銀魂~白夜叉と白狼姫~   作:ほにゃー

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テンションに身を任せる時は状況確認を

「金がねーなら腎臓売るなり金○売るなりして、金作らんかい!」

 

「うるせーよババア!こないだアレ、ビデオ直してやったろ!アレでチャラだ!」

 

ある日の平日。

 

銀時は自分が住んでる家の家賃の事で大家のお登勢と揉めていた。

 

「いいわけねーだろ!五ヶ月分の家賃だぞ!大体あのビデオ、また壊れて『鬼平犯科帳』コンプリート失敗しちまったわい!」

 

「バカヤロー!諦めんな!きっと再放送するさ!」

 

「いいから家賃寄越せっつーんだよ、この天然パーマ!」

 

「んだ、コラァ!お前に天然パーマの苦しみが分かるか!」

 

「はぁ~」

 

その光景を見て、半月前から万事屋で働くことになった新八は溜息を吐く。

 

「ちょっとアンタらいい加減に「ぎゃああああああ!!」

 

新八が仲裁に入る前に、銀時は投げ飛ばされ、二人は階段下に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ、銀兄。別に一日一回牛丼の大盛りが食えるぐらいの稼ぎとは言わないよ。でもさ、せめて一ヶ月の家賃分ぐらいは稼いでよ。私のモデルの仕事だっていつもあるんじゃないよ」

 

眞銀はたまに、ファッション雑誌のモデルなどをやっていてそれなりの収入を貰っているが、貯金は少ない。

 

それも銀時が真面目に働かずふらふらしてるから、自然と家賃や光熱費、水道代などを眞銀が払っているからだ。

 

「でも、眞銀さんの言う通りですよ、銀さん。このままだと万事屋の家計は火の車です。それに、僕の給料も出ますよね?」

 

「………腎臓ってよ。二つもあんの、なんか邪魔じゃない?」

 

「売れってか!売らんぞ!何恐ろしいこと考えてんだ!」

 

「でも、新八君。腎臓って一個あれば人間生きて行けるらしいよ」

 

「その情報で僕にどうしろと!売れってか!兄妹揃って碌でもないこと考えてんじゃねぇよ!」

 

万事屋に新八が来てくれたことで万事屋にツッコミ要員が出来た。

 

普段なら銀時のボケと眞銀のボケがぶつかり合い、超反応を起こしている。

 

「カリカリすんなや。金はな。がっつく奴の所には入ってこねーもんさ」

 

そう言って銀時はテレビの電源を付ける。

 

が、画面が砂嵐状態で何も映らない。

 

「姉上がスナックで働き始めて、寝る間も惜しんで頑張ってくれてるんですよ」

 

「あり?映りワリーな」

 

「ちょっと!きーてんの!?」

 

新八を無視し、銀時はテレビを叩く。

 

「あ、入った」

 

『――現在謎の生物は、新宿方面へ向かっていると思われます。ご近所にお住まいの方は速やかに避難することを……』

 

「またターミナルからえいりあんの侵入か?」

 

「最近多いよねー」

 

「えいりあんより、今は生計どうやってたてるかの方が問題っすよ」

 

その時、扉のインターホンが鳴る。

 

「金ならもうねーって言ってんだろ、腐れババア!」

 

銀時はまたお登勢だと思い、扉の引き戸ごと蹴り飛ばす。

 

すると、玄関の外に居たのはお登勢ではなくグラサンを掛けた髭のおっさんだった。

 

「あれ?」

 

「局長ぉ!!」

 

「貴様あ、何をするか!」

 

「スンマセン、間違えました。出直します」

 

「待て!」

 

部屋に戻ろうとする銀時の頭に、グラサンのおっさんと一緒に居た男が銃を銀時の頭に突きつける。

 

「貴様、万事屋だな。我々と一緒に来て貰おう」

 

「わりーな、知らねー人に着いて行くなって母ちゃんから教わってんだ」

 

幕府(おかみ)の言う事には逆らうなとも教わらなかったか?」

 

蹴られたグラサンは起き上がりながら言う。

 

「オメーら、幕府の……」

 

「入国管理局の者だ。アンタらに仕事の依頼だ、万事屋さん」

 

銀時、眞銀、新八の三人は黒塗りの車に乗せられ移動する。

 

