銀魂~白夜叉と白狼姫~   作:ほにゃー

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蛙より死に掛けのセミに触る方が勇気がいる

「えー、皆もう知ってると思うが、先日宇宙海賊“春雨”の一派と思われる船が沈没した」

 

近藤は隊士達を集め、この間の事件の話をしていた。

 

「しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴等を壊滅させたのは三人の侍らしい………驚くどころか誰も聞いてねーな」

 

隊士達は近藤の話を聞かず、世間話をしていた。

 

「トシ」

 

近藤は隣に居た土方に呼び掛けると、土方はバズーカを手に立ち上がる。

 

屯所内に爆音が響いた。

 

「えー、皆もう知ってると思うが、先日宇宙海賊“春雨”の一派と思われる船が沈没した。しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴等を壊滅させたのは三人の侍らしい」

 

「「「「「え゛え゛え゛え゛!!マジすか!!?」」」」」

 

「白々しい。もっとナチュラルにできねーのか?」

 

土方はもう一度バズーカを手に立ち上がる。

 

「トッシー落ち着こう。話が進まないって」

 

そんな土方を由紀奈は落ち着かせる。

 

「この三人の内一人は攘夷党の桂だと言う情報がある。まぁ、こんな芸当が出来るのは奴ぐらいしかいまい。春雨の連中は大量の麻薬を江戸に持ち込み売り捌いている。攘夷党じゃなくても許せんが、問題はここからだ。その麻薬の密売に、幕府の官僚が一枚噛んでいるらしい」

 

その情報に、隊士達は神妙な顔つきになる。

 

「麻薬の売買を円滑に行えるようにする代わりに、利益の一部を受け取っていたという事だ。真偽のほどは定かじゃないか、その噂を聞きつけ、攘夷派浪士が「奸族討つべし」と暗殺を画策してるらしい。真選組(オレたち)の出番だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんの野郎……寝てる時まで人をおちょくった顔しやがって」

 

官僚の自宅を警護している中、沖田は愛用のアイマスクで昼寝をしていた。

 

そんな沖田に土方は青筋を浮かべながら刀を抜く。

 

「おい、起きろ。警備中に惰眠を貪るだぁどういう了見だ」

 

「なんだよ母ちゃん。今日は日曜だぜィったくおっちょこちょいなんだから〜」

 

「今日は火曜だ!後、誰が母ちゃんだ!」

 

アイマスクを取り、ボケる沖田に土方は胸倉を掴む。

 

「テメー、こうしてる間にテロリスト共が乗り込んで来たらどーすんだ?」

 

「お説教ですかい?でしたら、俺だけじゃなく」

 

そう言って沖田は指を差す。

 

「あそこで、漫画読んでる小鳥遊にも言ってやってくだせぇ」

 

「小鳥遊!お前もサボってんじゃねぇー!」

 

「だって続きが気になるんだもん!」

 

少女漫画を読んでた由紀奈を叩き、土方は沖田と由紀奈に説教する。

 

「警備中に昼寝するわ、漫画読むわ……お前ら仕事なめてんのか?」

 

「いや、別になめてないよ。だた、警備任務って暇だからつい……ね?」

 

「俺は仕事はなめてませんぜ。俺がなめてんのは土方さんだけでさぁ」

 

「上等だ!勝負だ、刀抜け!」

 

土方はブチ切れ剣を抜こうとするが3人の頭に近藤のゲンコツが落ちた

 

「「「いっ!!」」」

 

「仕事中に何、遊んでんだァァァァ!!お前らは何か!?修学旅行気分か!?枕投げコノヤロー!!」

 

「近藤さん、私はどちらかって言うと、修学旅行の夜はUNO派です!」

 

「そんなことどうでもいいよ!てか、なんで由紀奈まで仕事サボってんの!?局長補佐官なんだからしっかしりてよ!……いっ!!」

 

近藤が説教をしていると近藤の頭に官僚である蛙天人のゲンコツが落ちた。

 

「お前が一番うるさいわァァァ!!ただでさえ気が立っていると言うのに!」

 

「あっ、スンマセン」

 

「まったく役立たずの猿めが!」

 

蛙天人はそう言い残し、部屋へと戻っていく。

 

「なんだィありゃ、こっちは命懸けで身辺警護してやってるのに」

 

「あんなのが官僚とか幕府終わってない?」

 

