【GE作者合同投稿企画】聖なる夜だよ、神喰さん! 作:GE二次作者一同
題名・作者名:ふたりぼっちのクリスマス・蝸牛喰_@y
投稿作品名:GO ESCAPE!!
登場キャラ:極東勢、ブラッド隊、オリ主
ジャンル:ギャグ、ラブコメ
どんな気持ちも、言葉にしなければ伝わらない。
中でも好きだという気持ちを相手に伝えるというのは、なかなかどうして難しい。そして、その気持ちを伝えることなく相手に自分を好きになってもらおうだなんて虫が良すぎる話だ。烏滸がましく、とても愚かで臆病な思考。
だから、「あたし」は勇気を出し手この気持ちを伝えよう。
否定されたって構わない。拒絶されたって構わない。
貴方の事が好きだ。愛してる。狂おしいほどに愛している。この声がかれてしまうほどに、今、叫びたい。貴方に、この気持ちを伝えずにはいられない。
「あたし」は、貴方の事を愛しています。
☞☞☞
アラガミにより荒廃した―――以下略。
銀雪舞い降りる今日はクリスマス。かつて極東がまだ日本と呼ばれていた頃には『花見』や『紅葉狩り』と言った行事があったものだが、それも今となっては過去の産物。
ではあるが四季はしっかりと残っており極東には例年通りに冬が到来し、そして本日。
「さぁと言う訳でやってまいりましたぁ~・・・、クリスマス! どっかの偉い人の降誕祭だとか詳しいことは各自ターミナルでアクセスせよ!」
「ではではロミオさん。早速皆様に今年の予定なんかを聞いて回りましょー!!」
ラウンジで何やら燥いでいるのはニット帽と猫耳少女。どちらもクリスマスに合わせたサンタクロースの格好になっていた。
「ではまず極東の受付嬢こと、ヒバリさんから!」
「ヒバリさんヒバリさん。今年のクリスマスはどう過ごしますかー?」
「え? そうですね・・・。いつも通り、皆さんが無事任務を終えられるようにサポートに励みたいと思いますね」
段ボールで出来たお手製マイクとカメラを向けられたヒバリはいつもの調子で答える。ロミオとナナの二人は、深々と礼儀正しく頭を下げる。
「ありがとうございましたー。ヒバリさんやフランたちのお蔭で、俺たちも安全に任務に出撃できますからねー」
「それじゃぁどんどん、行ってみよう!!」
Q,今年のクリスマスはどう過ごされますか?
A,いつも通り任務。その後は居住区の雪かきのお手伝いだね。
19歳 第一部隊隊長さん
Q,今年のクリスマスはどう過ごされますか?
A,通常通り任務に決まっている。そんな子供じみた事には興味が無い。
22歳 オサレ系銭金野郎さん
Q,今年のクリスマスはどう過ごされますか?
A,助けてください。
19歳 シエルに追われtさん
Q,今年のクリスマスはどう過ごされますか?
A,大人しく、“あいつ”と一緒にゆっくり過ごそうと思っているよ。
28歳 第四部隊のイケメンさん
Q,今年のクリスマスはどう過ごされますか?
