島リセした主人公はムカデを一撃で倒すウッドソードを手に入れました。   作:フラン可愛い

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それぞれの武器が素晴らし過ぎました。

「ってバロンさん。なぜ僕の分の剣じゃないんですか?!」

 

 精密な装飾が施された白い二刀の凄まじいオーラに気圧されながらもライオンの獣人であるバロンに話しかける。

 しかし彼はすぐに驚いた表情を戻し、そして僕を無視して二刀をフランに渡す。

 

 僕が装備できないのには理由があり、その理由はクラスによって使える武具が変わるためだ。

 この世界には 剣士、武闘家、アーチャー、ランサー、ウォーリア、魔道士と言ったクラスがある。

 その中でもフランは、有名ではないクラスではあるももの、クロスセイバーという二刀流使いのクラスに所属している。もちろん、彼女は二刀以外には装備すること着できない。

 ちなみに僕は剣士で、片手剣しか装備できない。

 

「バロン、俺にも作ってはくれないか?」

「もちろんだ。約束は守る」

 

 カイルがそう言い放つと、バロンは再び僕を無視して拳くらいの大きさの宝石を、ライオンの形に作られた竈に投げ入れる。

 

 竈が閉められると同時に、ギャイン!! と金属が叩かれるような音が大きく三回響き渡る。どこか小気味のいい音ではあるが、その音の裏には人々の悲しみがあることを忘れてはいけない。

 

「こ、これは!?」

「オーララ……なんか嫌な予感がするでござる……」

「ほう、なかなかいい武器だな」

 

 でぇぇん という効果音とともに竈から勝手に抜け出し空中に浮かぶ槍は、槍先が真紅に染まり、十字架のような形となっている。

 この槍は……まさか!?

 

「魔槍 サングィース、って名前らしいな」

「いい槍が出来たな」

「……って!? 僕にもなにか恵んで欲しいんですが」

「悪いな。もう石がないんだ。自分で集めるんだな」

「ちくしょぉぉぉぉ」

「それにしても、この槍は凄まじい力を感じるな。まるで俺のために作られたようだ」

「し、シショー! あの槍は違う人のために作られたものでござろう?!」

「多分そうだけどなんか槍から妙なオーラが……」

「ふっ、なるほど。よく伝わったよ」

 

 カイルは一度はにかむと、扉に向かって槍を下段に構えをとる。その構えは一切無駄がなく、熟練の槍使いであることを彷彿とさせられた。

 

「来る」

 

 彼がそう呟いた瞬間鍛冶屋の扉が開かれ、人の影が見えた。

 入ってくるその影に対してカイルは――

 

「ドーン・オブ・ウォール」

「バロ――!? うにぁぁぁ!?」

 

 彼は鋭い目つきのまま槍をギラリと光らせた途端、入ってきた人物の背後から、寄りかかるのにちょうど良さげな白い壁が生えだして来る。

 突然のことに驚いたので、この部屋に入ってきた者は抵抗など出来るわけもなく、生えだした壁に寄りかかる。

 

「にゃ……なんなの……にゃぁ……!?」

「!? あれはミィニャ殿ではござらんか?!」

「うん!? ミィニャだねあれ!?」

 

 僕達が口を揃えていうミィニャとは、この付近に住んでいる人物である。半分は人間であり、半分は猫の獣人の女の子であるので珍しいっていえば珍しいが、世界にはこんな人々が沢山いる。

 

 察するにバロンに用事がありここまで来たとは思うのだが、カイルのいい餌となってしまったようだ。

 

「ふっ……!」

 

 カイルは薄い笑みを浮かべると空いた左手を使い、ミィニャの耳に当たるか否かの超至近距離の場所を思いっきり、平手で貫く。

 迫力のある衝撃波と音が叩かれた場所を中心として広がり、僕達の髪の毛を揺らしつつ驚かせる。そしてカイルの顔は徐々にミィニャに近づく。おっとこれは?!

 

「あわわわ!? サデシぃでござるぅぅ!?」

「ほう、これは……?」

 

 フランは顔を真っ赤にして手で覆うが、指の間からしっかり見ている。バロンはちょっと興味ありげに目を細めたが、その理由はカイルとミィニャがキスしてしまってもおかしくない距離にあるためだ。

 彼は知らないけど、彼女は恐らくファーストキスなのでは?