「補佐官なのにマンガ読んでるお前が言えた義理かよ。総悟は寝てただろ」

 

縁側に座りながら話をする土方達に近藤が話しかける

 

「海賊と繋がってたかもしれない奴でしょ?なんであんなガマ護らにゃいけないんですかい?」

 

「俺達は幕府に拾われた身だ。恩に報い忠義を尽くすは武士の本懐、真選組の剣は幕府を護るためにある」

 

「私としては正直、幕府とかどうでもいいんですけど。あ~あ……こんな仕事するために、真選組にいるんじゃないんだけどなー」

 

「俺もやる気が起きねーや。ねェ土方さん?」

 

「俺はいつもノリノリだよ」

 

「アレ見なせェ、みんなやる気なくしちまって」

 

「ザキなんてミントンやってるよ」

 

「山崎ィィィィィィ!!」

 

「ギャァァァァァ!!」

 

身辺警護もせずミントンをしていた山崎を土方は追いかけまわし、折檻する。

 

「総悟、由紀奈。あまりゴチャゴチャ考えるのは止めとけ。目の前に命を狙われてる奴がいたら、良い奴だろーが、悪い奴だろーが手ェ差し伸べる。それが人間のあるべき姿ってもんだ」

 

近藤がそう言ってると、突然部屋の襖が開き、中から蛙天人が現れる。

 

「あ、ちょっと!勝手に出歩かんでください!」

 

近藤は慌てて蛙天人に近寄り、部屋に戻る様に言う。

 

「ちょっと、禽夜様、ダメだって!」

 

「うるさい!もう引き籠り生活にはウンザリだ!」

 

「命狙われてんですよ、わかってんですか?」

 

「貴様らのような猿に護ってもらっても何も変わらんわ!」

 

「猿は猿でも俺達ゃ、武士道っつー鋼の魂をもった猿だ!なめってもらっちゃ困る!」

 

「何を!成りあがりの芋侍の分際で!………まったく奴らさえしくじらなければこんな事には…」

 

「え?何か言いました?」

 

蛙天人の呟きに近藤が聞き返していると、遠くで何かが光ったことに近藤が気づいた。

 

光った方を見ると、近くの建造物から狙撃手がライフルを構えているのに気付いた。

 

「いかん!」

 

近藤が叫んだ瞬間、銃声が響き渡り官僚に向かって銃弾が放たれる。

 

だが近藤が咄嗟に庇い、肩を撃ち抜かれた。

 

「局長!?」

 

「山崎!追え!」

 

「はい!」

 

土方は山崎の折檻を中止し、犯人を追うように指示する。

 

山崎も先程まで折檻されてた人物とは思えない速さで、犯人を追う。

 

「近藤さん!しっかり!」

 

「局長!」

 

「皆、静かに!」

 

隊士達が慌てる中、由紀奈は声を張る。

 

「狙撃手が一人とは限らない!第二、第三射の可能性を捨てないで!護衛対象を部屋に!周囲の警戒を怠らないで!」

 

止血をしながら隊士達に命令を出す。

 

「フン、猿でも盾代わりにはなったな」

 

「!」

 

その言葉が気に障った沖田は、刀を抜刀しようとするが土方に止められた

 

「止めとけ、瞳孔開いてんぞ」

 

 

 

 

 

 

 

その後、一室を借りて近藤を布団に寝かせると山崎が先ほどの攘夷志士についての報告をする。

 

「ホシは“廻天党”と呼ばれる攘夷派浪士集団。桂達よりも遥かに過激な奴らです」

 

「そーか。今回は俺のミスだ。指揮系統から配置まで全ての面で甘かった」

 

「いえ、土方さんは悪くないです。局長補佐の身でありながら、その任を果たせなかった私の責任です。護衛対象の身辺警護は私がしますから、皆は屋敷周辺の警備をお願いします」

 

「副長!補佐官!」

 

一人の隊士が声を上げ、土方と由紀奈はその隊士を見る。

 

「あのガマが言ったこと聞いたかよ!あんな事言われて、まだ奴を護るってのか!?」

 

「それが私達の仕事ですよ」

 

「野郎は地球人(俺ら)をゴミみてーにしか思っちゃいねー。自分を庇った近藤さんにも何も感じちゃいねーんだ!」

 

「副長、補佐官。勝手ですが、この屋敷の事色々調べさせてもらいました。そしたら、倉庫からコイツがどっさりと……」

 

