ロキファミリアの囮役   作:杉山杉崎杉田

20 / 43
ジャガ丸くん抹茶クリーム味

ロキファミリア。

 

「また来おった……」

 

ロキが声を漏らした。ディオニュソスがやって来たからだ。ディオニュソスは、今オラリオで何かを企んでる奴を探す為の協力者みたいなもので、前々から顔を合わせていた。

 

「気になる情報を仕入れたんだ。立ち話もなんだから、どこか腰を落ち着けてゆっくり話さないかい?」

 

本当は帰らせようと思ったのだが、ディオニュソスの後ろのフィルヴィスが特上の酒の瓶をちらつかせたため、渋々中に入れた。

 

「で、なんや?気になる情報っちゅうのは」

 

聞かれて、ディオニュソスはギルドが24階層に関スルクエストを一切貼り付けてないことから、情報を制限してる事を話しておいてから、言った。

 

「あまり知られていないが、以前にもこのようなモンスター大量発生があった。30階層でだ」

 

「それはいつの話や?」

 

「確か……三週間ほど前か。下層の話だけに、上級冒険者の間でも取り沙汰されていなかったようだが。中層よりさらに危険度が増した下層に進出できる者は冒険者の中でも限られている。目撃者が僅かだったことから大量発生の噂は広まらなかったようだ。私は、ウラノスが裏で暗躍して24階層に私兵を送り込んでいるのではないか、と考えている」

 

「やっぱりギルドは信用できんか?」

 

「……ウラノスに探りを入れたのはロキだ、君が白だと見たなら私も文句は言わないが……」

 

言われて、ロキは一口酒を飲んだ。

 

「で、結局何をさせたいんや?自分は」

 

「ははは、何かわかったら知らせると言っただろう?他意はないさ」

 

「うちんとこの子は今出払っとるから、24階層の調査なんて無理やー」

 

「ひょっとして、例の地下水路かい?」

 

ロキは頷いた。今、フィンやらティオネやらティオナやらが地下水路に行っている。他のガレスやら何やらも魔剣の発注などで忙しかった。

 

「【剣姫】はいないのかい?彼女に向かってもらえれば百人力だ」

 

と、ディオニュソスが言った時だ。空からぽとりと羊皮紙の巻物が落ちてきた。伝書鳩だ。

 

「手紙かい?」

 

「みたいやな」

 

中身を見ると、ロキは自分の額をパンっと叩いた。

 

「アイズが24階層に行きおった……」

 

ごふっ⁉︎とディオニュソスが紅茶を噴き出した。

 

「しかもブラムもセットや。冒険者依頼を頼まれて24階層……このタイミングじゃ、まさにやろ。『心配しないでください』って、するわっ、天然アイズたんっ」

 

そして、ロキは近くの団員にベートとレフィーヤを呼ばせた。

 

「どうする気だい?」

 

「ベート達にあとを追わせる」

 

「2人だけで大丈夫なのか?持ちかけておいてなんだが、24階層の件は危うい香りがするぞ」

 

「しょうがないやん、他の子らは出払っとるんやから。アイズの力になれそうなのは、ベートとレフィーヤくらいしか今はおらん」

 

すると、ディオニュソスは後ろのエルフに言った。

 

「フィルヴィス。ロキ達の子とともに24階層へ向かえ」

 

「ディオニュソス様、何を⁉︎あなた様の護衛はどうなさるのですか⁉︎」

 

「私情でロキを巻き込んだのは私だ。ただ任せるのではなく、誠意を見せなければならない。何より、私はロキの信用が欲しい」

 

言われて、フィルヴィスは仕方なく頷いた。

 

 

18階層。アイズとブラムはようやくそこに到着した。

 

「はぁ……疲れました……」

 

「お疲れ、ブラム」

 

「は、はい……お疲れ様です……」

 

「相変わらずの囮っぷりだったね。すごかったよ」

 

「それ褒めてるんですか?」

 

そんなことを話しながら、ローブの奴に指定された酒場に向かった。洞窟の中に入り、カウンター席に向かった。

 

「んん?あれっ、【剣姫】じゃないか⁉︎こんなところで、奇遇だな!」

 

「………ルルネ、さん?」

 

隣にルルネがいた。

 

「………誰ですか?」

 

「宝玉を持ってた人」

 

「ああ、例の……」

 

「そっちは【逃足】か?初めましてだな」

 

「は、はぁ……どうもです」

 

軽く会釈するブラム。アイズはドワーフの主人を見た。

 

「注文は?」

 

聞かれて、アイズは合言葉を口にした。

 

「ジャガ丸くん抹茶クリーム味」

 

その時だった。隣の席からガシャーンッ‼︎と椅子が盛大にひっくり返った。

 

「あ、あんたが、援軍?」

 

まさか、とアイズも思った。すると後ろでカード賭博をしていた獣人達が立ち上がってこっちを見る。

 

「彼女で本当に間違いないんですか、ルルネ」

 

「あ、アスフィ……」

 

水色の髪の女性冒険者が立っていた。

 

(アスフィ・アル・アンドロメダ……)

 

ヘルメス・ファミリアの首領であり、オラリオに五人といない『神秘』保有者らしい。

 

「貴方達も、依頼を受けたんですか?」

 

ブラムが聞いた。

 

「あら、【逃足】も一緒だったんですね。ええ、そうです。この金に目がない駄犬のせいで、ファミリア全体が迷惑を被っています」

 

「あ、アスフィ〜」

 

容赦ない言葉に、ルルネは情けない声を出した。

 

「ま、まぁまぁ、それよりこれからのこと話しましょうよ」

 

ブラムが間に入ると、「そうですね」とアスフィは賛同し、口を開いた。

 

「依頼の内容を確認しますが、目的地は24階層の食料庫。モンスターの大量発生の原因を探り、それを排除する。間違いありませんか?」

 

「はい」

 

「では、次にこちらの戦力を伝えておきます。私を含めて総勢15名、すべてヘルメス・ファミリアの人間です。ステイタスは大半がLv3」

 

「あーえっと、こっちは知ってると思いますけど、ヴァレンシュタインさんLv6、それと僕がLv4です」

 

「頼りにしています」

 

「いやあ!お任せ下さい!」

 

「ブラム、恥ずかしいからやめて」

 

頼りにされて嬉しそうに胸を張るブラムにアイズは冷たく言った。そんなわけで、全員で出発した。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。