オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
?年前、火星…その赤茶けた大地に氷付けの水、太陽から遠いこの場所は時として氷点下を超え生あるモノが住まうことを拒絶する
地球圏での統一連合、蒼生軍との愚かな戦いが終わり数年、火星開拓はいまだに進まず輸出用の新たな鉱床資源を採掘するまでに止まっていた
遅々として進まぬ現状は地球圏に対して反抗の意志を育てるに十分だったのだ
火星急進派閥…地球圏との関係を良しとしない一部の技術者、開拓主導メンバーからなる彼らは火星のレアメタル鉱床の大半を密かに独占、資金源を生み出し《あるMS》の開発に着手した
地球圏、宇宙移民たちの間に語り継がれた《自由と反逆の象徴》……ガンダムを
当初は難航していたがアレス・ルセディスが参画したことで軌道に乗り象徴となるガンダム………開発コード《エクシェス》、専用MAも先に完成したリアクターを除き七割仕上がった頃だった
新たなレアメタル鉱床の採掘調査メンバーと共にアレス・ルセディスはあるモノを見つけることになる
名も無き悪魔を…
Mars・days:02~02.5 悪魔との邂逅《ガンダムフレーム》
『……………純度は問題ない…エクシェスのジュエルシードの触媒に使える……』
ずんぐりとした宇宙服を着込んでいる少年、バイザーに曇りが現れ消えるも検索機材から送られてきた鉱床の組成分析データに目を通し淡々と声を漏らしたのは火星急進派閥主要メンバー《アレス・ルセディス》…
彼が今居るのは火星急進派閥が新たに発見した鉱床…試掘したマテリアルがエクシェスのジュエルシードの触媒に使える可能性に埋蔵量を調べるために調査メンバーと共に降りていたのだった
メンバーと別れ一人調べていたアレスは妙な事に気づいた……この鉱床に文明があった痕跡、正確に言えば施設にも似ている事に。しかしあり得ないと頭の片隅におきながらヴェーダに周辺の元素測定を探査させた
結果は………《何らかの文明が存在していた》とだけかえってきた
(………先史文明か……あり得な……いやあるか………)
かつて自分から祖父、義母、義姉、義妹を奪った存在がいる世界の成り立ちを思い出しながら組成分析を再開する…鉱床はかつて聖王のゆりかごに由来するレリックを構成していた組成と同じだという事に微かに暗い笑みを浮かべる
コレでエクシェスは完成する…と。黒く粘つくような憎悪の炎が渦巻くも首もとにある端末から歌が響き通信を迷わずつなぐ。サブウィンドウにクリスが映された
『……どうしたクリス?』
『い、いや……兄貴、今ナニしてるかなって……』
『仕事中だが?』
『あ、そうなんだ……じゃあ後で』
『…………クリス……なにかあったのか?』
『べ、べつに何でもねぇよ……あ、あ、兄貴いつ帰ってくるかってアイツらが聞いてさ』
クリスが目をふせがちに口にしたアイツら…保護したストリートチルドレンだと気づき日付を見てようやくわかった
5日後がクリスを含めたストリートチルドレンたちを保護した日だと…全員、それぞれ子供のいない急進派閥メンバーの夫婦に預けられ、それからはそれぞれの道を歩いてるのだが時折、訪ねに来ては話をしたり最近の事を教えあったりするようなり、そして今では保護された日に皆で集まりささやかながらホームパーティーをするまでになっていた…
『…………クリス、予定通り帰ってくる』
『マジ!本当何だな『クリス~アレスさんは帰ってくるの!』『やったあ!たくさんお話しできるの楽しみ』『ワタシの新作ケーキ、気合いいれて作るです!』………こ、こら!兄貴が聞いてるから割り込むな、っうかバレないようするって決めてんだろが!じ、じゃ楽しみにしてろよ兄貴!!』
『…ああ』
慌ただしいクリスとストリートチルドレン達との通信が切れた。先ほどの暗い笑みは消え柔らかな明るい笑みが浮かんでいる…三日後に帰ることは前々からスケジュールとして調整していた。今回で二回目のホームパーティーを楽しみにしている自分に対してのもの