 そうして彼は耳たぶに噛み付かんばかりの距離まで近づくと、ふぅーっと息を吹きかける。 ミィニャの特徴的な猫耳に。

 

「うにゃにゃぁ?!」

「……ふふ」

「オーララぁ?!」

「煩いぞ? 子猫ちゃん」

 

 耳元でカイルがそう呟いたその瞬間、炸裂音と閃光を放ちながら白い壁が爆発四散。

 当然ながら狭い部屋で爆発が起ったので、沢山のガラクタが吹き飛び、さらに激しい衝撃波が暴れ回る。

 

「なにやってんだこいつうぅぅぅ!!」

「のぉぉぉぉん!!」

「私の部屋がぁぁ……!!」

 

 バロンの部屋であったのだが、ところ構わず爆発の衝撃波は蹂躙し、勢いのままに全員をも吹っ飛ばす。

 視界がもうぐるんぐるんでぐっちゃぐちゃだ。

 

「なんでこんなことになったんだにやぁぁぁぁ!!」

 

 なによりも一番かわいそうなミィニャはバロンの部屋から最も勢いのあるスピードで部屋の外へとふっとんだ。

 彼女が何をしたっていうのだろうか。

 

 ☆彡.。☆彡.。

 

「オーララ。いろいろ許さないでござる」

「はっはっは! 黒焦げのフランも可愛いぞ!!」

「黙れアフロ野郎」

 

 彼のイケメンがもう台無しである。髪は所々黒くこげてアフロ。それでも尚笑顔を貫き通している。その面は尊敬に値するが、相変わらず性格は残念極まりない。

 

「さぁ! バロンに言われた通りこの奥にある遺跡目指そうか!!」

「で、でもこの先は危ない魔物が多いって聞いたでござるよ」

「よし、なら一度酒場に戻って冒険に協力してくれる仲間を探そうか」

 

 そうしてやって来たのはヘレナが経営する酒場。今日だけで何キロメートル移動しているんだろう。もう行ったりきたりで色々疲れたよ。ドラゴンに乗って移動とか出来ないかなぁ……

 

「あら、おかえりなさい。どうしたのかし――」

「やぁ、また会えて嬉しいよヘレナ」

「……ヘレナ殿の目から急に光が失われたでござる」

「そこまで好いてくれるのか? 全く、こんな美人に好かれるなんて俺も罪だな……」

「で、ヘレナさん。これから冒険する仲間を募集したいんだけど、いいかな?」

 

 カイルを完全に無視して話を進める。彼に付き合っていたら一ヶ月ぐらい女の人について語りだしそうだ。

 するとヘレナさんは明るいいつもの表情に戻し、 カイの事なんて気にすることもなく語り継ぐ。

 

「えーっと……ホントはジュエルっていう特別な石が紹介料として必要なんだけど……今回は特別に無しでいいわ」

「流石ヘレナさんだ。器も大きければ胸も大き――」

「ボナペティ!!」

「ぶべらっ!?」

 

 何かを察したフランが謎の迫力を纏つつ、強烈な回し蹴り!!

 それは吸い込まれるようにカイルの鳩尾に突き刺さる!!

 カイルは謎の液体を吐き散らしながら足元から崩れ落ちる!!

 ヘレナさんは鼻で笑う!!

 なんだこの世界!!

 

「ふぅ、女の敵でござる」

「じゃあ、紹介するわね」

「カイルは完全スルーなんですね」

「あら? 気にするようだったらナメクジ好きなあの子を呼び出すけど、それでいいかしら?」

「ごめんなさい! 強い人お願いします!! とりあえずグレイルジャガーでは驚かないような人を!!」

 

 ここだけの話、カイルはグレイルジャガーという虎のような魔物と対面した時に、怖がって攻撃しないという意気地無しっぷりを見せてくれた。 彼を例えるなら金魚の糞である。とりあえず戦ってくれる仲間がいいよね。

 カイルさんはもういいや。お腹いっぱいです。

 

