「長い梯子だったな」
前回グレイトドラゴンをパピンが倒したために目的地への障害が取り除かれた。
そしてそこに待ち受けていたのが今パパスが登りきり、皆がちょうど登っているそれは長い、長い梯子であった。
「ジャハンナにようこそ」
パパスが後から登ってくる仲間に手を貸していると、突然何者かに声を掛けられた。
その声は新しい町に着くと必ずと言っていいほど掛けられる我が町の名前はという宣言と同じであった。
パパスは驚きながらも迅速に振り返り、剣を抜く、当然である。
ここは魔界である。地上とは違い人間はまずいないと言っていい。それならばいるのは魔物である。フレンドリーに話しかけられた感じはしたが、魔物であったならば油断できないとパパスは剣を抜いたのだ。
「!!」
唖然とした、なぜならパパスの前に立っていたのは、人間の女性であったからだ。
どこからどうみても人間である。
「あなた方もマーサ様に人間にしてもらったのですか?」
「!?」
女性は剣を向けられたことに全くといって動揺もせず話しかけてきた。
しかしその話の内容には全くといっていいほど意味が分からないことと、聞き逃してはならない言葉があった。
どのように答えればよいか戸惑っていると後ろから最後に梯子を登りきったレイシアがパパスにかわり、その場を引き取った。
「あなたはマーサ様をご存知なのですか?」
レイシアが探り探り一番聞きたかったことを尋ねる。
「え、あなた達はマーサ様に人間にしてもらったのではないの?もしかして本当の人間?」
問いかけられた女性が驚きの声をあげる。
するとその声を聞きつけた他の村人も興味深そうに近づいてくる。
「ほうまさかまたもやこの魔界に人間が訪れるとはマーサ様以来だ。それにどうもマーサ様を知っているようじゃな」
集まってきた村人の中から人のよさそうな老人がまえに出る。
「驚かれましたかな、この魔界にこのような人間の集落があって」
「はい、かなり」
全く悪意が感じられない朗らかな笑顔で老人が話始めたのでレイシアも正直に頷く。
「私はこの村の村長をしておるものです、そして皆さんが疑問に思っていることにお答えすると、この町はマーサ様が作られたものですじゃ」
『!!!』
衝撃の事実に皆は驚きを隠せない。
皆が唖然としているので村長も少し間を置き、皆が落ち着いたのを見計らって続きを話す。
「この村の者は皆元々は魔物でした。しかし魔界に来られたマーサ様に出会い、その心にふれ改心し、皆が望んでマーサ様に人間にしてもらったのですじゃ」
「なんと、マーサにそのような力があったとは…!!」
「マーサ様恐るべし!」
「僕も人間にしてもらえるかな?」
村長の話を聞きパパス、パピン、プオーンがそれぞれ感想をもらす。
「あ、ちなみに私は元はヘルバトラーですじゃ」
イタズラな笑みを浮かべ村長はつけたす。
「さすがですマーサ様!魔物の四天王まで改心させてしまうとは…!!」
皆が村長が言っていることに疑問符を浮かべているなか、レイシアだけが驚きマーサをさらに誇りに思うようになっていた。
「ところで、なぜ人間のあなた方がこの魔界に来られたのかを聞いてよいですかな?」
再び村長は真面目な顔になるとパパス達に問い掛ける。
パパス達もすでにその話ぶり、口調、眼差しなどから信用に値すると確信したことにより正直に魔界に至るまでの経緯を村長に説明した。
――――
「そのようなことが…。分かりました、私達もマーサ様には大変な恩があります。なのであなた方に協力したいと思いますじゃ、魔界ではゆっくり休める所もないと思いますが、ここでは安心してお休みください。あと町の中には武器屋や防具屋があり、こちらに関しては人間界より品揃えは優れておると自信をもっております。まあ武器、防具に関してはお金を頂きますが、そこで装備を整えていかれるとよいと思われます。ではごゆるりと」
村長は終始笑顔で話すと満足そうに去っていった。
その後パパス達はジャハンナの村人に囲まれて、質問攻めにあい、宿にはいったのは相当後のことになった。
次の日、パパス達は村長が話ていた武器屋に足を運んでいた。
「なんとため息が出るほどの一品ばかりではないか。メタルキングの剣がなければこの《吹雪の剣》など値段を気にせず買ってしまうほどの一品だ」
とパパスが目を見開いて言えば、
「………」
パピンはパパスとは対照的に黙って武器を手に取ったり、眺め回したりしている。
「ほんとだな、なかなかいい品揃えしてやがるぜ。まあ俺の愛剣の《地獄のサーベル》には及ばねえがな」
とバルバルーも関心はしている。
「パパス様よろしいですか」
パパスのもとにサンチョが何か遠慮がちに話しかけてきた。
「どうしたんだ?」
いつもと違う雰囲気のサンチョにパパスは尋ねると、
「申し訳ないのですが、この武器を購入して欲しいのですが…かなりお高くて…」
サンチョが取り出したのは巨大なボーガン、その名も安直な《ビッグボーガン》であった。
パパスも合点がいった。
サンチョは魔界に来てからはリュカの為に後方に控えており、引け目に感じていた。しかしこのボーガンならば後方からも戦闘に参加出来るために欲しいといったのだなと。
「よし買おう。でいくらなのだ?」
「31000ゴールドです…」
サンチョが答えにくそうに答える。
「なかなかの出費ではあるが、サンチョの為だいたくはない、店主よこれをくれ」
「あいよ31000ゴールド丁度頂やした大事に使ってやってくださいね。それはあっしの仲間が命懸けでキラーマシンからぶんどったものですから」
「……ああ、はい」
サンチョは苦笑いしながら店主からビッグボーガンを受けとると装備した。
「ありがとうございますパパス様」
嬉しそうに感謝を述べるサンチョを見て、これほど喜んでもらえるなら買って良かったと思うパパスであった。
今回は武器屋までです。
防具屋では少し描きたいことがあるので。
ジャハンナの防具屋には性能は抜群でも一風変わったものが。