島リセした主人公はムカデを一撃で倒すウッドソードを手に入れました。   作:フラン可愛い

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島リセットしちゃいました。

「くそっ、硬いなこれ」

 

 どうも。主人公です。僕はある島でひたすら石像を叩いています。

 

「とう!とう!やっ!」

 

 剣を振ると同時に声が勝手に出てしまうのは仕様なんです。そんな冷たい目で見ないでください。

 しかしこの石像。笑顔がとてつもなく腹立つ上に、高火力な人達の攻撃をものともしないこの耐久力。

 

(まさか、これは闇の何かでは?)

 

 と思い、愛用の剣『閃・カリュプティス』で叩き続けて早二時間。石像の破壊の状況はあと少しで壊せそうである。

 Sp(特殊な技を使うための力)はとっくに枯渇。

 キャトラという喋る猫やアイリスという少女ももう既に飛行島で晩ご飯を食べている頃だろう。

 冒険者である僕のパーティメンバーも皆既同じくかえっていた。

 しかし、ここで諦めるわけにはいかない。二時間あれば城門を何百個破壊できるだろうか。

 そんな貴重な時間を使ってまでこの作業を続けているのだ。中には何かがあるはず――!

 

「とう! ――っ!?」

 

 ついに石像はバラぁっ!と盛大な音を立てて割れた。

 ついに割れたのだ!

 

 てってってーてれれれっててー♪

「やったぜ!」

 

 いまの心情は中身が何かというより、全てやりきった達成感の方が強い。

 憂さ晴らしに大砲でも乗ってこようとしたその時。あるものを見つける。

 

「?」

 

 見つけたものは黒くて怪しいルーン。

 この世界ではソウルという大気の中にあるエネルギーと、ルーンという石のようなものを使って人は強くなるのだ。

 基本的にルーンはソウルに満ちているが、このルーンからは感じ取れなかった。

 

「とりあえず拾っておこう」

 

 おおよそ二時間振りっぱなしであったため、流石に腕が痛い。今日はもう寝ておこう。新しく入った美人な仲間と皆が仲良くすればいいと心から願う日々だ。

 

 ☆彡.。☆彡.。

 

 その数日後。ギルドオファーという冒険者派遣の依頼が飛行島宛に飛んできた。しかも僕宛だ。

 

「あら? どうしたのかしら?」

「なになに? ラブレター?」

「ん?」

 

 まさか闇の集団からの挑戦状だったりするのだろうか?

 手紙を開き、読み上げるとキャトラとアイリスが何かを察したような顔をする。その内容とは、

 

 《Lv250のムカデでも一撃で倒せるウッドソードを

 作ってしまった……

 なんとか弱くできないだろうか……

  Byウッドソード職人》

「胡散臭いわねー」

「あ、貴方は受けるの?」

「う、うーん」

 

 正直迷う。

 こんな胡散臭いギルドオファーといえば、媚薬を作ってくださいと言われた時を思い出す。

 あの時は結局魔物狩りにかり出せれただけであったのだ。

 だけれども、あの石像を二時間も振って筋肉を鍛えたのだ。少しは強くなった筋肉の実力を試してみた差はある。

ちなみにウッドソードとは、武器がない時にしかたなく装備する、言わばデフォルト武器。攻撃力は皆無である。

 

「やってくるよ」

「ぎにゃ?!」

「本当にやるのかしら? ウッドソードを狙っているのなら、やめといた方がいいわよ?」

「って聞いてないし……」

 

 キャトラとアイリスが半目になりながら僕を見るが、そんなことはキニシナイ。べ、別にウッドソードが欲しいわけけじゃないんだからね!!

