オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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イギリスへ最後通告タイムリミットまで1時間


イギリス、ティワズ支社

同地下ドック…

「MS用パーツと補給物資搬入急いで!!ハロ、カレルたちはトレミーの機密チェックを急いで!」

「「「「「「「了解、了解!」」」」」」」

喧騒に満ちたドック内でトレミーの機密チェック、MS用パーツと機体搬入の指示をタービンズのメカニック主任エーコが飛ばす…その近くには逆立った髪にパンダナ、スパナを組み合わせた《ジャンク屋組合》のエンブレムを胸につけた青年《ロウ・ギュール》も手を休めずに二体のガンダム、ウィングガンダム・フェニーチェ、バルバトス・ルプスの整備を進めている

「ナガスミ、ツバサの機体はフルメンテ終わったぜ!次はアヴァランチエクシアとニャイアアストレイ・イチイバルだ。8、ハロ達と一緒にアッセンブリ…」

「あの~ちょっといいかな?」


後から声をかけられ振り返る。そこには首からタオルを掛け着崩した軍服、サンダルをはいた中年男性…大東貴一が何かアタッシュケースを手にし立っている

「大東のおっちゃんじゃないか。こんな時にどうしたんだ?」

「いや、忙しそうだから中々声をかけられなくてね」


「別にいいさ、おっちゃんの口添えがなきゃハロ達の使用制限解除出来なかったからさ。別にかまわないさ」


エクシアにアヴァランチユニットを装着していくクレーンマニピュレータを操りながら答えたロウ…半月前、マルスがアレスとしての記憶を取り戻し、皆の前から姿を消してから、前々から調べていたツバサにノーヴェ等が詰めより全て話して貰った(この時、なぜかツバサはぐるぐる巻きに縛られていた)。凄惨な過去を知り唖然とする中、マルスのハロ達が何らかの仕掛けが施されてるのではと疑いの目を向けていた。しかしハロ達がなければ機体OS更新、整備、艦内環境コントロール迄になっていたのもあり使用制限するか否かを迷っていた


─たぶん何も仕掛けてないと想うぜ?マルスはメカに対して絶対にウソをつかないしな。アイツの作ったハロが整備した機体を見た、おかしな部分はなかった、むしろ人に合わせた細かなセッティングが出来るのはマルスぐらいだ─


─たしかにね。彼の人となりはマルス君の時しか知らないけど、私としては彼の師であるロウ・ギュール君が言うなら間違いはないね─


ジャンク屋組合から物質搬入に来たロウ、そして翔真と和解したGspirits隊の大東貴一准将の口添えもあり、マルスならそんなことはしないと普段から整備する彼を見てきた翔真らは思いだし、使用制限は解除され今にいたる(…なおマルスが使っていた銀ハロはクリスが大事に預かっている…)


「あ、そうだ君にコレを渡そう…マルス君から頼まれていたモノらしいんだ」


「コレは?キーか何かか?」


アタッシュケースを開き手にしたのは細かな小石を組み合わせた棒状の赤緋色の石を興味深そうに見た。大東は少し言いづらそうに頭を掻きながら説明を始めた


「実はコレはマルス君がアルケミスターズに依頼して作り上げたモノらしいんだ。シンフォギア・システムらしいんだ。詳しくはコレを見てくれるとたすかるんだな」


「……桜井理論、歌で起動させ生まれたフォニックゲインを機体に纏わせMSを形状変化強化、さらには武装をも形成顕現させる……なんっうもんを。理屈はだいたいわかったけどさ。歌で起動するってなあ~スッゴいな」


起動キーであるアメノハバキリ、イチイバルをまじまじとキラキラと目を輝かせ興味深そうに見るロウ…貴一も半ば信じられなかったのだが


─この国で最高の歌唱力を持つ奴に持たせてみろ…それがカギだ─


去り際にキャロルが言い残した言葉がひっかかる…しかし今はイギリスへ迫るZAFT艦隊への備えをすべくロウに軽く挨拶を交わし離れた。向かうはATAGとGspirits隊の面々が待機するドックへ歩を進めていく


「…先のレーザー砲撃の一件、ZAFTの宣戦布告…気になるな…何か裏があるんだろうね。chameleon隊に動いて貰うかね…」


思考を切り替え、大東貴一准将は歩き出した…この一連の事件の裏に潜む陰謀を暴くために











PHASE-108.5/111.X 荒れ狂う死嵐 挿絵あり!

