それから数日経った。首領の執務室。
「アイズもとうとうレベル6になりおったか」
ロキファミリア最強戦力一角ガレス・ランドロック、レベル6。
「あの娘に触発され、ティオナ達もすぐに続くだろうな。……アイズのように無茶をやらかさなければいいが」
九魔姫リヴェリア・リヨス・アールヴ、レベル6。
「はは、まぁ周囲の士気が上がるのはいいことだよ」
勇者フィン・ディムナ、レベル6。
「フィン達もうかうかしておれんとちゃう?古参の面子を潰されんようにな〜」
ロキ・ファミリア主神、トリックスター、ロキ。
「…………………」
逃足ブラム・アデス、レベル4。完全に浮いていた。
「ははは、そんな緊張しなくてええよ。なんならウチが緊張ほぐさために色々やったろか?」
「そんなん言われても無理ですよ!入れ墨モンに囲まれたパンピーみたいになってますよ!」
「そうは言うてもなー。ブラムたんからもキチンと話聞かんといかへんし」
ううっ……と身を縮こめるブラム。
「何を緊張しとるブラム。仲間同士じゃろう」
「仲間同士でもシロッコとジェリドじゃプレッシャー違い過ぎるでしょ!」
ツッコむも、他のやつは目を閉じて誤魔化す。
「じゃ、そろそろ始めよか。極彩色の魔石にまつわる話。最近ドタバタしとったし、詳しい情報交換しとこ」
机の上に乗りながらロキが言った。
「極彩色の魔石……50階層の新種と、フィリア祭に出てきたと言っとった、食人花じゃな」
「この二種類のモンスターの関係は今は置いておくとして、地下水路の方はどうだったんだい、ロキ?ベートと一緒に向かったんだろう?」
ガレスの後にフィンが続けた。
「モンスターは出てきおったけど、碌な手掛かりは見つけられんかったなぁ。胡散臭い男神には面倒ごと押し付けられるし……」
10日前、ベートと地下水路で食人花を倒したことと、最後にギルドへ侵入しウラノスと接触したことを語った。
「ギルドは白と見ていいのか?」
「なんかは隠してそうやけど、今回の騒動には直接関係してないような気はするなぁ……。んじゃ、フィン達の方は?」
ロキが自分の情報を渡し、フィン達の情報を求めた。フィンもリヴィラの街であったことを話した。
「モンスターを変異させる、とはにわかには信じられんのう」
「アイズとレフィーヤしか目撃した者はいないが……」
「うちはその調教師の同じっちゅう奴の方が気になるなぁ」
「その事についてはブラムに話してもらおうと思ってるんだ」
「ぼ、僕ですか⁉︎」
急に話を振られて、驚くブラム。
「あの女と交戦したのは君とアイズだけだからね。それに、アイズよりもブラムの方が分かりやすく説明してくれそうだよ」
そう言われて仕舞えば、ブラムも悪い気はしない。説明と自分の考えを話し始めた。
「えっとですね……ヴァレンシュタインさんを圧倒してたことから、レベル6以上なのは確定です。あと、あの人、多分地上の人じゃないと思うんです」
「どういう意味だ?」
「僕ならまだしも、団長やリヴェリアさんを見て一度も二つ名を呼ばなかったし、何より『レベル5、いや6か』と言ってました。ロキファミリア筆頭の化物三人中二人のことを知らない人が地上にいると思いますか?」
化物呼ばわりにイラっとしつつも何とか三人は堪えた。
「多分、もう長い間ダンジョンから出て来てない。それだけの長い間、30階層でコソコソと何かやってる、と思います」
「なんで30階層だと?」
「へっ?だって、ハシャーナさんは30階層まで宝玉を取りに行ったんでしょう?だったら30階層かその付近で何か起こってると思うのが自然じゃないですか?で、ハシャーナさんが宝玉を持ち去る所を見て焦ったあのババァが慌てて追い掛けたみたいな。地上に出てきてないんなら、ハシャーナさんのレベル知らなくても仕方ありませんし、モンスターの出てくるダンジョンで正面からハシャーナさんを殺すより、18階層でわざわざ油断した所を狙った意味も納得出来ますし。ただ分からないのが、どうしてハシャーナさんが裸だったのか、ですよね……」
顎に手を当てて真面目に考える。どうしてそこまでわかってそこが分からない、とフィン達が思ってると、ブラムが言った。
「これが僕のあの女に対する、その、何、感想?です」
「………………」
それを聞いて、フィンは少し顎に手を当てて考えた後、言った。
「ブラム、レベル5になれ」
「へあっ⁉︎い、いきなり何ですか⁉︎」
「いや真面目に。君はそれだけ頭が回る。指揮官になれるタイプだ。今のレベル5勢のまとめ役になって欲しい」
言われてブラムはレベル5勢を思い出す。
ティオナ→戦闘狂
ティオネ→団長ラヴ
ベート→雑魚は嫌い嫌い
「や、でもラウルさんがいるじゃないですか!」
「あいつに君ほどの思考力と洞察力はない。頼むよブラム」
「そう言われても……この前、無茶はするなって言ったの団長じゃないですか」
「僕とリヴェリアとガレスの三人でちゃんと後ろから見守ってやる」
「それは安心できますね……」
「フィン、話がズレとる。それは別の時にせい」
ロキに言われて、「すまない」と小さく詫びた。
「まぁ、そういうわけだ。ブラム、もう下がっていいよ」
「へ?ぼ、僕だけ?」
「うん。これから先は大人の話だ。聞きたいならいてもいいけど」
「大人の?」
「そうやな。例えばセ○クスとか」
「し、失礼しました!」
ブラムは慌てて部屋から飛び出した。