Fate/Problem Children 作:エステバリス
今回はこの作品のもう一人の主人公に初めて視点を入れ、かつレティシア登場までのテコ入れのために文字数がいつもの2/3くらいになっています。
別視点で主人公が二人いる、というのを書くのは初めてなので上手くいくかわかりませんが、どうか生温い目で見守ってくだされば幸いです。
―――さて、二人目の話をしよう。
少女は孤独だった。
パパもママもいた。だけれど、孤独だった。
空が赤いよ、霧も出てる。
外は怖い。中にいるしかない。
けれど少女は我慢が効かず、外に出る。
外に出て、自由になって……楽しいよ、楽しいな。
ちょっとだけ誰かともお話ししたよ。誰かはそろそろいかなくちゃって、そのうちいなくなったけれど。
じゃあ、帰ろうか。そう思って見上げた空は、紅で。
次に目を覚ましたらあらびっくり!夢の自分がここにいる!
自分と同じお兄ちゃんもいるわ。こういうのを、求めていたの!
……だけれども。夢はいずれ、終わったの。終わらないと、夢じゃないの。
これは終わった先の、お話なの―――
◆◇◆
少女は目を覚ます。自分の姿を見て、はてと首を傾げてしまう。
「起きたか」
小さな子供の声が聞こえてくる。少女は悩みつつも「一応」と答えると、子供は興味を失ったような返事をして、その場から去っていった。
そして少女はもう一度自分の姿を確認する。さっきまでと変わらない、黒い少女らしい衣服だ。
だが、少女にとってはそれこそが異端だった。だから少女は先程まで子供がいた方に「ねぇ」と向ける。暫くすると、子供の声が帰って来た。
「なんだ」
説明を求めた。ここはどこか、貴方は誰か。その他諸々。
子供は懇切丁寧に答えてくれた。ここは箱庭。人智の程を越えた人外の魃扈する魔境にして楽園。彼の名前は教えてくれなかった。だが彼は『殿下』と呼ばれていることだけは教えてくれた。
「それで」
?
「お前の名前はなんだ。俺達はお前を含めて二人の同志がいる。名を知っていた方がやりやすくもなる」
ああ、と相槌を打つ。彼の説明の中には"聖杯戦争"のこともあった。聞いたルール上、同一のマスターが複数のサーヴァントと契約していてもおかしくはない。
話の流れから、自分が彼の三騎目のサーヴァントとして選ばれたのだろう。その上で名を要求されたということは―――召喚方法自体は向こうと同じランダムなものなのか。
「急かすわけではないが、早くしてくれ。俺は少し急ぎの用があってな」
ごめんなさい、と少女は謝る、そして自分の名前を伝えようと思った時―――違和感を覚えた。
「どうした?」
彼は怪訝そうに顔を覗いてくる。少女は少し驚いたが、すぐに平静をとりもち、違和感の正体を彼に伝える。
「……なに?名が思い出せない?」
そう、名がわからない。聖杯戦争のことも覚えている。どのような結末だったのかも覚えている。マスターがどんな名前で、自分がどんな存在だったのか……に関しては朧気にだが。覚えている。
だが、名前がわからない。自分の名前がわからない。
「……名がわからないというのは結構な痛手だな。クラスに関してはこちらで把握しているが、どうにも困ったものだ」
ごめんなさい、と少女は謝る。気にするな、と少年は答える。
「キャスター、と呼んでもいいんだがな。それじゃあ味気ないし、キャスターはもう一人いる。仮の名でもいいから名前がほしいな……」
……それならひとつ。昔本当の名前以外で呼ばれたことがある。自分が覚えているうちで、の話だけれど。
それを彼に伝えると、「そんなものがあるのか」と答える。一応、と返すと彼は名前を教えてほしいと言ってきた。
元々伝えるつもりで言ったのだ。断る理由もない。
さぁ、言おう。マスターに貰った、あたしの―――
「あたしの名前は―――アリスだよ」
◆◇◆
「さ、さぁジャックさん、その左腕を見せてくださいな……」
「やー!絶対やー!」
一方その頃……という言葉を使わせてもらう。とかくその頃。ガルドのギフトゲームを終えた二人が遅れて"ノーネーム"本拠へと帰って来た。
