IS インフィニット・ストラトス~ツインドライブの使い手~Ver1.02 作:Thalys954R
それから1週間後、ついにクラス代表決定戦が始まる
アリーナピットにて
「ホントにでなくて良かったのか?シャルル」
シャルルはクラスメイト数人から今からでも遅くないし立候補すれば?というすすめを断り一夏や俺の練習に付き合ってくれた。
もっとも本人の意向を尊重したいと推薦がでなかったことが奇跡といえるだろうけどな
「僕は翔が代表の方が良いと思うからね」
頼むから俺の負担を増やさないでくれ・・・・
さて、もうすぐ一夏のISが到着するのを待っているんだけど・・・こない
試合順は
オルコット VS 一夏
オルコット VS 俺
一夏 VS 俺
の順番なんだけど一夏のISが到着しない・・・
「織斑先生、まだこないのですか?」
俺は仕方なく内線で確認をとるが
「まもなく到着する、もう少しまて」
と言われてから30分経過・・・
「もう試合順変えた方が良いんじゃないか?」
一夏が若干不安そうに言った
「それは同意できるけど、あの人が納得するかな?」
オルコットさんは残念ながら納得してくれないだろうな・・・こないという理由なら
この1週間は篠ノ之さんから剣道を、俺とシャルルからはISの基礎と操縦について訓練を受けた一夏はまあ平均くらいにはなったかな?
「織斑君!きましたよ織斑君の専用IS!」
山田先生のアナウンスと同時に搬入扉が2つに分かれて開いていく
出てきたのは白いIS。
「織斑君専用のIS白式です!」
山田先生の声は若干うわずっていて聞き取りにくかったがしっかりと名前が聞き取れた。
「しかたない、一夏のフォーマットとフィッティングの時間くらいは稼いでくるよ。良いですよね?織斑先生」
その時間を稼げれば一夏も御の字だろう
「わかった、では試合順を変更してオルコットと赤城の試合を行う」
俺はミラージュ ランサーF1を展開しカタパルトの上に乗る
「翔!」
シャルルに声をかけられた
「ん?」
「勝ってね!」
いやですっていったら後は怖そうだしな
「最善は尽くすさ」
そう言って俺はアリーナへ
カタパルトとブースターの推進力で一気に加速
まあすぐ止まらないといけないけどね
※バックスは基本的にミラージュの補助として音声でのアナウンスを行います。
アリーナへ出て行くとオルコットさんに早速
「ずいぶんと用意に時間をかけていましたのね。てっきり逃げてしまったのかと思いましたわ」
ずいぶんと好戦的な人だな、俺のせいじゃないよ・・・
「遅れたことは謝罪しますが、後の文句は一夏に言ってください。彼のISがこなかった故に僕が先陣を切らなければいけなかったのですからね」
ここは冷静に相手の出方をうかがうか・・・いや初段であのレーザーライフルを撃ってくるだろうしここは自動回避ONで後部警戒は半自動制御、そっちがレーザーならこっちもレーザーで行くか・・・。
「では、墜落(おち)なさい!」
その言葉と同時にレーザーライフルを撃ってきた。
[Engage]
自動で緊急回避旋回バンクを多めに取り相手の死角に入る。
「どっちにしろ君の遠距離射撃型じゃ・・・俺は倒せないけどね!」
まずは相手の照準能力を見て決める!
ブチッ・・・
なんか聞こえたけどオルコットさんが黒いオーラが・・・・オルコットの暗黒面が顔を出した!?
「潰して差し上げますわ!!」
相手のレーザーライフル、スターライトmk-2の攻撃を左右によけてかわしつつ2門ある可変出力レーザーを右は最小の20%で照準機、左は60%でメイン武装と言う具合にそれぞれの役割を持たせて反撃
「踊りなさい、わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで!」
「ワルツね・・・俺は円舞曲(ワルツ)よりヴァイオリンソナタに見えるけどな!」
※通常ヴァイオリンとピアノの二重奏の演奏形態によるソナタを指す。ピアノ伴奏のないものは無伴奏ヴァイオリンソナタという。
イプシロンMk.7を長距離射撃モードで展開、フルオート射撃で反撃だ!
