強くて挑戦者   作:闇谷 紅

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 墓作りに感情移入する為、ビルダーズのメルキド編で、廃城のしかばね全て(屋外含む)を土で覆い、墓標を立ててみました。

 あとはスタート地点のあなぐら掘り起こして片隅の骨が集まってるところに墓地立てたり。

 ついでに廃城の崩落部分も土とレンガで可能な限り修復。オリジナルと同じモノが作成出来たら完全修復出来たんですけどね。

 屋根と壁と床と燭台とか家具がどうしようもなくて……ハシゴと階段は完全に直したんですが……。

って、何やってるんだろう、闇谷は。

あ、第八十六話、始まります。




第八十六話「次の目的地は」

「スー様、お疲れさまぴょん」

 

「何のことだ?」

 

 きっと、あれで全員を誤魔化すのは無理があったのだと思う。

 

(ムール君にもツッコんでいいかって聞かれてたしなぁ)

 

 それでもなけなしの意地でカナメさんにはとぼけてみたが、通用したとは思いがたい。

 

「ともあれ、あの男の妻の墓も完成間近か」

 

「スー様達が『やり残し』を終えて戻ってくるまでに埋葬自体は終わっていたぴょんからね」

 

「そうか」

 

 カナメさんの何処か優しげな視線に感じる居心地の悪さに耐えつつ短く応じると、オッサンの方を見た。丁度俺がもってきた石を掘り返された跡のある土の上に降ろすところだった。

 

「ふむ」

 

 墓が完成したなら一度ぐらい手を合わせてくるべきかもな。

 

(って、あれ? この世界の死者の冥福を祈る動作ってどんなのだっけ?)

 

 今更かも知れないが、一般常識は知っていてしかるべきかもしれない。

 

(ちょっと動機が不純だけど、祈ってこようか)

 

 他の人の動作を見て学習するチャンスでもある。

 

「スー様?」

 

「ここまで来て、完成に立ち会わずに出発するのも何かと思ってな。直接縁があったわけではないが、死者に祈りを捧げても罰はあたるまい」

 

 歩き出した俺にカナメさんが訝しげな顔をしたが、表向きの理由を隠す必要もない。

 

「……そうぴょんね。だったら、ご一緒するぴょん」

 

「ああ」

 

 納得したカナメさんが一緒に来てくれる事に内心ほっとしつつ墓碑の前まで行った俺は、カナメさんの見よう見まねでオッサンの奥さんの冥福を祈り。

 

「……そうか、もう暫し残るか」

 

 すぐに旅立つかと問うた俺へオッサンは否と答えた。

 

「これまでの協力感謝に耐えんが、隣の墓も随分荒れている。周囲の墓の手入れもしていきたいのだ」

 

「好きにするが良い。が、キメラの翼はあるか?」

 

 尤もな理由で遭ったが故に引き留めることはなく、俺は別の問いを口にし。

 

「うむ、万が一のことを考えて常備しているものがある。墓の手入れを終えたら、船に残してきた者達とも合流せねばならんしな」

 

「となると、あちらで会うことも考えられるか」

 

 オッサンの言葉で思い出したのは、船に残してきたスミレさん。

 

(おっかしいなぁ、ずつうのたね が いなかった はずなのに ぴんち の れんぞく だった き が するぞ?)

 

 だからといって賢者なんて貴重な戦力を置いてきぼりには出来ない。

 

「まぁ、いい。では先に行かせて貰うぞ? 準備はいいか?」

 

「はい。他の方ももっと集まってください。 いきますよ?」

 

 俺が問うと首を縦に振るなり周囲を見回したクシナタ隊のお姉さんは警告し、呪文を唱える。

 

「ルーラっ」

 

「っ」

 

 呪文音声と共に身体が浮き上がり、地面が離れて行く。

 

「……さよう、なら。さよならっ――」

 

 ムール君が叫ぶのは、あの村の名前か。崖の上にあったムール君の家も頭を下げるオッサンが居る墓地もどんどん小さくなり、遠ざかる。

 

「バハラタ、か」

 

 俺達が飛ぶ先は東。乾きの壺を手に入れるためエジンベアに向かうなら最寄りの国はポルトガだが、乗ってきた船はオッサンが手配したもの。

 

(こっちの都合でポルトガに飛ぶ訳にはいかなかったもんな)

 

 どう考えても船員や船の持ち主の都合が最優先されるべきであり、この寄り道は仕方ない。

 

(立ち寄りついでにシャルロット達の情報も集めて、足りなくなった物資やトロワが作成するアイテムの材料を補充、あとは宿に一泊してムール君に奥義伝授したり話をしたり……ぐらいかな?)

 

 順にあげてみたが、やることやらなければいけないことは多い。

 

(プラスすることーの、スミレさん対策。……うん、すみれさん たいさく か)

 

 スミレさんはカナメさんにお願いしても大丈夫だろうか。

 

(洞窟の入り口で別れたから、聞かれることがあるとしたらトロワがきれいになったことと……ムールくんのこと、かなぁ?)

 

 どっちも説明を一つ間違えばからかうネタにされかねない。ムール君に関しては一時俺を誤解もしていたのだ。

 

(ムールくんとスミレさんの接触も最小限に抑えるべきだな)

 

 いらんことを吹き込まれてムール君が更なる勘違いをする何て展開、洒落にならないが本当にありそうで怖い。

 

「マイ・ロード?」

 

「っ、トロワか。どうした?」

 

 って、考えに浸りっぱなしだとそれはそれで訝しまれる、か。

 

「いえ、何かずっと遠くの方を見ていらしたので心配事でもおありなのでは、と」

 

「あ、いや。そう言う訳ではない」

 

 一応頭は振ってみたが、こうも的確にこっちの心理を見抜いてくるとか想定外だ。

 

(いや、逆にこれだけバージョンアップしたトロワなら待ち受けるであろうスミレさんへの起死回生の一手を担ってくれるかも……って、いきなり人に頼っちゃ駄目か)

 

 人に頼ることを覚えてしまうと、成長が止まってしまう。

 

「ちょっと、この後の予定を考えていてな。バハラタで情報収集と補給を終え、宿で休息した後ポルトガ経由でエジンベアに向かう訳だが、バハラタで補充する品のリストを頭の中で整理していた。ただそれだけの事だ。お前が作る袋の材料も仕入れておかないといけないしな」

 

「そうでしたか。申し訳ありません、差し出がましい真似を」

 

「気にするな。よくよく考えれば俺の方こそ一人で考えず相談すべきだったかもしれん。そもそも、各個人で補充しておきたい品のようなモノは俺ではさっぱりだ」

 

 自嘲気味に嗤うが、さっぱりという部分は掛け値無しの本音であり。

 

「では、リストの方を煮詰めていきましょうか」

 

「そうだな」

 

 トロワの提案に俺は口元を綻ばせた。そう、飛翔しつつトロワと言葉を交わすこの時間には確かに平和があった。おそらくは長くて現地に着くまでの平和であろうとも。

 




一行、バハラタへ。

そして、スミレさん(てんてき)との再会は迫る。

次回、第八十七話「おかしいな。つい先日のことなのに、こんなにも懐かしい」

相当引っ張ったもんなぁ、劇中時間では移動時間除けば村では一泊しただけなのに。
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