そう言って山崎は麻薬の入った小袋を出す。

 

「もう間違いなく、奴はクロです。………こんな奴を護れなんざ、俺達の居る幕府って一体どうなって………」

 

「フン、何を今さら」

 

土方は立ち上がり、部屋の襖を開ける。

 

「今の幕府は人のためになんざ機能なんかしてねェ。んなこたぁ、とっくに分かってたことじゃねーか。てめーらの剣は何の為にある?幕府を護る為か?将軍を護る為か?俺は違う。覚えてるか?」

 

土方はゆっくり煙草を吹かしながら言う。

 

「学もねぇ、居場所もねぇ、剣しか能のないゴロツキの俺達を、きったねー芋道場に迎え入れてくれたのは誰か?」

 

全員の脳裏に、かつての過去が思い出される。

 

「廃刀例で剣を失い、道場を失っても、俺達を見捨てなかったのは誰か?」

 

誰もがある一人の顔を思い浮べた。

 

「失くした剣をもう一度取り戻してくれたのは誰か?」

 

全員が自分の刀に意識を向けた。

 

「幕府でも将軍でもねェ。時代が変わろうと俺の大将は近藤(こいつ)だけだよ」

 

「つまる所、その大将が護るって言ったなら、それに従うのが部下ってものなんだよ」

 

由紀奈も立ち上がり、土方の隣に立つ。

 

「気に食わねーなら、帰ってもいいぞ。俺は止めねー」

 

「何があったら私の所為にしていいから」

 

そう言い残し、二人は襖を締める。

 

「随分と偉そうな事言いやがってよ、小鳥遊のクセに生意気だぞ」

 

「これでも局長補佐だからね。局長が指揮を執れない時は私が局長の役目をしないと」

 

「フン、立派になりやがって。最初に出会った頃のお前が嘘の様に思えるぜ」

 

「それはお互いさまじゃない?」

 

「違ぇねーや」

 

二人でクックと笑いながら中庭に向かうと、そこでは沖田が焚火をしていた。

 

蛙天人を貼り付けにした下で。

 

「お前、何してんのぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「それ護衛対象なんだけどぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

「大丈夫大丈夫、死んでませんせ。要は護ればいいんでしょ?これで敵をおびき出して、パパッと一掃。攻めの護りでさぁ」

 

「貴様ぁ!こんなことしてタダですむともべ!!」

 

何か言い掛けた蛙天人だったが、沖田が口に薪を突っ込み黙らせる。

 

「土方さん、小鳥遊。俺もアンタらと同じでさぁ。早い話、真選組(ここ)にいるのは、近藤さんが好きだからでしたねぇ。でも、何分あの人は、人が良すぎらぁ。他人の良い所見つけるのは得意だが、悪い所は見ようとしねぇ。俺や土方さん、小鳥遊のみてーな性悪がいて、それで丁度いいんですよ、真選組は」

 

「…………あー、なんだが今夜は冷え込むな」

 

「そう言えば、夕方のニュースで夜は冷えるとか言ってた気がするなぁ」

 

「総悟、薪をもっと焚け」

 

「たっぷりとね」

 

「はいよ」

 

「むごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

蛙天人の下で薪をたっぷりと入れる中、其処へ攘夷派浪士集団が乗り込んできた

 

「天誅ぅぅぅぅ!奸族めェェ!成敗に参った!!」

 

「どけ幕府の犬ども!貴様らににわか侍が真の侍に勝てると思うてか!」

 

「おいでなすった」

 

「派手に行くとしよーや」

 

「物理的に出血大サービスいっちゃおうか」

 

刀を抜き、構えると、後ろから声がする。

 

「まったく、喧嘩っ早い奴等よ。トシと総悟、由紀奈の三人に後れを取るな!バカガエルを護れぇぇぇぇ!!」

 

近藤は病み上がりでありながら、刀を抜き隊士達に指示を出す。

 

それを見て土方、沖田、由紀奈の三人は笑い、攘夷浪士たちに向かう。

 

「いくぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おてがら真選組。攘夷浪士大量検挙。幕府要人、犯罪シンジゲートとの癒着に衝撃………銀ちゃん、シロちゃん」

 

「あー?」

 

「何ー?」

 

「癒着って何?」

 

「…………カーコー」

 

「…………スピースピー」

 

「おい、とぼけてんじゃねーぞ、天然パーマと幼女」

 

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