3月12日
ドタバタとした日の次の日、朝から三条家のリビングには異様な雰囲気が広がっていた。じぶんの隣で膨大な殺気を笑顔で放つ母、涙目でこちらに助けを求める目の前の黒スーツの女性、そして、その状況にひたすらおびえている妹、どうしてこうなった?実は事の中心にいるはずの礼夷は現実逃避気味に初めから思い出すことにした。
朝の九時ごろ、朝食も終わり僕と妹、母さんはリビングでのんびりしていた。ちなみに、父さんはすでに出勤している。平日だしね。
僕が誰か来たかなと思った瞬間、玄関のチャイムがなった。
「あらあら、誰かしらね」
そういいながら母は対応しに出て行った。僕も見に行くと、あるていど予想していた通り黒スーツの女性が玄関に立っていた。母と話していたその女性は、僕に目を向けた。
「あなたが三条礼夷君かな?」
「はい、そうですが・・・ISについての話ですよね?」
僕がそういうと彼女は少し気の毒そうにこちらを見た。え、なにその顔は?しかし、すぐ真顔に戻ると、何事もなかったように真顔になりリビングで話すということに
黒スーツの女性を机で挟み母さん、僕、春名という順で座り、、、
「って、なんで春名もすわるんだ?」
「いいじゃん、私も興味あるんだしーー」
「いえ、妹さんもいてもらったほうがいいですね。彼女にも関係のある話ですので」
「?」
どういうことだ?確かに、春名も今年からIS学園に入学するわけだから、ISと無関係ではないけど・・・って、お前はそこでドヤ顔するな。
春名の態度に少しイラつくが、修ほどじゃない。それにここで他人の前で妹ともめると隣の母さんが大変なことになるので自重する。修と母さんに感謝するんだな!と小物みたいなセリフを心のなかで放ったあと黒スーツさんに向き合う。
「三条礼夷君、あなたが昨日ISを動かしたことによりあなたは二人目の男性操縦者となりました。おめでとうございます。」
「ありがとうございます。あの、僕としてはこれからの事が気になるんですけど、、、」
「あなたは貴重な男性操縦者ということで、実際にISについて学習してもらい、IS乗りになってもらいます。これはすでに上が決定したことですね。」
「というと?」
なんだかまどっろこしい言い方だ。それに若干違和感を抱きながら僕は促す。
「つまり、ISについて学べ設備が充実している場、IS学園に通ってもらうことになります」
「えっと、僕今年から大学生なんですけど、大学帰りにIS学園に通うってことですか?」
「あなたはまだ状況がわかっていないようですね。このことが世間に公表されたらあなたは数少ない貴重な男性操縦者のサンプルとなります。あなたを捕まえてけんきゅう材料にしたりするような連中から狙われたり、最悪暗殺されかねないのですよ。大学なんかに通わせられるわけがないです。その点、IS学園はせきゅりてぃは万全です。」
確かに、言われた通りではあるが、でも、それってつまり、いや、でもまさか・・・
「れい兄、あ、いえ、兄はIS学園の生徒になるってことですか?」
僕が混乱しているのを横目で見た春名が代わりに聞いてくれた。ナイス妹。
「ええ。ですから、大学には通えません。」
といい、彼女は真顔のまま一枚の封筒を取り出した。それは帝都大学からであり合格取り消し届けとかいてあった。それを見た瞬間、思わず僕は彼女をにらみつけ机を思いっきりたたいた。さすがの僕もこれはぶち切れものである。一生懸命受験勉強し勝ち取った大学合格を国の力で一夜でなかったことにされたのだ。さらに、いらだたせるのは僕がにらんでもこちらに目もくれないでいる彼女の態度である。
暴力反対の精神で生徒会長をやっていた僕はそれだけはだめだと理性をフル活用して震えるこぶしを抑えていたとき、莫大な殺気を隣から感じ思わず冷静に戻ってしまった。危ない、危ない、あのままだったら自分がとんでもないことをしでかしていたかもしれない。
