「ナツ……オレはお前のそういうノリのいいとこは、嫌いじゃねえ」
「ナツ」
「祭りだろ?じっちゃん。行くぞ!!!」
そう言ってラクサスに飛び掛っていくナツ。
「待てナツ!!! 昔ラクサスに瞬殺されたのを覚えてないのか!!?」
「ガキの頃の話だ!!!」
「去年くらいの話だよ!!!」
「去年はガキだったんだぁ!!!」
グレイの制止を無視して、ナツはラクサスに殴りかかる。
「だが……そういう芸のねえトコは好きじゃねえ」
「オラァーー!!!」
「落ち着けよナツ」
「びぎゃああああっ!!!」
だがその拳はラクサスに届く事なく、逆に電撃を喰らってナツは気絶してしまった。
「ったく…言わんこっちゃねえ」
「ナツ、お前弱くなってねぇか?」
気絶したナツを見て、そう呟くグレイとレーヴェ。
「このコたちを元に戻したければ、私たちを倒してごらんなさい」
「オレたちは4人。そっちは100人近くいる。うっわぁ!! こっちの方が不利だぜ、ぎゃはははっ」
「制限時間は3時間ね。それまでに私たちを倒せないとこのコたち……砂になっちゃうから」
「バトルフィールドはマグノリア全体。俺たちを見つけたら、バトル開始だ」
「ふざけおってぇ!!!!」
ガマンの限界が訪れたマカロフは巨大化するが……
「だから慌てんなって……祭りの余興さ、楽しもうぜ」
ラクサスがそう言うと、次の瞬間……閃光を発し気がつくとラクサス達は消えていた。
「チッ……逃げやがったか……」
「マグノリアで鬼ごっこでもやろうというのか……」
「あんのバカタレめぇっ!!!」
それを確認したギルドメンバーたちは大急ぎで走り始めた。
「くそぉぉぉお!!! 姉ちゃんたちを助けねえと!!!」
「ラクサスを捕まえろぉ!!」
「舐めやがってーー‼︎」
そして、ギルドメンバーが怒りを燃やしながらギルドから出て行く。
「ワシが……ワシが止めてやるわ!!!! クソガキがっ!!!!」
当然マスターであるマカロフもラクサスを探しに行こうとした。しかし、見えない壁に阻まれる。
「なにやってんだ爺さん!」
「何じゃコレは!!? 進めん!!! 見えない壁じゃ!!!」
「こんな時にどーしちまったんだよ。見えない壁なんかどこにもねーだろ」
グレイはマカロフの頭を掴んで思いっきり引っ張るが、外に出ることは出来なかった。
(爺さんにだけ見えない壁……まさか⁉︎)
レーヴェが入り口に手をかざすと、空中に謎の文字がでてくる。
「術式魔法か」
「なんだよ、そりゃ!」
「踏み込んだものを罠にはめる設置魔法で、踏み込んだものがルールを与えられそれを守らないと出られないんだよ」
空中の文字には、【80歳を超えるものと石像の出入りを禁止する】とでている。
「なんだよこの魔法は‼︎?言ったもん勝ちじゃねぇか‼︎」
グレイが術式魔法に悪態をついた。だがこの魔法は、実際はそこまで便利でもない。罠としては絶大な効果を発揮するが、普通の戦闘には向いていない。だが、術式魔法が発動された今マカロフはもう動けないのだった。
「爺さんでも壊せないのかよ!」
グレイがマカロフに尋ねるが、マカロフは顔を横に振り振った。
「レーヴェ、お前は何とかできねぇのか?」
グレイがレーヴェが訊ねるが、レーヴェの答えもできないだった。
「初めから、爺さんは参加させる気はねえってことか。あんたの孫だろうが容赦しねえ。ラクサスをやる」
そう言いながら、グレイはギルドから走って出て行った。マカロフはラクサスはここからどうするかを考える。すると、扉の影に隠れている一人の人物を見つける。
「マスターごめん、俺ラクサス怖くて...」
「リーダスか!」
その人物とは、絵描きの魔導士…リーダスであった。
「ところで、ポーリュシカの場所はわかるな」
「ウィ」
「石化を治す薬があるかもしれん。行ってこれるか?」
「ウィ!!! そーゆー仕事なら!!!」
マカロフの頼みを快く引き受けるリーダス。だが、レーヴェは……
(多分、この計画は昨日今日で考えられたものじゃない。ってことは、かなり考えられた計画の筈だ。人質をそんな簡単に解放させてくれるのか?)
