訓練場ばかりでなくグランバニア城をも揺るがすのではないかとも思われる剣の打ち合いが、パパスとバルバルーの間で行われている。
「なんという重い打ち込みだ。今まで味わったことがない素晴らしいものだ。」
とパパスが痺れた手を見て苦笑いしながらバルバルーの攻撃を称賛する。
「それはどうも俺としてもあんたほどの剣の使い手を相手したのは二度いや、三度めだ。ワクワクするぜ!」
バルバルーもパパスを手放しで称賛する。
共に剣の達人だからこそ少し剣を交えるだけで相手の力量を見抜いてしまう。
そして、共に強き者と戦うことが楽しくてたまらないという戦闘狂だからこそ話すことを止め剣で語り合うことにする。
パパスが強靭な脚力を使いバルバルーの懐に踏み込み横に一閃する、バルバルーはその速さにめを見張るが冷静に大剣で防ぐ、つばぜり合いになるがそこはやはり幻魔であるバルバルーの方強く少しずつパパスは押され始める。パパスはふっと力を抜き後ろに一歩下がりバルバルーが少しよろけたところを渾身の力で切りつける。決まったとパパスは思った、しかしその攻撃もすんでのところで防がれる。
「危なかったぜ。以前戦った人間も同じようなことをしてきたからどうかと思っていたが。やはり力押しだけじゃダメだな。」
というと大圏剣士を上段に構えた。何かくるとパパスは中段に構える。
「さみだれ切り」
バルバルーが叫ぶと同時にパパスに数十いや数百とも思える斬激が襲いかかる。
身の丈ほどある大剣で何故これほど早さで剣を振るえるのかという思いはあるが、考える余裕はない。かわせるものはかわし、かわせないものは剣で受けるが手数が多すぎて対処しきれない。パパスの体はみるみるうちに傷だらけになるが、バルバルーの攻撃はやむことがない。たった一分。
しかしパパスには一時間ぐらいではというほどに感じた攻撃はパパスが吹き飛ばされたことによって幕を閉じた。
「ぐっ。」
パパスはボロボロになった体に鞭をうち立ち上がる。体からは出血が激しい。
「まさかさみだれ切りを受けて立ち上がるとはな。驚きだ。この攻撃は多人数相手に使うものでその斬激を一人浴びせて立ち上がったやつはあんたで二人目だぜ。」
とバルバルーは素直にパパスを認める。
「私以外にも耐えた者がいるというのは驚きだ。しかし今は傷を癒さなくては。」
パパスは冷静に判断し初級回復魔法のホイミを唱える。
すると急速な勢いでパパスの体の傷がふさがり完全に回復する。
「おいおい。剣士だっていうから回復魔法なんてないと油断してたら。まさかベホマを修得していたとは。」「いや、ホイミだが。」
「嘘をつくな。今の回復具合はどうみてもベホマだろ。あの傷を完全に直すのはどう考えてもベホマだ。」
「いや、どういわれてもホイミなんだが。」
この言い争いは終わりそうにないのでレイシアが会話にはいる。
「バルバルーさんがベホマと判断するのは当然なのですが。王の魔法はホイミです。
私も最初はその異常さに驚いたのですが。また回復能力以外にも王のホイミにはキアリーの効果もあるようで。規格外で常識はずれなんですがホイミなんです。」
「マジかよ。」
レイシアが苦笑いをしながら説明するとバルバルーも驚愕するしかない。
今後このパパスのホイミにはザオリクの効果があると判明しレイシアが絶句することになるがそれはまたずっと先の話である。
驚きから立ち直ると
「こりゃあ魔法(MP)切れに追い込むか殺すきでいかないといけないらしいな。」
バルバルーはまた上段に構える。
パパスはなにを思ったか、バルバルーと同様に上段に構える。
『さみだれ切り』
二人の声が重なると同時に凄まじい剣の打ち合いがパパスとバルバルーの間で交わされる。
一般人の目には何が起こっているのか判断できないほどの早さで打ち合う。
始めはほぼ斬激の数は同じであった。
パパスは初めての技であり、バルバルーにとっては二回目ということで少しの疲労があることでのことであった。
以上のことからバルバルーが段々パパスに押され始めるのは自明の理であったが、バルバルーは冷静ではいられない。たった一回技を見ただけで技を身に付け、挙げ句の果てには返してくるのだ冷静でいられるほうがおかしい。
しかし。バルバルーは何度も死闘を乗り越えてきた猛者である。気を落ち着かせる。その間もパパスの猛攻は続く。パパスの斬激がバルバルーのそれを上回りバルバルーに次々と傷を刻み込む。
(このままじゃじり貧だ。こうなりゃ肉を切らせて骨を断つ。)
覚悟を決めたバルバルーは剣を下段に構えたままパパスの斬激に突っ込んでいく。そして
「魔神切り」
とバルバルーは叫びパパスを切り上げる。バルバルーの一閃はパパスの斬激とともにパパスのメタルキングの剣を凄まじい勢いで弾き飛ばした。
『ぐわっ』
パパスは自分の手から吹き飛ばされた剣を見て負けを宣言しようとバルバルーの方をむく。バルバルーは清々しい笑顔を浮かべ気絶していた。
バルバルーの異常なHPを削りきったのだ。
「なんとか勝った?いや負けも同じだ。剣士が剣を弾き落とされるようでは。」
パパスは負けたと判断した。
しかし普段であれば負けたことに悔しがるはずであるのに何か嬉しさをも感じる自分に驚きをもっていた。
パパスには今まで並び立つ者がいなかったが、今回初めて好敵手を見つけた瞬間であった。
おまけ
パパスとバルバルーが激しいぶつかり合いをしている横ではパピンと剣王サムシンが静かにしのぎ合っていた。パパス達が剛であれば、パピン達は柔である。洗練された剣で切りあい、受け流し、身をかわしというように。パパス達の戦いとは一閃をかくし、舞いを舞うようであった。
しかし永遠にその同格の舞いが続くと思われたが突如として終わりを迎えることになる。どこからか凄まじい勢いで飛んできたメタルキングの剣の風圧により二人は仲良く吹き飛ばされ、仲良く目をまわし戦いは終わることになった。
戦いを書くのがこれほど難しいとは。戦いを上手く書く作者さをたちを尊敬しなおした今回です。