 

 それと今回は誰一人連れていかないつもりである。何せ、ほかの人を連れていったら成功してしまうかも知れないから。

 こんな嘘を見抜けないほど僕は馬鹿じゃない。こんな依頼は失敗で済ます方がましなのではないだろうか。

 

 ギルドオファーを受注する飛行船の中に入ると、早速行動を開始する。

 

「メ、メンバー編成を変えた方がいいかもしれないわね……」

 

 今回もエルフの女性がギルドオファーのやり取りをしてくれるようだ。彼女の名前をラーレッタという。

 が、そんな事はどうでもいいだろう。

 

「出発してください」

「いやでも危ない――」

「出発してください」

「……無理はしないでね。危なくなったらすぐ戻ってくるのよ」

 

 こうして僕は鍛冶師ではなく、詐欺師の元へ向かったのだった。

 ただ一人、付いてくる人物に気が付かずに。

 

「ふふふ、ししょーを偵察(リコニッサンス)でごさる! あ、この作戦に協力してくれるフレンドを確認しておくでござる……うぅ、ししょーとザックしかいないでござる」

 

 ここで誰かが友達を確認しようとして飛行島が水没したのはまた別のお話……

 

 ☆彡.。☆彡.。

 

「なんとか弱くできないだろうか」

「貸してみてください。そこら辺に投げ捨ててきます」

「いやほんとに危ないんだって。闇の連中に取られたら世界終わるって」

「そんなウッドソードないので安心してください。履いてますから」

「いやこの状況で履いてなかったらきみを憲兵に突き出してるからね?」

「どうでもいいから弱くするんで貸してください」

「むむっ、ししょーは履いてないのでござるか……だからあんなにベルトを……ごくり」

 

 背後からなにか嫌な予感を感じるが、明らかに気のせいである。なにせ僕しか今回はこの場所に来ていないからな。

 しばらく話していると、ウッドソードは危険すぎて信用するものにしか渡せないと来たものだ。

 何ともこの職人は守りが硬いこと。どうせその存在はフィクションです。とかいいそうであるのに。

 

「魔物を退治してくれたら考えよう」

「出たよ。ハード特有の魔物退治。次はパイでも焼けってか? その次は走るのか? ダンテ負けるのか?」

「……なんでこいつを派遣したし」

「嫌なら別にいいんですよ? 魔物に襲われて闇の連中に取られたっていいんですよ?」

「別にいいんですよ? そのウッドソードを渡しても。なおかつ粋な金指輪をgiveしちゃってもいいんですよ?」

「ぜひやらせて頂きます職人様。倒すのは何でしょうか?」

「こいつホントゴミだな。なんだこの手のひら返し」

 

 職人の暗い視線なんて見えない。今見えるのは金指輪を装備して、伝説のウッドソードで石像を二十パーセント早い速度で殴る光景のみ。

 スタータヌッキーをどれだけ設置できるかの限界も知りたいのだ。

 

「やってくれるならこちらもお願いしよう。そちらにはカティア様という天才学者もいるだろうし、解析も兼ねてお前に渡すのがいい」

「なんか口調変わってますよね鍛冶師様」

「行け!この世のすべてをそこに置いてきた! あ、敵もね」

「お前が黒幕じゃねぇか」

「ん?何かな?」

「いいえ! 何でもありません! 行ってまいります!」

 

 目を輝かせながら僕は走る。そこにある因果関係は、敵倒す=粋な金指輪 のみ。

 断じてモンスターを出現させる事が仕事の鍛冶師が存在したなんて頭にない。ええ。ほんとに。

 

 どうせすぐ終わるかと思っていた。そう。思っていたのだ。

 

 ☆彡.。☆彡.。

 

「ウホホホホホホ!!」

「ちっ、なんだよこいつらっ!?」

 

 ウッホというゴリラ型で、体格が三メートル程ある巨大な魔物と戦っているのだが、ハンマーを使ったジャンプ振り下ろし攻撃をすんでのところでくるりと前転回避。衝撃波が肌を撫でる感覚ともに悪態を吐く。

 もう既に戦いを始めてから時は一時間を過ぎている。しかも、この前に戦ったナイトメアスパイダーは四十分程かかったのだ。

 ウッホは戦ってまだ二十分程度だが、とにかくこいつらの体力が異常なのだ。硬い。硬すぎる。

 

「うぉぁらぁぁっ!!」

 

 渾身の力を込めた三段切りのスキル、メガブレードもダメージは入っているのにウッホは全くひるまない。

 

