なるほど、「美人」という言葉はこの人のためにあるものだな。私はつくづくそう痛感したね。
人の目を引き付け深みを持つ金色の髪、潤いのあるぷるっとした唇、惜し気もなく飛び出すバスト、これだけでも万人の視線を釘付けにだろうに極め付けは女性の服装ときたもんだ。
紫を基調とした服は見れば見るほど艶美であり、それでいながら女性のプロポーションの良さを何重にも後押ししているようにさえ思える。この服はきっとこの女性の為に生まれきた物なんだろう、絶対にそうに違いない。
「お持ち帰りでしょうか?」
「はい、そうですわね。」
「ご注文はお決まりでしょうか?」
私の言葉に、軽く微笑を浮かべ「まだですわね。」と答えるスーパー美人さん。その些細な微笑一つに心中で動揺した私は、なんとか自慢の作り笑顔のまま、「ではメニュー表を見てお決まりになりましたらお呼びください。」と女性にむかってどこか一方的に言い放ち、裏方の方へそそくさと逃げ帰った。
………………
オーダー待ちの美人さんが店内からいなくなっていることに気付いたのは、店内に残っていた一組のカップルから会計時の呼び出しボタンで呼ばれた時である。
ピンポーンという音に反応してカウンターへと向かった私は、美人さんがいつの間にかいなくなっていることに内心疑問を持ちつつ、とりあえずカップルの会計をさくっと済ませた。
「ありがとうございました~。」
店から出ていくカップルを見届けた後、俺は一段と静けさを増した店内を改めて見渡す。一応、入口付近やお手洗いの部屋などもを一通り見て回る。
「やっぱりいないか。あの美人さんは一体何しに来たのだろうか……。」
財布を忘れたから一度自宅に戻ったのか。いや、それなら美人さんのことだし一声掛けてくれるだろう。それなら店へのひやかし?そんなまさかなぁ~。
掃除をしながら脳内で質疑応答をこなす俺だったが、掃除中テーブルの上に一通の封筒が無造作に置いてあることに気付いた。長形4号の誰もがよく目にする封筒である。0時に店に来た時点ではこんな封筒なんてなかったから、結論としてはバイトの先輩か、カップル、もしくはスーパー美人さんの置き忘れになるのが自明の理だろう。まぁ、先輩はないか。あれでいて結構几帳面だし。
俺は封筒を手に取って住所や宛名を確認した。ふむふむ……、あれ?この住所知ってるな、それにこの名前は俺の名前と一緒……。
「……って俺宛てですかぁっ!?」
声を大にして言ったのは素直に謝る、すまぬ。