらにお菓子を配る愉快な南瓜! なればこそ、我が子アーシャに慈悲を示し、間違いを犯している貴女を更正させましょう! 聖人ぺテロが遣い、カブ灯篭の悪魔ジャック・オー・ランタンの名に懸けて!」

 

ヤホホホホホ! と愉快な笑声を挙げるカボチャのジャック。だが耀はそんな彼の名乗り一つ一つよりも気になる言葉にだけ耳が向いていた。

 

「……私が、間違いを犯している?」

 

「然り、です。貴女は子供が犯してはならない過ちを犯しています。私がジャック・オー・ランタンなれば、それを正す必要があるのです」

 

「貴方に道を示されるつもりはない」

 

「いいえ、示す事はできずとも、正す事はやらねばならないのです。それが私が在る理由であり、貴女に"わたし"(ジャック)として立ち塞がる理由なのです」

 

正直なところ、耀はジャックの発言に苛ついている。ふざけるな、何故部外者に指を指して「間違っている」などと言われなければならない。私は私が正しいと思った事をやっているんだ。

 

私は、"ノーネーム"の為に尽くそうとしているのだ。

 

「さてアーシャ。貴女には申し訳ありませんが、彼女は私が相手をせねばならないようです。差し出がましい事だとは承知ですが、御許しを」

 

「いや、いいよジャックさん」

 

そうやって私の意思を無視している。何故? どうして否定するの? 私は"ノーネーム"のために━━━小さな子供に戦わせてしまっている事を良しとしている私自身が情けなくて、強く在りたいのに。

 

だから私は強くないといけない。変わる為に箱庭に来たのに、これじゃ動物と話せるというだけで私から居なくなった向こうの人達と、それはそういうものなのだと受け入れていたあの頃と何も変わらない。

 

勝たないと、私は"ノーネーム"に居られない。いてはいけなくなってしまう。

 

だから、道を塞ぐなよ。邪魔をしないでよ。私に、あの場所に居させてよ━━━!

 

「っ、あああああ!!」

 

「ヤホホ、力はある。ですが余りに単純!」

 

「邪魔するな、邪魔するな、邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するな邪魔するなァ!!!」

 

「しますとも! それが貴女の為となるならば!」

 

炎を纏う右腕が突き刺さる、痛い。風を纏う左足がカボチャ頭を叩き割る。手応えがない。

 

心臓部に拳を繰り出す、心臓があるはずの場所には何もない。

 

「知っていますよ、春日部 耀嬢! 貴女は自身の無力さを恨んでいる! 貴女は今、自分より遥かに幼い子供が自分が潜り抜けた危険よりも遥かに危険な場所に置かせてしまっている事に罪悪感を感じている!」

 

「なっ━━━!?」

 

「ですがそれは何故でしょう!? 彼女達(ジャック)が幼いからでしょうか!? 故に情が移ったのでしょうか!? それこそ何故!? 彼女はサーヴァント! 言わば亡霊でしょう! 何故、そんな彼女を幼いからという理由で手を差し伸べそうとするのです!?」

 

「知ったような風に!」

 

「知っていますとも! "わたし"はずっと貴女達を見ていた! なればこそです!」

 

「このっ━━━」

 

怒りに任せた一発は空を切る事も、直撃する事もなかった。ただそれは、あっさりとジャックの手に阻まれてしまった。

 

「解っているのです。私は解っている。故に悲しいのです。彼女達(ジャック)が貴女達の重荷になってしまっている事実が。なので春日部嬢、貴女は今少しだけ、落ち着いて周りを見渡すべきです」

 

首下に軽く手刀が落ちる。的確に人体の弱点を突いたその一発は耀の意識を容易く奪い、その身体がよろけて倒れる。

 

「ぁ━━━」

 

「頭が冷えたのなら今一度私の下にいらっしゃい。その時は落ち着いて、話をしましょう」

 

こうして、春日部 耀の初めての公式戦の大舞台は惨敗という結果に終わった。

 

 






春日部さんイジメるのが楽しすぎて後半筆が乗りまくりました(中学生並の感想)

まぁ元々こうする予定だったのですが、楽しい! 楽しすぎる! なんか彼女、イジメてオーラみたいなのがあるんですよね。わかりません?



以下、いつものFGOトーク

えー、更新してない間に色々ありましたね!

ネロ祭。爆死しました。あと令呪込みならフィナーレ勝ち筋があると検証し、令呪回復を待っていたら修正されました。怒りとも喜びともつかない感情に支配されながらノーコンクリアしてきました。虚しさが胸を締め付けましたが、あの難易度はリアルネロもかくやというばかりの圧政でしたね。あの難易度でも勝てた人がいたのだから皇帝の出来レースだったリアルネロは何処まで暴君だったのかと。

そして復刻ハロウィンに16ハロウィン。復刻はQPが潤いました、邪ンヌのスキル上げのために刹那で消えましたが。あと爆死しました。EX公が欲しい人生だった……!

さらにさらにぃ!? EXTELLAのニコ生です。ノッブもいない、マフィア氏はルールブレイカーしたせいで反則退場をくらい、女性陣+一人と心配だったのですが、案外大丈夫でしたね。アニメ楽しみです。リアル皇帝特権ありがとうございますジャッ丹下さん!

でもってEXTELLA発売直前記念です。僕はなんか選ぶ人少なそうなのでギルを選びました。その直後に呼符でジャッネロちゃまが出ました。ネロちゃま選ばなくてごめんなさい! よくよく考えたらネロちゃまもジャックも丹下さんだったから一択だったのにちくしょう!

それでは皆様、また次回!

あ、今月いっぱいまで大事な時期なのでEXTELLAがプレイできません。なのでネタバレはしないでくださいね! 作者との約束だゾ!

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