レベル5になれ、と言われたブラムはとりあえず自室で寝転がった。
(まぁ、確かに強くならなきゃ、ダメだよね。1人じゃ何も出来ないし……)
そう思うと、スクッと立ち上がった。そして、たったかたったかとダンジョンにソロで向かって行った。
*
で、ダンジョン。10階層くらい。
「そぉら!」
流石に10階層程度なら負けはしない。ブラムは良い感じに戦っていた。
「ふぅ……んっ?」
そこで声を漏らした。
「ああもうっ!邪魔!」
近くで誰かが戦っていた。この階層にいるということは間違いなく自分より下の冒険者、つまり後輩ということだ。と、勝手に頭の中で解釈し、変な先輩風を吹かせて助けてやろうとニヨニヨしながらブラムは助けに行こうとしたが、その前にモンスターは消滅した。
「……ありっ?」
「へっ?」
「あっ」
アイズと遭遇した。
「………ヴァレンシュタインさん?」
「ブラム、どうしてここに?」
「いや、1人で少しでも強くなろうと思って……」
「……そっか。良いこと、だね」
アイズは微笑んだ。
「てか、ヴァレンシュタインさんこそなんでここに?」
「ちょっと、ギルドの人から頼まれ事があって……あっ」
説明の途中で声を漏らすアイズ。足元から何かを拾い上げた。緑色の装備品のようなものだ。
「……これは」
「? なんですか?」
「あの子の……?」
とりあえずそれを持っておくことにした。その時だ。
「ッ」
ピクッとプラムが反応した。そして、霧の向こうをジッ見つめた。
「? ブラム?」
声をかけたアイズも反応し、その方向を見た。
『……気付かれてしまうか。お見逸れする』
その言葉とともに霧から姿を現した。黒いローブの人物。
「私達に何か用ですか?」
「ああ、その通りだ。しかし、逃足にまで気付かれてしまうとはな」
「まぁね。僕、こう見えても敏感だから」
「ただビビリなだけだろう」
「い、いいだろ!リーダーの器はむしろ臆病なのが丁度いいんだよ!」
「リーダー?誰が?」
キョトンと首を捻るアイズに、ブラムは泣きそうな顔を浮かべるが、無視された。
「貴方は、誰?」
「何、しがない魔術師さ。……以前、ルルネ・ルーイに接触した人物、と言えばわかってもらえるだろうか」
「……誰?」
今度はブラムが首を捻ったが無視された。
「アイズ・ヴァレンシュタイン、それとついでにブラム・アデス。君達に冒険者依頼を託したい」
「僕達に?」
「24階層でモンスターの大量発生、異常事態が起こっている。これを調査、あるいは鎮圧して欲しい」
初耳なんだけど……と、頭の中でツッコミを入れるブラム。
「ことの原因の目星はついている。おそらく、階層の最奥……食料庫」
それを聞いて、ブラムは目の前の男の意図を探ろうとしたが、黒いローブで顔色が見えない。
「実は、以前にも30階層……ハシャーナに向かわせた場所で、今回と酷似した現象が起こっていた」
「!」
動揺するアイズをよそに目の前の人物は続けた。
「『リヴィラの街』を襲撃した人物……例の宝玉と関係している可能性が高い」
「可能性が高いんじゃなくて、確定だよね」
ブラムは目の前の人物は明らかにアイズの関心を引こうとしている。
「そんな分かり切ったこと言って僕達を何に巻き込むつもりか知らないけど、僕今修行中だから……」
「わかりました……」
「ヴァレンシュタインさぁん⁉︎」
思わず大きく振り返った。
「できれば今すぐにでも向かって欲しい。いいだろうか?」
「あの、伝言してもらってもいいですか?私のファミリアに」
「ん?ああ……なるほど。わかった、それくらいは頼まれよう」
「ちょっ、ヴァレンシュタインさん!」
「嫌なら私一人で行くよ?ブラム」
「……………」
この人を一人にすると何をするかわからないと思った。
「分かりましたよ……。僕もやります。でも一つだけ聞かせて」
真面目な顔でブラムはローブの奴に聞いた。
「……なんだ?」
「あなたは、ギルドの人でいいの?」
「………ギルドの人、とは?」
「いやー、ふと思っただけなんだけど、ヴァレンシュタインさんはギルドの人の依頼でここまできた。そこにあんたが現れて依頼するなんて、偶然とは思えないでしょ」
「……………」
「ブラム、それは違うよ」
アイズが口を挟んだ。
「私は別の冒険者を助けるように依頼されただけ。その人は依頼人と仲良いみたいだったから」
「………なるほど。分かりました」
そうブラムは納得しておいた。
「では、2人とも。まずは『リヴィラの街』によってくれ。協力者が既にいる」
「わかりました」
そう言うと、ローブの奴は帰って行った。
「……じゃ、行こっか」
「は、はい!」
アイズとブラムも出掛けた。
「あっ、言っときますけどこれデートとかじゃないですからね?僕はティオナさん一筋ですから」
「………なんの話?」
アホだった。