銀時と近藤の決闘から数日後。
真選組屯所では、朝から隊士達の大声が響いていた。
「副長!補佐官!局長が女にフラれた上!」
「決闘で汚い手を使われて負けたってのは本当か!?」
「女にフラれるのはいつものことだが。喧嘩で負けたって信じられねぇよ!」
「銀髪の侍って何者なんだよ!」
隊士達が騒ぎ立てる中、土方は煙草を吹かし、由紀奈はその隣で少女漫画を読んでいた。
「会議中にやかましーんだよ」
「大体、あの近藤さんが卑怯な手を使われたからって負けると思うの?」
「誰だ?そんなくだらねぇ噂たれ流してんのは?」
「沖田隊長が!」
「スピーカーでふれ回ってたぜ!」
そう言って隊士はお茶を飲んで寛いでる沖田を指差す。
沖田は湯呑を置くと、ニタッと笑う。
「俺は土方さんと小鳥遊から聞きやした」
「トッシー、だから言ったじゃん。総悟に言ったら全員に知られるって」
「コイツに喋って俺が馬鹿だった………」
「なんだよ!結局アンタらが火種じゃねぇか!」
「偉そうな顔してふざけんじゃないわよ!」
「ってことは何!?あの噂本当なの!?」
「うるせェェェェェェェ!!」
隊士達の騒ぎが大きくなり、土方はとうとうブチ切れ、机を蹴り飛ばす。
「会議中に私語した奴ァ、切腹だ。俺が介錯してやる。山崎、まずはお前からだ」
土方はそう言い、刀をゆっくり抜く。
「えええ!?お、俺!?俺、何も喋ってないんですけど!?」
「現在進行形で喋ってんだろうが。それじゃ行くぞ」
山崎の胸倉を掴み、本当に山崎に切腹させかねなかった土方だったが、その気はすぐに消えた。
何故なら――――――
「ウィース。おお、いつになく白熱した会議だな。よ~し!じゃあ、皆!今日も元気に市中見廻り行こうか」
頬を腫らし、湿布を張った近藤が現れたからだ。
その姿を見て土方は溜息を吐き、刀を仕舞う。
「斬る……ですかい?」
「ああ、斬る」
会議の後、隊士たちは銀髪の侍を斬ると言って市中を血眼に探し始め、揚句張り紙までして銀髪の侍を呼び出そうとしていた。
その張り紙を回収しながら土方と沖田、由紀奈は市中を移動していた。
「
剥がした張り紙を丸めながら、沖田の持ってるバケツに放り込む。
「土方さんは二言目には「斬る」で困りまさァ。古来より暗殺で大事を成した人はいませんぜ」
「暗殺じゃねぇ。堂々と行って斬る」
「でもトッシー。いくら卑怯な手を使ったとは言え、近藤さんを倒す奴だよ?いくらなんでも正面から堂々斬るってのは無理があるでしょ。取り敢えず、私は私なりの方法で件の銀髪侍探しまーす」
そう言い残し、由紀奈は土方たちと別行動を取る。
「って言っても、銀髪の侍ねぇ……そんな目立った髪の侍なら街の誰かが見ててもおかしくないよね」
そう言い、由紀奈はスマホを取り出してSNSで探し出そうとする。
その時、曲がり角で誰かとぶつかり、尻もちをつく。。
「うう………お尻打った………!」
若干涙目になりながらお尻をさする。
「ちょっと歩きスマホを危ないよ。気を付けてね」
そう言い、由紀奈のスマホが差し出される。
「あ、すみません!ありがとうございます!」
慌ててお礼を言って受け取り立ち上がると、スマホを差し出した人物を見て由紀奈は驚いた。
「あ!池田屋の時の女の子!」
その人物とは眞銀だった。
「そう言えばアナタも銀髪だったね……近くに居た木刀の男も……」
「えっと……どちら様?あ……もしかして昔、近所に住んでた大串君の妹ちゃん?あらら、すっかり女性らしくなっちゃって。オネショ癖はもう治った?」
そう言って由紀奈の体を軽く叩く眞銀だが、そしてすぐにハッとし、時間を確認する。
「私仕事の途中だったんだ。悪いけど、妹ちゃん、私もう行くね」
