サラボナ外の戦場
「ゲマの手下を倒すことはできたが、ゲマを逃したことは痛かった。」
「居場所は情報通りということが分かっただけでもよしとしましょう。」
「そうだな。ではあれはどうすればいいのだろうか?」
「私の煉獄火炎を受けながらも、消滅せずに残っているということは、悪い魔物ではなくなっていると思うので、起こして話を聞いてみましょう。」
「分かった。そうしてみるか。」
ということで、縮んだブオーンを起こすことにした。
「おい、起きるんだ。」
パパスが呼びかけながら頬をペチペチと叩く。「う~ん。あれ僕は何をしていたんだろう。」ブオーンは目を覚ます。今まで戦っていたブオーンとは違い、つぶらな瞳には邪気など全くなく、純粋そのものであった。
(かわいい。)とレイシアは心の中で思って見とれていたが、パパスはそんなことには気づいてはいない。
「あれなんで僕は外にいるんだろ?ルドルフに封印してもらったはずなのに。」
ブオーンは首をかしげている。「おいおい、コイツ記憶を失ってんじゃないか。」
バルバルーがブオーンの発言からそう考える。みなも同じ考え方であり、戦っていたことさえも忘れていると思われた。
「いえ、記憶のこともありますが、今言った発言で『封印してもらった』という部分が気になります。」
とレイシアが気になった部分をあげる。もらったというのは相手に感謝の意を込めて使う言葉であるからだ。そのことも含めて聞こうとしたとき、
「おじさん達は誰?僕は何で外にいるの?ルドルフはどこ?」「まあ少し落ち着け。」
いきなりブオーンに怒涛の勢いで尋ねられたのでパパスが落ち着くように促す。
「ごめんなさい。少し混乱しちゃって、焦っちゃって。」
「落ち着いてもらえればいい。」
「なんか全くの別人になっていますね。」すんなり謝るブオーンに少し拍子抜けになるパパスにサンチョである。
「では私が説明しますね。」
「お願いします。お姉さん。」「はい。」
満面の笑みをレイシアは浮かべ説明する。
「一つ目の質問ですが。二つ目の質問とあわせて説明しますが、貴方が封印を破って出てきて、サラボナの町に襲いかかろうとしていたのを止めることを依頼された者です。
三つ目の質問ですが、ルドルフさんはなくなっておられます。」
「えっ………。」
レイシアの説明を聞いていたブオーンは、サラボナを襲おうとしていたということを聞いていた時には、顔色が青くなり、ルドルフがなくなっているということを聞いた時に、愕然とした表情になり。涙をボロボロ流し、悲痛な声をあげて鳴き始めた。
「ルドルフ~。なんで死んじゃったんだよ。また会いたかったのに。」
泣き叫んでいるブオーンにはかけられる言葉がなく、泣き止むまで待つことにした。
一時間後
「ごめんなさい。いきなり泣いちゃって。
それと、本当に僕はサラボナを襲おうとしていたんですか?」「大丈夫ですよ。
それと襲おうとしていたのは本当です。ルドルフさんの子孫の方に止めるように依頼されました。」
「そうなんだ。僕をルドルフの子孫に会わせてください。謝りたいんです。」ブオーンの言葉にみなは驚く。「お前を見ていると、真に謝りたいと言っていることは分かるが、町には連れていくことはできない。」
「えっ。どうしてですか?」
「町の者はお前を見れば恐れ、パニックを起こす可能性もあるし、お前も行けば嫌な思いをすることになるだろう。」
「そうなんですか…。」
パパスの説明を聞いてブオーンは悲しそうな表情をするが、納得はした。
「ええ。そうですが。ブオーンさんとルドルフさんの関係は話を聞いた限りだと良好な関係のようですので、町の人には見られないようにしてルドマンさんだけには会ってもらいましょう。」
レイシアの提案に皆は驚く。
「町の人の大半は避難していますが、まだ残っている人もいますし。帰る時には絶対に目撃されてしまいますよ。」
サンチョがレイシアに反論する。
「大丈夫です。パパスさんはもう知っていますが、これを使います。」
「ああ、これか。これなら行けるな。」
レイシアが取り出した物は、以前パパスがオジロンを尾行するときに、使用したものであった。
「消え去り草といいます。これをふりかけると姿がきえるというものです。」「そんなものがあるとは。」
レイシアの話にサンチョは驚きの声をあげる。「悪用されてはならないので、この草のことを知っている人はあまりいません。まず論より証拠使ってみせますね。」
レイシアが消え去り草の粉をブオーンにふりかけるとブオーンの姿は見えなくなった。
サンチョは驚くことしかできなかった。レイシアの言うことを信じていなかった訳ではないが、やはり半信半疑であった。しかし、目の前でブオーンが本当に姿を消したという事実を見せられたことにより驚きが込み上げてきた。
今気を失っているパピンが見たら同じように驚き、不埒なことを考えるだろうなと思うサンチョであった。
「では行きましょうか。しっかりついて来てくださいね。ブオーンさん。」
「はい。よろしくお願いします。」
「では行こう。」
パパス達はブオーンを連れてルドマン邸に向かった。