帰って来てまず黒ウサギが待ち構えていたのだが、どうやら黒ウサギには一目で見抜かれたようだ。ジャックの姿を見て「今すぐ医療室に」と慌てて彼女をここまで連れてきたのだが……
黒ウサギが注射器を見せた瞬間、ジャックが暴れだしたのだ。子供っぽくジタバタと反抗する姿は見ていて微笑ましいが、そんなことを言って甘やかしてはいけない。
黒ウサギの見立てによればジャックの左腕は骨が軽くバラバラになっている。見た感じは適切に処置されているように見えるが、正直見た目があんまりだから可哀想に思えた、というのもある。
「というか骨がバラバラになってるのに傷薬と鎮痛剤でどうにかなるって一体全体どんなお薬を投与したのデスか……場合によっては一気に廃人まっ逆さまですよ」
「でも、これ使わないとダメだと思ったから……うん、ダメだったもん」
「でももへったくれもヘチマもないです。問題児様方四人揃って無理無茶難題が大好きなのですね」
ジャックの反論を大人……大人?の余裕で切り捨てる。やはりそれに納得がいかないようでジャックは未だに反抗を続けながら頬を膨らませる。
侮るな、と黒ウサギは内心で毒づいた。こちとら三年間年少組の世話をほとんど一人でこなしてきたようなもの。今さら一人や二人増えても変わらない。
「ジャックさん、好きな食べ物はなんでございましょうか?」
「え?……はんばーぐ、だよ」
「ハンバーグでございますか。なら今晩はハンバーグステーキに致しましょう。ジャックさん、今日は頑張ってましたしね」
「ほんと!?やったー!」
「てい」
ぶちゅ、喜びのあまり万歳をしたジャックの二の腕に容赦なく注射器が突き刺さった。
一瞬、ジャックはなにが起こったのかわからないといった顔で黒ウサギの手を見る。
理解すると、目をうるうると滲ませながら鼻をすすり始め……あっという間に決壊してしまった。
「……ぅ、うぇ……ぅ……」
「……ジャックさん?」
「黒ウサ嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんんんんんんん!!!!!!」
ジャックは全速力で医務室から出ていった。その速力や、黒ウサギの全速力とも遜色ないもので……突然大泣きされて嫌いとか言われた黒ウサギはそのまま硬直してしまい、隣にいた重傷の耀に実に冷ややかな視線を送られたのだった。
その夜、ハイパーボイスを発しながら駆け抜けて自室に引きこもったジャックの一件はコミュニティの間でかなり話題になり、決着は『三日間ハンバーグ毎食作る』で妥協したジャックの勝利に終わった。
◆◇◆
さて、アリスが箱庭についてから幾日かが経過した。殿下から何人かの同志の紹介があったが……正直、殿下を含めてイロモノばっかりである。
グリフォン、人間、半神、魔術師、軍師……こんなものに"アリス"が加わったのだ。個性が爆発しすぎて果たしてコミュニティとして成り立っているのか否か……いや、成り立っているのから今アリスは殿下のコミュニティにいるのだが。
「
時折、アリスはこうして思い出したかのように
しかし、辛うじて"お兄ちゃん"が鮮明に覚えているだけで、
どうしてこうなったのだろう、と思うのと同時になるべくしてなったのではないか、とも思う。
確か自分は本来こんなしっかりとした固体を持っていなかったはずだ。あの世界のサーヴァントにも関わらず、あの子の身体と全く同じ身体をしていた時点でそれは想像に難くない。それに自分の名前も思い出せないような役立たずな記憶でも自分の在り方くらいはある程度覚えているのだから、その中でも最も特異な点を忘れるはずがない。
まぁ、だからこそこうしてどうしてだろうと常々物思いに耽っているのだが。
「もう起きていたのか」
「あら……ランサー。もう起きていた、ていうのは?」
「―――気付かなかったのか。今は朝四時頃だ。その様子だと寝ていないな」
「いいのよ別に。あたしを子供扱いしないで頂戴」
