うん。文字数が増えてきました。
あ、もうすぐ第1章が終わります。
いつも通りに小学校の授業が終わり帰宅するとカイトは首から下げている鍵で家のドアを開けた。
「ただいまっと…」
父ソウジの死後、母エレナは事務のパートに出る様になり先に帰ってくるカイトは家の鍵を持って学校に行くのが当たり前になっていた。
鍵は三日月型をした黄色の綺麗な石が付いた紐に結ばれており、カイトはそれを無くさない様にと首から下げて持ち歩いている。
綺麗な石ではあるが宝石では無くエレナがどこかで貰ってきた物らしい。
最近は学校が終わると一度家に戻り着替えてから高町家に稽古に行ったり、入院しているはやてのお見舞いに行ったりしているが、毎日エレナが帰る前には必ず家に帰り夕食を作るのが日課になっている。
今日は高町家に稽古に行く日なので着替えてタオルや剣術指南書等が入ったバッグと木刀の入ったケースを持ち家を出て鍵を閉める。
高町家に着き呼び鈴を鳴らすと恭也のもう一人の妹でなのはの姉である眼鏡を掛けて黒髪を三つ編みにした『高町
「美由希さんこんにちは。」
「カイト君いらっしゃい。今日は私も恭ちゃんも都合悪いんだけど、お父さんが稽古付けてくれるって」
「え!本当ですか!?」
「うん本当。お父さんと稽古するの初めてだっけ?お父さん恭ちゃんより強いから頑張ってね〜」
美由希の話に少し緊張しながらいつも通りの道で道場に向かう。
まだ誰もいない道場に入るとストレッチをして体をほぐし剣術指南書を見ながら基礎練習を始める。
「やぁカイト君。もう始めてるのか」
「士郎さん!こんにちは。お邪魔してます。今日はよろしくお願いします!」
なのはの父高町
「それが剣術指南書かい?ちょっと見ていいかい?」
「もちろんです!どうぞ!」
士郎はノートを手に取りページを捲りながら時折感心した様な声を上げる。
「恭也が言ってた通りだね。これはとても良く出来ている。あぁ邪魔しちゃったね。基礎練習続けてくれていいよ。」
「後からでも出来るんで大丈夫ですよ。稽古付けてください。」
「いや、僕が見たいんだ。恭也達から聞いて興味があったんだ。お願いできないかな?」
「は、はい、分かりました。」
誰かに見られながら基礎練習をするというのは初めてだが、別に見られて困る物でもないので基礎練習を続けた。
士郎はその様子を目をそらすこと無くしっかり見つめていた。
基礎練習が終わり少し打ち合った後、士郎が少し話そうと言うので、今は正座して二人は向き合っている。
「カイト君。恭也からも聞かれたと思うが、何故強くなりたいんだい?」
「強くなってみんなを守りたいからです。父さんともそう約束しました。」
カイトは最初よく聞かれるな、と思いながらも士郎の真剣な表情を見て気を引き締めハッキリと答えた。
「そうか…だが誰かを守るというのはそんなに簡単な事じゃないのは分かっているかい?」
「もちろんです。だからその為に力が必要なんです。」
士郎はカイトの言葉に若干眉をひそめた。カイトの表情は真剣そのものだ。
「確かに守る為には力が必要だ。しかし、その力を使うには別の強さが必要なんだ。それが何だか分かるかい?」
「別の強さですか…?うーん…」
カイトはしばらく考えてみたが何も思い付かず分からないと答えた。
「それは心の強さだよ。」
「心の…強さ?」
「そうだ。守る為に戦う。戦う為には力が必要だ。そして、その力を正しく使うには心の強さが必要なんだ。いいかい?力という物は良い事にも悪い事にも使える。その力を使うのは君自身だ。だから、君の心の強さが必要なんだ。」
「大丈夫です!悪い事には使わないって決めています!それに…もし悪い事をしている人がいたら注意するっていう約束もしています。」
カイトの揺るぎない決意を聞いた士郎は満足した表情で頷き、その表情を見たカイトはホッと胸を撫で下ろした。
「じゃあ、少し本気で打ち合おうか?君は今まで僕や恭也と美由希、そして君のお父さんとしか戦った事が無いだろう?…本当の実戦というのはまだ経験した事が無いはずだ。」
「そうですけど…実戦なんて…そんな状況になった時でもいいんじゃないですか?」
「いや、慣れてないと意外に動けないものだよ?一歩踏み出す勇気も心の強さの一つさ。これは実際に経験しておいた方がいい」
士郎は立ち上がり小太刀を構える。カイトもそれを見て立ち上がり木刀を構えた後に気付く。
(え?う、動けない…)
士郎から発せられる殺気に完全に飲まれ、体が緊張し金縛りにあった様に動けない。口も動かないので喋る事も出来ない。
(何だこれ…怖い…)
「どうした?この程度の殺気で動けない様なら誰も守れないぞ?」
今までの士郎からは考えられないくらいの低い声を聞き、カイトはさらに緊張が増し動けなくなった。
守れない?このままじゃ守れない?
そんなの嫌だ!僕は母さんを、はやてを、みんなを守るんだ!
嫌だ!守れないなんて嫌だ!
ドクンッ
あれ?熱い…体が熱い?
いや、胸の辺りが熱い…
なんだろう?何かが体の中を流れる様な感じがする…
《魔力を感知しました。これより強制的に起動を開始します。》
(え?だ、誰?ってか魔力?)
《現在の状況を確認。極度の緊張状態と断定。危険な状態の為、強制的に術式を起動します》
(え?何?術式って何の話?)
頭の中に響く様に聞こえる女性の声からは理解出来ない単語ばかりで、聞き返しても答えてくれなかった。
(何か…前にもこんな事あったな…)
一方的に話が進んで行く状況に恭也とのやり取りを思い出していると、いつの間にかカイトの緊張は解けていた。
《…緊張状態の解除を確認。現在の最優先事項を推察…身体強化魔法の術式を起動しました。》
(え?身体強化?ん?何だか体が軽く感じる…これなら!)
「士郎さん…行きます!」
「ほう。もう動ける様になったか…意外と早かったね。」
カイトは一歩踏み出す。踏み出すと同時に自分の体じゃない様な感覚を覚えるが、一切無視して無心で走り出す。
一瞬で距離を詰めたカイトは士郎目掛けて横薙ぎの一閃を繰り出した。
「月代流剣術
士郎は自身が予想していた以上のスピードの斬撃に驚愕し反応が遅れた。
防御しようとするが間に合わないと判断し体を捻り回避を選択するも虚を突かれた分カイトの方が速く、綺麗な半円を描いた斬撃が士郎の左腕を掠めた。
「見事な一撃だったよ。」
「やった…やったー!僕、士郎さんに…一撃入…れた…ん……」
「ッ!カイト君っ!」
現状高町家で一番強い士郎に一撃入れれた事に喜びを爆発させたカイトだったが次の瞬間一気に体の力が抜けカイトは意識を失った。
やっと魔法が出ましたね。
さぁ、魔力が覚醒したカイト君はこれから一体どうなってしまうのか!と大した事無いのに無駄に引っ張ってみる。