今さらですが原作は基本的にテレビ版を軸にしています。
魔力切れで気を失ったカイトは一応医務室で検査を受けたが疲れて果てて眠っているだけと診断されたので、その後は仮眠室に運ばれていた。
すでに日付も変わっておりカイトは丸一日くらい眠っている。
「おい!カイト!そろそろ起きろ!」
「…んあ?クロノ?」
だらしない顔をして眠りこけていたカイトをクロノが叩き起こした。
目を覚ましたカイトは意識が覚醒していくのと同時に気絶する前の事を思い出していった。
「あぁそうか…カートリッジに魔力込めてたら気絶したんだっけ…」
「全く無茶をする…と言いたいところだが今回ばかりはその無茶のおかげで助かったよ。」
「ん?何かあったの?」
デバイスの所有者本人に動作テストをお願いしようとなのはとフェイトを呼び寄せたタイミングでベルカの騎士達の補足に成功してしまい、なのはとフェイトは受け取ったばかりのデバイスを手に出撃し戦闘が開始され、カイトがデバイスに装填する分のカートリッジに魔力を込めていなければ、せっかくのカートリッジシステムがただの飾りになっていたところだったとクロノは説明した。
「詳しくは歩きながら話そう。カイトついて来てくれ。」
「今すぐ?シャワー浴びる時間があれば嬉しいんだけど…」
「それくらいの時間はある。待っててやるから早く浴びてこい。」
クロノに許可を貰いベッドから出てシャワーを浴びて仮眠室を出るとクロノとユーノが待っていた。
二人と共に廊下を歩きエイミィと合流するとクロノがモニターを出しカイトが眠っている間に起きた戦闘記録を見せてくれた。
そこにはカートリッジシステムを使いベルカの騎士達と互角に戦うなのはとフェイトが映っており、カイトは絶好調だったらしいデバイス二機の活躍にホッと胸を撫で下ろした。
カイトが安堵したのも束の間モニターには衝撃の映像が映し出された。
クロノが
「え?誰?この仮面の男。」
「分からない…」
「サーチャーにも全く反応が無かったんだよねぇ…」
カイトが思わず質問すると、それぞれ苦虫を噛み潰した様な表情のクロノとエイミィが答えた。
エイミィが言うには管理局のサーチャーやレーダーに全く感知されずに突然現れたらしい。
管理局のサーチャー等は非常に優秀だと思っていたカイトはその包囲網をいとも簡単にすり抜ける技量を持った仮面の男に恐怖を覚えた。
「しかし、邪魔されたとはいえ追い詰めた事には変わりない。しばらく守護騎士達も動けないだろう。」
「ところでクロノ、どこに向かってるの?ユーノは聞いてる?」
「いや、僕もついて来いとしか言われてないんだ。」
「君達に仕事を頼みたい。」
前回の戦闘で守護騎士達にこちらの動きが本格化した事を意識させたのは明白なので、しばらくは慎重になると予想したクロノはこの隙を使って二人に仕事を頼む事にした。
しかし、どこに向かって歩いているかも仕事内容も教えてくれずに困惑気味の二人は廊下を歩いて行くクロノについて行くしか無かった。
しばらく歩いていると目的地である部屋に着いた様でクロノは扉を開ける。
部屋の中にはグレアム提督の双子の使い魔「リーゼアリア」と「リーゼロッテ」がいた。
「やや、クロスケじゃないか!」
「うわ!来るな!ロッテ!」
部屋に入るとリーゼロッテがクロノに途轍もないスピードで向かって行く。
クロノは拒絶するがロッテは聞く耳持たずにクロノに抱きつき過剰なスキンシップを開始した。
「ロッテはいつも通りだなぁ。アリア久しぶり!」
「アリア久しぶり。」
「カイト、エイミィ久しぶり。」
ソファの向こうで揉みくちゃにされているクロノを尻目にリーゼアリアと挨拶を交わしていると、満足したのかロッテが戻ってきたのでロッテとも挨拶を交わす。
「それで、こっちの美味しそうなネズミっ子は食べていいのかにゃあ?」
「仕事が終われば好きにしていい。」