A,・・・・・・・・・!! (・∀・ )
??歳 正体不明の着ぐるみさん
Q,今年のクリスマスはどう
A,殺すぞ。
22歳 借金返済さん
「「―――なんて日だッ!!」」
「お前らは何を望んでたんだ」
打ちひしがれる二人に、ギルバートが声をかける。
「なんでみんな仕事なんだ! 今日くらい愛する誰かと一緒に過ごそうよ! 最後の一人に至っては只の暴言だったぞ!!」
「ハルさんも! 普段ナンパばっかりしているくせにこんな時だけイケメンっぽさ出されてもムカつくだけなんだよ!」
「何気ひでぇこと言ってるなナナ」
「んだよ折角サンタクロースコスチュームに着替えたのに! いいじゃん。偶にはアラガミの事とか忘れて甘酸っぱい恋のひとときとか、こんな冬の寒さなんて全く感じさせない情熱的な―――なんかそう言うやり取りが見たいんだよ俺たちは! それなのに―――」
「ん? ま、待ったロミオ先輩。私たち、二人ともサンタだけど、トナカイの存在を忘れているよ・・・! きっと、それでみんなクリスマス感を感じられてなかったからじゃ・・・!?」
「・・・ッ!! それだ・・・、それだよナナ・・・!! はは、なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだ俺たち・・・!! サンタとトナカイが揃ってないんじゃ、クリスマスの欠片も感じられない! そうと決まれば善は急げだ。ナナがミニスカサンタクロース、俺が赤鼻のトナカイ役だ!」
「任せてロミオ先輩! やったね、これでみんなクリスマスを感じることが出来るよ!」
「あぁ。俺たちでクリスマスを盛り上げてやろうぜ―――!」
「・・・楽しそうで何よりだ」
ギルバートのため息は燃え上がったナナとロミオの耳には届かない。
☞☞☞
ラウンジのカウンターに座る二人の人物を、遠巻きに見つめているのはコウタとアリサだ。観葉植物の陰に隠れているアリサたちの視線の先に居るのは、極東の英雄こと神薙 ユウと―――、
「ユウってば・・・。急に『服のコーディネートしてくれ』って頼むから何かと思ったら―――」
「―――まさか、リッカさんとデートとは・・・。やるな・・・」
―――ユウと、整備士のリッカが楽しそうに会話をしながらムツミの手料理を堪能していた。リッカは珍しく普段の格好とは違った―――言い方は悪いが普段の彼女からは考えられないような―――綺麗な服装に身を包んでいた。
「なのにユウは、結局いつも通りの格好・・・」
「俺たちのコーディネートはなんの意味があったのか・・・」
作業服に似たパーカーに黒縁メガネの少年を見てため息を吐く二人。
暫く彼らのやり取りを見ていた二人だが・・・、アリサのその表情に、コウタが気付いた。
「んー・・・。アリサ、もしかして羨ましいとか思ってる?」
「ふぇ!? い、いきなりなんですかっ?」
驚きの声を上げた彼女だが、慌てて声を潜める。コウタは少し、唸りながら、
「いやさ。勘違いだたらごめん。アリサって、ユウの事好きなんじゃないかなーって思ってて・・・」
「―――それは・・・」
「なんだかんだ言って、もう何年も一緒の仲だけどさ俺たち。俺的には、アリサのユウに対する態度ってのが、若干俺たちのとは違っててさ。あ、別にそれが嫌だってわけじゃないから」
ふと、コウタの言葉にアリサは思案する。自分ではユウに対して何か特別な気持ちを抱いていは―――と言えば確かに嘘になる。
あの少年は、ユウとは昨日今日の仲ではないし、特別な感情も確かにアリサの中には芽生えているのも確かだ。でも、自分ではそれを表に現したことは無いし、極力そう言ったことを避けるように心がけていた。理由としては・・・まぁ。
(―――あんな顔されちゃぁ、一歩引いちゃいますよ・・・)
視線の先に居る件の少年の表情は、今までの自分には向けられたことのない屈託のない笑顔。彼の本心から出る感情の表れだった。
「・・・アリサ?」
「・・・別に。私はユウの事はこれっっっっっっぽっちも、何とも思っていませんよ。リーダーとしては尊敬していますし、そのほかの事で感謝はしていますけど。好きとか、そう言うのは・・・」
ため息交じりに、コウタに返事をするアリサの表情は苦いものだった。いくら自分に向けられないものとはいえ、それを羨ましく―――もっと醜く言えば、妬ましく思うだなんて、
「(そんなんだから、ユウにも好かれないんだろうなぁ)」
口の中で呟いたその言葉にさらに自己嫌悪に陥り自嘲気味に笑うアリサ。確かにユウの事は好きだ・・・けれど、どこかで、自分では彼と釣り合わないと言い訳をして逃げて、そしてそれを気付いてほしいと思っている。無茶苦茶で幼稚な考えだ。
「―――俺は別に、アリサの事好きだけどな」
「いやいやまさかぁ~。・・・・・・・・・は?」
何か、今隣から聞こえた気がするぞ?
「ほら、アリサスタイル良いし顔もきれいに整ってるし可愛いじゃん。飯は・・・ちょっとあれだけど、外見だけじゃなくて性格も優しいしさ。めっちゃ性格良いし美人で俺的には高得点だけどな~」
あ。あんまり得点とか言っちゃ失礼だね。と何やら呟いているコウタに視線が釘付けになるアリサ。
イマ、コイツハナニヲイッテルンダロウ?