「黙って聞いていれば、いけしゃあしゃあと都合のいいことをおっしゃいますね?」
笑顔で殺気を放っている母さんに、さすがの黒スーツさんも冷汗をかいている。
「で、ですが、これはすでに上で・・・
「そんなやろうの都合で礼夷君が苦労してはいろうとしていた道を閉ざすのですか?」
妹はすでに隣にはおらず部屋の隅に避難している。丁寧な口調がより一層威圧感を与えていた。
「ISなんか知ったことではありません。私は、れい君のしたいようにさせるべきだと、たとえ、それで誰からねらわれようと礼夷君は私が守ります!」
僕は思わず感動していた。母さんがここまで僕のために言ってくれるとは、
「ありがとう、母さん、、、」
小声で言ったときには、すでに先ほど感じていた怒りなどは消えており、温かい気持ちになっていた。
「ねえ、」
「な、なんですか?今更何を言っても・・・」
僕が声をかけると彼女は一瞬ビクっと震えたあとこちらをおびえたように見た。どうやら母さんにすっかりあてられてしまったらしい。
「僕がIS学園に行ったら母さんと父さん、春名は・・・IS学園に行くからいいか、とりあえず、二人はどうなるのですか?国が保護してくれるんですか?」
僕の大学なんかより家族のほうが何倍も大事なのだ、一時の怒りで大切なことを忘れるところだった。
「礼夷君!?何言ってるの!?」
「え、ええ、それはもちろんです」
母さんは僕の言葉に反論しようとするが、目で止める。
「三条大臣のご令嬢様は責任もって保護しますのでご安心ください・・・あ、」
黒スーツさんが思わず口走った言葉に少しの間おさまっていた殺気が復活、いや先ほど以上になった。
「まさかお父様が関係してるのですか?・・・詳しくはなしてもらいますよ?」
黒スーツさんがもはやかわいそうな状況でかつ、こちらに何かをうったえかけるように見ているが僕には何もすることはできない。この状況の母さんはもはや手が付けられない。それにまだ僕はこの人を許したわけではないしね。
僕が今までの事を思い出してる間に、じんも・・・いや、お話しは終わっていた。
ちなみに、僕の母さんは名家三条家の一人娘で大事に育てられてきたらしい。母さんの父、つまり僕の祖父は国の中でもかなりのお偉いさんらしい。テレビでもたまに見る。らしい、というのは母さんがあまり話したがらないからだ。祖父としては一人娘の母さんにはきちんとした家の人と結婚してほしかったらしいが、母さんは父さんとの結婚をしたいと祖父に主張。当然、反対され(父さんの家はごく普通の家庭)大喧嘩した結果、苗字は三条を名乗り、定期的に報告と会いに来るという約束を結んだ末結婚した。だが、それ以来父娘間の仲は、芳しくないらしい。だが、祖父は僕と春名には優しいので僕は祖父が嫌いではない。
今回のIS騒動では、当初僕は研究所に出頭、悪く言うと軟禁状態にされ研究される案もあったらしいが、祖父がそれに猛反発。公私混同ではあるがその案をなくし代替案としてIS学園に通うというものにしたらしい。
「どうやらおじいちゃんに助けられたらしいね、僕」
と母さんに言うと、母さんはそっぽを向いていた。
「確かに、助けられたのは事実のようですが、もっといい案があったとおもいますけどね、今回のところはかんしゃしておきますが・・・でも、礼夷君は本当にそれでいいの?」
「まあ、大学が人生のすべてではないしね。高校生活をもう一回過ごすのもいいんじゃないかな?」
「そう・・・あなたがそれでいいなら、母さんはもう何も言わないわ、頑張りなさい」
「うん、ありがとう、母さん」
あれ、でも僕何年生で通うことになるんだろうか?