「だいたい……」
まるで間違い探しの絵を見比べた時のような違和感を感じながら遅れてきたスミレさん達と向き合っていた。
(何だろう、この感覚。いや、ホイミスライムを借りてきたってだけでもツッコミどころ満点なんだけどさ)
やはり、名前はホイミンだったりするのだろうか。
(って、そうじゃなくて……何だろ、この違和感)
視線をずらせば、かついだあの腐った僧侶少女ごと三匹くらいのホイミスライムに元女戦士がへばりつかれていたが、借りてきたと既に申告されているのだから、これは違うだろう。
「はぁ、ホイミスライムってのもなかなかいいモンだねぇ。あたい、気に入ったよ」
何か女性とか以前に人としてどうよと思う発言を零してる元女戦士は触りたくないのでスルーするとして、なら、違和感の正体は何だというのか。
(ホイミスライムが三匹居ることかな?)
それとも。
「へー、ホイミスライムも色々大変なんだ。あたしちゃん目から鱗」
「ううん、そんなことないよ。ボクには人間さんの方が大変そうに見えるし」
うん、スミレさんが平然と
(って言うか、ツッコミどころだらけじゃねぇか)
なに、これ。
(ほんとう に なに が どうして こうなった?)
何処で間違えたのかと言えば、スミレさんがお花詰みと言った時、俺達の側を離れる意図を読み違えたところだと思うが。
(そりゃ、ホイミスライム風呂には拘ってたと思うけどさ)
だからって、
(と言うか、借りてきたってことは、あの腐れ少女に使う気で居るんだよね、水色生き物《ホイミスライム》?)
現在進行形で元女戦士ごと触手を使って絡み付いてるような気もするが、そっちは気のせいだと思いたい。
「ええと、スー様さんだよね? ホイミ要る?」
ついでにこっちを見て
「……気持ちだけ貰っておこう。回復呪文なら扱える仲間が何人か居るのでな」
元女戦士とかがこの場に居なければ、自分でも回復呪文は使えると言ってしまっていたかもしれない。
「それはそれとして、だ。そもそもお前達は何を吹き込まれて借りられてきた?」
スミレさんが
「んーと、科人を罰するから万が一の場合に備えて、だったかな?」
「万が一とは言うが、スミレはホイミどころかベホイミやベホマみたいな上位回復呪文はおろか蘇生呪文も行使出来るぞ?」
「えっ」
「知らなかったのか?」
スミレさんにしては眼前の
(単に触手であの僧侶をどうこうするだけ、とは思えな……いや、それだけってせんも充分考えられる。考えられはするけれど……)
こうして
「……まさかスー様にばらされるとはあたしちゃん予想していなかった」
「いや、バラすも何もそこそこの力量の賢者という時点で丸わかりだろう?」
気づかないのは人間の職業に疎い魔物ぐらい。
「だが、いずれ第二第三のあたしちゃんがスー様の前に――」
「洒落にならないからやめろ!」
じょうだん ぬき で かんべんしてください、ほんとう に。
「まったく。遊んでないで本題に移るぞ? とりあえず科人がどうのと言うことはお前が絡み付いてる女僧侶について少しは話を聞いていると思っても良いな?」
「うん。悪い人だからお仕置きをするんだよね?」
「それで概ねあっている。ただ、その女僧侶を担いでる女が誤解を招くような発言をして、俺はその誤解を訂正し、罪人の方は相応強い罰を与えるつもりで居た」
「誤解?」
(悪いけど、利用させて貰うよ)
これ以上の状況悪化はご免被る。
「俺は罰すると言った筈なのだが、いつの間にか別の言葉に置き換えられていてな。人の言を捏造されてはたまったものではない」
吐き捨てつつここで元女戦士を睨むことも考えたのだが、何故だか喜ばれそうな気がしたので、ただ嘆息し。
「誤解を解くという意味でも、さっさと処罰を済ませてしまおうと俺は思う訳だが……」
問題はスミレさん達が連れてきた
「俺としてはお前達が借りられてくることなど全く予定になかったからな」
「ならスー様、あたしちゃんがホイミンさん達の仕事を考えてみる」
口の端に登らせれば、案の定スミレさんは挙手し。
(あー、やっぱりその名前なんだ)
「詳細を聞こう。許可を出すかはそれからだ」
嫌な予感を覚えつつも、そう切り出したのだった。
次回、第百十九話「みんなで、つくりあげるもの」