「ウッホ!」

「ぐぅあ!?」

 

 スキルは終了すると同時に僅かに硬直するが、その硬直を知っているかのように、二メートルほどある巨大なハンマーを遠慮なくフルスイング。

 回避は不能であると考えて、剣を横にして何とかしてダメージを減らそうと思ったのだが――そう上手くはいかなかった。

 

「がはっ……っ!?」

 

 土壁に大きなクレーターを作りつつも壁にまで吹っ飛ばされ、叩きつけられた僕は強く喀血する。

 今までに戦ったこともないような、体力の限界が見えない敵に恐怖のような感情を覚えるが、それを凌駕する驚きの出来事が目に映る。

 

「ししょー!大丈夫でござるか?!」

「ふ、フラン!?――避けろ!!」

「!?」

 

 ウッホのダイブしながらの掴み攻撃は今では全く見ないのに、このゴリラはそれを行ってくる。

 栗色の髪をして、頭には洋梨の装飾品つけ、青い忍者服を纏った少女はウッホの大きな左手による掴み攻撃を軽々とジャンプして回避しさらにカウンターを放つ。

 

「はぁぁっ!」

 

 手に持つ二刀で倒れたウッホを回転しながら切り下ろすと、予期しないカウンターにさすがのゴリラも怯む。

 その怯んだ隙を見て少女はさらに追撃をかける。

 

「ボナペティ!!」

 

 彼女はグルグルとその場で回転しながら無数の衝撃波をウッホに向かって放つ。ウッホは僕やフランのような剣を持つ相手を苦手としていて、ダメージが大きくなるのだが――

 ニィっと、ウッホの口が歪む。やばい。全くダメージになっていない。

 

「フランッ!!」

 

 言葉よりも身体が先に動いた。いつの間にかフランを押し飛ばしていたが、もうウッホは大きく振りかぶって回転の構えを取っている。確実に殺すつもりか……!?

 

「し、しょー……?」

「逃げろ、フラン」

 

 フランの絶望的な顔を最後に僕の命は尽きてしまうように思えたが、体内にある全てのソウルが吸い取られる感覚とともに服にしまっていた石像の中にあったルーンが光を放つ。

 

「っ……え……?」

 

 体内にあるエネルギーが吸い取られてしまったため、声を上げることが出来なかったが、ルーンから服越しに凄まじい光が放たれる。何も動じなかったウッホの攻撃を中断させるほどであった。

 

「ししょーッ!」

「なにが――どうなって――」

 

 この隙にフランは僕を抱えてウッホから距離をとる。

 このルーンの光で力はほとんど抜けてしまったため、今はレベル10程度の力しか出せないのかもしれない。

 

「ししょー!? 無事でござるか?!」

「おかげで、な。だがフラン……何でこんなところに来たんだ?」

「それはともかく!この三つをボナペティでござる!」

 

 フランの胸もとから出されたのは、謎の黒い筋が浮き出ていて、異様なオーラを放つウッドソード。もう一つは金色の豪華そうな指輪。最後には僕の顔くらいの大きさの洋梨。この二つって、まさか?

 

「オーララ! あの二つでござる!」

「いったい、どうやって――」

「そ、それはシークレットでござる。さ! この武器が偽物かどうかを確かめるチャンスにござる!」

 

 フランの洋梨を貰って少々体力が回復した。

 だけれども、石像の中にあったルーンはウッホの元へ落としたままだ。さっさと返してもらう必要がありそうだ。

 

「フラン、ありがとう」

「お、オーララ! おたがいさまでござる!」

 

 フランに笑顔で返した後、謎のオーラを持ったウッドソードをウッホに向かって走りながら構える。

 異常な程手に馴染み、お前が主だ、と言わんばかりにウッドソードがもつ経験が頭に流れ込んでくる。

 よって、見たこともない武器スキルがどのように動けばいいのかよく分かる。

 

「うりゃあああっ!」

 

 剣に炎を纏いながらも大きく二回切りつける。振るう速度も凄まじく早く威力が込められているようでこれまでで最高の攻撃であると言ってもいいほど、調子が良かった。

 そして今なら五十パーセント程度早く動けそうな気がする

 

