パパスは驚きを隠せなかった。
レイシアにカカロンは強いと言われていたがここまでとは。
魔方陣でいく先いく先で魔物がまち構えていたがほとんどグリンガムの鞭の一振りで肉片になっていた。
つくづくグランバニアの兵士と模擬戦をやらせなくてよかったと心底思っている。
そのパパスであるがこのように尾行が上手くいっているのには理由があった。
今朝パパスが支度をしていたとき
「レイシアです。今お時間よろしいでしょうか?」
「大丈夫だ。」
とレイシアの問いかけにパパスが答えると
「失礼します」
とレイシアが部屋に入ってきた。
「今日王はオジロン様を影ながら見守ることになるのですが、塔の中では近すぎては見つかってしまい、遠すぎては見失ってしまいます。
なのでこれをお使いください。」
レイシアはなにかが入った袋をパパスに渡した。
「これは消えさり草といって一時的に姿を消すことができるというものです。
これを使用し、気配を消せばめったなことでは見つからなくなります。」
「なんとそのようなものがあるとは!ありがたく使わせてもらうぞ。」
というやり取りがあり、その消えさり草を使ったためここまでうまく尾行ができているのである。
だがその尾行も後に断念せざるを得なくなる。
カカロンとオジロンは順調にデモンズタワーを攻略していった。
途中ヤリが飛び出てくる場もあったが、オジロンをカカロンが抱えて空を飛びクリア。敵は依然としてカカロンのグリンガムの鞭の一振りで肉片と化していく。
順調に進んでいたがこの塔は終わりが見えない。
かなり高い塔だというのはぱっとみわかっていたが実際に登るとなるとここまで大変とは想像してなかった。
まあオジロンはあれだけの重装備をしているのでしょうがないといえばしょうがないのだが。
ふと見て見ると外に通じている扉があった。
あとどれくらいあるのか知っておきたくなったオジロンは
「少し外に出てあとどれくらい登ることになるか見ておきませんか。」
とカカロンを誘い、カカロンも
「ええ、そうしてみましょう。」
と応じてくれたので外に出て見てみることになった。
キィと鉄の扉を開け、外に出てみる。久しぶりにオジロンは綺麗な空気を吸うことができ満足していた。
先程まではタワーのなかの埃くさい部屋だったり、飛び散った血液の臭いなどで酷いものだった。
そのため今外に出てつくづくよかったと感じていた。タワーを見上げるまでは…。
そして本題。
オジロンとカカロンは頂上はどうだろうと見上げて見る。
「……」
「なかなか高いわね」
二人の想像以上だった。
これを塔のなかで戦闘をこなしつつ、あっちいったりこっちいったりしながら登ることを考えると、いや考えることすら苦痛であった。
呆然とするオジロンのよこで
「しょうがないわね。
オジロンちゃんわたしにしっかり捕まりなさい。」
とイタズラな笑みを浮かべてカカロンはいう。
なんだか分からないが言われた通りにすると、女性特有の柔らかさといい匂いがする。
そのため少しオジロンが夢心地になっていたが、数秒後恐怖に身を震わせることになる。
「しっかりつかまっているのよ。」
とカカロンがいうと同時にカカロンの背中の羽が羽ばたきを始める。
「いくわよ~」
と言った瞬間凄まじいスピードでカカロンは頂上を目指して飛び上がっていた。
グングンと高くなる高度オジロンは気が気でなくなっていた。
その恐怖の飛行体験はなんとか頂上の一階したの踊り場に到着することで終わりを迎えた。
パパスはその飛行ショーをみているしかなかった。
「もうこれではさすがに尾行は無理だ。オジロンのことはカカロンに任せるしかない。」
と祈ることしかできなくなっていた。
オジロンは恐怖から立ち直り息を整えていた。
すると上の階、つまり頂上から世にも恐ろしい雄叫びが聞こえた。
オジロンが竦み上がっていると
「大丈夫、あなたはわたしが守るから」
と優しい声でカカロンがオジロンにそう宣言した。
ある意味ホッとしたオジロンであるが急に情けなく感じてきた。
「大丈夫です。自分の身は自分で守ります。
あとすいません。
本当はこういう時は男である僕が女性である貴女を守ると言わなくてはならないのですが。」
と申し訳なさそうにいう。
カカロンはオジロンにそのように言われ少しあっけにとられていた。
自分は幻魔であり女性と見られたことなどなかった。
今までもレイシアに召喚される前までに召喚された時にはいつもある意味殺戮マシーンとして使われたり、召喚主の盾にされたりするなどで気遣われたことはなかった。
そう今の召喚主のレイシアに会うまでは。
そのためあっけにとられたのだった。
そして我に返ると顔が真っ赤になっているのに我ながら気付き。
「人間風情が何を偉そうに…。」
といいオジロンに見えないように顔を背けた。
「もういい!いくわよ。」
そのように続けカカロンはさっさと頂上への階段を登っていった。
頂上には考えられないほど大きく腕が四本足も4本あるライオンのような魔物そうキングレオがまち構えていた。