しかしそれは鳴り響いた電子音と共に消え、あわてることなくつなぐと調査メンバーからのモノだとわかり繋いだ
『どうした?』
『ど、同士ルセディス!こちらにきてください!!』
調査メンバーの切羽詰まった声、鉱床にマーカーを打ち込み後にする…向かうのは別な試掘エリア。ランドバーニアをふかし向かった先には調査メンバーが立ち尽くしている
『同士ルセディス!こ、コレを!!』
『……………コレは……』
調査メンバーの前には透明な水晶にも似た鉱物、何よりアレスを驚かせたのはその内部から伸び巨大な物体…いや腕だ。検査機器を起動し解析、ふれてみると劣化が進んでいるのか亀裂が入り砕けフレームが露出した
腕がのびたひび割れた鉱床へ目を向けたアレスは息をのんだ……巨大な槍、鎌を手にし、背中からフレキシブルアーム?を伸ばし倒れ伏し、膝をつく三体のMSの顔を見て言葉が漏れた
『……ガンダム…』
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「……ルセディス、コレは一体何なんだ」
「…例の鉱床で見つけた……おそらくMSだ」
「MSだと!?冗談はよせルセディス。寝ぼけているのか?」
言葉を荒げるジェダ、彼の前にあるのは火星の鉱床から発掘した三体のMS…経年烈火により喪われた装甲は多いが辛うじてのこり、武器は奇跡的に原型をとどめていた
「オレは冗談は言わない……目の前にある現実をみろジェダ」
「しかし、コレは我々が知るMSの概念とは違う!ましてや年代測定も解らない上に動力すらもない!修復しようにも今の我々には手が余る代物で下手にいじればスクラップになる、時間と金の無駄だ!!」
「………冷静になれ……確かに『今』は無理かもしれない……しかしオレなら使えるようにはしてれないことは無い」
「………ルセディス!お前は我々を舐めているのか!!貴様は我々を無能だと言いたいのか!!」
胸ぐらをつかみあげるジェダ…しかし無表情のままつかみあげた腕に握るとみるみるうちに苦痛に歪みながら離した
「無能だと言ってはいない……オレは連合に恨みがある…火星の苦しい現状に見向きもせず資源のみを搾取し続けた連合を許せない気持ちは同じだ。だからオレはお前たちに力になると決めた……それに……いや……すべては火星の未来の為に力を尽くすだけだ」
「ルセディス……すまない熱くなり過ぎた」
「いや、オレも言葉が足りなかった……」
しばらくしてジェダは上層部へ定期会合の為にMSが安置された格納エリアを後にした。一人残されたアレスはヴェーダを介し三機の解析を始めた
(……メインフレームへアクセス………装甲は特殊塗料と動力源が発するエネルギーで強度を増しビームを無効化する《ナノラミネートアーマー》……その動力源は抜き取られてい、いや破壊されている……ライブラリが残っている…ダウンロード開始………!!コレは)
三機のMSにアクセスしたアレスの身体…いや脳がハンマーに殴られたように震え混濁する意識の中で垣間見えたのは
数百の巨大なMAを相手に戦うMS……AGW-G-XX、AGW-G-XX、AGW-G-XX……人の反応速度を超えた機動性でMAの大部隊を殲滅していく光景に肌が泡立つ……
やがてライブラリが途絶え膝をつくようにしゃがむアレス…ゆっくりと顔をあげる。瞳は赤みを帯びた金に輝き血の涙があふれ頬を伝わせながら口角がつり上がり身体をふるわせた
「この力………この力があれば…ならば蘇らせてやるよ…そしてオレの力になれ悪魔の名を冠するも名を剥奪されたお前たちは今日から生まれ変わらせてやる……心臓をまずは作ってやる……」
血の涙が床に落としながら機体を見上げるアレス…その言葉に狂気が荒れ狂わせ手に入れて握られた菱形の宝石…6つのジュエルシードが怪しく輝いた
コレから数日後…魂無き悪魔の体躯に新たな心臓《アレスリアクター》が搭載された
エクシェスを守り、復讐を為す槍、鎌、戦刃を司る悪魔《ガンダムフレーム》が目を覚ます