「お前はサーヴァントだろう、単なる子供扱いなどしていない」
「……あたし、貴方のその言い方嫌いだわ」
お前の勝手だ。嫌うのもお前の自由だ、とランサーは答える。だから、そういうところが嫌いだと言っているのに。とアリスは言おうとしたが。それではまた同じことの繰り返しになるだろうと言葉を飲んだ。
「キャスターは?」
「お前もキャスターだろう」
「普通に考えてよ。この場にいないキャスターなんて一人でしょう?」
「それもそうか。浅慮だったな」
すまない、とは言わない。彼はどういうことか最後の一番肝心な言葉を言おうとはしないのだ。さっきの単なる子供扱い、のくだりも聡明なランサーならば同志として気にかけている、の一言くらいすぐに言えるはずなのだ。
「それでキャスターはどうしてるの?」
「つい先程まで工房で作業をしていた。今は恐らく眠っているだろうな」
「ふーん……」
それきり会話は途絶えてしまう。元々アリスとランサーはそこまで親しく話すわけでもない。ランサーが正直すぎる上に一言足りないという性格上、あまり話しかけにいくものもいない。
しかもその鑑識眼は一流と来ている。本質を見極められてズバズバとフォローもなしに言いたい放題言われる人間に好んで会話をしたい者など普通いないからだ。
すると珍しく、「そういえば」とランサーの方から口を開いた。
「マスターがお前に用があるそうだ。流石に今の時間に行くのはよくないだろうが、今日中に顔を見せろ、とのことだ」
「あら、殿下が。いったいどういった用件なのかしら」
「オレもはっきりとは聞いていないが、魔王に関すること、だそうだ……あの様子だと手駒を増やそうとしているのだろう」
「じゃあ魔王の召喚ね……いいわ。箱庭に来てからの最初の仕事がそんなものだなんて、とても
「……悪を呼ぶのが鏡の
あきれ気味にランサーが答えるが、アリスは意に介さない。この世界に来てから暫くやることもなかったし、"アリス"という固体を得た影響が、結構自己顕示欲や鬱憤を晴らすなどといったことが強くなっている。
勿論、アリスという身体なのだから
「―――ランサー、絵本は好きかしら」
「―――好きか嫌いかで言えば、好ましい方ではある」
「そう、それなら楽しみに見ていてね。あたしの、⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛の力を」
「そうか。期待はしている」
やはり、この喋り方は嫌いだ。だけれども、今この瞬間だけはこの言葉も自分を夢の世界へと誘う砂糖菓子のように甘ったるかった。
アリス……いったい何者なんだ……(無理しかないすっとぼけ)
以下Grand Order関連の一月十八日(ようするに投稿日と同じ)に起きたリアル話という名の茶番
よーし、乳上かニコラさんほしいから十連引くぞー
……うん、あんまりいいのが出ない……え、キャスターが光って……嘘、キャスターの4以上にピックアップなんか……でもアリス出てほしい――――――
「キャスター、諸葛孔明だ」
……お、おう。強いよ。嬉しいよ。けど……やっぱピックアップ仕事しねぇなぁ……明らかに乳上出す方が確率高いよな……ま、まぁ強いのはさっき言った通りだし嬉しいのも確か。育てよう。えーと、素材素材……
無間の歯車「俺かぁ~?」 虚栄の塵「シャドウサーヴァント狩りで満足するしかねぇ!」
……え?
エステバのパーティ
ジャック(塵&歯車要求)
沖田さん(塵&歯車要求)
アンデルセン(塵&歯車要求)
…………………………
(中略)
注意※このアレンジはクッソ適当です。これちがくね?とか言われても適当かつアホな編集なのでいろんな意味で困ります許してくださいなんでも(ry
意訳:またロンドンを徘徊する亡霊になります。この後書きを読んでいる頃、きっと私はロンドンで人形とホムンクルスの見分けがつかないほどに荒んだ顔をしているでしょう。
その時はどうか、この作者に合掌を……切にお願いします。