「さぁ、行くわよ」

 

 酒場には天井に穴が空いている場所がある。

 噂ではそのジュエルという石に呼ばれて仲間になる者が空から投身自殺する勢いで降り注いでくるというものだが……実際どうなのだろうか。

 

「オーララ!! 降ってきたでござるよ!!」

「フラン、空から誰かが降ってくるから危ないよ。 黄色い線の後ろに下がってお待ちください」

「あれは――金マントでござる!!」

 

 穴の空いた天井からは、飛行船が見える。

 遠いので豆ほどの大きさにしか見えないが、その飛行船には、金色のマントを羽織った人物が乗っていた。

 銀マントの場合は虹のルーンという貴重なアイテムを持ってきてくれるとか来ないとか。

 

「飛び降りたでごさる!!」

「相変わらず勇気あるなぁ」

 

 空から金色のマントを羽織った人物が、頭からパラシュートなしスカイダイビング。

 一体どんな気持ちで飛び降りてきているのだろうか。

 

 ちなみに、武器を制作するために必要な石、そして仲間を呼ぶために必要な石は同じもの。ただ、通貨は通貨でG(ゴールド)というものが存在するため、お金の類ではない。

 

 直しかけの天井から勢いよく飛び降りてきたのはやはり金のローブ。このローブはヘレナさんに返却するとか何とか。

 このローブを覆っている人は僕達より明らかに背が高く、謎の熱気を纏っていた。

 

「だ、誰でござろうか……」

「この気配……! まさかあなたはっ……!?」

「今年も来たぜ……ッ! この季節がッ!」

 

 マントを勢い良く脱ぎ捨て、その雄々しい姿が露わになる!!

 

 まず最初に見えるのが天の太陽により、じっくり、こんがりと焼かれたであろう肌!!

 夏を一切拒否しないつんつんの金髪!!

 服装は夏の雲一つない空を表したような蒼いブルマパンツと七色に光るサングラスのみ!!

 そして何より目をひいたのが、凄まじく鍛え上げれたその身体だ!!

 

「山脈脈のように盛り上がった大胸筋……ッ! 要塞のように堅牢であろう広背筋……ッ! 大海原のように雄大な大殿筋……ッ!」

「間違いない! あのお方は――!」

 

 僕の解説に付いてきて、いつの間にか復活したカイルは、降臨した神を見るような敬愛の目で、マントを脱いだ男を見つめる。

 

「だ、誰なんでござるか?!」

「私だぁぁぁぁッ!!」

「「サマーソウルだぁぁぁ!?」」

 

 彼はサマーソウル、通称夏の天使。

 彼があるところに夏あり、彼の存在しないところに夏はない。それほど偉大な人物なのだ。事実はどうであれ、文献によれば。

 また、どこかからは分からないが、彼にスポットライトが差し込んでいた。

 

「さぁ若人達!! 私が来たからにはもう安心だ! 思う存分夏りまくれぇぇぇぇ!!」

「「うぉぉぉぉ!!」」

「今冬でござるよ」

 

 そんなわけで、サマーソウル様が時折冒険に加わることになったのだ――!!

 

 ……

 …………

 ………………

 

「で、何でここに居ないんでござるか?」

「ばっかお前……俺がついてるだろ?」

「あんたには聞いてないでござる。シショーに聞いているのでござる」

「サマーソウル様は、夏の天使だからね。常時一緒ってわけにはいかないんだ。彼は今ワイハ島にいると思うよ」

「んん……そうなれば何のためにヘレナ殿のところへ行ったんでござろうか」

「…………」

 

 ここは遺跡に向かうために通る森の中。通常は凶暴な魔物が多く出るため全く人々が来ることはないので道は荒れに荒れている。

 なお今現在、凶暴な魔物どころか、魔物すら現れていない。森に入ってから恐らく二十分程度は経ったのだが、気配すら感じられない。腰にあるウッドソードが薄く紫色に光っているのは多分関係ないと思うよ。ええ。

 

 フランとの会話にて正論で返されてしまったため、返答に困っていたところ、草木や土が人に踏まれていたかのような倒れ方、足跡をしていたことを発見した。

 

