オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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月軌道上、最終防衛戦ラインに置かれた特務艦ミストルティン。無数の光芒が煌めき命が散る中、損壊したMSと負傷者を収容しメディカルルームに重篤者、軽症者は居住ブロック通路に寝かされメディキット《ハロ》により治療され、医者と看護兵が慌ただしく動き回っている

そんな中、少し離れた先にある扉が微かに動き。やがて開かれた

「はあ、はあ…やっとあいた」


「はああ、はああ、でもよくこんな手を使いましたねキャロル」


「…マルっ…あのバカに教わったからな…それよりだ」

不機嫌そうに応えるキャロル。その手にはヘアピン、ニッパー、精密ドライバー。まだ傭兵だった頃のマルスに護衛されていた時に教えられたモノだった

─キャロルちゃん、電子ロックはエアー式が大半なんだ。もし誘拐された時は電源をみつけてエアーシリンダーの端子を…─


「そうでした、早くしないとマルスさんが…赤ハロさん、使えるランチは…」


「おお~っと、まさか部屋を抜け出すなんてね、さすがはアルケミスターズで同僚なことだけはあるね~~」


突然響いた声…ビクッと震えるエルフナイン、キャロルは露骨に嫌な顔を向けた先には白衣に身を包んだ嫌な男がいた


「さ~て~と………こんな戦場真っ只中、煌めく命というスポットライトに照らされ《新たな英雄》誕生の特等舞台席の最、最、最、最前列!さあ共に祝おうじゃないか~~~!!」



「「断るバカウェル!/断りますウェル博士!」」


元同僚(会いたくない)にして世界最高の生化学者ドクター.ウェル(バカ)のハイテンションぶりにおもわず声が重なりあった




PHASE-141.X 最終決戦 3/4─side:ARES─

 

 

月軌道上、月面に隠された《ジェネレーションシステム》を巡るザフト、ATAG、ソレスタルビーイングの戦闘は激化の一歩をたどる。火線が走り、命の輝きが漆黒の宇宙を彩って消えていく…

 

 

ソレスタルビーイング母艦《プトレマイオス2》、ザフト特務艦ミネルバが弾幕を張り艦砲を撃ち合う中で二つの機影が軌跡を描きぶつかり合う

 

 

「はああ!」

 

 

「く!」

 

 

真紅の機体、翔真が駆るジャスティスの後継機ZGMF-19A《インフィニットジャスティス》がシールドからビームブーメランを手にし投擲、灼熱の刃が捉えるは白にダークグレーを基調とし背中に巨大なウェポンベイ兼バーニアユニット《ファイバー》を装着したRX-124-ハイゼンスレイ・ラーⅡ《ファイバー》の死角に迫る

 

 

「舐めて貰っては困るね!いけキハールⅡ!!」

 

 

ハイゼンスレイラーⅡのコックピットに座るロランがコンソールを指で素早く叩く。ファイバーユニット《インレの翼》に搭載された二基のキハールⅡがパージ、ビームブーメランを手にしたビームライフルで撃ち落とし、インフィニットジャスティスへ迫る

 

 

「小型MS!?……(ザフトがこんな機体を作りげた!だが!!)」

 

 

ラケルタビームサーベルを連結、アンビデクストラス・ハルバードへ変え、迫る2機のキハールⅡへビームキャリーシールドを向け内蔵された《EEQ8 グラップルスティンガー》を打ち出し1機を捉え絡め取り、引き寄せ胴を薙ぎ払い撃破する

 

「無人機などに遅れは取るなど、私にあると思うな!!」

 

 

「やるね…でも私にも負けられない理由がある!」

 

 

コンポジットシールドを向けメガビーム砲を撃ち、残るキハールⅡスカート部からマイクロミサイル、インレの翼からスプレービームが嵐のようにインフィニットジャスティスにせまる

 

 

PHASE-141.X 最終決戦 3/4─side:ARES─

 

 

 

「ちっ!」

 

 

ファトウムのバーニア全開で回避機動を取るシグナムは舌打ちしながら、口角がつり上がった。翔真と千冬以外に自分と互角に斬り結ぶ相手がザフトにいることが胸躍らせた。ビーム、ミサイルの飽和攻撃を躱しアンビデクストラス・ハルバードを振りかぶり斬りつけるも、ロランのハイゼンスレイラーⅡはコンポジットシールドをロングブレード・モードへ切り替えぎ、何度も打ち合う

 

 

「ソコだ!!」

 

 