そう言い残し、眞銀はその場を去る。
「毎度ありー」
眞銀はピザの配達を終え、一件の民家から出て来る。
「さて、今日の仕事はこれで終わり。店長から報酬貰って帰ろっと」
ピザ屋に戻ろうと移動していると、突如、眞銀の前に由紀奈が現れる。
「爆弾処理の次はピザ屋の配達……貴女一体普段のどんな仕事してるの?」
「爆弾………あ!アンタ、あの時真選組に居た女隊士……!」
眞銀はやっと由紀奈の事を思い出す。
「やっと思い出してくれたね。あの時、副長と鍔競り合ってた木刀の銀髪侍………兄妹か何かでしょ?近藤さんが負けたって聞いたときは驚いたけど、貴女の兄妹ならそれもあり得るよね」
「近藤さん?もしかして、あのゴリラの名前?あのゴリラとどういう関係?もしかして男女の関係とか?悪いことは言わないからさ、あの男は止めなよ。だって妙にストーカーする変t………!?」
そこまで言い掛けて、眞銀は咄嗟に顔をガードした。
何時の間に、由紀奈は刀を抜き、眞銀の首を狙っていた。
カードしたことで袖に隠していた特殊警棒が刃を防いでくれたが、切れた着物の裾から特殊警棒が落ちる。
「こんな道端で…………刃物なんか振り回すな!」
眞銀はローラースケートで素早く移動し、一本になった特殊警棒を由紀奈の後頭部に叩き込もうとする。
だが、由紀奈は特殊警棒を刀の腹で受け止める。
刀からミシッと音がするが、由紀奈はお構いなしに斬り掛かる。
眞銀は後ろに下がりながら、舌打ちをする。
「刀をそんな扱いしたら折れるよ。刀は武士の魂なのに、そんなことしていいの?」
「………確かに刀は武士の魂だよ。でも、私にとって刀より大切なものがあるの。私はそれを守るためなら何でもする。刀が折れようが、自分が傷付こうか構わない。貴女にとってはゴリラの変態ストーカーかもしれない………でも、あの人は私達真選組の大将で、私にとっての太陽なの」
刀を構え、由紀奈は腰を落とす。
「その太陽を汚す奴が現れるって言うなら…………私は、それを斬る!」
由紀奈は普段の様子からは想像できないほど真剣に、眞銀に対してそう言う。
「だから………貴女のお兄さんの情報、教えてもらうよ」
「ふーん…………なるほど」
そう言い、眞銀は特殊警棒を構える。
片手を腰に添え、特殊警棒の切っ先を由紀奈に向ける。
(特殊警棒の長さは私の刀の半分程度、こっちの方がリーチはある!)
そこに勝機を見出した由紀奈は刀を握り直し、踏み込もうと足を上げる。
だが、それと同時に眞銀が飛び出す。
その瞬間、眞銀はいつの間にか由紀奈の懐に潜り込んでいた。
(えっ!?早過ぎる…………!)
接近され過ぎたため、刀を振れず、代わりに眞銀の特殊警棒が迫る。
(やられる………!)
由紀奈は目を閉じ、覚悟を決める。
だが、何時まで経っても痛みは来ず、恐る恐る目を開ける。
「はい、私の勝ちね」
そう言う、眞銀の手には由紀奈の財布があった。
「悪いけど、私は人を痛めつける趣味は無いんだ。だから、代わりにこの財布貰うね。着物の弁償代として」
「…………私を見逃すって言うの?貴女を斬ろうとしたのに」
「アンタは守りたいもの為に戦おうとしたんでしょ。戦も、喧嘩も結局は大事な物や守りたいモノの為にするもんじゃん」
「………じゃあ、貴女は何の為に戦ったの?」
「そんなの決まってるじゃん」
「大好きな兄の為だよ」
眞銀は笑顔でそう言い残し、その場を去る。
「守りたいモノの為………か」
由紀奈は息を一つ吐き、刀を収める。
「負けちゃったな…………でも、すっきりした」
由紀奈はそう言い、いつもの笑顔で走り出す。
「屯所に帰ろっと!」
坂田眞銀
所有属性
ロリ ツインテール 大食い
追加属性
ブラコン