花を一通り殲滅した。ブラムが魔力に敏感に反応することと打撃があまり効かない事を教えたこともあり、スムーズに殲滅出来た。
「聞いてはいましたが、あれが例の新種モンスターですか……」
「固くて、速くて……しかも数が多い。やになるよなー」
「助かりました。逃あ……ブラム。あなたの情報のおかげでスムーズに倒せました」
アスフィに褒められて、若干照れたように微笑むブラム。
「い、いえいえ。僕は知ってることを伝えただけですから」
「……………」
が、明らかに嬉しそうな顔をしてるブラムにアイズは耳打ちした。
「……ティオナに鼻の下伸ばしてたって言うから」
「ええっ⁉︎な、なんでですかぁ!てか伸ばしてませんよ!」
「伸びてる」
アイズにムスッとした顔で言われて、困った顔を浮かべてると、アスフィ達が先に行ってしまったので慌てて後を追い掛けた。
しばらく歩いてると、また分かれ道が出てきた。
「また分かれ道か……。アスフィ、次はどっちに……」
と、ルルネが聞いたときだ。左右両方の道から花頭のモンスターが現れる。
「両方からかよ……」
「違う……後ろからも」
「げっ」
呻くルルネに追い打ちをかけるようにアイズが言った。3方向からの挟み討ちだ。
【剣姫】、片方の通路を受け持ってくれますか?」
「分かりました」
「お手伝いしまーす」
アスフィの指示にアイズは従い、ブラムはその後に続いた。それぞれの冒険者が三方向に別れた時だ。狙ったかのように天井から巨大な柱が落下した。
「っ⁉︎」
「うおっ」
慌てて躱したが、完全にヘルメス・ファミリアと分断されてしまった。そんな中でもモンスターは構わず挑んで来る。
『オオオオオオオオオオオオッ‼︎』
吠えながらブラムに向かってくるモンスターをアイズは秒殺した。そのまま柱の向こうにいるルルネ達と合流しようと、アイズは柱を壊そうとした。だが、それをブラムが止めた。
「ブラム?」
「後ろ、最悪の人が来ます」
「………えっ?」
ブラムの視線の方向には、どこかで見た女が歩いて来ていた。
「そちらから出向いてくれるとはな。願ったりだ」
赤髪の調教師の女だった。うへぇっとブラムは嫌そうな顔をする。
「……あなたは、ここで何をやっているの?」
「さぁな」
「これは、このダンジョンは何?貴方が作ったもの?」
「知る必要はない」
アイズの質問をことごとく答えない調教師。そのまま三人で睨み合った。調教師は言った。
「お前は黙って付いて来ればいい。会いたがってる奴がいる。来てもらうぞ、『アリア』」
「………アリア?」
その台詞にポカンとするブラム。
「私は『アリア』じゃない。『アリア』は私のお母さん」
「世迷言を抜かすな、『アリア』に子がいるはずがない。仮に、お前が本人でなくとも、関係のないことだ」
「貴方はどうして『アリア』を知ってるの?『アリア』の何を知っているの?」
「名を知っているだけだ。『アリア』に会いたいと何度もせっつかれてな……うざったらしい声に従って探していれば、お前に会った。それだけだ」
そう言うと調教師は地面に手を突き刺した。
「無駄な話は終わりだ。お前を連れて行く」
そして、手を抜くと、ズズッと赤い液体を散らしながら長い棒状の塊が出てきた。柄が存在する長剣。
「天然武器?」
そして、女は剣を構えた。
「行くぞ」
瞬時、女は突撃した。だが、アイズの前にブラムは立ちはだかった。
「『跳躍』」
そう言うと、調教師の女の足元に透明のバネが出現、思いっきり天井に女は突き刺さった。
「こんな使い方も出来るんだ……」
「ブラム、下がって」
「ヴァレンシュタインさん、こいつは僕がやります」
「ブラムじゃ無理だよ。2人で……」
「団長に言われちゃったんですよね。レベル5になれって。だったら、この女ぶっ倒してランクアップするしかないでしょ」
その言い草にアイズは反論しようとした。何も、フィンはそんな無理をさせようとしたわけではないと。だが、その前に天井に減り込んだ女から声が出た。
「……そうか、どっかで見たやつだと思ったが、怪力ババァとほざいて来たお前か」
そして、ぶら下がってる腕を天井に置いて、頭を抜いて落下しながら言った。
「舐められたものだな。『アリア』ですら私に歯が立たなかったのを見ていなかっ」
「『跳躍』」
「たのかぉぉおおッ⁉︎」
だが、着地した所に透明のバネが出現し、再び天井に減り込んだ。うわあ……と、アイズは若干引きながらも、少し感心していた。
「貴様ァッ‼︎私をおちょくってるのか⁉︎」
今度はすぐに天井から顔を出した。そして、真っ直ぐとブラムに直進し、頭を目掛けて剣を振り下ろした。だが、ブラムの頭上に透明のバネが出てきて、そこに剣が直撃。見事に跳ね返った。
「ぬおっ……⁉︎」
思いっきり後ろにひっくり返り、調教師の女の姿勢は大きく崩れた。その隙を突いてブラムは思いっきり女の腹をブン殴った。
「グッ……‼︎」
壁に叩き付けられる調教師。それを見ながらブラムは言った。
「おちょくってる?その言葉、そっくりそのままあんたに返すよ。僕があんたモンスター相手に逃げ回る理由はスキルの所為だ。だけど、今この場にモンスターはいない。ちょっと僕のことナメ過ぎじゃないの?」
言われて、調教師の女はよっこらせと立ち上がった。元々、ステータスがブラムと調教師の女では全然違うので、大したダメージにはなっていない。
「……なるほど、確かにナメていたな。戦闘の発想だけは認めてやろう。だが、」
言うと、調教師の女の姿が消えた。ブラムの背後に回っていた。
「所詮はレベル4だな」
そのまま後ろから拳を繰り出す。ブラムは慌てて前に前転して回避する。それを読んでいたように女はブラムの背後に回った。
「っ⁉︎」
「死ね」
思いっきり突きを放たれ、ブラムの背中から胸を貫通し、そのままバラバラに四散した。