イギリス領海より250㎞離れた海上…二隻の戦艦《特務艦ミネルバ》《特務艦ミストルティン》を中心に空母数隻、レセップス級五隻、ボスコロルフ級十隻の姿がある

 

ミネルバブリッジに座るのは新たにミネルバ新艦長として赴任した篁唯依が静かにキャプテンシートにすわる。数日前、イギリスが保有する軍事衛星超高出力レーザー砲《エクスカリバー》によりカルガナン基地、オーストラリア深海基地が文字通り壊滅、それに対して抗議声明をイギリス政府、王室へ問いただした

 

しかし返答は知らないの一言で片付けられた、だがその軍事衛星に生体融合制御ユニットとして年端もいかない少女《エクシア・ガリバーン》が組み込まれた事実、そしてあろう事か連合とZAFTの戦いに介入し戦禍を悪戯に広げたソレスタルビーイングを匿っていたのだ

 

 

プレシアは全世界に向けて英国政府とイギリス王室を批判し、軍事衛星超高出力レーザー砲《エクスカリバー》を破棄と組み込まれた少女エクシア・カリバーンの開放、ソレスタルビーイングの引き渡しを要求、期日内に受け入れなければ世界の敵として撃つと宣言したのだ

 

 

そして、いまその期日が終わろうとしていた

 

「イギリス政府、イギリス王室より今だ返答はありません」

 

「繰り返し呼びかけろ………」

 

 

静かに告げる唯依に管制官は再び呼びかけた…艦長として抜擢され日も浅い。しかし英国に速くの返答を待っていた。彼女の母国日本は連合により焼かれ沢山の大事なモノを失ったからだ。一瞬、紅蓮に焼かれるロンドン市内を幻視した

 

(はやく返答しろ、英国を焦土と化すは我が故国の二の舞だ……)

 

 

「篁艦長、期限を過ぎました………英国政府から未だに返答はありません」

 

 

「……全艦に通達、ミネルバをイギリスへ回頭進路を取れ!コンディションレッド発動!!」

 

 

「了解!進路をイギリスへ…MS隊は発進準備を!」

 

 

(何故だ、国が焼かれるというのに愚かな選択を…)

 

 

キャプテンシートの手すりを強く握り締め指示を飛ばす。英国とZAFTはもはや引く事は出来なかった…

 

 

PHASE-108.5/111.X 荒れ狂う死嵐

 

 

ミストルティン、MSリニアカタパルトデッキ

 

「特務部隊フィーネか……(いつの間に用意したプレシア・テスタロッサ、ヴェーダにも情報があがっていない?…)」

 

『アレス隊長、そろそろ時間です』

 

「わかった……マリア、切歌、調、シンフォギアシステムはどうだ?」

 

 

『問題は無いわね。でもこれならば今まで以上に戦えるわ』

 

『私もデス!どんな敵でも真っ二つデ~ス!』

 

 

『でも、これスゴく馴染むけど切れすぎて怖いかも』

 

 

「あくまで、ここぞと言うときに使え…わかったな」

 

 

「「「はい、アレス隊長!」」」

 

三者三様の意見を聞き考える…シンフォギアシステムは桜井理論とアルケミスターズの技術を用い完成させたFG式回天特機装具、まさかと思い三人に持たせてみたら聖詠が浮かび試しに起動させたのが先日、通常スペックを遙かに上回るモノだった

 

しかしイギリスに渡ったアマハバキリ、イチイバルな事も気に掛かる。念のためにウェル博士はイギリスからはアゥフヴァッヘン波形を探っていたが関知出来なかった。キャロルとエルフナインがウソをつくはずは無い

 

一応、警戒をすると決めた時。通信が入る、開くとロランだった

 

「どうしたロラン?」

 

『ああ、ウーンドウォート・ラーⅡのセッティングが終わったよ……君…ア、アレスが作っただけのことはある反応がいいよ』

 

 

「そうか。今回は乱戦になる。拡散ビームシールドブースターを…」

 

『もう装備したよ…アレスがウーンドウォートのことをしっかりレクチャーしてくれたお陰さ。朝までね』

 

 

悪戯っぽく笑うロランにドキリとなる…あの日、関係を持ってからよくアレスの私室に来るようになった。自身の機体についてのレクチャーもだが、若い男女が二人きりだとなし崩し的にそうなるのは仕方ない。実際今朝もだったりする

 

 

「……そ、そうだな……」

 

『(私を深い部分まで満たして、プレスして今日は本当に危ない日だったのに何度も)…じ、じゃあ待機に戻るよ』

 

 

顔を真っ赤にし通信が消えた…イギリス領海へ入った事を告げるアラートが鳴る…軽く息を吸い込みバイザーを閉じた

 

 

《ミストルティン、リニアカタパルトオープン!外部コンテナカタパルトオープン!》

 

ミストルティン中央が上下に開き、外側にあるコンテナカタパルトが四つ開く…一部改修した外装は《JewelSeeddrive》同調率を上げるために追加されたモノだ。不活性状態のガンダムエクシェスの瞳に光が宿りVPS装甲が活性化し、各部リニアカタパルトボルテージが上昇、カウントが鳴りやがてゼロになった

 

 

「ガンダム・エクシェス、アレス・ルセディス、殲滅する!!」

 

「VS/GS-01《ガングニール》。マリア・カデンッヴァナ・イヴ、貫く!!」

 

「VS/GS-02《イガリマ》、暁切歌、みんなシチュー引き回して真っ二つですデス!!」

 

 

「VS/GS-03《シュルシャガナ》………月読調、行きます」

 

 

「XGMF-124《ウーンドウォート》、ロランツィーネ・ローランデルフィニ、蒼穹を突き抜ける!」

 

 