 しかし――

 

「ウッホぉ……」

「うぉととと?!まだ一撃目なんだけど?!」

 

 ウッホはただの一撃で沈んでしまった。壁にぶつかりかけた。

 

「オーララ!素晴らしい火力でござる!!」

「え……ああ。うん。そうだね」

 

 フランが近づいてきたのは分かるが、凄まじいくらい眩しい。今の状況では足音しか聞こえない。ルーンの光が強すぎて。

 

「ししょー、この眩しい光は何でござろう」

「さっきから気になってるんだけど――なんな強くなってる気がする」

「!? ししょーの身体が半透明に!?」

 

 気がつけば、光に巻き込まれ続けた身体は幽霊であるのではないかと思えるほどの半透明に。普通ウッドソードは武器スキルなんてないし、死んじゃった?

 

「フランもだよ?!」

「オーララ!? どうなっちゃうでござるか?!」

「分からないけど取り敢えず手を握って! 離れちゃダメな気がする!」

「りょ、りょうかいでござる!」

 

 激しい閃光が包む中、手をぶんぶん振り回してやっと手をつないだ。そして、この選択が未来を左右することになる。

 

「うわっ、光が……きえた?」

「と、突然何事でござるか? いや、突然過ぎることしかないのでござるが」

 

 閃光が遠のいていったため目をうっすらと開ける。

 そこに映ったのは。

 

「Ohッドソード」

「ししょーつまらないこと行ってないで現状把握が先でござろう?! それにししょーの髪が黒いでござる!! ってここは――」

 

 間違い用もなく、僕の僅かに残る記憶の中のお城であった。そしてその先には

 

「ししょー! 魔物でござる!」

「これやっぱりどこかで……とりあえず進もう」

「オーララ!了解でござる!」

 

 出てきた魔物は、猫の頭の形をした一頭身の生物。

 真っ黒な人間と同じぐらいの小さいドラゴン。

 どれも退治するのには一秒と掛からない弱さであった。例えるなら操作方法を確認するかのような……

 

「ししょー! 誰かが玉座に座ってるにござる!」

「よーし、丁度いいからHPドレインしよ。ブラッドエクスキューショ」

「?!そんな――」

「ってあれはアイリス殿でござるよ?!」

 

 よく見てみるとそのとおりであった。

 がしかじスキルはもう進行してるし仕方な――

 

「……ごめ……んなさい――」

「ししょー!こっちが完全に悪いのに謝らせてるでござるよ!?」

「!? いやほんと冗談のつもりだがら! 当てる気なんてないから!! ほんとに!信じて!?」

 

 すると、再び凄まじい閃光があたりを包む。またか、またなのか。

 

「オーララ。また閃光でござるか。サングラスサングラス」

「おい。あんのかよてかウッドソード出した時も思ったがフランはどうやってものを取り出してるんだ?」

「乙女には色々あるのでござるよ」

「そ、そうなのか」

 

 当たり前のようにサングラスをかけるフランに突っ込んだら当たり前のように返された。僕が異常なだけなのか。

 

「さよなら、約束の人」

「あーあ。これやっちゃったよししょー」

「お、温泉連れてけば復縁できるはず」

 

 閃光が収まると、何故か見覚えるのある景色が浮かび上がってくる。

 

「ほぇ? ここってアストラ島――でござるか?」

「ああ。なんかここ覚えがあると思ったらそうだ。アストラ島だ。昔はこうやって筋トレやら素振りをしてると――」

「!? 船が来たでござるよ?!」

「そうそう船がきてグレイルジャガーで驚く冒険者さんかっこわらいが槍を振り回して――」

「やれやれ、到着早々てあらいまねをしてくれる」

 

「「あ」」

 

 完全に一度見た光景であった。その時はフランとともに見合わせたが、空いた口が塞がらなかった。

 

「これはログイン日数が百日超えるとできるやつだわ。島リセットかこれ」




勢いで書きました♪
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「Ohッドソード(おうっどそーど)」
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