「撃墜される前に降参した方が良いと思うけど」
プライベートチャネルで話しかけると
「冗談じゃありませんわ、降参するのはわたくしではなくあなたの方でしてよ!」
相当イライラしてるな・・・無理もないか現状で1発も当たってない上に俺の反撃でシールドエネルギーは相当削られてるからな
※イプシロンMk.7は短距離射撃型だと、フルオート連射・照準補正無し・ショートストック・ショートバレル・750発ドラムマガジンで展開され、長距離射撃モードだと3バースト連射・照準補正アリ・ロングストック・ロングバレル・3倍スコープ・200発箱形マガジンとなる。ライフリングは共通で6条右転。有効射程距離は短距離が400m、長距離が1000m。
彼女の攻撃で最大の強みはアンロックユニット、ブルー・ティアーズ(以後ビット)と言うらしいがそのビットが縦横無尽に俺に向かってレーザーを撃ってくるのだがこれが思ったよりバリエーションが無くパターンを読んで攻略可能
「近づいたらすかさずVランスで破壊!」
ビットは操縦者が指示を出さないと動けない、つまりこれはそこにスキができやすくなるわけだ
ビットはすべて破壊した、これでもうと思ったら
「4機だけではありませんのよ!」
今度のビットはミサイルだった
[自動回避します]
「めんどくせー武器だなオイ」
フレアを放出、効果無しか・・・レーダー式?じゃあチャフだが・・・いやあいつが指示を出してるのなら手はある!
大きくインメルターンを行いオルコットの頭上に来るように1発を引きつけて・・・Vランスで破壊、あたかも直撃したかのように黒煙が上がる。
「これで彼も・・・え!?」
[ダメージ無し、戦闘続行可能です]
黒煙を切り裂いてオルコットとの間合いを詰める。彼女は驚いて最後の1発を自爆させてしまった。だがここは時間稼ぎだからここでは攻撃しない、一気に加速してソニックブーム(衝撃波)を浴びせるだけだ。
※超音速飛行中に発生する轟く様な大音響のこと。衝撃波以外の原因で生じる単発的な大音響を含める場合もある。
[翔、もうすぐ戦闘開始から30分になります。ここまでくれば彼もフィッティング完了でしょう]
よし、ここでケリを付けるか
「装甲を全展開、第2形態へ移行」
彼女の問題は火力とビットの優秀さに頼りすぎて・・・接近戦のバリエーションが少ないことだろうな・・・。
[第2形態に移行します]
ミラージュ・ランサーF1が形を変え始める。
セカンドシフトである。
「まさか、セカンドシフト!?」
細長かった翼がデルタ形状になりさらに機体カラーが変化していく。
つや消しブラックとシルバーからホワイトを基調にブルーのラインが入る。
「これがミラージュ・ランサーF1の第2形態「ミラージュ・タイフーン・バージョン2(FX/EF-2000/X-31)」だ」
第2形態から使用可能になる長距離狙撃レーザーライフル、ペガサス Mk.107を展開。
オルコットまでの距離は約400メートル、中距離射撃型なら有効射程範囲内だ。
「近すぎる。いったん引くしかないな」
攻撃をかわしつつ上昇し相手の有効射程範囲外に逃げる。
そこからペガサスを使用して仕留める。
[距離1800メートル、大気状態正常、ペガサスMk.107:RDY GUN]
「出力30%で固定、敵IS追従ロックOK、FIRE!」
思ったより大きな爆発音だったね・・・いや一瞬空中に巨大な火の玉が形成されてさ・・・やっぱり25%にしておくんだった・・・
このペガサスMk.107は標的の動きを予測して補助するというシステムがありそれを最大限に発揮して今回は仕留めてくれた。
「試合終了、勝者赤城=ポルシェ 翔」
俺の勝ちを告げるアナウンスが流れた。
「翔のISすげえなぁ!俺には勝てる気がしないよ」
ピットに戻ると入れ違いで一夏にそう言われたので
「試合に勝って勝負には負けなんじゃないかな?とりあえず俺は一夏のフィッティングの時間を稼いでただけだし、チャンスを4回くらい無駄にしたから後で織斑先生に怒られるかもしれないよ」
彼女が第2形態に移行していれば別だがこの場合フェアじゃないからな。
「よく分からないけどサンキューな」
そういって一夏はオルコットさんとの戦いのために出て行った。
ここでISを解除したら一気に疲れるんだろうな
シャルルの方を向いて・・・
「ちょっと・・・落ちるわ・・・」
やっぱり意識が遠くなった。
「ちょっとどうしたの!?翔!?」
疲れていたのだろうか?そんなバカな・・・
結局俺は一夏とオルコットさんの試合がどうこう言う前に医務室に寝かせられていた。
気絶から回復した俺は織斑先生に呼び出された。
「第二形態移行(セカンド・シフト)できることを何故黙っていた」
しかも部屋には俺と織斑先生二人だけである。