人質まで取ってまで開催したこのバトルオブフェアリーテイルだが、術式魔法を使ってマカロフを行動不能にした。だが、レーヴェは彼らから何故か自信があるように見えていた。実際、ここまで用意周到な人物達がこんな穴を作るものか。答えは否だ。となると考えは一つだ。
(外との連絡も絶たれているなこれは……)
そう考えていると……
「ごあーーーーーーっ!」
「うおっ‼︎」
突然ナツが飛び起きレーヴェは驚いた。
「ラクサスはどこだ!つーか誰もいねー‼︎」
「そりゃ、お前が気絶してからな」
マカロフにそう問い掛けるナツだが、レーヴェが答えた。
「誰だお前‼︎」
「レーヴェだよ。昔会っただろ」
「俺は、お前なんか知らねぇ」
「ナツ、本当に覚えてないの?」
そうナツに問いかけるのは、青い猫……ハッピーだった。
「久しぶりだな、ハッピー。元気そうで何より」
「あい‼︎レーヴェも久しぶり‼︎」
「こんなことになってなけりゃ物凄く嬉しいんだがな……」
レーヴェが残念そうにボヤいた。
「祭りは始まった‼︎ラクサスはマグノリアの中におる!倒してこんかい!」
「おっしゃぁぁぁぁぁぁぁっ!待ってろラクサスゥゥゥゥ!」
レーヴェとハッピーがやりとりをしている間に、マカロフに焚きつけられ、やる気満々で出口に向かって駆け出すナツ。しかし……
ゴチーーーーーーーン!
「なにコレ?」
「「「えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜⁉︎」」」
何と…ナツも術式に阻まれて外へ出る事ができなかったのだった。
「どーなっとんじゃー!」
「俺に聞くな‼︎ナツ、お前80歳以上だったのか⁉︎」
「知るか⁉︎」
そんな会話をしていると空中に文字がでてくる。
(バトルオブフェアリーテイル途中経過速報?)
そこには、【ジェットvsドロイvsアルザック...勝者アルザック。ジェットとドロイは戦闘不能。フェアリーテイル残り81人】
と書かれていた。
「これは⁉︎」
「なるほどな。フリードの術式で同士討ちさせてるのか。よく考えられてるな」
「関心しとる場合か‼︎」
「痛っ‼︎」
関心するレーヴェに対しマカロフにはチョップを放つ。レーヴェはあまりの痛みに頭を抑えてしゃがみこんだ。
「っていうか、なんでまだお前さんはここにおるんじゃ‼︎早く行かんかい‼︎」
「いや、行きたいのは山々なんだけど、まだ俺ギルドの一員じゃないじゃん」
まだ、レーヴェは正式にギルドに入っていたわけではなかった。何故かと言うとまだ、ギルドの紋章を入れていないのだ。紋章は各ギルドによって決められており、それがないと正式に入ったとは言えないからだ。
そして、こう話している間にも妖精達の共食いは続いていた。
【リーダスVSフリード】
【勝者:フリード】
「リーダスがやられた!!」
「くぅ……やるなぁフリード!!!」
「のんきな事言ってる場合じゃないよ!!! リーダスは石化を解く薬を取ってくるハズだったんだ」
石化を解く最後の希望を打ち砕かれ、マカロフは悔しそうに顔を歪める。
「治す事ねえよ。どうせハッタリだから」
「ハッタリだと思ってんのか?ナツ」
「「!!!」」
「ラクサス!!!」
声がした方へ視線を向けると、そこにはラクサスが立っていた。
「思念体か」
「つーか何でナツとレーヴェはここにいんだよ」
「うっせぇ!!! 出られねえんだ!!!」
「俺はまだ、ギルドの人間じゃないんでね」
「ラクサス…貴様……」
マカロフがそう呟きながらラクサスを睨みつけるが、ラクサスは余裕の笑みを浮かべている。
「仲間…いや、アンタはガキって言い方してたよな。ガキ同士の潰し合いを見るに堪えられんだろ? あ~あ…ナツやエルザ…レーヴェも参加できねえんじゃ、雷神衆に勝てる兵はもう残ってねえよなぁ。降参するか?」
「くぅ……」
ラクサスの言葉にマカロフは小さく唸る。すると、ハッピーが口を開く。
「まだグレイがいるよ!!! ナツと同じくらい強いんだ!!! 雷神衆になんか負けるもんか!!?」
「オレと同じだぁ!? アイツが?」
「だってそうじゃん」
「グレイだぁ? ククッ、あんな小僧に期待してんのかヨ」
「グレイをみくびるなよラクサス」
ラクサスを睨みつけながらそう断言するマカロフ。しかし……
【グレイVSビックスロー】
【勝者:ビックスロー】
目の前に表示されたのは、グレイの敗北の知らせだった。
「ふははははっ!!! だーから言ったじゃねーか」
「嘘だっ!!! 絶対何か汚い手を使ったんだよっ!!!」
「ぬぅ…」
その知らせを見て、ラクサスは高笑いをし、ハッピーは知らせを認めずに叫び、ナツは唸った。
すると、レーヴェがハッピーの前に出て口を開いた。
