魔法少女リリカルなのは〜夜天に浮かぶ月〜   作:すこすこノ助

18 / 40

過去話です。
時系列的には第1章の11話と12話の間です。



挿話 提督の思惑

カイトがミッドチルダへの引っ越しを決断した翌日、エレナは一人ミッドチルダに来ていた。

時空管理局の本局の廊下を歩きながら、変わってないわねと独りごちる。

 

目的の人物がいる部屋の扉をノックし相手方の了承を得て中に入る。

 

「お久しぶりです。グレアム提督。」

「あぁ久しぶりだね。エレナ君。」

 

ギル・グレアム提督

時空管理局顧問官を務める局の重鎮。

リンディ・ハラオウンと亡き夫クライド・ハラオウンの直属の上司だった。

 

エレナとは管理局員だった時に直属の上司であるリンディの紹介で知り合ったが、いち管理局員だったエレナにとって雲の上の存在だった為あまり接点は無かった。

本当にお世話になったのは地球に行ってからだ。

 

「いきなり連絡があったから驚いたよ。で、今日はどうしたんだね?」

「急に押しかけて申し訳ありません。実は先日夫が亡くなりまして…」

 

エレナは夫が事故死して現在は息子と二人で暮している事等を説明した。

 

「それはお気の毒だったね。しかし、それだけでわざわざミッドまで私を訪ねる必要はないはずだ。」

「えぇ、そこで私はミッドチルダへ移住する事を考えています。」

「何?しかし君の息子さんはミッドの事や魔法の事は知らないはずだが?」

 

エレナは息子のリンカーコアが覚醒した事をきっかけに魔法の事を話し、その上で将来的にもミッドに移住した方が息子の為になると思った事を説明した。

 

「そうか。君の息子だから魔力を持ってても不思議ではないな。息子さんには移住の件は話したのか?」

「はい。昨日話しました。まずは息子の生活が最優先でしたので…」

「まぁ、学校や友人の事もあるからね。それで?息子さんは何と?」

「少し考えてましたが私と一緒にミッドに行く事を決断してくれました。」

 

しかし、グレアム提督はどうしても腑に落ちない。

正直、わざわざ面会を希望してまでする話では無いと思考していたが、ある事を思い出し口を開く。

 

「そうか…君がわざわざ私を訪ねたのはあの子の事か…」

「はい。任務を途中で投げ出す形になってしまい申し訳ありません。」

「ハッハッハ!任務なんて大袈裟な。私はそんなつもりでお願いした訳じゃないんだが?」

「し、しかし!家の頭金と称してですが報酬も頂いていますし…」

 

亡き夫が住んでいたアパートに転がり込む形で新婚生活をスタートしたが、カイトが産まれ三人で広い所に引っ越そうかと考えていた矢先にグレアム提督から今の家を紹介された。

しかもある条件を飲めば頭金も用意するという物だった。

 

ある条件というのは隣に住む子供の面倒を見るだけという破格の条件にエレナはすぐに飛び付いた。

ソウジはあまりにも破格の条件の為に疑っていたがグレアム提督が管理局の高官である事、そしてその子供が地球出身であるグレアム提督の親友の娘だという理由を聞いて条件を飲む事にした。

 

「確かに私はあの子の世話をしてくれと頼んだが監視してくれとは言っていない。君は監視のつもりで接していたのかね?」

「いえいえ!そんなつもりでは!私はあの子を本当の娘の様に思っています。」

「ハッハッハ!知っているよ。あの子の手紙にも君達の事が書いてあるからね。」

「私達の事を…ですか?」

「あぁ主にカイト君の事だけどね。」

 

何となく手紙の内容が理解出来たエレナは苦笑しグレアム提督も優しい笑顔を見せていた。

 

「だから私は感謝しているんだ。あの子に優しく接してくれた事をね。本当にありがとう。」

「ちょっ!て、提督!?頭を上げてください!」

 

頭を下げ感謝を述べる提督にエレナは恐縮し頭を上げる様に催促する。

しかし、こんなにもあの子の事を想う気持ちを裏切る気がしてエレナは胸が締め付けられる思いだった。

 

「本当に申し訳ありません…」

「いや、いいんだ。君達は十分役目を果たしてくれた。だから気にしないでくれたまえ。」

「ありがとうございます。それでは失礼します。」

 

話を終え退出するエレナを見送った後、一息ついていると一匹の猫が部屋に帰ってきた。

 

「本当に良かったのですか?父様。」

「アリアか…まぁ家族の問題に首を突っ込む訳にはいかないからね。」

 

一匹の猫は光に包まれると成人女性の姿に変化する。

グレアム提督の使い魔であるリーゼ姉妹の姉リーゼアリアは複雑な表情を浮かべている。

 

「アリアそんな顔をするな。私はね…少し安心しているんだ…」

「安心…ですか?」

「あぁ、彼女達をこちらの勝手な都合に付き合わせずに済んだ。犠牲は少ない方がいいからね…犠牲になるのは…あの子だけでいい…」

「父様…」

 

 

当初の思惑通りには進まなかった。

 

だがこの計画は必ずやり遂げる

 

前回の様な悲劇をまた繰り返す訳にはいかない

 

この手で全て終わらせる

 

それが残された者たちへの救いとなる事を信じて

 




という訳で家が隣同士で幼馴染だったのは偶然ではありませんでした。
そしてグレアム提督はエレナに闇の書の事は伝えていません。
闇の書の事を伝えてしまうと本当に監視になってしまいますからね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。