強くて挑戦者   作:闇谷 紅

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IF・C→A「うちの両親はバカップルなんだが(Chalotteルート・???視点)」

「そっか、今日は11月の22日か」

 

 今日は良い夫婦の日なんですよねといつもよりテンションの高い母の声に俺は何気なくカレンダーを見て呟いた。

 

「こう、普段から地球温暖化の原因というか、子供の俺達まで砂糖吐きそうなイチャイチャッぷりだって言うのになぁ」

 

 夕飯はもう少し先だが、この分だと夕飯の席で母が父親に箸を使って食べさせる事態とか起きかねない。所謂、「あーん」と言う奴だ。

 

「あるー、宿題終わったぁ?」

 

「いや、あと2ページ」

 

 そして、隣の部屋からひょっこり顔を出したのが、俺の双子の姉でルシア。今更だが、俺には兄弟が多い。両親の仲が良いのも一つの原因だと思うんだが、弟か妹が出来る時は必ず二人以上同時に産まれてくるからと言うのが一番の原因だと思う。

 

「あー、そっちも進まないんだ」

 

「まぁ、下のイチャイチャがああも聞こえればなぁ」

 

 両親の仲の良さは近所でも評判で、近所を歩けばご両親は仲がよいわねと声をかけられることもしょっちゅうだ。仲が良すぎて、騒音被害を時々受けてるこっちとしては、何とも言えない気持ちにさせられるが、それはそれ。

 

(ただ、仲が良いだけのバカップル、だったらまだ良かったんだけどなぁ)

 

 母は変わっている。シャルロット、と名前からして日本人ではないのだが、変わっているのはそれだけじゃない。

 

(慌てると父のことを「お師匠様」って呼ぶわ、子持ちなのに一人称はボクだわ)

 

 物心つくまではおかしいと思わなかったが、友人が出来てそのお宅にお邪魔したのがきっかけだったと思う。カルチャーショックだった、ただ。

 

「お前の母ちゃんは外国人だし、そっちじゃそれが普通なんじゃねーの?」

 

 とも友人に言われて、その時はそれじゃしかたないよなぁと納得もした。

 

(あのころは若かったな……って、今でも充分若いっての!)

 

 まだ、学生だ。下にポコポコ妹弟が居て、ちょっと気苦労から老成しちゃってるかもしれなくても学生なのだ。友人と馬鹿話だって普通にするし、父が幾つもゲーム機を所持してるのでコンシューマーゲームだってやる。

 

(何故かドラクエやる時だけ父さんがすっごく複雑そうな顔をするのが謎だったけどさ……)

 

 先日見てしまった、うっかり怪我をした父をお師匠様呼びしながらホイミと呪文を唱えて母が父の傷を治すところを。

 

(そりゃ「母さんの故郷に行ってみたい」って言ってもはぐらかす訳だよなぁ)

 

 母親がゲーム世界の出身でしたとか、冗談にしてももっとマシなことを言えと。

 

(まぁ、本当にドラクエの世界出身だった訳ですが)

 

 つい先日、俺が十六歳の誕生日を迎えた夜だった。俺と姉を呼び出した両親は子供の誰かが母の故郷、いや正確には故郷に侵攻してきた大魔王ゾーマが居た世界、アレフガルドに渡って勇者の血筋を残す必要があるのだと言った。母は大魔王を倒した勇者様、ドラクエⅢの主人公であったらしい。そうなるとお師匠様呼びしていた父は何をやってたとか、どうやって二人は知り合ったのかとか色々気になってきて、つい、尋ねてしまった。

 

(あれは失敗だった)

 

 母に惚気話をしろと言ったのと同異義語だったと気づいた時には遅すぎた。姉弟そろってたっぷり砂糖を吐くハメに陥った俺達はそれでもおおよそのいきさつを知った。

 

(しっかし、ゲームの世界(アレフガルド)ねぇ)

 

 子供の頃は、いかん、まだ子供だった。と、ともかく、ちっさかった頃はゲーム世界にトリップしてと妄想することはあった。今だってそっち系のネット小説やライトノベルを読みあさることはある。だが、現実と空想は別ものだ。

 

(お話にはご都合主義があって上手くいってくれるかも知れないけど、現実は別だもんな)

 

 ハイテクな暮らしに慣れた俺がローテクなあちらに渡って不満なく過ごせるかというと疑問が残りまくるし、あちらには死と直結するような危険な存在、怪物が野山を跋扈している。

 

(母さんは魔物使いでもあったらしいけど……)

 

 なんで原作にない仲間モンスターシステムが導入されてるんだとかツッコミどころを放置し母が仲間にした魔物から徐々にあっちの環境に慣れて行くとしても、適応出来るかに疑問が残りすぎる。

 

(だからだろうなぁ。ルシアも微妙な顔してたし)

 

 だが、兄弟の誰かが行かないと母は大精霊ルビスにあちらに間違いなく連れ戻されるそうで、下手をすると強制的に俺達もアレフガルドにご招待&永久在住しなくてはいけないのだという。

 

(あいつらにも聞くとは言ってたけど……)

 

 嫌な言い方をすれば人柱が必要な訳であり。

 

「やっぱ、納得いかないよなぁ……」

 

 今すぐ決めなくては良いとも言われた、だが。

 

「はぁ」

 

 俺はオレンジに染まった窓の外を見てため息をつき。

 

「マイ・ローっきゃぁぁぁあ」

 

「おぶっ」

 

 突如真上に現れた柔らかい何かに押し潰されたのだった。

 

 




良い夫婦の日は昨日でしたが問題ありませんよね?

と言う訳で、シャルロットルートのエンディングから何年か後のシャルロットと主人公がいちゃつく話を書こうと思ったら、何かの導入っぽい感じになってしまった罠。どうしてこうなった。

平和に暮らしていた主人公とシャルロットの長男をトロワという質量破壊兵器が襲う。

あ、トロワは魔族なので外見は別れた時のまんまなイメージです。

え、続き?

さて、どうでしょうねぇ。


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