あ、マイクラの方は八日目まで書いて予約投稿済ませてます。
九日目は執筆中。
「し、失礼しました」
俺のある意味で幸せな時間は、何処か慌てた声で終わりを迎えた。一瞬訳がわからなかったが、あの柔らかさには覚えがある。寝ぼけた母が父と俺を間違えて抱きついてきた時にむにゅんと押しつけられたモノ。
(いや、母さんよりかなり大きく、いや、大きかったけど、そうじゃなくて!)
俺の上から退いた何かは見知らぬスタイル抜群、いや一部がかなり過剰な女の人。そんな人が、慌てて居住まいを正すと恐縮した態で頭を下げてきたのだ。
「あ、いえ……」
以外の言葉が、思春期真っ盛りの俺からどう出よう。いや、出た事自体が多分奇跡だった。
(つーか、何これ? どういう事? 「お前の母ちゃんロトの勇者」だけでも非現実的ってレベルじゃないのに……)
本当に訳がわからない。と言うか、さっきの柔らかいのは、本当にこの女の人、お姉さんのあそこやあっちだったって言うのか。
(少年誌のちょっとエッチな漫画じゃ無いんだよ?)
ひょっとして、無意識のうちにたまってたフラストレーションで質量のある幻覚でも見てるんだろうか。
「はっ、まさか母さんがマヌーサを! って、勇者ってあの呪文使えたっけ?」
「いえ、私もマイ・ロードも可能ですが、奥様はお使いになれなかったと……」
「そっか」
ガタンと立ち上がって口にしてから、疑問がわき上がったが、前から聞こえた声によってすぐに解消され。
「って、はい? マイ・ロード? 奥様?」
「え、ええ。失礼ですが……マイ・ロードのお子様でいらっしゃいますよね?」
聞き慣れない単語に思わずオウム返しした俺を見つめたまま訪ねてくるお姉さん。
「あ、エルフ耳」
この段階で、ようやく俺はお姉さんが人間と違う形の耳をしていることに気付き。
「はい、私は魔族ですから」
「へぇ、まぞ……く?」
平然とお姉さんが口にした単語に思わず固まる。
(ま、魔族って、ことは……その、この人敵側サイドの人なんじゃ……)
俺の内心を知ってか知らずか。
「マヌーサがわかるなら、お母様はおそらくこちらのことも話されてると判断してよろしいですね? 私の名はトロワ。かってアークマージとしてゾーマ様に仕えていました」
お姉さんは俺の嫌な想像を完全肯定してくれやがりました。
「もっとも、今はそうではないのですけれど」
「え?」
「新たにお仕えする主を経ましたし、そもそもかつての主はあなたのお母様に討たれ、もう居りません」
「あ、あー、そうですよね。ところで、新たな主って」
どことなく安堵しつつも、ちょっと嫌な予感がした。
「あなたのお父様です」
「ちょっ」
父さんあっちで何やってたんですか羨ましけしからん、とか思ったって許して貰えると思う。イオ系呪文が使えないことを悔やんだのもホンの一瞬だ。
「って、待てよ? トロワ……トロ……あー」
声には出ない父への非難でちょっと落ち着いた俺は引っかかったモノを感じて記憶を探り、思い出す。
「トロワって、あの……すみません。母の話、父中心の上、惚気成分中心だったもので……」
「いえ、お気になさらず」
そうでなかったら、もっと早く思い出せた。
(トロワさんって、父さんに助けられたアークマージの娘さんじゃん)
ゾーマを倒す母を影ながらサポートした父の従者。バラモスを倒した後、父と母は別行動、しかもその父についていったのだから情報はあまり無かったのだが。
(「ボクのよりかなりおっきい」か、うん、間違っていないというかその通りだけど、母さん……)
あの時それを聞いた俺にどうして欲しいと思ったのでせうか。
(「お師匠様と一緒なのも羨ましかった」とも言ってたっけ……って、情報というか主観に基づく立場の違いへの感想じゃないですかね、あれは)
結局の所、このお姉さんのことを俺が思った程知らない事が発覚するまでにそう、時間はかからず。
「あの、失礼ですが、お手洗いはどちらでしょうか?」
「あ、案内します。けど、こっちのトイレ使えるかな?」
「いえ、お構いなく。手の洗える場所があれば良いので」
ソワソワしだしたお姉さんの口から恐縮しつつ出た言葉の続きはきっと独り言だったのだと思う。
「授乳は済ませてき……」
「えっ」
途中までだったが聞こえてしまった身体能力を呪いたい。
(授乳? 子供居るの?)
考えてみれば当然かも知れない。見た目はお姉さんだが、魔族って言うなら人間より老化は遅いだろうし、母が勇者やってた時に父の従者だった人なのだ。
(べ、別にドキッとなんししてない! してないんだからねっ!)
謎のツンデレ風になって我ながら気持ち悪いが、俺に人妻好きとかそんな趣向は無かったと思う。
「じゃなくて、すみません。すぐに案内しますね。あ、それと両親にトロワさんが来たって伝えてきます」
わざわざ世界を渡ってこっちに来たのだ。なにがしら理由があるのだろう。今なら両親は下の階でいちゃついているので、トロワさんがトイレに行っている間に父さん達を呼んで来ればいい、そう思っていた。
「あるー、イライラするのもわかるけど、暴れるのは良くな……い」
姉が急にドアを開け、こちらを見て固まるまでは。
「だ……れ、その人?」
「あ、えっと……え」
説明の言葉を探しつつ後ろを振り返り、俺は凍り付く。お姉さ、トロワさんの大きな胸の先端に染みが出来ていたのだ。きっと、俺の上に落ちた時に押されて、こう、滲んできてしまっていたのだろう、ミルク的な何かが。
(あー、だからそれもあってトイレを……)
ソワソワするのも無理なきこと。だが、この状況、下手すれば誤解されてとんでもないことになるのでは。
「あ、あー、そう言う。ふ、あはは、どうぞごゆっくり……」
たぶん俺の視線を追ったルシアは形容しがたい強ばった笑みを顔に貼り付けると隣室に引っ込み。
(嫌ぁぁぁぁぁぁ!)
声には出さず絶叫しつつ頭を抱えたのだった。
せかいのあくい:あの人のお子さんだと? 仕事しなきゃ!(ガタッ)
いつから主人公の息子×トロワだと思っていた?
と、言う訳でこの世界軸のトロワはシャルロットに主人公を譲って、コピーとくっつき、家庭をもうもうけちゃってるのです。
次回、「IF・C→A3「それで、ご用件は何なのでせうか?(Chalotteルート・???視点)」」
次回、いよいよトロワがやって来た理由が明らかに。