ユーノもロッテの標的にされかけたが復活したクロノが仕事の話を始めたので頭を切り替えて耳を傾ける。
クロノは無限書庫でユーノに闇の書の事を調べてもらうつもりらしい。
そして、リーゼ達とカイトはユーノの手伝いを依頼された。
「あたしらも教導が残ってるから、ずっとは手伝えないよ?」
「その為のカイトだ。一時期、無限書庫に入り浸っていたカイトにはうってつけの仕事だろう?」
「あはは!確かに!」
確かに嘱託魔導師になってすぐに無限書庫の事を知り、色々気になる事を調べている内に気付けば毎日の様に無限書庫に入り浸っていたカイトには適任の仕事だった。
しかし、皆に笑われながら肯定されると文句の一つも言いたくなるが、全く否定出来ない為口籠るしかなかった。
別に仕事があるクロノとエイミィと別れ、カイトとリーゼ達はユーノを無限書庫に案内した。
「ここが無限書庫…」
「すごいだろー。ここに全ての情報が集まるんだよ!」
無限書庫に着き中に入ると内部は巨大な円筒形になっており所狭しと書物が並んでおり無重力空間になっている。
入り口からは天井も底も見えないくらいの規模であり、奥に行き過ぎると遭難すると言われている。
「じゃあ、早速始めよう!」
「うん、えっと探索魔法と読書魔法を使えばいいのかな?」
ユーノの質問にカイトが見本を見せると、どこからか本が一冊飛んできてカイトの目の前でページがめくられていく。
「でも、闇の書で検索して一冊ずつ処理するとなると大変な作業だなぁ。」
「え?別に一冊ずつじゃなくてもいいんじゃない?」
「え?」
カイトの目の前ではユーノが数冊の本を自分の周りに浮かべ複数の本を同時に読んでいた。
驚愕の表情を浮かべるカイトを尻目にユーノは物凄いスピードでページをめくっていく。
「え?ちょっと待ってユーノ。その術式どうなってるの?」
「どうって…こうだけど…」
ユーノは術式を表示させた。
それを見たカイトは複雑過ぎる術式に目を回した。
「ゆ、ユーノ…よくこんなの使えるね…」
「え?普通だと思うんだけど…」
一度に広範囲を検索し複数の情報を集めマルチタスクで同時に処理していくユーノに情報処理能力は高めだと自負していたカイトは開いた口が塞がらなかった。
しかし、頼まれた仕事は待ってくれないのでユーノの術式を自分が使えるくらいに改良し何とか一度に三冊は同時に処理できる様になった。
ユーノとカイト、それにたまに手伝ってくれるリーゼ達と闇の書について調べていくと色々な事が分かってきた。
まず、闇の書は本来の名前ではなく正式名称は「夜天の魔導書」という事。そして、元々は各地の様々な魔法を研究し後世に伝える為に蒐集し主と共に旅する魔導書らしい。
だが、今回や十一年前の事件の様に破壊の力を振るう様になったのは、歴代の主の誰かがシステムを改変し自動防衛プログラムを組み込んだのが大きな原因で、全てのページを埋めると暴走し主を含め破壊の限りを尽くすと新たな主を求めて転生するという事が分かった。
「つまり、自動防衛プログラムを組み込んだ際にバグが発生したって事?」
「うん。それに転生機能と自己修復機能は無限に再生し転生し続ける物へと改悪されてるみたいだね。」
カイトはバクが発生した原因を尋ねるとユーノは他のシステムも改悪されていると答えた。
「プログラムを改悪されて全く別の物になってしまったんだね…」
「うん…本来なら歴史的に価値の高い古代遺産になるはずだったと思う…」
遥か昔、戦乱の時代のベルカでプログラムが改悪されたと二人は予想していた。
血で血を洗う戦渦の中、歴代の主の誰が何を想い何を願ってプログラムを改変したのか。
生き残る為、戦争を終わらせる為、あるいは世界を牛耳る為…
「っと…今はそんな事考えてる暇無いんだった。さぁて仕事仕事!」
いくら考えても決して答えの出ない思考を頭の外へと振り払い、カイトは目の前の仕事に取り掛かっていった。
カイトとユーノの無限書庫探検記!