魔法少女リリカルなのは〜夜天に浮かぶ月〜   作:すこすこノ助

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2500文字ぴったり!



第12話 闇の書

クロノ達が面接の為、メンテナンスルームから出て行った後カイトは破損した二機が記録した映像の続きを眺めていた。

 

「うわ!ちょっとユーノ!これどうゆう状況?」

「僕も原理は分からないけど何らかの方法でなのはのリンカーコアを捕獲して魔力を奪ったんだ。」

 

カイトが見ていたのは、なのはの胸から腕が出てきてリンカーコアと思しき光を手の平に浮かべている所だった。

ユーノの説明を受けてカイトはたちまち顔が青ざめていく。

 

「魔力を…?奪われた?」

「うん。今なのはのリンカーコアは異常に収縮していて、しばらく魔法は使えないんだ…」

 

魔力を奪われた事を知らなかったカイトは夕方にブラウン隊長と話した事件と今回のなのは襲撃は同事件だという事を今更ながら理解した。

 

「でも、犯人の目的は?魔力を奪って何をするつもりだろう?」

「僕も詳しくは分からないけどロストロギアが絡んでいるらしいよ?」

 

ユーノからロストロギアと聞いてカイトは少し考え込む。

思考の海にダイブしてしまった姿を見て、この状態のカイトはしばらく戻ってこないと知っているユーノとアルフはメンテナンスルームを出ていった。

 

 

しばらく考えていると一つの仮説が浮かび顔を上げると、ユーノとアルフとエイミィの姿が目に入った。

いつの間に来たのだろうと若干疑問に思うも、一つの事に集中すると周りが見うなくなるカイトにとって日常茶飯事なので、気にせず会話に混ざる事にした。

 

「あの…エイミィさん。フェイトの面接をするグレアム提督って凄く偉い人なんですよね?」

 

ユーノにグレアム提督の事を聞かれたエイミィは、コンソールを操作しながらグレアム提督はクロノの指導官で一番出世した時で艦隊指揮官、その後は執務官長、そして現在は管理局顧問官だと説明するとアルフはとてつもない経歴にかなり驚いていた。

 

「でも、いい人だよー優しいし。」

「確かに想像出来ないくらい偉い人なのに優しくていい人だよね。」

「えっ?カイトってグレアム提督の事知ってるの?」

 

カイトは母親が管理局にいた時にお世話になっていたらしくミッドに来た時に紹介されたとユーノの質問に説明していると、作業を終えたエイミィの号令で全員メンテナンスルームを後にした。

 

カイトは友人達と離れ、これからどうするかと思案していた。

とりあえず時間も遅いので、一旦家に戻りたいのだが先程浮かんだ仮説をクロノに話して検証しない事には帰れないと思い歩いていると、幸いにも今からクロノのところに行くというフェイトとリンディ提督に落ち合う事ができたので一緒に付いて行く。

 

「クロノ。」

「艦長。フェイトも一緒か。」

「俺もいるよー」

「カイト…こっちから呼び出したとはいえもう遅い。君は早く帰るんだ。」

「うん。ありがとう。でも、この事件について聞きたい事があるんだ。」

 

クロノは家族の時間に水を差してまで呼び出した事を気にしていたが、カイトは先程の仮説を検証しようとクロノに質問を投げかけた。

 

「何だ?さっき全部説明しただろう?あれ以上は…」

『闇の書…』

『なっ!?』

 

あれ以上話す事は無いと言いかけたクロノにカイトは割って入るかの様な勢いで仮説として浮かび上がったロストロギアの名前を念話で伝えた。

 

推理自体は簡単だった。

ベルカの騎士が魔導師を襲撃して魔力を奪う事件が多発し更にロストロギアが絡むとなると思い当たる節は一つ「闇の書」だけだった。

 

その名前を聞きクロノは驚愕の声を挙げ、それを念話で聞いたカイトは仮説は立証された事を悟った。

 

『やっぱりか…何で黙ってたの?』

『…すまない。今回は場所が場所だし時間もかなり掛かりそうなんだ。』

 

クロノはカイトが家族との時間を一番大切にしている事を知っている。

なので、今回の様に地球から個人転送で行ける範囲に限定された遠くの世界での事件や長期に渡り自宅に戻れない様な事件には関わらせたく無かった。

 

『水臭いなぁ…闇の書が関わるなら話は別だよ?協力するから依頼出しておいて!』

『すまない。助かる。』

 

十一年前に起きた闇の書事件でリンディの夫でありクロノの父クライド・ハラオウン提督が亡くなった事をカイトはクロノから聞かされていたのでクロノが闇の書事件に関わった場合は必ず協力するとカイトは心に決めていたのだった。

 

『有り難いんだが…本当にいいのか?地球に行く事になるぞ?』

『…え?ちょっと待って!それは聞いてない!』

 

念話でクロノと話しながら並行してアースラが整備中で使えず長期航行できる艦が二カ月先まで空きがないという話は聞いていたが地球に行くなんて話は聞いていない。

 

アースラスタッフが集まる部屋で、スタッフに今回の事件の担当を割り振っていたリンディが最後に地球に拠点を置くと発表した。

その拠点はなのはの保護を兼ねて、なのはの家のすぐ近くだとリンディが言うと、なのはとフェイトはとても嬉しそうな表情を浮かべ、その表情を見たアースラスタッフ達は温かい眼差しで全員笑顔を浮かべていた。

 

「あの…リンディ提督?俺は地球に行かなくていいですよね?」

「戦力的に出来ればカイト君も来てほしいのだけど…」

「いやいやいや!ダメですよ!俺、三年前まで普通に海鳴で暮らしてたんですよ?イタリアに引っ越した事になってるのに、もし知り合いに見付かったらどうするんですか!?」

「そうよねぇ…数日なら誤魔化せるけど長期間滞在するのは無理があるかしら…」

 

カイトは三年前まで普通に海鳴市で暮らしていた。

家の都合でイタリア人という設定の母の故郷イタリアに引っ越した事になっている。

知り合いに見付かれば、遠い外国に住んでいるはずの人間が生まれ故郷である海鳴市に長期間滞在していれば不思議に思われるのは仕方のない事である。

 

「あ!そうだ!レイジングハートとバルディッシュの修理手伝います。」

「なるほど。そうしましょう。その後は、またこちらで考えるわ。」

 

リンディもカイトのデバイスに関しての知識や技術は知っているのでメンテナンススタッフの手伝いには適任だとカイトの提案を受け入れた。

 

咄嗟に思い付いた提案が通り、とりあえず現時点では地球に行かずに済んだ事に安堵の表情を浮かべ、ほっと胸を撫で下ろしたカイトであった。

 




カイト君は地球に行きません。
基本的にミッドかアースラに居ます。
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