「これは……?」

「誰かが通ったのでござろうか?」

「怪しいな。警戒してくれ」

「あんたが一番怖いよカイルさん」

 

 キャラ的な意味での話だが、多分通じなかったのだろう。

 

 あまりその事を考えないでそのまま遺跡に向かって直進していたのだが、人が踏み荒らしたような痕跡は徐々に多く、ハッキリとしたものが多くなってくる。

 目的地に近づく事に緊張感も高まってきた。

 

「――っ! 誰だ!」

「音がしたでござる!!」

「え? ごめん聞き逃した」

 

 カイルとフランは反応できたのだが、僕だけは音を聞き取れなかった。

 二人がいうに、背後から付けられているということ。

 やっぱり、この痕跡はトラップだったんだろうか?

 

「!! 来るぞ!!」

 

 カイルがガサガサと揺れる草むらに向かって槍を構え、フランは双剣を構える。緊張感がさらに高まる中出てきたのは――!!

 

「……ぬこ……じゃなくて」

「猫?」

 

 飼われているのか、白い毛並みは綺麗で、首には青いリボンを巻いている。

 そして尻尾をフリフリさせた後に背を向いてどこかへ行こうとして……

 

「っ!?」

 

 僕のことをものすごく鋭い目で睨みつけられた。

 まるでついて来なきゃ殺す、とでも言わんばかりの殺意のこもった視線であった。

 言いたいことを目線で伝えた後白い猫は森の奥へと進んでいった。

 

「誘ってるのか……?」

「いや、多分それはないでござろう。だってあれはキャ――」

「行かなきゃダメだね!!」

「……まぁ、そこまで急ぐ用事でもないし、とりあえずついていってみるか?」

 

 実はこの光景は一度体験したワンシーンであったのだ。

 それも、前回はカイルが気になってついて行ったのだが、そのお陰で遺跡にたどり着けたのだ。

 よってあの猫にはついて行かなくてはいけない。

 

 あの白い猫もこちらが付いてくることを望んでいるようで、こちらが付いているのか確認して前に進んでいる。

 やはりこの世界は以前と同じように進むようになっているのかな?

 

「……! 待て!!」

「おぉー久しぶりに出て来たでござる」

 

 カイルが僕達を差し止める。

 猫を追っていく最中に見つけたのは、紫色の体表をした虎のような魔獣。そして大きさは平均的な男性の二倍くらいある。明らかに魔物と言われる存在だ。

 

「あの魔獣……! 今までとは格が違う!!」

「僕からしたら知っているカイルさんが違いすぎてやばいんですけどね」

「ただのマッドネスジャガーでござるよ」

「二人とも、全力で行くぞ!!」

 

 その後カイルがとった行動はなんだと思う?

 最速で木の裏に隠れたんです。

 ダメだこいつ。彼の武器も武器なので確実に勝てるのだけど。

 

「シショー! 来るでござるよ!」

「う、うん……」

「Guooooo!!」

 

 ジャガーの飛びかかり攻撃を左右に別れて回避。

 そして僕はスキだらけの横っ腹をっ!!

 

「とぉっ!」

「Ugggaaaa!?」

「シショー?!」

 

 やられたのは僕ではない。人の倍ぐらいある虎型の魔物が軽く振り抜いたウッドソードを中心として、くの字に曲がっているのだ。

 

「Oooooo!?」

 

 軽く振り抜いたとは思えないのだが、ロケットが発射したような激しい突風と衝撃波を撒き散らしつつ、ジャガーをホームランしてしまった。

 見つけたよ。これがホームランか。

 

「………ふ、ふふ」

「シショー、ヤバイでござる」

「わかる」

 

 カイルでさえもう僕に畏怖の目を向けていた。

 なにこの武器。ウッドソード職人やば過ぎない?

 




どうも皆さんお久しぶりです。

茶熊イベントも終わった方も多いんじゃないでしょうか。

なかなかチュートリアルが終わらないというジレンマは置いておいて、別サイトで投稿しているオリジナル小説がやっど落ち着いたので遅れました。申し訳……あるっつぅの〜()

ちなみに、今年はイベント島中心に話は構成していきたいと思っております

ではでは!
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