メタルキングの剣を構えたパパスと、巨大な刃のある槍を構えるデュランがじりじりと間合いを詰めながらにらみあっている。手にあせ握る状況である。ただ熱い戦いを望んでいるデュランは、間合いの詰め合いに焦れ突っ込む、といってもその速さは尋常ではない。この場でもその動きを追えているのは、戦っているパパスとバルバルーぐらいである。一瞬の内に自分の攻撃できる間合いに入りこんだデュランが、槍を横凪ぎに振るうが、パパスも冷静にバックステップをし避け、槍が過ぎたと同時に前にでて切りつけるが、捉えることができたのは、残像であり、本体にはかすることすらなかった。パピンとテリーの戦いでは剣を交えあう音が高らかに部屋内に響き渡っていたが、パパスとデュランの戦いは全く違い剣が空を切る音しかしない。
パパスとデュランは激しくうごきあい、剣や槍を振るうがかすることすらない。両者の攻撃はかなりの威力であり、一撃でも当たれば致命的な物であるが当たらなければどうにもならない。
「素晴らしいスピードと攻撃そして読みだ。だがこれはどうかな。」
デュランはまたもや一瞬で間合いを詰めると槍で突くがパパスは回避する。待ってましたとばかりに、目にもとまらぬ早業で拳を繰り出す。逃げ道を槍で防がれた状況から拳の連打を受けることになる。
「グハッ。」
今まで味わったことがないほどの痛みがパパスを襲う。少し後退したところに追撃の鎌鼬がパパスを襲う。なんとかしゃがみ回避したパパスは痛みをこらえ反撃に転じる。デュランは追撃の鎌鼬を放ったために一瞬の隙ができていた。「五月雨切り!」
少ない時間で発動できる技をパパスは選んだ。
「テリーと同じ技か。一度見た技であれば受けることなはい!」
デュランはそういい防御に徹しようとするができなかった。パパスの剣技はテリーのそれとは全く似て非なるものであり、斬撃の速さ、苛烈さ、威力は桁違いであり、デュランは回避することも叶わず五月雨のごときパパスの剣撃をその身に刻まれることになった。
『はあ、はあ。』
共に体は傷ついていたが。実質的に受けたダメージは同じであっても、人間と上級悪魔では体の作り、地力が違うことによりデュランのほうが有利であることはいうまでもないことであった。
「ああ、楽しいぞ。ここまで楽しい戦いは生前の勇者一行との戦いを越えるほどだ。永遠にこの愉悦を味わいたいが。お前もそろそろ限界のようだ。共に最大の攻撃を出し会おうではないか。」
「わかった。その提案に乗るぞ。」
デュランは華麗に宙に飛び上がり、螺旋状に回転しながらパパスに突っ込む、パパスはそれを新技で迎え撃つ。
「これが魔神切りから編み出した技だ。アルテマソード。」
とパパスが言うと、パパスの体から迸る闘気がデュランを取り囲む、そこへ全力で気を纏った剣を降り下ろす。
デュランも闘気の檻を突き破りながら突っ込む。
二人の攻撃が交錯する。
パパスとデュランは背を向けあった状態で立っていた。
数刻の後パパス、デュラン共に血を流し倒れた。
パパスは応急的な治療を受けたところで、デュランも共に治療してやってほしいといい、仲間達を困らせたが、パパスたっての願いであることから、話せるぐらいにまでパパスと同様に応急的な治療を施した。
「フフフ。パパスには感謝しなくてはならんな。私をこれ程までに熱くしてくれたのだからな。生前の勇者との戦いは4対1であったが。今回は1対1の真っ向勝負。ああ最高の時を過ごすことができた。私とパパスの戦いは引き分けであったが、お前達は先に2勝している。戦いの前に言ったとおりに、お前達の聞きたいことについては全て答えよう。」
キングレオから情報は得ていたが、デュラン程の地位の高い者であればより詳細な情報を得られるだろうとレイシアは考えていた。
「では、代表して私が聞かせてもらいますが、魔界への行き方、マーサ様を拐った意図、魔王の招待と弱点。答えられるだけでいいので答えて下さい。」
「あの方には多大な恩があるが、約束したことであり、口止めもされていなかったことであるから、私が知る限りのことを話そう。まず一目であるがー「裏切りですか?そうはさせませんよ。」
『!!!』
突如玉座の間に聞き覚えのある、不愉快な声が響き渡る。
「ゲマか。いつからそこにいた?」
「今まで水晶を通して見ておりましたが、だんだん話が悪い方へいきはじめたので、急いでここへ馳せ参じたので。丁度今着いたところですよ。」
「覗いていたか、趣味が悪いやつだ。早くここから出ていけ。お前の顔を見ていると今までの最高な余韻が、不愉快な気分になる。」
「そうはいきません。あなたは裏切りを働こうとしている。見逃すことはできません。ここで死んでもらいます。」
「できるものならやってみろ。」
「満身創痍な体でよくそのような大言が吐けますね。尊敬しますよ。ホッホッホッホ。」
デュランとゲマの話の進行を見守っていたパパス達であったが、レイシアがデュランに提案する。
「私達もゲマには恨みがあります。私達にも手伝わせてください。」
「普段であれば断るところだが、今回はこんな状態だ頼む。」
「はい。こちらこそよろしくお願いいたします。」
とレイシアは提案をのんでくれたデュランに満面の笑みを浮かべ答える。
「さすがに私でも皆さんを相手するのは荷が重い、ということで皆さんには黙っていてもらいます。」
ゲマはすうっと息をすい、部屋中に吐き出す。やけつく息をゲマは吐くと、回避手段がない、パパス達は麻痺し動けなくなる。
「では邪魔が入らなくなったところで、裏切り者に制裁を加えましょう。」