「え。・・・な、は。え? 何をっ?」
段々と顔の温度が上昇していくのを感じているアリサだが、それ以上に。
「―――いやコウタ顔真っ赤ですけど!?」
目の前の少年の方が真っ赤だった。
「い、いやアレだよアレ! 暖房効き過ぎてるからさここ! い、いやぁ暑いな~ははは!」
「そんな分かりやすすぎる嘘で誤魔化されても困るんですけど!?」
「あ! 俺居住区の除雪作業しなきゃいけないんだった! アリサごめん、それじゃぁ!!」
「えぇぇええ!? コウタの方が逃げ出すんですかぁ―――っ!!?」
ぴゅう~~~・・・、と駆け足でラウンジを飛び出たコウタは首から耳まで完璧に真っ赤だった。残されたアリサも負けず劣らずの色合いだとは思うが。
暫く呆然としていたアリサだが、ふと我に返り先ほどのことを思い出してしまい更に顔を上気させる。終いには、頭を抱えてその場で蹲ってしまった。いや、どうすればいいのだこの状況。
(え、待ってください待ってください? アレ告白? 告白ですかっ? いやいやいやいや。そんなわけないですよなに自惚れてるんですかきっと落ち込んでると思ってコウタなりに私を慰めようと―――いやそれだとあの反応は何っ!? あぁもうっ!! どうすればいいって言うんですかこの状況っ!!?)
もっと他にあるだろ! と、今この場に居ないあの少年を心の中でタコ殴りにしながら勢いよく立ちあがったアリサは・・・・・・・・・リッカと目が合った。至近距離で。
「アリサ。何やってるのこんなところで?」
なお、その背後ではニヤニヤと嫌な笑顔でユウが立っていた。あれ。さっきのやり取り見られてた? あ、あれだけ騒げば当たり前か~あっはっは。と現実逃避し始めたアリサにユウが止めの一言。
「好きなら追いかけろ、バカ!」
「もぉ―――ッ!! 忘れてくださぃぃぃぃぃいいいいっっっ!!!!!」
ドップラー効果を起こしながらラウンジを飛び出るアリサの顔は、先ほどのコウタ以上に真っ赤であった。
☞☞☞
「シエル! デートしぐほぉっ!?」
言った瞬間マッハ速度でシエルが飛びついてきたことによりみぞおちに衝撃が走る。そのまま勢いを殺せずに勢いよくカーペットの敷かれた床に倒れるのはブラッド隊長こと、通称ゴスロリ美女(に、化けた男)の東雲 カンナ。ぽぎゅ、とカンナの首から嫌な音がした気がする。
「ほ、本当ですかぁー!?」
「本当本当。だから頭ぐりぐりするのやめて・・・」
「き、君からそんなお誘いをうけるだなんて嬉しいです! は、初めてで私・・・。私・・・っ!」
「泣くほど!? 泣くほどうれしかったノ!!?」
顔をうずめて嗚咽を漏らすシエルに若干引きつつも、純粋に喜んでくれたことに思わずはにかむカンナ。暫くその状態だったが、その場で体勢を起こし身なりを整えてから、カンナは彼女に手を差しだす。
「それじゃ行こうか」
「・・・はいっ! 行きましょう!!」
二人仲良く手を繋ぎ、クリスマス使用にデコの施された昇降機に乗りこんでいく。
「「「・・・・・・・・・、」」」
後ろで、他のブラッドのメンバーがその様子を伺っているのに気づかずに。
☞☞☞
二人がやってきたのはアナグラの地下に広がる、商店街のような場所。地下にできた広い通路の両側に様々な店舗が建ち並んでいるそこを、カンナとシエルの二人は歩いていた・・・のだが。
「ぐ・・・っ! もうひとアクションが欲しい所・・・!!」
「隊長もっと攻めなきゃだめだよ~! シエルちゃんもいつもみたいにアクション起こして~!!」
「落ち着け二人とも。功を急いては仕損じる。ここはゆっくりとだな―――」
なかなか行動に移らないで本当にただデートしているだけの二人に、後方のロミオたちが身もだえしていた。
「いや、行動に移るって何に移るんだよ」
「二人は普通にデートを堪能している。それでいいのでは?」
ギルバートとジュリウスの二人に、ロミオとナナがため息を吐く。
「分かってないなぁジュリウスは・・・」
「本当だよ! もっとこう・・・二人には情熱的且つ大胆な・・・」
「それでいて繊細で華麗な・・・」
「ただハプニングを見たいだけだろお前ら」
