魔法少女リリカルなのは〜夜天に浮かぶ月〜   作:すこすこノ助

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今までと違って魔法が全面に出てきます。



第11話 決断

カイトは学校が終わるとすぐに帰る。

 

学校の友人達は父が亡くなり色々大変なんだろうと気を使って遊びに誘わなくなっていた。

今日は高町家に行く日でもなく、はやてと一緒に過ごす日でもないので、スーパーで買い出しして帰宅した後は、自宅の庭で剣術の基礎練習と魔法の訓練をする予定だ。

 

「じゃあ、結界の展開お願い。」

《了解しました。結界を展開します》

 

剣術の基礎練習が終わり庭全体に結界を張る。

魔法は見られると色々困るので訓練をする為には結界を張らなければならない。

 

「まずは魔力運用トレーニングからだね。メニュー出して」

《了解しました》

 

魔力運用は魔導師にとって基礎中の基礎で魔力運用に失敗すると自ら身を滅ぼしてしまう。

先日カイトが魔法を初めて使った時に気を失ったのは、いきなりだった事もあり魔力運用に失敗したのが原因だった。

そんな経験をしているからか、カイトは魔力運用トレーニングは特に時間を割いている。

 

「うん、結構上手くなってると思うんだけど…どう思う?」

《そうですね。トレーニングの効果はしっかりと出ていると思います》

「よーし!じゃあ、次は魔力弾の特訓だ!」

 

魔力運用トレーニングは毎日欠かさず行っているのでカイトの魔力運用は自身の才能もあり結構なレベルに達している。

魔力運用トレーニングを終え射撃魔法の訓練に移る。

 

深呼吸を一つしてカイトは母に習った通りに魔力弾を生成する。

手の平に魔力弾を浮かべ意識を集中し魔力を送り込むと魔力弾はドンドン小さくなり炸裂した。

 

「うわっと!まただ…何でだろう?魔力を込めても大きくならないし安定しない…何でだと思う?」

《分かりません。厳密に言うと私はあなたのデバイスではありませんので》

 

カイトの首にかけてある三日月型の石状のデバイスは元々エレナの物であり、エレナが地球に住む事になった時にデータを初期化していた為に簡単な魔法の補助は出来るが中身はほぼ新品同様の状態なのだ。

その為、カイトの魔力適正など分からないので補助のしようがない。

 

《一度正式な適正検査を受けるべきです。どんな適正があるか分かればトレーニング方法も見直せます》

「ミッドチルダに行かないと検査できないんでしょ?とりあえず僕に射撃魔法は向いてないってのは分かるよ…」

 

魔法の訓練を切り上げ結界を解き夕食の準備に取り掛かる。

夕食の準備を粗方終わらせた頃にはエレナも仕事から帰宅しているので一緒に夕食を取りながら、エレナに魔法の事を聞いたり今日の魔法の訓練の事を話していた。

 

「カイト?ちょっとお話があるんだけど聞いてくれる?」

「何?母さんどうしたの?」

 

夕食を食べ終え片付けも済んで少しゆっくりしていると、突然エレナが話を切り出した。

その表情は真剣でありカイトは不思議に思ったが姿勢を正して向かい合う。

 

「あのね?母さんね。ミッドチルダに引っ越そうかと思ってるんだけど…」

「えぇっ!いきなりどうしたの?」

 

カイトは思いもよらなかった提案に驚愕した。

エレナによると今の収入じゃ将来的にキツくなるし、会社に就職しようにもエレナは地球出身じゃないので色々難しいと考え、故郷のミッドチルダなら身元も確認できるし管理局に知り合いもいるからもう一度勤める事が出来るという事らしい。

 

「もちろんカイトの生活が最優先よ?高町さんとの稽古もあるし、はやてちゃんの事もあるわ。」

「うーん…」

「ミッドにも探せば模擬戦の相手は見つかるわ。それにミッドに行けば魔法の事もちゃん学べるわよ?」

「うーん、今すぐには決められないなぁ…あっ!そうだ!はやてに相談してくる!」

 

カイトにとってミッドへの引っ越しは魅力的な提案だった。

ミッドに行けば今一番知りたい魔法の事を思う存分学べる。

剣術だってミッドにも強い人は多分たくさんいるだろう。

しかし、カイトにとって一番大切な事は、はやてを守るという事だ。

ミッドに行けば簡単には帰って来れない。

 

ただそれだけが気がかりだった。

 

「はやてー入るよー?」

「え?カイ君?な、なんや?こんな時間に!どないしたんや?」

「…ちょっと、はやてに相談があるんだ…」

 

いつも通り合鍵で家に入り、入るや否や先程のエレナの提案を相談した。

もちろん、魔法の事は伏せているのでミッドチルダではなくエレナの故郷という設定のイタリアに引っ越すと話を変えて相談した。

 

「あんなぁ…それは私がどうこう言える話ちゃうやろ…」

「え?僕がイタリアに行ったら、はやてを守れないんだよ?」

「私は大丈夫や!カイ君は気にしすぎや!この事はカイ君が自分で決めなあかんよ?」

「う、うん…」

 

はやては全く気にする素振りもなくカイトの相談を突っぱねた。

本人に大丈夫と言われカイトは自宅へ歩きながら考える。

 

考えるというより一番気がかりだったものが杞憂に終わった事で、すでに答えは出ている様なものだった。

 

「よし!決ーめた!」

 

カイトはあっさり決断を下した。

その表情は自らの知的好奇心を抑え切れない時に見せる満面の笑みだった。

 




正式なマスター登録をしていないので詳しい魔力適正は分からないとかは自己解釈です。
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