背を向けたままルプスビームライフルを数度打ち。ロングヒートブレードを振り下ろそうとしせまるキハールⅡをいくつもの穴を穿たれ、爆発四散した

 

 

「キハールは全滅か……ジャスティスのパイロットやるね!」

 

 

「ふ、そちらもな!ザフトのパイロット!!」

 

 

久々の強敵にシグナムははやる気持ちを抑え距離を取りハイパーフォルティスで狙い撃つ。回避機動を取るも反応が微かに遅れたハイゼンスレイ・ラーⅡ・ファイバーの背中…《インレの翼》─バーニア兼ジェネレーターユニットを直撃する

 

 

「く!」

 

 

誘爆を避ける為、爆砕ボルトで強制パージ。遅れて爆発、爆風に煽られのぞけるも歯を食いしばり立て直し、コンディションチェックしながらキッと瞳を細めた

 

 

「よくも、彼…アレスが作ってくれた機体を!!」

 

 

「な、アレスだと?!」

 

 

怒りと共に振るわれたロングブレードをシールドで受け、接触回線越しに聞こえた名前に息をのむシグナム。目の前の機体がかつての仲間で傭兵マルス・レディーレ《アレス・ルセディス》が作り上げたこと、確かにMS知識、整備から設計製造が出来るとは知っていた。しかし今は考えるときじゃない。眼前の機体《ハイゼンスレイ・ラーⅡ》と打ち合う

 

「!彼を知ってるのか」

 

 

「ああ…たいして面識は無いが、私たちの仲間だった!」

 

 

「……君たちと何があったかは知らないけど、押し通るよ……私に機体を託したアレスの為にね!!」

 

 

力任せに切り払い距離を取るや、コンポジットシールド・ブースターをロングブレードからMAへ変形させ、飛ばし、肩部メガビームキャノンを斉射と同時にビームサーベルを抜きせまる

 

 

「まだ残してたか…だが!私も引けぬ理由がある!!」

 

 

「なっ?!まだだ!!」

 

 

せまるMAをサーベルで斬り払い、メガビームの嵐を抜け迫り、ビームサーベルを袈裟に斬りつけ肩を抉られるも、シグナムは怯まず右腕を切り飛ばす。しかしハイゼンスレイラーⅡは脚部を前へ突き出し、クローモードへ変形、ジャスティスを挟み切ろうとするが、急速回避し回し蹴りの要領でクローをグリフォリオンビームサーベで溶断、続けて両肩を斬り捨て胴を蹴り抜いた

 

 

「う、うわあああ!?」

 

「はあ、はあ……強かった…」

 

 

 

 

久しぶりの強敵に肩で息を荒くし呟いたシグナム。そのままトレミーへバーニアを噴かし、ハイゼンスレイ・ラーⅡを一瞥し離れていく。四肢を切り飛ばされ、激しく揺れるコックピットで機体制御を取り戻そうとする…スラスターの八割が死に体、ジェネレーターへの誘爆は無いが、このままだと地球へ落ち摩擦熱で跡形もなく焼かれるのは時間の問題だ。諦めにも似た感情が占めた時だ

 

 

「あ、アレは?光?」

 

 

金色のMS?から放たれた光…その先にいるのは見慣れた漆黒のMA…ロランの愛するアレスが駆るエクシェス・シュターベルだと気づいた

 

「動け、動いてくれハイゼンスレイ・ラーⅡ……彼をアレスを…」

 

 

アームレイカーを動かし生き残ったバーニアを噴かす、しかし前に進まない…突如、モニターが切り替わった

 

 

─当機損壊率90%、パイロット生存を優先しTR-6……プリムローズⅡへ移行……地球へ降下シークェンスを実行する─

 

 

「な、なに……これは…地球降下?」

 

 

ハイゼンスレイラーⅡのパーツがパージしていく。現れたのは小型の脱出艇、いやコアファイターだ。慌ててアームレイカーを動かすもコントロールをうけつかない

 

 

─降下ポイントはオランダスペースポートに設定…シークェンス実行する─

 

 

「や、やめろ……私はアレスのもとに」

 

 

─搭乗者のバイタルに問題あり、鎮静剤投与および耐熱措置施行………─

 

 

「う、ま、まて……わ、わた……アレ……ス…」

 

 

パイロットスーツ越しに鎮静剤を投与され意識が遠のく、プリムローズⅡはゆっくりと地球へ降下していく

 

 

─ロラン………幸せに─

 

 

頭に響いたアレスの声を最後に意識を失った…

 

 






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