黄昏の館。ロキは自室にて頭を抱えていた。
「………まさか、こんな事になってしまうとは……」
ズゥーン……と肩を落としていた。ロキは主神なだけあって、ブラムが生きてることに気付いていた。
だが、本当にブラムは一瞬死んでいた。ブラムに授けた恩恵が消えたはずだったのだ。
「さては、また新しいスキルの所為か……?ハァ……アイズたん達にどう説明しよ……」
俯きながら頭を抱えるしかなかった。すると、ガチャッと部屋の扉が開いた。
「ロキ?今のどういうことかな?」
フィンが立っていた。
*
【ヘスティア・ファミリア】拠点の教会の隠し部屋。机の上に簡単な料理が置かれた。
「あの、すみません……。わざわざ」
「いいですよ。このくらい」
「いただきまーす」
元気良く挨拶して、早速一口頂いた。
「美味しいです」
「良かった」
あっという間に全部食べ終えてしまった。ふぅーと息をついてお腹をさする。
「ごちそうさまでした〜……」
「それで、えっと……ブラムさん?」
「呼び捨てでいいですし、敬語もいいですよ使わなくて。なんですか?」
「どうして、あんな所で絶望してたの?」
「……えっと、それが……」
囮役のことは置いといて、とりあえず死にかけたら死んだことになってたことを説明した。
「………なるほど。大変だったんですね」
「本当ですよ!まったく……まぁ、僕が撃てって言ったから一回チリになった事はいいんですけど……」
「じゃあ、早く【ロキ・ファミリア】に顔を出したほうが……」
「ダメですよ!葬式まで開いてもらっておいて、そんな事したら僕ブチ殺されますよ⁉︎」
「…………確かに」
超人揃いの【ロキ・ファミリア】に「やっぱ生きてました」なんて言えるはずがない。
すると、ベルが思いついたように言った。
「あ、アイズ・ヴァレンシュタインさんは?」
「………あの人、一緒にダンジョンにいたんですよね。割と責任感強い人ですし、ノコノコ出てったらベートさんの次あたりに怒られそう……」
「…………」
今にして思えば、目の前の獣人はアイズと同じ【ロキ・ファミリア】だ。一つ屋根の下で寝るなんて羨ましすぎた。
「別に帰んなくても良くない?」
「ええっ⁉︎」
ヤケクソな言葉が帰って来た。
「冗談だよ。でも真面目な話、戻りたいなら覚悟決めるしかないと思うけど」
「………ですよね」
大きくため息をつくブラム。
「でも、怖いなぁ……」
「大丈夫だよ。ちゃんと謝れば許してくれるって」
「だと良いですけど……」
「僕、そろそろギルドにいかないといけないから。またね。もし、あれだったらしばらくここにいてもいいから」
「はい……すみません」
ベルは家を出て行った。ここにいても仕方ないので、ブラムは覚悟を決めて、教会を出た。
「………いやでも無理でしょ」
教会に戻った。
「でも先延ばしにすればするほど謝りずらくなるよなぁ……」
教会を出た。
「いやでももう遅いよね。ティオナさんとか泣いてたもんね」
教会に戻った。
「いやでも、このままだとティオナさんとかに会えなくなるよな……」
教会を出た。
「いやいやいや、会った直後瞬殺されるでしょう。よく考えないと僕!」
教会に戻った。
「いやでもせっかく不死身なんだし別に殺されてもそれなりの報いを受けたと思えば……」
教会を出た。
「いやでも待て。もし水の中に永遠に入れられたりしたらどうするんだ?生き返っては死ぬの繰り返し……つーか、溺死だと復活出来るのかな。即死回避ってスキルらしいけど……」
教会に戻った。
「いやでもやっぱここにずっといるのはベルさんにも悪いし……」
教会から出た。目の前にアイズとベルがいた。
「ブラム」
「」
慌てて目を見開いて口を半開きにして死んだフリをするブラム。
「………ガフッ」
「いや、無理あるから」
シレッとそう言われ、ブラムは恐る恐る起き上がった。
「ご、ごめんねブラム……つい言っちゃった……」
申し訳なさそうな顔をするベルと、無表情のアイズ。
「あの、アイズさん違うんですよ。これはですね、復活までに時間が思ったより掛かってですね。まぁ、何せレフィーヤさんの最強魔法で焼かれたわけですから、まずはバラバラになって焼け焦げた僕の細胞を再生させる所から始めないといけないわけで……」
「………いいから、帰って来なさい」
「はい、すいません」
アイズはベルをみた。
「ベル」
「は、はいっ」
「見つけてくれてありがとう。修行の件は、明日からやるから」
「は、はい!よろしくお願いします!」
アイズに連行された。