Fate/Problem Children   作:エステバリス

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幕間☆

今後本編への登場確定の御二人が箱庭に来るお話です。なんという長さは平均の三分の一!みじけぇ!




幕間 荒野を駆けたシシ

 

 

━━━やった。

 

男がまず感じたのは安堵だった。ついにあの男の、忌まわしい男の首を跳ねた。

 

━━━え?

 

次に男が感じたのはただ、恐怖だった。あの男をこの手で殺してしまったのかと、本当に死んだのかと。

 

様々な感情がない混ぜになり、身体の震えが止まらない。思わず手に持った得物を落とし、ガタガタと震え出す。

 

吐き気がする。身体の芯から爪先、髪の繊維一本に至るまで全てが雷に撃たれたような衝撃が襲い、心臓が逆流して口の中から出てくるような感覚すら味あわされる。

 

「━━━ふ、ふざけるな……!貴様はそれで、それでよかったのか……!」

 

震える身体を掴み、怒りに身を任せながらそれを強引に制する。その野獣が如くの眼光はただ、生首と成り果てた男を射差すばかりで、行き場を失ってしまう。

 

そんな折、武器を落として身体を抱える男が目にはいったのか、従者と思わしき者が一人、彼の身体を支える。

 

「⬛⬛⬛⬛⬛様、ご無事で?」

 

「━━━問題、ない」

 

空返事だった。従者は彼の震えをついに彼の敵を討ち取ったことで喜び打ち震え、気分も空返事しかできないほど高揚したものだと曲解したのだろうか。それ以降はなにも問わなかった。

 

「ふざけるな……ふざけるなよ⬛⬛⬛……ッ!!そんなにも私を、俺をコケにして楽しいかッ!そうも俺に難問を押し付けて悩む姿を悦とするかッ!!許さん、許さんぞ……!」

 

男の声は生首に届くことはない。いや届いたのならばむしろどれだけ悪態をつかれるかわかったものでもない。

 

男はこの時、敵を討ち果たしたという実感と共に、苦難を越え、生きる前と生きてからと、凡てに恵まれ、凡てを授かった。

 

だとしたらこれは……今までの対価なのであろうか。初めて出会った時から言い様のない感情に支配され、"清く、正しく、誠実たる英雄であれ"と言われて自分を作り続け、そんな偽りの身でなにもかもに恵まれた自分への、罰なのだろうか。

 

王の子でなければこのようなことにはならなかったのか!?この身があの男のように御者であればこのような苦悩をすることなどなかったのか!?

 

わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ赦してくれ理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい理解してほしい━━━━

 

「━━━嗚呼、父よ、母よ、兄よ、弟よ妻よ我が子よ友よ世界よ、宿敵よ━━━」

 

誰にも理解されることがないのなら、今の自分こそが己の罪深さそのものだとするのなら━━━

 

「━━━(我が身)は、王となるべきではなかった……!!」

 

今一度我が父よ、この願いを受け止めるのであれば。

 

天帝よ、穹に平伏せ。

 

◆◇◆

 

蒼い穹と、それを彩る乳白色の雲河。それは瞬く間に雨へと変わる。赤い葉が雨に打たれ、ハラハラと散って行く。

 

自らの得物は小さな虎を捉えている。蒼白な顔をしつつも静かに構え、瞳を向ける。

 

「━━━グッ、」

 

得物を落とす。最早この身は自分より軽いもの一つマトモに持つことすら赦されないのか。

 

「⬛⬛さん!なにをなさっているのです!?」

 

「嗚呼、婆殿、私はあの野に座る虎の子一匹断つことができない。私は、斬れないんだ……!」

 

かはっ、とその身を蝕む呪いが原因で血を吐き出す。得物と従者を支えによえやく歩き出し、辺りの岩に腰を掛ける。

 

「動かねば……闇に、へだつや……かふっ、……は、はなと……━━━」

 

願うことなら、戦いを。

 

望めるならば、最期まで。

 

でも……嗚呼それでも。本当に望むのならば……

 

「ただのひととして……ひとに……こい、して、かぞ、くとへいおんに……いき、しに……」

 

戦乱の世に呪いあれ。戦を望む世界に災禍あれ。

 

それでも、それだとしても世界は平和を求めて望まぬ有り様になっているのならば……

 

この世界にどうか、アイと祝福を━━━

 

◆◇◆

 

箱庭の空が揺らいだ。流星のように幾つかの星々が煌めき、地にぶつかる。

 

ここに、運命は定まった。

 

ならば、ゆくのみだ。

 

我が道を。進むべき道は、己で極めるべきだから。

 

 






真名隠す気/Zero。

……ふむ、後書きトークのネタがそろそろなくなってきました。なにを喋りましょう?

そうだ、それなら読者様方に聞けばいいんだ!←ダメな発想

ということでfateと問題児関連、作者のクッソくだらないプロフィールとか、できる範囲ならできるだけ答えますので、どしどし御質問をー!

(……よし、感想いつもより沢山貰えそう)

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