「それ以外に何があるっ!? いい子ぶってんじゃねェぞギル!!」
「なんでキレてんだっ!?」
ロミオの怒鳴り声に混乱しつつも、まぁ確かに彼の言い分も一理あると言えばある・・・のか? 確かに普段はカンナに対しシエルは(バキューン)をしたり(スギューン)なことなど色々と過激なことはしているが、こうも普通な付き合いをされるとそれはそれで物足りないというか・・・。
「そこで俺の登場だ」
びくぅっ! と背後からの声に全員が振り向くと、そこには周囲の雑踏に紛れてユウが立っていた。物陰に隠れて行動していたロミオたちだが、一人はミニスカサンタ、もう一人はトナカイコスなのでバレバレである。
ユウは普段通りの格好だが、何故か手にはピコピコハンマーを持っている。
「な、何をするつもりだユウさん?」
「はっはっは。極東の英雄ことこのトラブルアンドアクシデントの神薙 ユウ。ハプニングの一つや二つ、造作もない」
☞☞☞
「あ。あのアクセサリー可愛いね。シエルに合うんじゃない?」
「そうでしょうか・・・。少し、自信がありません・・・」
「試着とかあるのカナ? 試してみる? ―――あ、一緒ならどう?」
「き、君と一緒なら・・・。はいっ」
「そっかそか。うん、そうし―――あれ? ユウさんだ。コンニチ」
ぱぁんっ! (ユウのピコピコハンマーがカンナの頭部を直撃)
ぱぁんっ! (ユウが音速でその場から逃走)
むにゅ。 (カンナがシエルのふくらみに沈む)
「わっ、わっ、わっ!?」
顔を真っ赤にして慌てるシエルだがカンナは亜音速の一撃を頭部に喰らい、意識が無いのかピクリともせずシエルの母性の塊に顔をうずめている。背後からは、
『YES! YES! ユウさんナイス!!』
『これだよこれ! こういうのを求めていたんだよ!!』
燥ぐミニスカサンタと赤鼻トナカイが居た。
☞☞☞
背後のブラッドメンバーに気付いたシエルが粛々と制裁を加え終えてから暫くして意識を回復したカンナは、若干ふらふらと体を揺らしつつもシエルとのデートを再開していた。今二人が居るのは、アナグラの頂上―――支部の屋上だった。そこには、場違いなほど巨大なクリスマスツリーが設置されている。色とりどりの電飾が緑色に派手な光を明滅させていた。
しんしんと灰色の空から舞い降りているその銀雪も相まって、普段はそのスペースの縁にフェンスが設置されているだけの屋上はなかなかに幻想的な雰囲気が醸し出されている。近くにあったベンチに、とりあえず二人は腰かける。
「ふわぁ~。凄いネ~・・・」
「そうですねー・・・」
暫くイルミネーションを楽しんでいた二人だが、ふとシエルがそれに気づく。
「? どうかしましたか?」
「えっ!? な、何が!?」
「いえ。普段よりも脈拍が早いと思いまして・・・」
「シエルの情報収集力の素晴らしさヨ」
? と首を傾げるシエルにカンナは苦笑気味に顔をそむける。それをさらに不審に思ったシエルだが・・・ぽつりぽつりと、カンナが漏らし始めた。
「シエルと会ってからー・・・。どのくらいたったっけ」
「―――そうですね・・・。もう一年ほどになりますね」
「いろんなことあったネー」
「そうですね。赤い雨の時に、君が助けに来てくれて・・・それから、初めて友達になってくれたり・・・。いろいろありましたね」
「むふふ。真っ先にボクとの思い出が出てきてくれるのは嬉しいナ」
ほっこり笑顔で居るカンナに、シエルも自然と柔らかな表情になる。
カンナと出逢ったことで、シエルの心情や考えは大きく変化し、それのお蔭で大切な仲間とも出会えた。本当、感謝してもしきれないほどに、今目の前にいるゴスロリ姿のこの人物は彼女にとってかけがえのない存在となっていた。
「―――ネ。シエル」
「―――はい。なんでしょうか?」
「―――月、綺麗だネ」
「―――はい・・・。はい?」
ん? と首を傾げるシエル。それもそのはず、空は分厚い曇雲に包まれ到底月等見える状況ではないからだ。どうかしましたか、と尋ねようとしたシエルだが・・・隣のカンナが今にも泣きだしそうな表情でいることにさらに混乱してしまった。
