「ボクがお師匠様の世界に行くのはダメなんですか?」
複製されたお師匠様をくれると言われたけれど、あくまで複製は複製。トロワさんが配布を拒否したことを聞いたこともあったのかもしれない。とにかく、ボクは諦めきれず神竜に食い下がり。
「残念ですが、それはなりません」
横から割り込んだ声の主は、ルビス様。
「あなたもゾーマの最後の言葉は聞きましたね? この世界にはいつか脅威となるものが訪れるかも知れないのです。その時、あなたの血を引く子孫無しで難局を乗り切れるかどうか……」
「うっ」
確かにゾーマは不吉な予言じみた言葉を残した。
「け、けど……そもそも何でボクの血? ゾーマを倒した勇者だったらお父さんとクシナタさんだって居るし……それは確かにお父さんの血はお母さんが居るし問題だけど、クシナタさんじゃ、ダメなんですか?」
ボクに持ちかけられたお師匠様の複製提供の話と同時進行で、幾人かの人に同じ交渉が持ちかけられていると神竜は教えてくれた。きっと、ボクに頷いて欲しかったからか、相手の返事も含めて。
(まさか、クシナタさん達までお師匠様が好きだったのはビックリだったけど……)
受け入れる理由には胸が締め付けられた。
「スー様は、おそらくシャルロット様が好きでありましょうから」
だから自分はもしその時が来るようなことがあっても身を引くつもりだったと、クシナタさんは言っていた。と言うか、ジパングで何人もの女の人を生き返らせ、生け贄にされたクシナタさんをおろちちゃ、やまたのおろちから救ったという話はビックリだった。おろちとジパングのことについてお師匠様は詳しく語ってくれなかったから、ボクは知らなかったんだ。
(命の恩人だから、お師匠様には好きな人と結ばれて欲しい……だなんて)
あの人達の好意を考えれば尚のこと諦めるなんて無理だった、だから。
「お願いで――」
もう一度食い下がろうとした直後のこと。
「話は聞かせて貰った。だが、聞いているに、問題はこの娘の血を引くモノがアレフガルドに居ないというのが問題だったな?」
「えっ、ええ……」
口を挟んできた神竜の言葉に虚を突かれたような感じでルビス様は応じ、そこで神竜は続けたのだ。
「ならば、この娘が身ごもった時こちらに返すか、産まれてくる子供を一人以上アレフガルドへ送るという条件つきならば、送っても問題は無かろう? ただし、期限を決めた上で期間内にその『お師匠様』と結ばれ子を成せねばこちらに戻って誰かと結ばれ、子孫を残して貰うという条件なら」
「その条件で、お願いします!」
迷いも躊躇いもなかった。お師匠様にもう一度会えるなら、そして、お嫁さんになれるなら。
「なっ…………わかりました」
「え、いいんですか?」
ただ、ルビス様がすんなり認めてくれるとは思っていなかったから、ちょっと驚きだった。
「条件さえ守って貰えるのであれば、こちらから言うことはありません。ただ、あなたには子孫を残して貰わないと行けませんからね。一つ二つ、手は出させて貰います」
「っ」
直後のことだった、身体が内側から急激に熱くなったのは。
「子供が出来る時、必ず二人以上の子供が出来るようあなたの身体に手を加えさせて貰いました。これで、あなたが身ごもったあと、こちらに戻ってくることになったとしても、相手の所に子供を一人残すことが出来るでしょう。そして、複数子供がいれば、中には自分からこのアレフガルドで暮らしたいと思う者も現れるかもしれません」
「ええと……」
お礼を言うべきか、ボクはちょっと迷った。たぶん、後々ボクが迷ったり悩んだりしにくくなるようにって好意からしてくれたんだと思うけど。
「あとはあなたが好きなようにするとよいでしょう。すべてはあなた自身の選択のままに……」
そう言い残して、ルビス様の声は途切れ。
「おお、そうか。追加情報だ、あのトロワという娘、そなたがあちらに渡るならと複製を受け取ることを承諾したぞ。何でもそなたを送り届けることこそマイ・ロードへの最大の奉公でしょうからと言ってな」
「トロワさん――」
譲って、くれたんだ、ボクに。
「お師匠様、ボク……、ボク……」
こみ上げる気持ちを抑えるようにぐっと拳を握り締め、届きはしないであろう言葉を吐いた。
「そちらに、お師匠様の所に行きます」
と。
短めで済みませぬ。
お久しぶりでしょうか?
これが配布エンディングからそれたシャルロットルート導入となります。(ただし続きを書くとは言っていない。OOIもあるし)
モチーフは人魚姫?
この後、トロワの技術を使い、トロワのかわりにシャルロットが主人公の元に行ってくっつく……のかな?
なお、ルビス様の一つ二つの残りは、「安産祈願」的な加護とか「男女で生み分け」と言うFE聖戦の系譜的な何かの模様。
この細工のせいで主人公が子だくさん家族になってエンゲル計数的なピンチを迎えないと良いけど……。