「来たか。さてと、まずははぐれメタルの手配からだな」
中には誰も居ないようだからなと続けると、ガチャリとドアを開けて中を見せた。もちろん、これもトリックをより完成させるための誘導である。
「あ、本当ですね」
「んー、じゃあ誰がはぐれメタル連れてくる?」
「誰がって仰いますけど、この人数分のはぐれメタルとなると、一人や二人では厳しいですよ?」
疑いもせず、最初の問題について議論を交わし出すお姉さん達の姿にまずは一安心と思った俺は視線を動かし。
「あっ」
つい、そこに目を留めてしまった。
(これは、酷い……)
今にも断末魔を上げそうな、トロワの胸を覆う神秘のビキニに。
(そっか、以前はきれいなトロワじゃなかったから付けさせていなかったんだっけ)
用意していなかった気もするが、なら、あれは誰かのビキニを借りたのかも知れない。
(……可哀想に)
俺にはビキニの悲鳴が聞こえるようだった。
(って、何処に優しくなってんだ、俺は!)
はくあいリング恐るべし、と言ったところだろうか。
(そうじゃない、このままだとトロワのビキニが力尽きて惨事が起きてしまう)
昔のトロワだったらむしろここぞとばかりに見せびらかした上で責任をとるよう求めてきても不思議はなさそうだが、あれは過去の話。だから、想像してしまう。
「えっ、あ……」
「拙い」
とうとう限界を迎え、はじけたビキニそして自由になって大きく弾む
「せいっ」
戦脱衣と言う戦いのさなか相手の防具を剥ぎ取る技の使える俺ならば、その逆もまた容易い。すれ違い態トップレスになってしまったトロワのそれを俺は鞄にあったモノで瞬時に隠したのだ。
「え、ま、ま、ま、ま、マイ……ロード……こ、これ」
何とか間に合った、ただ早すぎたからか、遅れて事態を飲み込んだトロワは顔を赤くしながら自分の胸を指で示す。そこにあったのは、トランクスタイプな俺のパンツ。
「え゛っ」
トロワのあれの方が俺の尻より大きかったようで何とも窮屈そうだが、一応一時しのぎにはなっている。
(や、「なっている」じゃNEEEEEEE!)
どうなってるんだ、俺の想像力。確かに現実に起こったら世界の悪意は余裕でそれを現実に思想だけど。
「スー様、トロワさんの胸をお尻に見立てて自分のパンツを穿かせるとか、それはちょっと」
「変態過ぎ、あたしちゃんドンびき」
「す、スー様。私は大丈夫ですから。なんでしたら今からでもスー様のぱんつ、胸にはきますよ? あ、ごめんなさい、はける程胸が――」
ツッコミを入れたのに俺の想像力はご丁寧にもそれを見たクシナタ隊のお姉さん達の反応まで予測してくれやがったのです。
(そもそも反応におかしいの混ざってる気がするんですけどね?)
紙切れの影響は無いはずなので、単に欲求不満とかなのだろうか。
(と、とにかく、このままじゃ拙い)
流石に変態盗賊にされて俺終了とはなりたくない。なら、トロワの水着が力尽きる前に処置を施すべきであり、その為の鍵はすぐそこにあった。
「話は聞いていた、ならトロワを除く他の全員で行けばよかろう?」
そう、
「トロワは俺の側に侍るという誓いがあるし、俺まで行ったのではここが全くの無人となるからな」
「た、確かに無人は拙いかもしれませんね。スー様、お願いしてもよろしいですか?」
「ああ」
誰かが残っていた方がよいと主張した俺は、こうして無事、トロワと二人っきりの状況を作りだし。
「……トロワ、ビキニがはち切れそうになっているように見える。この後はぐれメタルと模擬戦が待ってるなら、その格好は拙かろう」
胸に注視していたと言うようで少々モヤモヤしたものお、きちんと懸念を伝えた。
「マイ・ロード……申し訳ありません、お気を遣わせてしまって」
「いや、分かってくれればいい。丁度、この部屋は今無人だ」
暗に着替えてこいと言えば、トロワは笑顔を浮かべ。
「はい、中でサイズを調整して参ります」
頷くと隣の部屋に入っていったのだった。違う、そうじゃない。
「……じゃない、そっちは――」
「きゃああああっ」
「トロ」
上がる悲鳴に一歩遅れて部屋に踏み込んだ俺が目にしたのは、新たな侵入者に反応し標的をトロワに変えて飛びかかった
(うわぁい)
これ は なんとも え に かいた かのような らっきーすけべ。
「トロワッ!」
一瞬、呆然としつつもすぐさま我に返った俺は、鞄に手を突っ込むと、手に触れたそれなりに面積の有りそうな布地をトロワに向かって投げた。
まさかのポロリ回。
次回、第百三十八話「『あれ、デジャヴ?』と容疑者は首を傾げており、イシス衛兵隊は詳しく事情を追求して行く方針で――」