「あ、あれ? 今私何かおかしなこと言ってしまいましたかっ?」
慌てるシエルに、それ以上に慌ててカンナが捲し立てた。
「いやいやいやいや! そうじゃなくてネ、ホラなんて言うか古来から極東人ってビビりなわけジャン? だからほら、なんて言うかサ・・・」
顔を真っ赤にして縮こまっているゴスロリに表情そのままで鼻から赤色を出しているシエル。カンナは数回深呼吸してから―――一瞬で表情を整えた―――彼女に向き合ってから、
「えぇっと、だからサ。つ、月が綺麗だなぁって・・・」
はっきりと、シエルの方を向いてそう言ったその表情は極限まで赤くなり、更には若干瞳も潤んできている。数秒経過してから、同じくシエルの顔も一気に真っ赤になる。カンナの言葉の意味に気付いたらしい。
・・・が、シエルは慌てることなく深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせ、目の前のゴスロリに返事を―――自分の思いを伝えた。
「ありがとうございます。お返事は―――『私、死んでも構いません』でよろしいでしょうか?」
「・・・、」
「・・・、」
数分近く互いに見つめ合い、二人の間にまさしく無音の静寂が流れる。気の遠くなるほどの時間が経過してから・・・。
「え、えへへ・・・」
と、うつむいて表情は見えないが、カンナが本当に小さく声を漏らし、今度こそシエルが我慢しきれずにカンナに襲い掛かった。
『『『(*´∀`)』』』
その背後では、二人のやり取りにほんわかしている負傷したブラッド数名。
☞☞☞
びー、と短くサイレン音。偵察部隊からの入電によれば、極東に向けてアラガミの超大軍が押し寄せてきているらs
「ねぇねぇロミオ先輩。今シエルちゃんたちがいい感じになっているというのに、それを邪魔しようとしているアラガミが居るらしいよ?」
「そいつは大変だな。シエルと隊長以外にも、コウタセンパイとかがなかなかに楽しい雰囲気にあるらしいぞ」
「わぁそれは大変! 他にもいろんな人がこの聖夜を大切な人とし過ごしているというのにソレをぶち壊すとは言い度胸しているね」
「本当だな。だけど俺たちはあくまでもこのクリスマスを盛り上げるのが仕事だ。ナナサンタ、ときめきグレネードの準備はオーケーか?」
「おっけーだよトナカイニット帽」
「俺の扱い酷くない?」
一定間隔で創痕の防壁に設置された色とりどりのスタングレネード。ナナの合図と共に一斉に炸裂したスタングレネードは、閃光の代わりに夜空に赤や黄色、青緑紫桃と無数の大輪の花を咲かせては消えていく。
『入れ食いだぼけどもがぁぁあああッッッ!!!!!』
『りぃぃぃぃいいいいああああああッッッ!!!!!』
『ギイイィィィゥウイィィイイイイッッッ!!!!!』
『イギャアアァァァァァァァアアアッッッ!!!!!』
遠くの方では、数匹のアラガミを従え黒い神機を構えた青年がいる。
☞☞☞
―――貴方の隣はもう満たされている。
貴方の隣は、あの人がいるから。貴方の隣に立つのは、「あたし」じゃない。
それでも「あたし」は望んでしまう。夢見てしまう信じてしまう。貴方に「あたし」の思いを伝えて、貴方が「あたし」を受け入れてくれることを。
それは決して叶ってはいけない願い。だけど、このくらいなら許してくれるだろうか。
どんな気持ちも、言葉にしなければ伝わらない。
中でも好きだという気持ちを相手に伝えるというのは、なかなかどうして難しい。そして、その気持ちを伝えることなく相手に自分を好きになってもらおうだなんて虫が良すぎる話だ。烏滸がましく、とても愚かで臆病な思考。
だから、「あたし」は勇気を出し手この気持ちを伝えよう。
否定されたって構わない。拒絶されたって構わない。
貴方の事が好きだ。愛してる。狂おしいほどに愛している。この声がかれてしまうほどに、今、叫びたい。貴方に、この気持ちを伝えずにはいられない。
「あたし」と「わたし」は、貴方の事を愛しています。
「―――ハルさん。大好きです」
彼女の独り言は、派手に夜空を彩る閃光に包まれ消えて行った。
(;´・ω・)<ラブコメとは。