エクシェス、ガングニール、イガリマ、シュルシャガナ、ウーンドウォートが電磁加速反発力でイギリス領空へと飛翔する、そして中央カタパルトに新たな機体が姿を見せた…水色の装甲を持ち端から見たらΖ系の特徴を持ち、そのコックピットには一人の少女が座っている

 

 

《ハロ、アリシア、カタパルトオープン……いつでもイケル、イケル》

 

左側モニターには水色のハロが羽?をパタパタさせ励ましてくる。緊張感が和らぎその頭を撫でた

 

 

「うん、ありがとハロ…………落ちつくんだ私…箒は私が守るんだ…すぅ────ZGMF-X007A、アメイジングΖガンダム。アリシア・テスタロッサ、行きます!!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

リニアカタパルトから勢いよく打ち出され、Gに躰がシートに押しつけられる。耐え抜くとフワッと開放される。イギリス領空へ向けバーニアを全開にして飛翔、先行する箒、湊、楯無、少し離れてアレス、マリア、調、切歌と合流する

 

─これより"フィーネ"所属のパイロットは私の指示で動いてください。箒さん、楯無さんは私と共に前衛にいるリゼルを一掃。アレスさん、マリアさん達はそのまま私達に続いてイギリス本部を攻めてください─

 

 

『……聞いたな、これよりイギリス防衛部隊の排除を開始する。戦況にあわせ援護行動を忘れるな…各機散開!!』

 

 

アレスの号令のもと散開、それぞれの持ち場へとついたのを確認する…センサーが捉えた向かうのは火線と抵抗が激しいエリア…リゼル十数機、デュエルダガー十六機からなる部隊にザクウォーリア、ザクファントムがそこを抜けようとするも阻まれ撃墜されていく。突撃をしようとした一機のザクファントムが両脚を撃ち抜かれ落ち、ビームがコックピットを捉えた

 

『う、うわ!お母さ………え?』

 

しかし。身を焼く事なかった…漆黒のガンダムがリュミエールシールドで防いだからだ

 

 

「……そこの部隊、直ぐに引け」

 

『な、何を言う?』

 

「……死にたくなければ速くしろ…………」

 

 

抑揚無く暗い感情が込められた声に気圧され撤退していく…ゆっくりとエクシェスは背部の翼《ヴォワチュール・リュミエール》展開、加速し分暑いビームとミサイルの火線を潜り抜けど真ん中へ降り立ち翼を閉じた

 

 

『な、なんだコイツ、自殺する気か?』

 

 

『Z・A・F・Tの新型か?…』

 

 

ど真ん中に降り立つエクシェスへ攻撃を集中し始めた…が、リュミエールシールドに守られ傷一つ負わせられない…破壊の嵐の中、エクシェスの両腰アーマーの一部が展開開放、バチバチと放電現象が周囲に溢れかえるも誰一人気づかない

 

 

「……JewelSeeddrive同調率上昇………脳量子式敵性対象マルチロック開始…」

 

 

正面モニターがガシャッと開き、無数のターゲットカーソルが攻撃を加えるMS…そのコックピットを捉え、全てがロックされアレスの瞳が赤金に輝いた

 

 

「最終ロック解除…………受けろ死の嵐を!!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

エクシェスの瞳が真紅に染まり腕を前にかざし広げ放電現象が激しく光った瞬間。近くにいたパイロットは異変を感じる。躰の奥が滾るように熱いと喉が激しく渇いた

 

 

「な、なんだ……う、ううう………ああ──────────!!」

 

 

熱さとこみ上げる乾きに躰をかがめた瞬間、パイロットスーツが膨張し内側から爆発するようパンッ!と弾け内臓が飛び散りコックピットを血に染め上げた

 

 

「う、うわあ────────!」

 

「ぁあっ───────!」

 

 

それは他のリゼル、デュエルダガーのコックピット内でも起きた骨がモニターを突き刺さり、脳漿がべっとりと濡らして霧散、苦悶に満ちた叫びと共に命が爆ぜていく…やがて全てのMSの攻撃が止み石像のように佇んだ。両腰アーマーの放電が止まり収納され放熱がはじまる

 

 

「く、く……」

 

そのコックピット内に座るアレスは躰を震わしていた…散る間際に感じたパイロット達の意識が断末魔の叫びと共に爆ぜ消える瞬間を感じていたからだ…エクシェスが使った武装、かつて連合が使った最悪の兵器サイクロプス、それを応用し指向性を持たせ敵味方を識別可能な兵器《シュツルム・ウント・ドランク・インパクト》だ

 

 

─坊や、アナタがこの機体。ガンダム・エクシェスの武装を使うならば引き返すことは出来ないわ………人々から悪魔と指さされる覚悟があるならば何も言わなくてよ─

 

 

「……(ユーナ・クロスハート、オレはもう後戻りは出来ないな)………くっ…あは…あははは」

 

 

赤金の瞳を見開き笑いエクシェスは飛翔、別エリアへ向かわせた……あとに残されたMSはまるで墓標のようにも見えた

 

 

 

PHASE-108.5/111.X 荒れ狂う死嵐

 

 

 

 

 

 




続きはシャルロッ党さんの最新話で!

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