「さて、どうする?」
全員落ち着いてから、ティオナが聞いた。
「決まってんだろ。ここであのクソ竜を潰す。アイズ達はやらせねえ」
双剣を装備したベートがそう吐き捨てた。
「賛成よ。団長達を狙わせるもんですか」
「レフィーヤさん、回復済ませておいてください」
「う、うん」
ティオネ、ブラム、レフィーヤと続いた。
「………でも、7体も倒せるんでしょうか?」
「できなきゃくたばるだけだろうが。言わせんじゃねえ」
「ま、そうなるよね〜」
「大丈夫ですよ。僕がいればみんな狙われませんから」
「……テメエ、随分と余裕だな」
「死ねませんから」
「砲竜を始末した後、57階層の連絡路に避難よ。あそこにこもって団長達を待つ。いいわね?」
ティオネの確認に全員頷くと、まずブラムが砲竜に突っ込んだ。ジャンプ台を出して攻撃を回避しながらタゲを取った。
『オオオオオオオオーーー‼︎』
飛んで来る砲撃。
直後、
『ガッッ⁉︎』
上空より飛来した影が、砲竜の頭を砕いた。
他のモンスターやティオナ達がその姿を見て動きを止める中、その影が着地し、モンスターの死骸から姿を現した。
「生きとるかぁ。ひよっこども」
「が……」
「ガレス……?」
レフィーヤとティオネが呟いた。
『オ、オオオオオオオオオオオ‼︎』
直後、別の砲竜の遠吠えが全体に響き渡った。頭に来たのか、砲竜の弾幕が一層激しくなった。ただし、ブラムへの集中砲火である。
「な、なんで僕⁉︎……いや、もう慣れてるけど」
ブツクサ文句を言いながら、砲撃を避けていた。
すると、ガレスが殺した砲竜の尻尾を掴んだ。
「ブラム、伏せておれ」
言うと、ガレスは身体中の力を振り絞って、野球のバッティングフォームのような構えをする。
「ふんっっ、ぐっっ、おぉぉ……‼︎」
そして、思いっきりブン回した。
「……ぉおおおおおおおおおおおおッ‼︎」
「マジで⁉︎」
慌ててブラムがしゃがんだ直後、自分に向けて砲撃していた砲竜が一匹残らず殴り飛ばされた。
「うわあ……」
そして、それだけでは終わらない。
ガレスはそのまま一回転、二回転、三回転と振り回した。
「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおッ‼︎‼︎」
「や、やばいっ⁉︎」
「伏せろッッ⁉︎」
巻き込まれる前にティオネ達は地面に伏せた。
粉砕されるモンスター、反響する断末魔、そして凶悪な渦の音。
「飛べぇえええええええええええええええいッッ‼︎‼︎」
気合い一閃、手放されるドラゴンの尾。
文字通りハンマー投げの如く、あたりのモンスターをほとんど巻き込んで58階層壁面に炸裂した。
「……う、うそぉ」
ティオナが引き気味に声を漏らした。
「はぁ、はぁ……ふぅ、浴びるようにドワーフの火酒が飲みたいわい」
ガレスはポケットから高等回復薬を取り出し、ぐいっとあおった。
「何をしておる、ひよっこども。まだしばらく来るぞ、さっさと立て」
「……が、ガレスさん一人いれば、何とかなるんじゃあ……?」
「無茶を言え。あんな馬鹿な真似が二度も三度もできるものか」
レフィーヤの台詞を一蹴して、双斧を担ぎ上げた。
「フィン達が来るまで凌ぐぞ。良いな?」
「いや、凌ぐのは基本的に僕だけなんですけどね」
「なんじゃ、ブラム。怖いなら帰ってもいいぞ?」
「死ぬことできないのに後は何を怖がれって言うんですか」
言いながら、ブラムは57階層の連絡路から来る新種を睨んだ。
「ほれ、主らも。第一級冒険者があんな小童に先陣切られて良いのか?」
言われて、ベート、ティオナ、ティオネはピキッと青筋を立てた。
「上等だコラァッ‼︎クソガキ、テメェは何もするんじゃねェぞ‼︎」
「やってやろうじゃない!ブラム、動いたら八つ裂きにするわよ!」
「囮役なんていなくてもやれるよ‼︎ブラム、動いたらぶっ飛ばすから」
「いや僕の存在意義を奪わないで下さいよ!」
全員、芋虫の方へ突撃した。