「なあ、ラクサス。あんたは一体何が狙いなんだ?こんな、同士討ちをさせて何がしたい?まぁ、予想はついているけどな」
「ほー。言ってみろよ」
「あんたが欲しいのは……マスターの座だろ」
「な⁉︎」
レーヴェの言葉に驚くマカロフ。だが、レーヴェは淡々と続けた。
「元からあんたは、ギルドに不満があったんじゃないか?自分が、〝マスターの孫〟ってレッテルが貼られているのに。自分が色物扱いされてるのにさ」
「あぁ、その通りだ。お前の言う通り、色物扱いされているのに気に食わなかった。そこに、親父の破門だ。こんな恥をかかされてヨォ。だから俺は決めたんだ。1人の男である為に……俺は、このギルドを最強のギルドにする‼︎その為に雑魚は必要ねぇ‼︎」
「だから、あんたは
「家族だぁ?綺麗なこと言うが結局は赤の他人だろうが」
「だが、ナツはあんたの事を信じているぞ。家族だってな」
「それが甘いって言ってんだろ」
レーヴェの言葉を一蹴するラクサス。すると、レーヴェは拳を握りしめる。そして、レーヴェの周りには真紅の闘気が漂っていた。それは、ラクサスに対する怒りの表れ。ナツの思いを踏みにじった事にたいしたものだった。
「ナツやマスターの思いを踏みにじったあんたは……俺が潰す」
「はっ‼︎だったら早く俺を見つけてみな、
そう言って、ラクサスの思念体は消えた。レーヴェが後ろを向くとそこには、ギルドマークを押す為のハンコのようなものを持っていた。
「探してきてくれたのか」
「だって、レーヴェはギルドマークいれてないんでしょ」
「あぁ。手の甲に押してくれないか?」
そう言うと、ハッピーはレーヴェの手の甲にハンコを押した。
レーヴェが出て行こうとした時、マカロフがレーヴェを呼び止めた。
「おぬし、武器なしで勝てるのか?」
「無手は習ってるし大丈夫だ。武器ももうすぐ届くだろうし」
「……ラクサスを頼む」
「あぁ、任せてくれ」
そう言って、レーヴェはギルドを飛び出した。
◆
(さて、どこから探そうか?)
レーヴェがそう考えていると、針が飛んでくるので、バック宙して後ろによけた。飛んできた方角を見ると1人の女性がいた。
「エバーグリーンか」
「あなた、てっきり闘わないかと思ったわ」
「まさか。それにしてもお前から来るなんてな」
「たまたま、見つけたのよ」
エバーグリーンは笑いながら答えた。
それは、余裕の現れだった。レーヴェごときはすぐに倒せるだろうと思っているのだ。
「それじゃ、行くわよ」
レーヴェを見下しながらそう言うと、エバーグリーンは背中に身につけた羽を広げ、そのままクルリと宙返りをする。それと同時に、羽から落ちた粉がレーヴェに降りかかる。
「妖精爆弾グレムリン!!!」
突然その粉が大爆発を起こす。レーヴェはその爆炎のを受けてしまった。
だが、レーヴェは何事も無かったように立っていた。
「へぇ、やるじゃない」
そう言ってメガネを上げてでレーヴェを見つめるエバーグリーン。エバーグリーンは
当然、レーヴェも石化させられないように眼を閉じる。
そこに、エバーグリーンは打撃を加えレーヴェを吹き飛ばした。
「あはは‼︎どうしたの、あなたってこんなに弱いのかしら?」
だが、レーヴェはまたも何事もないかのように立ち上がった。
ここで、エバーグリーンは違和感を覚えた。それは、
普通の人間では、まず動ける事は出来ない筈だった。実際、ギルドメンバーである、エルフマンもこの爆撃の後の打撃によって戦闘不能になったのだ。
「こっちの番だ」
レーヴェは拳を構える。
その動作を見たエバーグリーンは、警戒した。
だが、警戒した時には、もう遅かった。もう、レーヴェは目の前に迫っていたのだから。
「
レーヴェは真紅の闘気を纏った拳で容赦なくエバーグリーンのを殴り飛ばした。
建物の壁に衝突したエバーグリーンは起き上がろうとするもまともに動けなかった。
(何よこの威力⁉︎それに、あのスピードは一体⁉︎)
「さて、さっさと石化を解除してもらおうか」
すると、レーヴェがエバーグリーンの目の前で立っていた。レーヴェは石化を解除するように言うが何故か、笑みを浮かべていた。
「うふふ……ちょっと甘いんじゃないの? 私の
エバーグリーンはレーヴェに向かって叫びながら脅迫すると、レーヴェは無言のまま目を伏せた。
「なるほどな。命より勝ち負けの方が重要ならそれもそれでありだ」
そう言ってレーヴェは、射殺すかのような眼を向けた。
「ひっ‼︎」
エバーグリーンはその時見えたのだ。レーヴェの後ろに鬼がいるのを。
「殺された奴らの命はお前の命で償ってもらう」
「きゃああああああ!!!!」
だが、その拳はエバーグリーンにめり込むことなく壁を殴っていた。
「ハッタリはこう使うんだ」
「は、はい」
【レーヴェVSエバーグリーン】
【勝者レーヴェ】
to be continued