朝の6時グランバニアの城門が開門される。
そしてまもなく、重武装した屈強な男三人と紅一点の華奢な女性が出てきた。
「さあ、皆さん行きましょう。
明日からはルーラで行きたいと思いますが、今日は新しい武器に慣れるためにも戦闘をこなしながら南の洞窟を目指しましょう。
目的地の洞窟までは約2時間ほどの道程です。」
レイシアがそのように言った。
そしてパパス王が
「行くぞ!」
と号令を飛ばし一行もそれに続いた。
この世界は町以外に安全な場所はないそのため一行は周りに気を配りながら歩く。
普段であれば死角が多い森を歩くことをパパスは嫌いきちんと避けて歩くのだが今日は信頼できる仲間もいる上なるべく早く目的地に着きたいために森を突っ切っている。
黙々とあるいていると一番先頭を歩いているパパスが急に足を止め、
「来るぞ」
と皆に呼び掛ける。
皆が戦闘体制に入ると同時に目前の木々が吹き飛んでいった。
舞い上がる埃がおさまると皆の前には見上げるほどの全長4、5メートルもあるだろう巨大な石像、ストーンマンが立っていた。
それを見たパピンは
「ストーンマンはもう少し北の地方にいるはずなのだが。
まあいい。
パパス王、私一人でやらせてください。
王の手を煩わせるまでもありません。」
と言うと、パパスは
「任せた。」
にやりと笑みを浮かべ一言だけ呟くように言った。
パピンはグランバニア1の戦士であり、パパスもその実力をかっているのでその一言だけであった。
パピンはパパスの許しを得て喜び勇んでストーンマンに突っ込んでいく。
ストーンマンは大きく振りかぶり右腕を降り下ろした。
降り下ろされたストーンマンの右拳は深々と地面に突き刺さっている。
しかしそこにパピンはいない。
ストーンマンが見失ったパピンを見つけた時にはストーンマンは真上から幹竹割りになっていた。
「見事。」
「やりますな。」
「凄いです。」
パパス、サンチョ、レイシアはそれぞれ感想を述べた。
ただパピンはメタルキングの剣をみて呆然としていた。
「まさか、これほどとは」
パピンは呟く。
パピンはメタルキングの剣が名剣であるのはわかっていた。
しかしあの石でできたストーンマンを豆腐を切るかのように両断できるとまでは全く思っていなかったためにその感触に驚き呆然としていたのだ。
ふと我に返りパパスに礼をいい、レイシアに
「凄まじい剣をありがとうございます。」
というとレイシアはフフと笑って頷いた。その後何度が魔物に遭遇したがサンチョがウォーハンマーで倒したり、前衛ではないが少し試すためにとレイシアもグリンガムの鞭を振るい魔物を討伐した。
そして予想通り2時間ほどで目的地にたどり着いた。
「さあここが目的地の修行場になります。
まずはぐれメタルを探すことになるのですが、はぐれメタルは隠れるのが上手く、速さが早いのでなかなか見つかりません。
そのためにサンチョさんに洞窟内でおもいっきり口笛を吹いてもらいます。
そこで驚いて出てきたところを皆さんに討伐していただきます。
パーティーを組んだメンバーの誰かがはぐれメタルを仕留めれば皆さん平等にレベルをあげることができます。」
レイシアがそのように言うと少し戸惑いながらサンチョが
「わたくしめの口笛は他の魔物も呼び寄せてしまうのですがそれでも宜しいでしょうか?」
と発言する。
レイシアは笑いながら
「集まってしまった魔物は私が全て引き受けますので、おもいっきりお願いします。」
とサンチョにいった。
ただパパスとパピンはレイシア一人に任せていいのだろうか?
確かにこの洞窟の魔物はさほど強くないといえ大挙して押し寄せたらパパスやパピンでも少し手間取るであろうからだ。
そのことを言おうとしたときに、空気を読まずサンチョはおもいっきり口笛を吹いた。
ピー、ピー、ピー、ピー、サンチョの吹いた口笛が洞窟内に反響する。
驚き飛び出たはぐれメタルと洞窟内から凄まじい数の魔物が飛び出してきた。
レイシアが
「今から私が魔物をいっそうしますので皆さんは一掃された後にはぐれメタルを倒してください。
というと呪文を詠唱し始め
「煉獄火炎」
と唱えた。
その瞬間レイシアの手からこの世のものではないのであろうと思われる荘厳で、神々しくもあるがどこか恐ろしげな蒼白い炎がとてつもない勢いで魔物を全て飲み込んでゆく、パパス、サンチョ、パピンはそのすさまじさに棒立ちになっていた。
炎がやんだ時にははぐれメタル以外の魔物は灰も残すこともなく消しとんでいた。
「今です。皆さん!」
レイシアの一声に茫然自失となっていたパパスたちは我に返りはぐれメタルに突っ込んでいく。
パピンがはぐれメタルに剣を降り下ろすと金属と金属がぶつかりあう音がして剣が弾かれる。
あの凄まじいまでの切れ味を誇るメタルキングの剣でも少しの傷をつけるまでしかできない。
続けてサンチョがウォーハンマーを降り下ろすがかすることもしない。
最後にパパスが袈裟懸けに剣を振るうが避けられる、そのままの流れではぐれメタルがパパスに覆い被さろうとする。
確かにどんな屈強な戦士であってもはぐれメタルに覆い被さられれば危機的状況に陥ってしまうがパパスは違った。
キラーマシンばりの二回攻撃、降り下ろしたままの状態である剣から逆袈裟切りを渾身の力を込めて行うとザシュッと凄まじい音がする。
見ると覆い被さろうと広がったはぐれメタルが真っ二つになっていた。
戦闘終了後、パパス、サンチョ、パピン、レイシアはみな体のそこから力沸き上がってくる感じに酔いしれた。
その余韻を十分に味わったあとパパス、パピン、サンチョはレイシアに視線を移しパパスが代表して
「あの煉獄火炎とはどのようなものなのだ?
今まで聞いたこともない魔法であるだけでなく、威力事態も従来のものとは桁違いであったのだが。」
と皆が思っているであろうことを聞いた。
レイシアは苦笑いしながら
「あれはこの世の炎ではありません。
この世のものがあの世に渡るときに穢れを帯びているとあの炎によって浄化されるという浄化の炎です。
あの炎によって倒された魔物は天に召されますが、殺生には代わりがないので少し気が引ける技ではあります。
ただメリットもありまして、一回あの魔法を使用するとそれ以降魔物が襲ってくることがめっきり減るということがあります。
あと魔法が効かない魔物には効果がないのですが、稀に炎を受けても残っている魔物がいます。
その魔物は邪気が全く感じられず仲間になりたそうに見上げてくることがあります。」
パパスは後半の話を聞いている時に頭の中ではマーサの姿が写し出されていた。
サンチョ、パピンはこのメンバーのなかではレイシアが一番強いのではと思い、レイシアだけは怒らせてはならないと心に誓っていた。
かなりオリジナルであり、ご都合的な解釈を織り混ぜてしまいすいません。Ⅴは魔物が仲間になるのが売りですが主人公が大人になってからということで、この話ではそこまでいくだろうか(パパスが主人公なのでリュカが大人になる前に終わる可能性もある)、それまで待つのは嫌だということでこのようにさせてもらいました。