グラサンのおっさんの名前は長谷川泰三。

 

入国管理局の局長だ。

 

「入国管理局の長谷川泰三って言ったら、天人の出入国の一切を取り締まる幕府の重鎮すよ。そんなのが一体、何の用でしょう?」

 

「ねぇ、おっちゃん。あたしたちに何の用なの?」

 

スルメイカを齧りながら眞銀が尋ねると長谷川は口を開く。

 

「アンタら金さえ積めば何でもやってくれるんだろ。ちょっと仕事を頼みたくてね」

 

「仕事だぁ?幕府(テメーら)仕事なんてしてたのか?」

 

「驚きだね。街では天人が好き勝手してるのに」

 

「こりゃ、手厳しい」

 

長谷川は苦笑と言った感じに笑い、煙草を吸う。

 

「俺達もやれることはやってるんだがね。なんせ、江戸がこれだけ発展したのも奴等のおかげだからな。おまけに連中は地球(ここ)をエラク気に入ってるようだし無下にも扱えんだろ。既に幕府の中枢にも天人が根を張ってる。地球から追い出そうなんて夢は見ん事だな。俺達に出来るのは奴等とうまく共生していくことだけだよ」

 

「共生ねぇ。んで?俺らになにしろってんだ?」

 

「言っとくけど、ヤバイ仕事なら断るよ。何でもやるって言っても限度はあるし」

 

「安心しなよ、お嬢ちゃん。別に危険な仕事じゃねぇ。ただ、公にすると幕府の信用が落ちかねん問題だ。それも、国を左右するほどの危機だ。央国星の皇子が今地球に滞在してるんだが、ちょっと問題を抱えていてな。それが………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「余のペットがの~、いなくなってしまったのじゃ。探し出して捕えてくれんかの?」

 

デブでチビ、おまけに頭に触角を生やした絵に描いたような我儘王子の様な性格をした天人を見て、銀時たちは速攻で帰ろうとした。

 

「オイぃぃぃぃぃ!ちょっと待てええええええ!」

 

だが、それを長谷川は止める。

 

「君ら万事屋だろ!?何でもやるんだろ!?いや、分かるよ!分かるけど、頼むからやって!」

 

「うるせーな、グラサン叩き割るぞハゲ」

 

「ああ、ハゲでいいから!ハゲでいいからやってくれ!」

 

そう言って長谷川は銀時に耳打ちをする。

 

「ヤバいんだよ。幕府(うち)さ、あそこの星から、色々金とか借りてるからさ」

 

「しらねーよ。それはそっちの問題だろ。ペットで滅ぶ国なら、いっそ滅んだ方がいいわ」

 

「ペットとはなんじゃ。ペスは余の家族同然じゃぞ」

 

「だったらテメーで探してください、バカ皇子」

 

「オイぃぃぃぃぃ!バカだけど皇子だから!皇子」

 

「おっちゃん、アンタもバカって言ってるよ」

 

「てか、ペット探しぐらいなら貴方たちでも十分解決できるんじゃ」

 

「いやそれが無理なんだよ!」

 

新八の疑問に、長谷川は大声を出す。

 

「だって、ペットって言っても!」

 

その瞬間、眞銀たちの後ろに会った旅館が潰れ、巨大なタコみたいなえいりあんが現れる。

 

「おおー、ペスじゃ!ペスが帰ってきてくれたぞよ!誰か、捕まえてたもれ!」

 

「ペスぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!?嘘ぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

「だから言ったじゃん!だから言ったじゃん!」

 

「まさか、テレビで暴れてた謎の生物ってコレ!?こんなのどうやって飼ってたわけ!?」

 

「ペスはの~秘境の星で発見した未確認生物でな。余に懐いてしまったがゆえ、船で牽引して連れ帰ったのじゃぶぅ!?」

 

バカ皇子は最後の言葉を言い終える間の無く、ペスの触手で叩き飛ばされる。

 

「全然懐かれてないじゃないですか!?」

 

するとペスもとい巨大タコえいりあんは市街地の方へと移動を開始する。

 

「あ、また市街地にって銀さん!それに、眞銀さんも!」

 

ペスの進行方向には木刀を持った銀時と特殊警棒を抜いた眞銀が居た。

 