「先日篠ノ之博士に口止めされていました。しかし公での形態移行はあの場が初めてです」
篠ノ之博士という名前が出たとたん織斑先生が頭を抱え始める。
いや偏頭痛持ちだとは聞いたことはなかったけどね。
「そうか・・・最初から参加させるべきではなかったかもしれんな・・・そのほかに何か特筆すべき事はないか?」
あ、あきらめて話題を変えた
「では、簡単にミラージュ ランサーF1(FX/G2/CR-200)の第2形態ミラージュ・タイフーン・バージョン2(FX/EF-2000/X-31)の機能説明をさせていただきます」
第1形態からの相違点は以下の通りである
・この形態では可変翼からデルタ翼になり、カラーがホワイトをベースにブルーのストライプが入るようになる。
・単一仕様能力の出現(ただし使用可能なだけである実際に使用したわけではない)。
装備の変化
・VR ランサー:V ランスの正常進化形態。展開装甲の採用による攻撃範囲の増大。
・イプシロンMk.037:第二形態から使用可能になるイプシロンMk.7の正常進化形。単射もしくは三点バーストモードのみとなる。威力はほぼ同じだが命中精度は200%増し。
・ペガサス Mk.107:イプシロンMk.037と同じく第二形態から使用可能になるビームアサルトライフル。機能としては単射・フルオート・三点バースト・スナイパー(狙撃専用モード)の4つとなる。ただし拡散形、中央集中型など数種類のバリエーションがある。
など
「ちなみにハードとソフトを含めて変更点は1700箇所以上に及びソフトウェア面では第2形態のデータを第1形態での運用時に適応し自己進化を・・・」
と言いかけたところで
「赤城・・・」
「はい」
困った顔をする織斑先生
「あと、どのくらいで説明が終わる?」
あとどれくらい?
「あと2時間程度です」
これでも簡易的なのですがと付け加えるとゲンナリという表情になった
「・・・もういい、十分だ」
説明終了。
「とりあえず、改良点の他に問題点も浮上していますので、それを改善しない限りはクラス代表機としての運用は難しそうですね」
例として操縦者へのキックバックのフィードバックである。
ISはキックバックと呼ばれるGや衝撃を吸収するアンチフィードバック機能というものが存在するが、現在のミラージュはアンチフィードバックの値が2:1程度、つまりIS事態が受けるダメージの半分を操縦者が受けていることになる。
もちろん制限を超えたフィードバックは無効になるのでそれ以下に押さえられてはいるがやはり細部を微調整しないといけないらしい。
「その件に関しては問題ない。第二形態移行(セカンド・シフト)した時点でお前は候補から外れている」
要するに1年生でセカンド・シフト=1年生の現状機の中で最強という図式ができあがるので学年全体の士気に関わると言うことらしい。
「了解です。ではオルコットさんがクラス代表になられるのですか?」
そう聞くと織斑先生は
「それは、本人達に聞くことだ。お前はもう少し休んでから寮に戻れ」
そう言うと織斑先生は立ち上がった。
織斑先生が医務室を出るとき入れ替わりにシャルルが入ってきた。
シャルの情報によると
結局一夏は良いところまでオルコットさんを追い詰めたものの零落白夜の特性を理解していなかったため負けたそうだ。
「俺は織斑先生の判断でクラス代表候補から外れたみたいだよ」
お手上げという感じで両手を挙げて見せた
「あーやっぱりね・・・織斑先生が管制室で見てられないくらい震えてたから・・・」
俺生きてて良かったな・・・。
「でもまあ・・・一夏には会っておこう・・・」
シャルルには先に部屋に戻ってもらい俺は掛けられていた制服に着替えて一夏を探しに行った。
・・・今思ったんだが寮にいるのかもな・・・まあいいや。
ひどく喉が渇いていたので自販機で飲み物を探す目にとまったのは酷く甘ったるいことで有名なコーヒーだった。
売ってるんだ、買うしかないなこれは。
アリーナ更衣室・・・いた。
一夏はなんといったものか・・・「燃え尽きたぜ・・・真っ白にな・・・」的な雰囲気なんですけど。
おかしいな、不満が残る終わり方だった気がする。
「一夏、おつかれさん」
そう言ってさっき買った甘いコーヒーを差し出す。
※2つ購入しました
「あ・・・ああ、サンキュー」
疲れた体には砂糖が良いぞ!と誰かが言ってた気がする。
「それ、メチャメチャ甘いからね」
あ、むせた。
「なんだよこれ、ホントにコーヒーか?」
おう!コーヒーだ
「M○Xコーヒーだ、疲労回復には良いぞ」
コーヒーは正直どうでも良い、それよりも
「さてと・・・代表決定戦最後の一試合。・・・やりますかね」
いや、ミラージュの実力だと射程外攻撃で簡単に落とせるけど、近接形と戦ってみたいというのが本音でもある。
「マジでやるのか?」
無言で頷く