全てが自分を圧倒しているオッタルに対し、ブラムは速度で戦っていた。
剣と剣で斬り合い、オッタルの攻撃は受けずに避けていた。『跳躍』によって出てきた透明のジャンプ台で、自分の体を跳ね回らせながら、オッタルを翻弄する。
「ッ‼︎」
背後を取ったところで、ブラムは首を狙って突撃した。そこに大剣を振るってカウンターを決めた。
一撃で粉々になるブラム、だがすぐに再生した。再生する途中、バラバラになった鞄の中から、唯一壊れていない不壊属性のチャイナ服を着ながら。
「!」
「ふっ、貴様まさか、私のことを本気で殺せるとでも?」
不敵にそう言って微笑むと(←チャイナ服でドヤ顔)、空中で回転しながら受け身をとって、天井を蹴って突撃した。
それを剣でなぎ払い、またブラムをバラバラにした。それでも再生するブラム。
「ふはははは‼︎絶望しろ!私を殺すなど、例え、えーっと、なんだ、なんかすごい人でも不可能だ‼︎ふはははは‼︎」
「…………下らんな。【逃足】」
「…………は?」
「あとちょっと可愛いな【逃足】」
「…………あ?」
「確かに俺では貴様を殺せん。だが、それはお前も同じことだ」
「…………なんだと?」
「貴様程度の攻撃力では、俺に傷をつけることすら出来んということだ」
「…………ナメられたものだ」
直後、ブラムの姿が消え、オッタルに斬りかかった。右肩から一気に斬り裂いてやろうと思ったのか、剣を思いっきり振り切った。オッタルはガードをしなかった。
だが、振り切ったブラムの剣に刀身は無く、オッタルの右肩に若干食い込んだまま、止まっていた。
「えっ」
「……こういうことだ」
そのまま躊躇いもなく振り下ろされるオッタルの剣で、プラムは再びバラバラになった。服だけ残して。そして、すぐに再生した。
だが、先程のような闘争心はない。がくりと項垂れていた。
「スキル、もしくは魔法をアテにするからそうなる。俺に勝機はなくとも、貴様にもない」
そう言いながらブラムに近付くオッタル。
「貴様はこれから少しの間、無限に死に続ける」
目の前に立ち、再び剣を振り下ろした。その直後、
「『跳躍』」
オッタルの剣を握る拳の真下にジャンプ台が現れ、剣撃を跳ね返した。
「ッ⁉︎」
後ろに大きくひっくり返るオッタル。完全に虚を突かれ、後ろに尻もちをついた。
「そこっ……!」
その隙にブラムは走ってベルの元へ走ろうとした。だが、その足をオッタルが掴み、ブラムは顔面から地面に倒れる。
「アレでもダメなの⁉︎」
「ナメるな。俺は、【猛者】だ」
「知らねーよ!もう今ので倒れててよ!」
「ちょっ……ぶっ!お前、人の顔蹴ぶっ!」
「はーなーせーよーっ‼︎」
足を掴まれて転んでる状態で、オッタルの顔面を蹴りまくるブラム。
「ちょっ……ぶっ!痛いマジで。いい加減に……ガフッ。しろよ」
「ウルセーバーカバーカ!こちとら友達の命が掛かってんだよ!離せ猪!」
「いい加減にしろって言ってんだろうがああああ‼︎人の顔面をガスガス蹴りまくりやがってこの野郎おおおお‼︎」
ブチギレたオッタルは自分の眼の前までブラムを引きずり込んだ。そして、立ち上がると踏付けて剣を抜いた。
「いっ⁉︎」
「貴様には少し、痛い目にあってもらわんと分からんようだな」
流石にLv.7はオーラが違った。身動きの取れない状態で、剣を抜いて見下され、さらにラスボスのようなオーラを出された。
「あっ……ああっ……‼︎」
そこでようやく恐怖したブラム。だが、オッタルの目には殺意しか無かった。
「不死身なんだってな。なら、どれだけ細かく刻んでも死にはしないだろう」
そう言うと、オッタルは剣を振り上げた。
「死ね」
「ーーーッ‼︎」
オッタルがそう言って剣を振り下ろした直後、ブラムの上半身を両断する前に、ウルガとデスペレートが剣を弾いた。
「っ⁉︎」
ブラムの両隣に立っていたのは、アイズとティオナだった。
「【剣姫】、【大切ゾ……」
「てぃ、てぃ、ティオナさあああああああん‼︎」
ガチで号泣するブラム。オッタルにティオナとアイズは追撃した。
「ッ‼︎」
剣を盾にしてガードし、後ろに退がるオッタル。
「大丈夫?ブラ………!」
「ふおおおお‼︎ホンッッットに死ぬかと思ったああああああ‼︎死ねないのにいいいいいい‼︎」
ムギューッとティオナに飛び付くブラム。さらに、アイズとティオナの後ろからベート、ティオネ、フィン、リヴェリアと集まって来た。
「やけに親指がうずうずいってると思ったら……これも含まれていた、ということかな?」
フィンが言いながら微笑んだ。
「やぁ、オッタル」
「……フィンか」
まるで、旧友のように挨拶してくるフィンに、オッタルは静かに武器を下げた。
リヴェリアの脇には、さっきの小人族が抱えられていた。
「……何故この場所で、この時に僕達と矛を交えたのか、理由を聞いてもいいかな、オッタル?」
「敵を討つことに時と場所を選ぶ道理はない」
「もっともだ。では、それは派閥の総意、ひいては君の主の神意と受け取っていいのかな?」
「………俺の独断だ」
相手はLv.6が3人にlv.5が3人。
オッタルは武器を捨てて全員の間を通り過ぎた。
「お前たちが徒党を組む以上、俺に勝ち目はない」
「そう言ってもらえて助かるよ。僕達も、君とはことを構えたくない」
冷静にそう言う猪人に対し、フィンもそう答えた。そのままオッタルを見送ろうとした時、
「ちょっと待ってよ」
ティオナから声が掛かった。
「うちの子、こんなにズタボロにしといて何も言うことないわけ?」
「おい、ティオナ」
フィンに止められても、ティオナは無視した。ティオナの胸元では、ブラムがホッとしてしまったのか、寝息を立てていた。
すると、オッタルは懐からバサッと札束を投げた。
「⁉︎ お金で解決できると……」
「斬り刻んだ洋服と鞄と剣の金だ」
「え、あ、うん。意外と律儀……じゃなくて!」
だが、オッタルは行ってしまった。