「新八、醤油買って来い。今晩はタコの刺身だ」

 

「銀兄、タコ焼きも追加で」

 

「いいな、それ。じゃ……」

 

「「いただきまーす!!」」

 

そう言って走り出そうとする銀時と眞銀。

 

「させるかぁ!」

 

そんな銀時を長谷川はスライティング足払いをして止める。

 

「いだだだだだだだ!何しやがんだ!脳ミソ出てない?コレ」

 

「大丈夫だよ、銀兄。銀兄の頭に脳ミソなんて高尚な物詰まってないから」

 

「え?それは何が大丈夫なの?」

 

「手ぇ出しちゃダメだって!無傷で捕まろって皇子に言われてんだ!」

 

漫才に近いことをやっている兄妹に長谷川が依頼の内容を言う。

 

「無傷?できるかぁ、そんなん!」

 

「楽屋で小林〇子の紅白用衣装奪うぐらいに難しいよ」

 

「それを何とかしてもらおうとアンタら呼んだの!」

 

「「無理無理!」」

 

「うわああああああああ!助けて!」

 

その時、新八の悲鳴が聞こえ振り返ると新八はペスに捕まり、捕食されそうになっていた。

 

「新ぱt……」

 

「勝手な真似するなって言ってるでしょ」

 

助けようとする銀時の頭に長谷川は銃を突きつける。

 

「無傷で捕獲なんざ不可能なのは百も承知だよ。多少の犠牲が出なきゃバカ皇子は分かんないって」

 

「要するにあのえいりあんの処分許可貰うために、うちの従業員を……新八君を犠牲にするってこと?」

 

「どーやら幕府(テメーら)本当に腐っちまったみてーだな」

 

「俺達は奴等と共生していくしかない。腐ってよーが、俺は俺のやり方で国を護る。それが、俺の武士道だ」

 

長谷川には長谷川で譲れないものがあった。

 

だが、それは二人にも同じことだった。

 

「そうかい………なら、俺らは俺らの武士道でいかせてもらうぜ!」

 

そう言うと、眞銀は目にも止まらぬ速さで長谷川の銃を弾き飛ばす。

 

その直後、銀時は全速力で走り出す。

 

「待てぇ!一人の人間と、一国!どっちが大事か考えろ!」

 

「したこっちゃねーな、んな事!」

 

銀時は触手を躱しながらペスに突っ込んで行く。

 

「新八!気張れぇぇぇ!」

 

「気張れって………どちくしょおおおおおお!!」

 

新八は銀時に言われたように、気張る。

 

「幕府が滅ぼうが国が滅ぼうが関係ないもんね!俺は、自分(てめー)肉体(からだ)滅ぶまで背筋伸ばして生きて行くだけよ!」

 

そう言って銀時はペスの口の中に入る。

 

そして、次の瞬間ペスの口から血が噴き出て倒れる。

 

「彼奴…………」

 

「あれが銀兄だよ」

 

眞銀は落ち込み気味な長谷川に声を掛ける。

 

「幕府や国みたいな大きな物、銀兄やあたしが護るには大き過ぎるし護れない。だから、あたしたちは目の前で落ちそうな人間を一人でも助ける。それが、あたしたち万事屋兄妹のやり方だよ」

 

そう言うと長谷川は何かを考え、振っている血の雨を浴びる。

 

「ペスがああああ!余の可愛いペスが噴水の如く喀血しておるではないか!!長谷川!余は無傷で捕えよと申したはずじゃ!どう責任を取ってくれる!国際問題じゃこれは!今回の件は父上に報告させてもらうぞ!」

 

「………せーよ」

 

「ん?」

 

「うるせーって言ってんだ!ムツゴロウ星人!」

 

長谷川はそう言ってバカ皇子にアッパーを決める。

 

「あーあ!いいのかな~、んな事して~!」

 

「しるかバカタレ。ここは侍の国だ。好き勝手させるかってんだ」

 

そう言う長谷川は何処かスッキリしたような表情だった。

 

「おっちゃん。幕府の重鎮なのに、こんなことして大丈夫だと思う?」

 

「……え?」

 

「間違いなくリストラっすよ」

 

「バカだな。一時のテンションに身を任せると身を滅ぼすんだよ」

 

「…………ええええええええええええええ!!?」

 

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