グランバニア二階の会議室。
なんどもこれからのことを協議した場所で今回はカカロンの力を試す方法を考えている。
「試練の洞窟とかが丁度いいと思うのだが、あの洞窟は王家の者しか入ることは許されない。
どのように試すのがいいのか。」
とパパスが呟きフッとため息をついた。
カカロンの力をみるにもよい策が浮かばない。
グランバニアの兵士と模擬戦をしたらどうかという提案もあったが女性とはいえ幻魔であることから誰もがしり込みをしその案は立ち消えになった。
裏ではパピンが戦ったらどうかという意見もあったが、パピンが女性には手を出せない(チェスなら誰とでも本気で戦いますとも言っていたが普通にスルーされた)。
というフェミニストぶりを見せたことと、パピン兵士長が見た目女性に負ける姿を国民に見せるわけにはいかないという理由があった。
(レイシアがいうにはパピンよりカカロンは圧倒的に強いというのでパパスも配慮した。)
会議室がため息に包まれている中、当の女性幻魔はグランバニアの食堂で舌鼓を打っていた。
「この料理を作ったのはあなたかしら。
私を満足させるとはやるじゃない。
人間にしておくにはもったいないわ。
ああそうだ、あなた私の専属のコックになりなさい。」
「いえ、あっしはグランバニアの料理人であり。
パパス王に惚れてここで働いているんで。
料理を誉めてもらったのは光栄だが。
それはお断りしますわ。」
「そう残念ね。」
と会議室の雰囲気とはかけ離れた穏やかな話が交わされていた。
もとに戻って会議室。
「「「「う~ん」」」」
と声が聞こえてくるなか、兵士が息をからしながら会議室に入ってきた。
会議中だぞとパピンはしかろうと思ったが、兵士の慌てぶりに報告を聞くことにした。
兵士が話すにはグランバニアの北西にある禍々しいデモンズタワーという建物に魔王の配下の魔物が派遣されたという。
今はまだ魔物の数は多くないが時間がたつほどに増えてくるのではないかという報告であった。
オジロン、パピン、サンチョはその報告を聞いてまずいなと顔をしかめたが、パパスはにやりと笑った。
「皆のもの決まったぞ。
カカロンにはデモンズタワーの魔物を討伐してもらう。
またその見届け人としてオジロンお前がついていけ。」
パパスが裁断を果たすとみるみるうちにオジロンの顔が青くなっていく。
「あ、兄上。
ぼ、僕では無理です。
力もないし。
行ったら簡単に殺されてしまいます。」
オジロンはそう反論するがパパスは
「お前はこれから私が旅立ったあとこの国をまとめなくてはならない。
そんな弱気でどうする。
これを契機に強い男になるんだ!」
と強い口調でオジロンを諭しもう決まったことだと会議室を出ていってしまった。
サンチョ、パピンは気の毒そうにオジロンを見、とても声を掛けられる雰囲気ではなかった。
レイシアもサンチョ達と同様に不憫に感じたので
「オジロン様お気をたしかに。
私がカカロン姉さんにしっかり守るように頼んでおきますので安心してください。
お姉さまは本当に強いですから。」
と声をかけるがオジロンの耳には全く届いていない。
レイシアはもう一声掛けようとしたが、パピンに
「そっとしといてあげよう。」
と制された。
サンチョ、パピン、レイシアはそっと会議室を出ていった。
ただ一人のこされたオジロンはメダパニをくらったかのように混乱していた。
まあしょうがないことである。
小さい頃から偉大な兄パパスと比べられできる兄、できない弟と周りも陰口を叩くような状態であった。
そのためオジロンは自分でも自分はだめだと思っていた。
それをパパスもしっていた。
それにパパスはオジロンはやればできると思っていたのでここで壁を乗り越えるようにオジロンを突き放したのだが、オジロンは全くといっていいほど気づいていなかった。
デモンズタワーの一件は猶予がないということで翌日攻め込むことになった。
パパス王の部屋パパスはオジロンをあのように突き放したのだがあれでよかったのかと悩んでいた。
オジロンは自分にとってたった一人の可愛い弟であった。
だからこそ周りを見返しと自信をもってもらいたいと思っての処置だった。しかし冷静に考えてみると全く剣術ができないオジロンがカカロンに守ってもらえれといっても大丈夫であろうかと今になって悩んでいた。
コンコンとドアがノックされレイシアが入ってきた。
「王がいまになって悩んでいると思い参りましたが、やはり悩んでおいでになりましたね。」
レイシアはオジロンが悩んでいるのは当然としてパパスも同様に悩んでいるのではとやってきたのである。
「今になって冷静に考えるとオジロンには過酷過ぎるのではと思ってな。」
パパスは心境を吐露する。
「オジロン様はああ見えてもやるときはやると思ます。
なんといってもパパス王の弟さんなんですから。
それにカカロン姉さんがついていますから大丈夫ですよ。
心配でしたらパパス王もそっとついていかれたらどうですか?」
レイシアの提案にパパスは少し思案したがオジロンのことが心配だったのでその提案にのることにした。
やっと正気に戻ったオジロンはいつまでも悩んでいても仕方がないと、見届ける相手であるカカロンに挨拶しに行くことにした。
オジロンがカカロンを探しているとすぐに見つけることができた。
オジロンのカカロンへの最初の印象はやはり人間とは違うなというものであった。
青い髪と肌、背中には羽がはえている。
ただ顔や体はほとんど人間とは変わらなかった(かなりの巨乳であることは別件である)
いや顔はかなり美人というか可愛らしいものであった。
少し見とれているとカカロンもオジロンに気付き声を掛けてきた。
「貴方が私の見届け人なのね。
明日は宜しくね。」
かなり打ち解けた感じなのでオジロンは安心して
「こちらこそ、よりょしくお願いします。」
緊張して噛んでしまい赤くなっていた。
カカロンのオジロンへの印象はただの気が弱い人間であった。
この出会いがこの後のグランバニア王家に大きな影響を与えるなどとは誰もが想像できるもではなかった。
次回カカロンとオジロンがデモンズタワーに突っ込みます。またもやパパス、レイシアの活躍出番はないと思います。