魔法少女リリカルなのは〜夜天に浮かぶ月〜   作:すこすこノ助

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前回のあらすじ!
違法研究所での任務終わりに懇意にしている部隊の隊長から正式に入局を持ちかけられたカイトはクロノに相談しようとコンタクトを取ったのだが…



第5話 思わぬ高評価

お世話になっている部隊の隊長から熱心に勧誘を受けているカイトはあれからずっと考えていた。

クロノに相談しようと本局に出向くも入れ違いで会えず連絡しようとしても任務中らしく全く連絡が取れなかった。

 

そんなやきもきした気持ちを払拭すべく模擬戦をしたり無限書庫で読書に耽ったり任務で大暴れしたりしている内に一カ月が過ぎていた。

 

《マスター。クロノ様より通信です》

「えっ!つつつ繋いで!」

 

自宅付近で日課である剣術の基礎練習と魔力運用トレーニングをしていた所に不意にクロノから通信が入り若干どもりながら通信を開く。

 

『やぁカイト。久しぶりだね。連絡くれてたのにすまなかった。』

「いや、こっちこそゴメン。任務中だったんでしょ?」

『あぁ、結構大きな事件だったんだ。それよりも何か用だったのか?模擬戦なら断るぞ…』

「実はちょっと相談があって…」

『相談?なら会って話そう。丁度、僕も君に頼みたい事があるんだ。とりあえずアースラまで来てくれ。』

 

次元航行艦アースラ

クロノの母リンディ・ハラオウンが艦長を務める次元管理局所属のL級次元航行艦の8番艦である。

 

カイトはすぐさま本局に向かいアースラの中に入った。

手続きは既にクロノが済ませておりカイトは名前を言うだけですんなり通れた。

とりあえずアースラのデッキに足を踏み入れるとアースラのクルー達は忙しそうにコンソールを操作しており、クロノが言っていた事件の事後処理に追われている様だった。

 

「えっと…あっリンディさん!お久しぶりです!」

「あら、カイト君久しぶりね。クロノから聞いてるわ。今呼ぶからちょっと待っててね。」

 

忙しく走り回るアースラクルーの中からやっとリンディの姿を見つけ声をかける。

リンディは挨拶をそこそこにすぐさまクロノを呼んでくれた。

 

「本当に忙しそうですね。何か手伝いましょうか?俺こう見えても結構事務作業得意なんですよ?」

「ふふふ、ありがとう。けど今回の事件は機密事項も多いから手伝える事はあまり無いかもしれないわ。」

「そうですか…こんなに忙しいって分かってたら差し入れでも持ってくれば良かったなぁ…」

 

事務作業が結構得意なカイトは手伝いを申し出るが却下された。

差し入れ云々と唸るカイトを見てリンディは目を細めていた。

 

「すまない。待たせた。」

「え?クロノ抜けていいの?」

 

何やら部下に指示した後、こちらにやって来たクロノにカイトはこんなに忙しいのに自分の為に時間を作ってくれるのかと困惑した表情を浮かべる。

 

「休憩みたいなものさ。まぁ半分は仕事だが…」

「俺に頼みって仕事関係?」

「とりあえず執務室に行こう。」

 

言われるがままアースラ所属の執務官であるクロノの執務室に到着し中に入り対面してソファに座る。

 

「それで相談というのは?」

「えっと、この前依頼されて協力した任務の時なんだけど…」

 

カイトはこの一カ月の間とその前の任務でブラウン隊長に正式に入局を勧められている事を話した。

 

「地上部隊のブラウン隊長か。本局でも有名なやり手の隊長だな。それで君はどうしたい?」

「ありがたい話だと思うんだけど…」

「聞き方を変えよう。熱心に勧誘されてどう思った?」

「え?うーん。正直、何で俺なんだろう?って思った。」

 

クロノは、こめかみに手を当てハァとため息をつく。

その様子を見たカイトは不思議そうな表情を浮かべている。

 

「君は自分の評価を改めるべきだ。」

「え?評価?」

「そうだ。君は君が思っている以上に優秀だ。」

「え?俺が優秀?」

 

自分が優秀と聞いて驚くカイトを見てクロノはまた一つため息をつく。

 

「これは僕の評価だが単一での殲滅能力に長けた戦闘力に高い洞察力…」

「え?え?」

「それにデバイスに組み込まれている高度な解析プログラムにも舌を巻いたな。」

 

カイトは思った以上の高評価に戸惑った。

両親以外にこんなに褒められたのは初めてだ。

 

「で、でも!模擬戦で負けっぱなしだよ?クロノにも勝った事無いし…」

「僕はともかく自分より遥かに強い相手と模擬戦してたら当然だ。それに前回の模擬戦は正直危なかった。」

「え?そうだっけ?」

 

前回のクロノとの模擬戦を振り返るが自分が優勢になっている所が見当たらない。

 

「僕はエクスキューションシフトを放った後勝利を確信していた。しかし君はアレを防ぎ切った…あの時、完全に僕は動きが止まっていて君の接近に反応出来ていなかった。」

「でもバインド…」

「あれは偶然だ。君が接近する時は一直線に来るから君との直線上にバインドを設置していたんだ。」

 

カイトは驚愕していた。

あの模擬戦は紙一重だったのだ。

 

「君の弱点は真っ直ぐ過ぎる所だ。っと話が逸れたな。とにかく僕ですらこれだけ評価しているんだ。そのブラウン隊長は僕以上に君を評価しているかもしれない。」

「そ、そうなのかな?」

「多分だがブラウン隊長は君が入局した瞬間に手を回して自分の部隊に招き入れるつもりだろうな。」

「えぇ!何で?」

 

ブラウン隊長が自分を入局させたいのは魔導師の数が慢性的に足りない管理局の為に勧誘しているとクロノの話を聞きながらカイトは考えていた。

しかし自分の考えと全く違う思惑にカイトは驚く。

 

「部隊で経験を積ませていずれは君を自分の副官にする魂胆だろう。」

「な、何でそんな事が分かるの?」

「いい機会だ。正直に言おう。僕も同じ考えだからだ。」

「はぁっ!?」

 

カイトの先程よりも驚愕し思わず大声出して驚いた。

それもそのはずクロノがカイトに対して高い評価をしている事も知らなかったのだから驚くのも無理はない。

 

「もう少し早く行動していればと今僕は後悔しているよ。ブラウン隊長か…誤算だったな…」

「あれ?なんだろう…よく分からなくなってきた…」

「分からないなら教えてやろう。今すぐに入局して希望を本局勤務にすればいい。」

「そしたら所属先アースラに決定じゃん…ちょっと考えさせて…」

「あぁ。僕かブラウン隊長のどっちの下で働きたいかよく考えてくれ。」

「あ、二択なんだ…」

 

何故か入局した瞬間にどちらの部隊に行くかが決定的になり逃げ場がない事を本能的に察してしまったカイトであった。

 




何気にリンディさん初登場ですね。
カイト君は何故正式に入局しないのか不思議に思った人もいるでしょう。
理由は単純に家族の時間を大切にしたいからです。
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